マーケティング理論とは?基礎的な知識を一覧で紹介

マーケティング理論とは?基礎的な知識を一覧で紹介

効果的なマーケティングを行うためには、マーケティングの理論を考えることは欠かせません。しかし、マーケティングの理論にはどのようなものがあるのか、よくわからないという方もいるでしょう。

今回はそんな方に向けて、マーケティング理論の概要や基礎的なマーケティング理論の一覧、マーケティングの勉強方法を紹介します。

マーケティング理論とは?

マーケティングとは、商品やサービスが売れるための仕組みをつくることを意味します。そしてマーケティング理論とは、マーケティングにおける市場調査や製品設計、販売促進などの展開を研究したうえで確立された理論のことを指します。

研究によって確立された理論はフレームワークとして構造化され、マーケティングにおける課題の抽出や分析、解決のための思考の枠組みとして活用されています。

マーケティングが重要視される理由

モノや情報に溢れている現代では、商品やサービスが簡単には売れないため、マーケティングが重要視されるようになっています。社会の変化に伴い従来の手法ではいくら性能が良くても、ただ販売するだけでは売れるどころか知ってもらうのも難しいでしょう。

消費者に商品やサービスを購入してもらうためには、マーケティング戦略が欠かせません。どの分野においても市場調査を十分に行い、適切なマーケティング戦略を策定したうえで広告宣伝活動を遂行していくことが求められます。

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基礎的なマーケティング理論の一覧

マーケティング理論には多様な種類があります。ここでは初心者も押さえておきたい18個の基礎的なマーケティング理論を一覧で紹介します。

それぞれについて解説していきます。

マーケティング1.0~4.0

マーケティング1.0〜4.0は、マーケティングの第一人者といわれるアメリカの経営学者フィリップ・コトラーが提唱したマーケティング理論です。コトラーが提唱するマーケティングの考え方は、時代に応じて下記のように1.0から4.0までの4段階に分類されています。

  • マーケティング1.0:製品中心(1900~1960年代)
  • マーケティング2.0:消費者志向(1970~1980年代)
  • マーケティング3.0:価値主導(1990~2000年代)
  • マーケティング4.0:自己実現(2010年以降)

とくに2010年以降は、消費者の自己実現欲求を満たせる付加価値の提供が重要視されています。

4C分析

4C分析は、顧客目線でニーズを分析するためのフレームワークです。4Cは「Customer Value(顧客価値)」「Cost(顧客のコスト)」「Convenience(顧客にとっての利便性)」「Communication(顧客とのコミュニケーション)」の頭文字で、これらの4つの要素は顧客が商品を購入するまでの過程に大きな影響を与えるとされています。

4P分析

4P分析とは、顧客目線の4C分析とは違い、企業側の目線で自社の商品やサービスを分析するためのフレームワークです。4Pとは「Product(製品)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(販売促進)」の頭文字で、自社の商品やサービスをどのようにして市場に展開していくかを検討する際に効果的な考え方です。

PDCA

PDCAとは「PDCAサイクル」とも呼ばれ、マーケティング以外にも幅広く活用されている有名な理論です。「計画(Plan)」「実行(Do)」「評価(Check)」「改善(Action)」の頭文字が由来で、マーケティングにおいては計画した施策を実行し、評価を行って改善するという一連の流れを意味します。

MECE

MECEとは「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の略語で、ロジカルシンキングの基本的な枠組みのひとつです。「モレなく、ダブりなく」という意味で、マーケティングにおける課題や改善策などを網羅的に洗い出す際に重要な考え方です。モレやダブりなく物事を整理することは、効率的かつ論理的にマーケティングの課題を解決するために重要視されています。

PPM分析

PPM分析(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント分析)とは、「市場成長率」と「市場占有率」の2軸による座標に自社の商品やサービスを分類し、経営資源配分を判断するための方法です。

座標を使用して自社事業を「 花形(Star)」「 金のなる木(Cash Cow)」「 問題児(Problem Child)」「 負け犬(Dog)」の4つのポジションに分類し、自社事業の将来性や競合他社との格差を可視化するのに役立てられます。

