SWOT分析とは?やり方や事例、コツを紹介

SWOT分析とは?やり方や事例、コツを紹介

経営戦略やマーケティング戦略を立てる上で使われるフレームワークのひとつに、「SWOT分析」があります。一方で、「SWOT分析とは何か」「どのような事例があるのか」と疑問に思う人もいるでしょう。

この記事では、SWOT分析とは何か、やり方やコツを紹介します。事例を交えて紹介するので、SWOT分析のやり方がわからない人は読んでみてください。

SWOT分析とは?

SWOT分析とは、自社の状況を把握するために内部環境と外部環境を整理して分析するフレームワークです。SWOTとは、以下の単語の頭文字を組み合わせたもので、読み方は「スウォット」です。

  • Strengths(強み)
  • Weaknesses(弱み)
  • Opportunities(機会)
  • Threats(脅威)

内部環境は自社内の要素で、自社製品やサービス、社員などを指します。外部環境は社外から自社に影響を与える要素で、市場規模や競合企業の動向、社会・政治情勢などが挙げられます。

SWOT分析の目的

事業戦略やマーケティング戦略を立てる際、企業は自社や競合他社の状況、市場の将来性などを把握して分析する必要があります。そのときに使用すると便利なのが「SWOT分析」です。SWOT分析を利用すれば、強みや弱み、機会、脅威の観点から自社の現状を客観的に把握できます。

SWOT分析を使って自社の現状を明確にすることで「強みを生かしつつ、成長機会につながる領域はどこか」がわかります。また、弱みも明確になるので、自社の脅威になりそうな要因の対策も立てられます。

SWOT分析を活用するタイミング

SWOT分析を実施するタイミングはさまざまですが、特に効果的なのは、現状の分析や将来的なリスクを知りたいときです。

早い段階でSWOT分析を行えば、客観的に事業の状況を把握した上で戦略を実行できるので、より適切な施策や脅威への対策を講じることができます。

また、事業の継続や撤退を判断する際に活用するのも有効です。自社と競合他社を比べたり、市場の動向や成長性を分析したりして、最適な戦略を立てましょう。

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SWOT分析のやり方

SWOT分析では、内部環境と外部環境の要素をそれぞれ洗い出します。要素を洗い出してクロス分析を行うことで、戦略の方向性が導き出せるのです。SWOT分析で必要な外部環境と内部環境の分析のやり方について紹介します。

外部環境の分析

SWOT分析を行うために、まず、外部環境の情報収集や要素の抽出を行います。SWOT分析における外部環境は「機会」と「脅威」です。特に「機会」の抽出は、SWOT分析の4つの要素の中で最も時間をかけた方がよいとされています。

外部環境の分析では、PEST分析や5F分析など他の分析手法も用いることで、複合的な視野での把握ができます。PEST分析とは業界外の情勢を分析するフレームワークで、5F分析は業界内の競合状況を細かく分析する際に適したフレームワークです。

市場や経済、顧客、競合他社などから分析し、自社で実現できそうなビジネスチャンスや起こりうるリスクを洗い出しましょう。

内部環境の分析

外部環境の分析ができたら、次に内部環境の分析を行います。SWOT分析における内部環境は自社の商品やサービスの「強み」と「弱み」です。内部環境の抽出では、SWOT分析で定めた対象に焦点を当て、強みと弱みの両方の観点から各要素を洗い出します。

内部環境の分析を行う際は、あくまで自社内の「状態」や「事象」を挙げていくのがポイントです。社内の共通認識ではない個人的な「思い」や「気持ち」を挙げるのは目的と異なるため、注意しましょう。

SWOT分析の事例

SWOT分析のやり方は分かったものの、自社で行う場合どのように要素を当てはめればよいのか悩む人もいるでしょう。今回は3社の事例を紹介しますので、自社でSWOT分析を行う際の参考にしてみてください。

ユニクロのSWOT分析

1つ目の企業は株式会社ユニクロです。株式会社ユニクロは、カジュアルブランド「UNIQLO」を提供する製造小売業です。

株式会社ユニクロをSWOT分析すると、以下のようになります。

強み ・商品企画・生産・物流・販売までのプロセスを一貫
・高品質・低価格の独自商品を開発
・独自のブランディング手法
・有名人やキャラクターとのコラボ企画
弱み ・国際市場での存在感の弱さ
・主要な競合他社に比べて世界での店舗展開の少なさ
・アメリカのような他の市場でのブランド認知度の低さ
機会 ・国際市場での拡大
・スポーツイベントのスポンサーシップを通じてブランド認知度の向上
・スポーツガジェットやウェアラブルデバイス
脅威 ・ロシア・ウクライナ戦争によるロシアでの事業一時停止
・外資系ファストファッションの国内進出
・中国の製造工場の人件費の高騰

