コンテンツマーケティングとは、ターゲットにとって価値のある情報を提供して信頼関係を構築し、顧客の獲得や、ロイヤルティの向上を目指す手法です。新規顧客に自社の商品やサービスを認知してもらう場は、徐々に展示会などからオンラインに移り変わっています。そのため、Webを活用したコンテンツマーケティングを導入している企業も多いようです。そこで今回は、BtoBにおけるコンテンツマーケティングについて詳しく解説します。導入の手順や成功事例も紹介するので、BtoBのコンテンツマーケティングを導入する際の参考にしてみてください。
BtoBにおけるコンテンツマーケティングとは?
コンテンツマーケティングとは、ターゲットの興味のある情報を提供して信頼関係を構築し、顧客の獲得や、ロイヤルティの向上を目指す手法です。コンテンツマーケティングの最終目標は購買活動につなげることであり、BtoBでもBtoCでも目的は変わりません。
BtoBとBtoCにおける違いは、商品やサービスの購入や成約に至るまでの検討期間です。BtoCで単価が安い場合、魅力的なコンテンツに出会いすぐに購入するケースも珍しくないでしょう。しかし、BtoBの場合は、すぐ購入とはならないのが一般的。BtoBはBtoCに比べると商品やサービスが高額になる傾向にあり、購買に至るまでに複数人の意思決定が必要になるのが大きな理由です。
商品やサービスに興味を持ったあとに、資料を取り寄せる、他社と比較する、社内で共有し検討するなどのステップを踏むケースが多く、購買に至るまでの検討期間が長い傾向にあります。そのため、BtoBのコンテンツマーケティングでは、企業における購買の流れを理解したうえで、適切なコンテンツを提供する必要があります。
BtoB企業のコンテンツマーケティング成功させるための手順
BtoBのコンテンツマーケティングを成功させるためには、5つの手順に沿って進めていきます。
それぞれの内容を確認していきましょう。
1.自社の現状の課題とマーケティングの目的を整理する
コンテンツマーケティングを行うにあたり、まずは自社の現状の課題を明確にすることが第一ステップです。現状の課題を分析しマーケティングを行う目的を整理することで、BtoBマーケティング戦略を立てやすくなります。
たとえば、リード獲得が弱いと感じているなら、サービスの問い合わせ数や資料ダウンロード数、売上が思うように上がらないなら、受注数や商談数など、現状の具体的な課題をピックアップします。課題が明確になれば、認知拡大やリード獲得、成果獲得などコンテンツマーケティングにより達成したいことも明確になるでしょう。
2.ペルソナを設定する
次にペルソナの設定です。ペルソナとは、自社の商品やサービスを購入する架空の人物像のこと。手あたり次第に商品やサービスを提案するのではなく、ターゲットに向けてのコンテンツを発信することでコンテンツマーケティングが効率的に進められます。ペルソナは実際にいる人物かのように詳細なプロフィールを設定するのがポイント。BtoBマーケティングの場合、企業と担当者それぞれのペルソナを設定しましょう。
<企業ペルソナ>
- 業種や事業内容
- 売上規模
<担当者ペルソナ>
- 担当者の部署や役職
- 解決したい課題
- 求めている情報
- 比較検討するサービスや商品
- 決定する際の基準
既存顧客がいる場合は、ボリュームゾーンのユーザーを参考にペルソナに設定するのがよいでしょう。ペルソナを設定し担当者が抱える課題を推測できれば、魅力を感じるコンテンツも推測しやすくなります。
3.カスタマージャーニーを設定する
続いてカスタマージャーニーを設定します。カスタマージャーニーとは、見込み顧客の意思決定プロセスのこと。顧客が商品やサービスと出会いどのような流れで購入に至るのかという一連の流れを可視化しましょう。カスタマージャーニーを設定することで、顧客の行動や心理を予測できます。
購入意思を高めるには、欲しい情報を必要なタイミングで提示することが大切です。どのタイミングでどのようなコンテンツを見せると購入につながるかを検討し、顧客が購入するまでのステップごとに、適したコンテンツを作成できるのが理想的。ペルソナに伝えるべき情報が明確になるため、具体的な戦略を練りやすくなるでしょう。
4.達成目標と中間目標の指標を設定する
コンテンツマーケティングは長期の施策になる傾向にあります。成果が出ているかどうか判断できるよう、コンテンツマーケティングによる達成目標を設定しておくことも大切です。達成目標に設定するのは、ビジネスの目標につながる具体的な指標。指標を具体的な数値で設定することで、効果が見えやすくなります。