カスタマージャーニー分析

カスタマージャーニー分析とは、顧客が商品やサービスを認知・購入・再購入するといったプロセスを「journey(旅)」に例えて時系列で可視化する方法です。カスタマージャーニーマップを作成して各プロセスでの顧客の行動や感情を把握し、どのような施策を講じるかを落とし込んでいきます。

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AISAS

AISASは「Attention(認知)」「Interest(興味関心)」「Search(検索)」「Action(行動)」「Share(共有)」の頭文字が由来になっており、電通が商標登録したマーケティング用語です。消費者が商品やサービスを認知してから購入し、共有するまでの購買行動のモデルとなっており、各段階のターゲットに適切なアプローチを検討する際に役立てられます。

コア・コンピタンス分析

コア・コンピタンス分析とは、自社の中核となる「強み」を把握するための手法です。競合他社が容易に真似できない自社の技術力や商品力などを分析し、自社の立ち位置を明確にして市場での競争を有利に進めるのに役立てられます。

コア・コンピタンス(自社の中核を担う強み)は、「顧客に利益をもたらす能力」「競合他社に真似できない能力」「複数の商品や市場へアプローチする能力」の3つの条件をクリアすることが求められます。

RFM分析

RFM分析とは「Recency(最近の購入日)」「Frequency(購入頻度)」「Monetary(購入金額)」の3つの指標で顧客を分析する手法です。3つの指標のスコアに応じて「優良顧客」「安定顧客」「休眠顧客」「新規顧客」のようなグループに分け、「休眠顧客向けに再購入限定の値引きキャンペーンを実施する」など、無駄のない効率的な施策を検討するのに役立てられます。

イノベーター理論

イノベーター理論とは、消費者を「革新者」「初期採用者」「前期追随者」「後期追随者」「遅滞者」の5つに分類し、新しい商品やサービスが市場でどのように普及していくかを分析するためのマーケティング理論です。それぞれのグループに対してアピールすべきポイントを検討し、効果的なマーケティング戦略の策定に役立てられます。

ロジックツリー分析

ロジックツリー分析とは、自社の課題の解決に向けて、構造の洗い出しをするために用いられるロジカルシンキングの手法です。自社の課題を木の幹とし、論理的に分解した要素を枝葉のように展開していくことで、適切な施策を講じられるようになります。

ファイブフォース分析

ファイブフォース分析とは、自社に影響を与える脅威を「業界内の脅威」「新規参入の脅威」「代替品の脅威」「買い手の脅威」「売り手の脅威」の5つの要素に分析するマーケティング理論です。自社のマーケティング戦略を検討する際に、どの要因がもっとも影響を与えるかを把握でき、業界内の自社の立ち位置を明確にできます。

バリューチェーン分析

バリューチェーン分析とは、自社の商品やサービスが消費者に届くまでのプロセスごとに価値を見いだし、各プロセスを経由することで価値が連鎖するという考え方です。各プロセスでの分析を通して自社の強みと弱みを俯瞰的に捉えることができ、よりよいマーケティング戦略を考えるのに役立ちます。

PEST分析

PEST分析とは、「Politics(政治)」「Economy(経済)」「Society(社会)」「Technology(技術)」の頭文字が由来になっているフレームワークです。自社を取り巻く外部環境の要因を「政治」「経済」「社会」「技術」の4つの項目に分類して分析し、事業戦略の立案に活用します。

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SWOT分析

SWOT分析とは、「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」「Opportunity(機会)」「Threat(脅威)」の頭文字が由来になっているフレームワークです。内部環境である自社の「強み」と「弱み」、外部環境の「機会」と「脅威」をそれぞれ分析し、リスクを想定しながら全体像を捉えてマーケティング戦略に役立てることが可能です。

