ビジネスの現場では、マーケティングという言葉を頻繁に耳にします。しかし具体的にマーケティングとはどういう意味なのか、どのような活動を指すのかという点については、明確にわからない人も多いのではないでしょうか。
この記事ではマーケティングの本来的な意味や目的、手法などについて、わかりやすく解説します。マーケティング戦略の立て方についても紹介するので、業務の参考にしてみてください。
マーケティングとは?意味を簡単に解説!
まずはマーケティングの意味や、マーケティングを行う理由、目的について簡単に解説します。
世間で一般的に用いられている「マーケティング」のニュアンスと、本来的なマーケティングの意味は、異なっているかもしれません。その点についても説明していきます。
マーケティングとは商品やサービスが売れる仕組みをつくること
マーケティングを一言で表すと、「商品やサービスが売れる仕組みをつくること」といえます。
企業が商品やサービスを販売する場合、顧客ニーズの調査、商品開発、宣伝、販促、営業、販売などさまざまな活動が行われます。このプロセスが正しく機能すれば、そこに商品が自然と売れていく「仕組み」ができます。マーケティングが目指しているのは、このような「仕組み」を作り上げること、というわけです。
一般的にマーケティングは、商品やサービスを「売り込むためのテクニック」のように表現されがちですが、このようなちがいがあるのです。。顧客のニーズが正しく理解され、それを満たす価値が商品に備わり、かつ商品に関する適切な発信が行われていれば、販売者から顧客への一方的な「売り込み」などなくてもものは自然と売れていきます。
マーケティングが、このようなものが売れる「仕組みづくり」を指している点は、まず押さえておきましょう。
マーケティングを行う理由と目的
マーケティングの目的は、「利益を最大化させること」です。一般的に利益というと、売上から経費を引いた、販売者の儲けを指しますが、この場合の「利益」は、ニーズを満たすことができた顧客側も得られる価値だといえます。
マーケティングによって、ものがスムーズに売れていけば、企業や顧客はもちろん、株主や従業員も、利益を受け取ることができます。このようにマーケティングは、販売に関わる全ての人の利益を最大限まで高めることを目的としているのです。
マーケティングの手法の種類を5つ紹介
マーケティング手法にはさまざまな種類がありますが、ここでは代表的なものを5つ紹介します。いずれもWebマーケティングにおいて欠かすことのできない重要なマーケティング手法です。
Webを利用したビジネスに携わりたい方は、しっかりチェックしておいてください。
SEO対策
SEOは「Search Engine Optimization」の頭文字を取ったもので、日本語では「検索エンジン最適化」と表現されます。
Googleなどの検索エンジンはいまや、人々が情報を得るために欠かせない手段となりました。人々はなにかを情報を得たいと思ったとき、検索窓にキーワードを打ち込みます。
その際、検索結果画面に自社のサイトが、競合サイトよりも上に表示(上位表示)されれば、よりユーザーに自社の商品やサービスが伝わりやすくなります。
このように、Googleの検索結果の表示順位を決定づける「アルゴリズム」を考慮しながら、特定のキーワードにおいて自社サイトが上位表示されるよう「最適化」するマーケティング手法が、SEO対策です。
Web広告
Web広告はインターネット上に表示される広告のこと。種類も複数あり、リスティング広告、アフィリエイト広告、アドネットワーク広告、リターゲティング広告などが有名です。
例えばリスティング広告を見てみましょう。リスティング広告は「検索連動型広告」とも呼ばれ、Googleなどの検索結果画面の広告枠に表示されます。広告ではない検索結果(オーガニック検索)よりも上位表示され、かつ関連するキーワードで検索した人の目に届くので、より自社商品をアピールしやすくなります。
このため、Web広告は現代では非常に重要なマーケティング手法といえるでしょう。
SNSマーケティング
SNSマーケティングは、X(旧Twitter)やLINE、Facebook、InstagramなどのSNSを活用したマーケティング手法です。SNSは世の中での普及率が高く、ユーザーの閲覧頻度も高いため、非常にマーケティング効果の高いツールといえます。
一口にSNSといっても、それぞれの利用者層や、使い勝手は異なります。例えば写真や動画などの視覚情報に特化したInstagramでは、コスメやファッションなど、視覚に訴えかける商材が適しています。
このようにSNSマーケティングはたいへん効果の高いマーケティング手法ですが、施策を考えるにあたっては、それぞれのSNSの特徴を考慮することが大切です。
メールマーケティング
メールマーケティングは、文字通りメールを利用したマーケティング手法です。メールマーケティングの特徴は、企業から顧客側へ、「プッシュ型」のマーケティング施策が行える点です。
Web関連のマーケティング手法のほとんどが、顧客のアクションを待つ「プル型」の手法であるのに対し、メールマーケティングでは、企業側から直接情報を届けることができます。
代表的なメールマーケティング手法がメールマガジン(メルマガ)です。企業側が、好きな時間に、好きな情報を、好きな頻度で、顧客へ送付することができます。上手く運用すれば顧客と企業との間で良い関係が築け、情報提供などを行いながら見込み顧客の育成(リードナーチャリング)も行えます。
Webサイト・オウンドメディアの運用
Webサイトやオウンドメディア(自社運営のWebメディア)運用も重要なマーケティング手法です。SEO対策を施し、自社のサイトやメディアを上位表示できれば、より多くの顧客に情報を伝えることができます。
発信内容や、発信の頻度を企業側でコントロールできることもWebメディアの利点です。一見、商品販促に結びつかないような情報系メディアでも、企業の認知度を上げたり、自社のブランディングを強化できたりするなど、結果的に大きな販促効果が見込めます。
また、一度作り上げたメディアは長期的に利用できるため、資産性のあるマーケティング媒体として継続的な活用が可能です。
マーケティング戦略の立て方をわかりやすく解説!