達成目標の一例
- 認知拡大のため6ヶ月以内に15万PV
- 問い合わせフォームからのリード獲得を3倍にする
- セミナー申込数を2倍に増やす
また、現状から遠い達成目標では、モチベーションの維持が難しくなります。達成目標に至るまでの中間目標も設定しておくことも大切です。
5.ユーザーからの反響を見ながら施策をブラッシュアップする
コンテンツを作成し発信したあとは、ユーザーからの反響をもとに施策をブラッシュアップすることが大切です。定期的に分析ツールを使用して効果測定を行い、改善点を見つけていきます。
効果測定したうえで質の高いコンテンツにブラッシュアップしていくことが、コンテンツマーケティングには欠かせません。トライアンドエラーを繰り返しながら、より効果的なコンテンツマーケティングを模索していきましょう。
BtoB企業にコンテンツマーケティングが必要な理由
BtoBコンテンツマーケティングが必要とされるのは、3つの理由があります。
詳しく確認していきましょう。
自社サービスのブランド力強化につながる
コンテンツを発信し続けてサイトを訪問する人が増えると、自社サービスのブランド力の強化にもつながります。たとえば、提供している商材や専門分野の情報をコンテンツとして蓄積していけば、専門力の高いブランドとしての地位が確立されていくでしょう。Webサイトに蓄積されたコンテンツは会社の資産となり、専門サイトとしての評価が定着すれば信頼性も高まります。
発信するコンテンツは、自社のブランディング材料のひとつです。よくも悪くも会社の印象を左右します。コンテンツを見た顧客がどのような印象を受けるか考えながら、魅力と信頼度を高められるよう戦略的に情報発信することが大切です。
強みを発信し、他社との差別化ができる
似たような商品やサービスがある場合、よりよい方を選びたいと考えるのは当然の流れです。他社と差別化するためには、自社の強みを明確にししっかりと打ち出す必要があるでしょう。コンテンツマーケティングを活用すれば、自社の強みを発信し他社との差別化を図るアプローチが可能になります。
独自性を強調するプロモーションを取り入れ、他社との違いをメインに訴求すれば、顧客に響きやすくなるでしょう。独自性がペルソナのニーズにマッチすれば、大きな効果を引き出せる可能性があります。
ユーザーの情報収集や比較検討期間に自社サービスに触れてもらえる
企業に導入する商品やサービスは購買に至るまでに時間がかかります。そのため、長きにわたりつながりを持ち続けることがポイントです。情報収集や比較検討のタイミングで必要となりそうな情報を提供できるのが理想的。
たとえば、検討中にメルマガで定期的に自社サービスを紹介することで、見込み客との接点を継続できるでしょう。コンテンツの内容によっては、導入を後押しできる可能性もあります。
BtoB企業のコンテンツマーケティングを考える上で知っておきたい施策の種類
BtoBコンテンツマーケティングを考えるうえで、施策の種類を把握することが大切です。主な種類は以下のようなものが挙げられます。
それぞれ把握していきましょう。
コンテンツSEO
情報収集をインターネットで行うのが一般的な現在、コンテンツSEOはコンテンツマーケティングの代表的な施策になっています。自社のWebサイトでコンテンツを提供して、検索からの流入を狙います。ペルソナが検索しそうなキーワードを選び、検索意図に添えるような内容のコンテンツを作成。 上位表示されるようなコンテンツが発信できるようになれば、検索エンジンからの新規リードも見込めるでしょう。
最近は動画コンテンツも注目を集めており、積極的に取り入れている企業も多いよう。コンテンツはWebサイト上に蓄積され資産となり、ブラッシュアップを続けることで安定した集客効果につながる可能性もあるでしょう。継続的にコンテンツを発信し続ける必要があるので、運営体制を整える必要があります。
メルマガ
メルマガとは、登録してくれた顧客にメールを一斉送信するメールマーケティングのひとつです。BtoBの場合、商品やサービスに興味を持ったとしても、検討期間が長期にわたる傾向にあります。そのため、そのまま放置するのではなく、継続的にコミュニケーションを図ることが大切です。定期的にメルマガを発信することで、既存顧客や見込み客とのつながりを作ることになり、BtoBコンテンツマーケティングに役立ちます。