クロス分析を行うと、「独自のブランディング手法を国際市場で展開し、拡大する」といった成長戦略が見えてきます。

トヨタ自動車のSWOT分析

2つ目の企業はトヨタ自動車株式会社です。愛知県豊田市に本社があり、自動車製造業を行う世界トップクラスのメーカーです。

トヨタ自動車株式会社をSWOT分析すると、以下のようになります。*1

強み ・伝統的な技術と最新技術を融合した自動車の製造・開発・販売
・環境問題への取り組みの強化
・国際的に認知されているブランド力
弱み ・新しい市場動向への対応力
・EV(電気自動車)の競争力強化
・サプライチェーン管理力
機会 ・AIやIoTなどの技術を活用した製品開発
・持続可能なモビリティの推進
・新興市場への進出
・グローバルなパートナーシップの拡大
脅威 ・物流の2024年問題
・新興市場の不確実性
・環境規制の強化や安全基準の厳格化

クロス分析を行うと、「AIやIoTなどの技術と伝統的な技術を融合した自動車を、製造から販売まで行う」といった成長戦略が見えてきます。

株式会社オープンハウスのSWOT分析

3つ目の企業は株式会社オープンハウスです。株式会社オープンハウスは、不動産売買の代理・仲介事業や新築戸建分譲事業を行うオープンハウスグループのひとつです。

株式会社オープンハウスをSWOT分析すると、以下のようになります。*2*3

強み ・土地の仕入れから設計・施工、販売までを行う製販一体体制
・低価格での住宅提供
・土地を活かした家づくり
・東京23区を中心に首都圏から名古屋・関西・福岡で事業展開
弱み ・アフターサービスや保証期間の短さ
・ZEHの普及率の低さ
・グレードの高い設備を導入する場合オプションが必要
機会 ・外出自粛やテレワークの推奨など生活スタイルの変化
・M&Aによる業績拡大
脅威 ・コロナウイルスによる市場の悪化
・首都圏にある多数の競合他社の存在
・資材・土地価格の上昇

クロス分析を行うと、「東京23区を中心に、テレワークに適した家づくりに注力する」といった成長戦略が見えてきます。

SWOT分析のコツ

SWOT分析を目的の達成に生かすためには、ただ分析するだけではなくコツを押さえて実行する必要があります。SWOT分析を実施する際のコツを2つ紹介します。

目的を明確にする

SWOT分析を実施するにあたり、目的を明確にすることが重要です。目的を明確にすることで、分析の参加者全員が共通の認識で進められるので、分析結果の質の向上につながります。

SWOT分析は、あくまで現状を把握するための手法です。目的を明確にしないまま進めてしまうと、分析の参加者の認識が異なってしまい、分析結果が本来の目的とずれた内容になってしまいます。

また、目的を実現するために「SWOT分析」を選択したはずが、分析自体を目的化してしまうこともあるので注意しましょう。

顧客層や市場、自社の現状を把握する

SWOT分析を行う前に、事前に顧客層や市場、自社の現状を把握しておきましょう。対象となる顧客層や市場規模などの条件が異なれば、自社であっても強みや弱み、機会、脅威の要因は異なります。

実際にSWOT分析を始めると、どの要素に当てはまるのか悩むものも出てきます。特に混同しやすいのが「強み」と「機会」です。「強み」は自社内に存在する要素、「機会」は自社外に存在するチャンスを表します。

事前に明確な前提条件を整理することで、一貫性のある分析結果を得られやすくなるでしょう。

事例を参考にSWOT分析を活用しよう

SWOT分析は、経営戦略やマーケティング戦略を立てる上で有効なフレームワークです。内部環境と外部環境の分析を行ってそれぞれの要素を組み合わせることで、自社に適した戦略が導き出せます。紹介した企業の事例を参考にして、自社のSWOT分析に生かしましょう。

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参考:
*1トヨタが過去最高益、要因と今後の課題は? – 日本経済新聞
*2オープンハウスの家づくり
*3気候変動対応|Environment(環境)|サステナビリティ・ESGの取り組み|オープンハウスグループ

ABOUT ME
ライター 石田 千尋
人材紹介会社でキャリアアドバイザーを担当した後、IT企業の人事を経験。2021年よりライターとして活動を始め、SEO・インタビュー記事を中心に執筆。
エディター 古澤 椋子
鹿児島大学大学院水産学研究科修了。水産系社団法人にて、水産に関わる調査研究、行政との折衝などを経験したのち、水産系ベンチャーにて、広報を担当。2023年からフリーライターとして活動を始め、主にエンタメ系の記事を執筆。SHElikesでキャリア、マインド共に変化した経験から、SHEsharesのライターを務める。

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