ここからは実際にマーケティング戦略を立てていく方法について解説します。この手順を追っていけば、マーケティングの進め方や考え方が、より深く理解できるでしょう。
また、マーケティングで用いる分析は、多くの分野で応用できます。ぜひ参考にしてください。
市場を分析する
マーケティングではまず、市場の分析を行います。市場にどのような需要があり、その市場規模はどれほどなのかや、顧客はどのようなものを求めているのか。また、どのような事柄に関心があり、どのような事態を恐れているか。そういった情報を徹底的に調べ、商品開発や広告宣伝、販促方法の策定に活用していきます。
市場分析はマーケティングを進めていくうえで、欠かすことのできない工程です。ここがおろそかになると、開発から販売まで、すべての販売施策が的外れなものになりかねません。
なお、市場分析ではデータを収集したあと、課題を抽出するための枠組みである、マーケティングフレームワークを活用します。単純にデータを集めるだけでなく、それがどのようなことを示唆しているかについて検討しない限り、市場の分析を行ったことになりません。
ターゲットを特定する
市場分析が完了したら、商品やサービスの想定顧客、つまりターゲットを特定していきます。
ターゲットの特定にもいくつかの手法があり、有名なものが市場細分化(セグメンテーション)です。市場を同じニーズや属性を持った顧客グループに分割する方法で、それぞれのグループ内にある共通ニーズから、効果的な施策を考えていく方法です。
年齢、性別、職業、居住地、家族構成、ライフスタイルなどを絞り込み、顧客像を明確にしていきます。なお、ターゲットをより明確に確認するために設定する典型的な人物像を、「ペルソナ」と呼びます。
商品やサービスによって提供する価値を定義する
ターゲットが特定できたら、そのターゲットが自社の商品・サービスによってどのようなメリットを得て、満足できるのか、提供する価値の定義を行います。
顧客が注目しているのもこの点です。商品・サービスを購入することで、どのような価値を得られるか、それが価格に見合っているのかを判断します。納得できれば購入するし、納得できなければ購入を止めます。
企業側は、ターゲットの得たい価値を的確に理解し、それに応える商品・サービスを、妥当な価格で販売しなければいけません。その際、市場にある競合商品との差異化や、自社の商品を選ぶメリットについても考慮する必要があります。
商品やサービスを提供する方法を決める
商品やサービスの提供する価値が定義できたら、次に商品・サービスを提供する方法を決めていきます。商品やサービスの価値をターゲットへどのように伝えるか、価格はいくらに設定し、どんな販売促進を図るかなどを決定します。
商品やサービスの提供方法を決める際は「4P分析」や「4C分析」のフレームワークが利用されます。「4P分析」は「Product(製品)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(プロモーション)」を指し、商品の訴求ポイントを決定する際の企業側の基準を示しています。
一方、「4C分析」は「Customer Value(顧客価値)」「Customer Cost(顧客が負担するコスト)」「Convenience(顧客利便性)」「Communication(顧客とのコミュニケーション)」を指し、顧客目線での商品を分析する視点を示したものです。
「4P分析」や「4C分析」を活用しながら、自社の商品・サービスがもっともターゲットに届く提供方法を決定しましょう。
商品やサービスに適したマーケティング方法を検討する
商品やサービスの提供方法が決まったら、マーケティング方法を検討します。マーケティングは、販売に関わるすべての行程を指します。商品開発から販促方法の策定まで、具体的な内容を決定します。
ターゲットに商品の存在が伝わるような宣伝方法も考えなければいけません。広告を使用する際も、広告の媒体や内容など、詳細な内容を決めていく必要があります。
自社の商品が自然と顧客に認知され、価値が認められ購入されるような「仕組み」の構築を目指しましょう。
知っておきたいマーケティングの用語
ここでは押さえておくべきマーケティング用語を紹介します。
マーケティング全般に関する用語から、Webマーケティングで用いられることの多い用語まで取り上げているので、しっかり覚えておいてください。
カスタマージャーニー
カスタマージャーニーは、顧客が商品やサービスの存在を知り、実際に購入するまでのプロセスを表した言葉です。その内容は「認知→調査→比較→検討→購買」というもの。
マーケティング戦略を推し進める場合は、カスタマージャーニーのすべての過程について検討し、適切なカスタマージャーニーを構築する必要があります。また、なにか不具合が生じた場合は、カスタマージャーニーのどのプロセスに問題があるのか、検討する基準としても良いでしょう。
マーケティングミックス
マーケティングミックスは、商品やサービスの提供方法を決定する際に用いるフレームワーク「4P分析」において、複数の「P」を組み合わせて検討することを指します。