メルマガで発信する内容は、自社商品やサービスの紹介、サービスやキャンペーンの告知などのコンテンツ。コンテンツを作成し送信するだけとコストをかけず的確なアプローチができる点がメルマガの魅力です。メルマガで作成したコンテンツを自社のWebサイトに掲載し、コンテンツのひとつに流用することもできます。登録者の属性や購買プロセスの段階などに応じて、配信するコンテンツの内容の調整も可能です。メルマガのクリック率や開封率を測定して、効果を測定できるという特徴もあります。
ホワイトペーパー
ホワイトペーパーはBtoCよりもBtoBコンテンツマーケティングに向いている施策です。ホワイトペーパーとは、企業が提供する資料を指します。ホワイトペーパーに取り上げられるコンテンツは、サービスの導入事例や競合他社との比較、アンケート調査の結果といった、専門的な内容がメイン。欲しい情報をきちんと提示できれば、顧客との信頼性を構築することにつながります。
ホワイトペーパーはPDF形式で自社のWebサイトから無料でダウンロードできるものがほとんどで、ダウンロードの際には、企業名や役職、メールアドレスなどの個人情報を入力してもらいます。資料をダウンロードしたということは、商品やサービス、業界に興味があるということ。どのような資料をダウンロードしたのかにより、購入プロセスの段階を見極めることにもなるでしょう。入力してもらった情報をもとに、さらなるアプローチが可能になります。
BtoB企業のコンテンツマーケティング成功事例
最後に、BtoBコンテンツマーケティングで成功した4つの会社の事例をチェックしていきましょう。
サイボウズ株式会社
企業業務の効率化を図るグループウェアを提供しているサイボウズ株式会社は、自社の名前のオウンドメディアを運営しています。発信しているのは、特定の分野ではなくビジネスパーソンが興味のあるコンテンツ。ユーザーに寄り添うコンテンツの提供に重きを置き、導線を設けていないのが特徴です。
オウンドメディアを運営する目的は、売上に直結させることではなく、サイボウズの認知度を高めファンを育成すること。自社製品をあえて押し出さないのも、ひとつの方法だということがわかる成功事例です。
freee株式会社
freee株式会社の運営するメディア「経営ハッカー」は、会計システムを提供している会社の中でもコンテンツマーケティングの成功事例の先駆けとして知られています。中小企業や個人事業主の悩みを解消するようなコンテンツを提供しており、読み進めていくと自然な流れで商品情報を得ることができる導線が特徴。専門的な内容をコンテンツにすることで、自社の専門性を確立させています。
会員登録の必要な限定記事も用意されており、登録するとホワイトペーパーのダウンロードが可能です。経理に悩む人とのコンバージョンにつなげています。
株式会社カオナビ
クラウド人材管理システムを提供している株式会社カオナビは、オウンドメディアによるコンテンツマーケティングでWeb広告の2.5倍のリード獲得に成功しています。施策は主にSEOコンテンツの発信とホワイトペーパーの2つです。SEOコンテンツでは、独自の基準でキーワードに優先順位をつけ記事作成を実施。企業の悩みに寄り添うような人材管理にまつわるわかりやすいコンテンツを提供しています。
リード獲得に大きく貢献しているのが、ホワイトペーパーによる施策。検索ボリュームが高い記事をホワイトペーパーでまとめ、ダウンロードできるようにしているのが特徴です。人材管理に悩む企業との出会いにつながり、継続的なコンバージョンを生み出しています。
株式会社マネーフォワード
経理に役立つクラウドサービスを提供する株式会社マネーフォワードは、リード獲得のためのコンテンツマーケティングに成功している会社です。経営者や個人事業主をターゲットに役立つ情報を提供しています。
マネーフォワードのオウンドメディアの特徴は、社会労務士や税理士などお金のプロが監修している点。実名でのインタビュー記事もあり、説得力の高い記事でブランド力強化につなげています。丁寧な取材による読みやすい記事など、質の高いコンテンツも成功の一因です。加えてホワイトペーパーや商品情報の導線設計により、顧客とのコンバージョンにつなげています。
BtoBコンテンツマーケティングは戦略が重要!
今回は、BtoBコンテンツマーケティングについて解説しました。
コンテンツマーケティングはBtoBにおいても有効です。比較検討に時間がかかるBtoBの購買では、継続的に接点を持ち続けることが、商品やサービスの購入を促す秘訣です。ただコンテンツを発信するにとどまらず、タイミングに応じ適切な施策が打てるよう、手法や事例を学んでおけるとよいでしょう。
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