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STP分析

STP分析とは、「Segmentation(セグメンテーション)」「Targeting(ターゲティング)」「Positioning(ポジショニング)」の頭文字が由来になっているフレームワークです。市場を顧客やニーズなどの共通項によって細分化する「セグメンテーション」、細分化された市場からターゲットとする市場を選ぶ「ターゲティング」、選んだ市場の競合他社を調査し自社の立ち位置を決める「ポジショニング」という3つのプロセスで構成されています。

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3C分析

3C分析とは、「Customer(市場・顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」の頭文字が由来になっているフレームワークです。外部環境である「市場・顧客」「競合」を把握して分析することで、自社の強みや弱みが明確になり、マーケティング戦略を検討する際に役立てられます。

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マーケティングの勉強方法

マーケティングを学ぶ方法にはさまざまな種類があるので、自分に合った勉強方法を選択することが大切です。初心者でも自分のペースで学びやすい勉強方法は、主に次の2つです。

それぞれの勉強方法について解説します。

本で学ぶ

マーケティングに関する本は基礎的なものから実践的なものまでさまざまな種類があるので、自分に合った本を選んで手軽に学ぶことが可能です。初心者であれば、マーケティングの基礎知識や専門用語を丁寧に解説したものを選ぶとよいでしょう。

ここではマーケティングの概要を学べるおすすめの本を2冊紹介するので、ぜひ活用してみてください。

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「弱者でも勝てるモノの売り方 お金をかけずに売上を上げるマーケティング入門」著:上杉惠理子

本書はマーケティングの初心者でも理解しやすいよう専門用語や難しい理論を省いて解説しており、マーケティングの基礎を学ぶ入門書としておすすめです。事業の規模に関わらず誰でも実践できるようなマーケティングが紹介されているので、立場を問わず幅広く役立てられる知識を学べます。

「改訂版 マーケティング用語図鑑」著:野上眞一

本書はマーケティングで使われる用語を、イラスト付きでわかりやすく解説しています。ビジネスの場でよく使われるマーケティング用語からWebマーケティングの専門的な用語まで、体系的に理解することが可能です。マーケティング用語を正しく理解していないと実践的な内容を理解することは難しいので、一冊手元に置いておくと安心です。

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スクールで学ぶ

基礎から実践まで効率的にマーケティングを学びたい方は、スクールの活用がおすすめです。オフラインのスクールでも学べますが、場所や時間を気にせずに学びたい場合はオンラインスクールを活用しましょう。

女性向けキャリアスクールSHElikes(シーライクス)では、マーケティング入門コースやコンテンツマーケティングコース、Webマーケティングコース、SNSマーケティングコースなど多様なコースがあり、マーケティングについて基礎から専門的な内容まで幅広く学べます。

全45以上の職種スキルが学び放題なので、広告運用やブランディングなど、掛け合わせのスキルを一緒に学びたい方にもおすすめです。

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マーケティング理論を学び、マーケティング戦略に生かそう

マーケティング理論にはさまざまな考え方やフレームワークが存在するので、事業の段階や状況に応じて必要なものを選択しながら活用していくことが大切です。

マーケティングの知識やスキルを身につけたい方は、SHElikes(シーライクス)のマーケティング関連コースで学ぶのがおすすめです。また、SHElikesではマーケティング以外にもデザインやライティングなど多種多様なコースから自由に選びながら学べるため、複合的にスキルアップを図ることが可能です。

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ABOUT ME
ライター 山吹あや
地方国立大学教育学部を卒業後、小中学校教員として11年間勤務。息子とダウン症の娘の子育てとの両立のため、現在は教員を退職しWebライターとして活動中。整理収納アドバイザー2級、教員免許状を保有。
エディター 古澤 椋子
鹿児島大学大学院水産学研究科修了。水産系社団法人にて、水産に関わる調査研究、行政との折衝などを経験したのち、水産系ベンチャーにて、広報を担当。2023年からフリーライターとして活動を始め、主にエンタメ系の記事を執筆。SHElikesでキャリア、マインド共に変化した経験から、SHEsharesのライターを務める。

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。