「4P」は「Product(製品)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(プロモーション)」。いずれもマーケティングにおいて欠かせない項目ですが、マーケティングミックスを行うことで、ひとつの項目に特化するのではなく、より効果的な提供方法を見出すことができます。顧客目線の「4C分析」と併せて、商品の適切な提供方法を決定しましょう。
インバウンドマーケティング
インバウンドマーケティングは、SEOやコンテンツマーケティング、SNSマーケティングなどの手法を利用し、自社やその商品・サービスの認知を促す「プル型」のマーケティング戦略です。
インバウンドマーケティングに対して、テレビCMやテレマーケティングなど、企業から直接的に顧客にはたらきかける「プッシュ型」のマーケティング戦略をアウトバウンドマーケティングと呼びます。
インバウンドマーケティングのメリットは見込み顧客の発掘ができたり、自社の信頼感、ブランディングを向上させられたりする点。自社に良い印象を抱いてもらえれば、商品・サービスの購入の可能性も高まります。
マーケティング戦略を考える際は、アウトバウンドマーケティングとインバウンドマーケティング、「プッシュ型」と「プル型」両者のメリットを活かせるようにすると良いでしょう。
コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングは、ブログや動画、セミナーなどのコンテンツを利用したマーケティング手法です。直接的に商品・サービスをアピールするのではなく、顧客にとって役立つ情報や、企業のノウハウを活かしたアドバイスなどを、コンテンツを通して提供し、企業の知名度アップや顧客との関係構築を図る手法です。
すぐに商品が売れるわけではありませんが、コンテンツに触れるうちに、顧客の自社への信頼感を高めることができるかもしれません。企業のブランディングも印象付けられ、見込み顧客を集めることもできます。
デジタルマーケティングにおいては主流ともいえるマーケティング手法のため、目的や内容をしっかり覚えておくと良いでしょう。
マーケティングを行う上で必要なスキルとは?
マーケティングのスキルを磨いて、商品やサービスの販売を活性化させたい人や、将来的にマーケターとして活躍したい人は、いったいどのようなスキルを身に付けておくべきでしょうか。
ここでは、マーケティングを行ううえで必要なスキルについて解説します。
関連記事:Webマーケティングに必要なスキルとは?マーケターの仕事内容も解説
分析力・情報収集力
まずマーケティングを進めるうえで必要なのは、分析力と情報収集力です。マーケティング戦略を実践するには、数あるデータをフレームワークなどを活用しつつ、論理的に読み解く力が求められます。
分析力に欠け、感覚でマーケティング施策を進めると、戦略に重要な要素を見落とし、結果的に商品やサービスの良さを活かしきれないことも。マーケターを目指す人は冷静な分析力を養っておきましょう。
また、情報収集力も必要です。マーケターには市場の需要や、トレンド、人々のニーズなど、さまざまな情報を察知し、収集する力が求められます。情報収集力が弱いと、そもそものデータの質が乏しく、的確な分析結果も得られないでしょう。マーケティングのスキルを高めるうえでは、この分析力と情報収集力を身に付けることがとても大切です。
パソコンスキル・コミュニケーションスキル
マーケティングと直接的に関係ないように思えるパソコンスキルも、マーケターは身に付けておく必要があります。現代の情報発信源は、Web媒体によるものが大半を占めています。パソコンを使いこなせないと、必要な情報も収集できません。
また、分析や報告もほとんどパソコンで行われます。数値結果を読み解くにしても、そもそもパソコンスキルがないと分析すら行えません。資料作成のためのツールの使用方法も学んでおく必要があります。
さらにコミュニケーションスキルも必要です。マーケティング推進はチーム作業となる場合も多く、事実を事実として適切に伝える能力や、情報をメンバーやクライアントと正しく共有するスキルも求められます。
なお、マーケティングに必要なスキルは資格取得のための勉強を通して学んだり、専門のスクールに通って身に付ける方法もおすすめです。それらの方法を用いて学べば、必要なスキルが高まるだけでなく、マーケティングに関する体系的なノウハウを習得することができるでしょう。
マーケティングとは、簡単に言えば「売れる仕組み作り」
本記事ではそもそもマーケティングとは何かということから、具体的なマーケティング手法、マーケティング戦略を立てる方法などについて解説しました。
マーケティングは、スムーズに商品・サービスが売れていくような仕組みを作り上げることです。そうすることで、企業はもちろん、顧客や、販売に関わる全ての人へ価値を提供することができます。
ただしマーケティングを推進するのにはさまざまな能力が必要で、それを自力で身に付けるのは簡単なことではありません。
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