データドリブンマーケティングとは?具体的な導入方法や指標を解説

データドリブンマーケティングとは?具体的な導入方法や指標を解説
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ライター KeitoKurisu
埼玉県の美容学校を卒業後、銀座の美容室での経験を経て、雑誌・広告業界のヘアメイクとして活動。その後、SEOメディア事業や映像制作会社を立ち上げ、脚本とディレクター業務を行う。現在は、アート作品の個展を行いながら、フリーライターとして活動中。
エディター Kakuhata Kyosuke
同志社大学 生命医科学部医情報学科卒。在学中、基礎科学や生体情報の取得・制御、プログラミングについて学ぶ。大学院進学後Pythonデータ解析や生体化学を学んだあとライター業を開始。現在はフリーランスとして活動し、キャリア領域のメディアを中心にSEO記事を編集・執筆している。

※本記事にはPRを含みます

IT産業の成長やDXの加速により、近年ではデータドリブンマーケティングが注目されています。しかしデータドリブンの意味や活用方法が理解できず頭を抱える方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回はデータドリブンマーケティングの意味や指標、具体的な導入方法などについて解説します。広告運用やメディア運営など、データを基盤にするビジネスをしている方はぜひ参考にしてください。

データドリブンマーケティングとは

データドリブンマーケティングとは簡単にいうと、収集したデータを基に施策を考えるマーケティング戦略の一つです。データドリブン(Data Driven)とは集めた情報を参考にして意思決定を行うことであり、日本語では「データ駆動」と翻訳されます。

ユーザーや顧客の購買行動や売上履歴、マーケティングに関するビッグデータを基に施策を考えるため、自社に適切なマーケティングプランを発見できる手法として注目されています。またインターネットの普及によりデータ収集が容易になったことからも、データドリブンマーケティングが重要といわれる理由の一つです。

活用できれば競合他社より優位になれる可能性がある施策なので、データを収集している企業や事業者は活用してみてください。

「そもそもマーケティングとは何か?」については下記の記事で詳しく解説しているので、気になる方はぜひあわせてお読みください。

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データドリブンマーケティングで使用される15の指標

ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院非常勤教授、マーク・ジェフリー氏によるとデータドリブンマーケティングには、下記の指標があると考えられています。

指標内容
ブランド認知率ブランドがどのくらい認知されているか
試乗商品やサービスなどのお試し体験
顧客満足度商品やサービスに対する顧客の満足度
解約率商品やサービスの契約を解除した顧客の割合
オファー応諾率オファーを受け入れる顧客の割合
正味現在価値現在の商品価値から将来的に予想される利益
内部収益率マーケティング施策に対する利回り
利益売上から費用を差し引いたもの
投資回収期間施策に対して費用を回収できた期間
顧客生涯価値費用を差し引いた顧客の現在価値
トランザクションコンバージョン率広告上で商品やサービスが購入された割合
クリック単価Web広告におけるクリック単価
広告費用対効果広告費に対するCVなどの割合
直帰率Webメディアに訪れたユーザーが回遊せず離脱した割合
口コミ増幅係数口コミからのクリック・CVなどの割合

上記の指標は全て活用する必要はありません。自社が行っている事業に適切な指標を採用してください。

またデータドリブンの指標については、書籍「データドリブン・マーケティング—最低限知っておくべき15の指標/Mark Jeffery(著)、佐藤 純(訳)、 矢倉 純之介(訳)」で詳しく記載されています。より深く学習したい方はそちらも参考にしてください。

1.ブランド認知率

ブランド認知率は自社のブランドや商品・サービスなどがどれくらい認知されているかの割合を差します。例えば「ハンバーガー」といえば「マクドナルド」を連想する方も多いのではないでしょうか。

認知率の計測にはアンケート調査を使用することが一般的です。大規模な調査になる可能性はありますが、自社の成長のために認知率は定期的に確認して適切な施策を考案しましょう。

2.試乗

試乗は商品やサービスを購入する前にユーザーが体験する行動を指します。具体的には「自動車の試乗」や「スーパーの試食」などが挙げられます。試乗をして一定の満足度を得られたユーザーは商品やサービスを購入する可能性が高まります。指標としてのデータ収集も比較的シンプルといえるでしょう。

3.顧客満足度

顧客満足度は、商品やサービスに対する既存顧客の満足度を意味します。測定方法としてはアンケート調査などが一般的であり、サービス向上に役立つ指標の一つといえるでしょう。高い顧客満足度を維持している企業はユーザーからの口コミも多く、認知拡大につながる可能性もあります。

4.解約率

解約率は既存顧客が商品やサービスを解約・離反する指標を指します。サブスクリプションサービスにおいては重要な指標であり、ユーザーがリピートしない理由を明確にし、顧客生涯価値(LTV)の成長を目的に施策を考えることが一般的です。解約率の調査としては離反直前のユーザー行動を分析する方が多くみられます。

5.オファー応諾率

オファー応諾率とは、自社のオファーに反応する顧客の割合を意味します。具体的にはDMの開封率や情報発信によるクリック率などが挙げられます。またチラシなどの郵送物に対する来店数でもオファー応諾率を測ることが可能です。

6.正味現在価値

正味現在価値(NPV)とは、マーケティング施策のコストと、その活動から「将来得られる予想収益を現在価値に換算した指標」を意味します。正味現在価値がプラスなら、行っているマーケティング施策には価値があると判断できるでしょう。

7.内部収益率

内部収益率は、マーケティング投資の収益性を評価するための割引率です。広告費用などのROI(投資収益率)に対して時間の概念を導入した指標になります。正味現在価値が0になるように計算した数値が内部収益率になります。企業コストよりも内部収益率が上回っている場合、行っている施策は有効と判断できるでしょう。

8.利益

利益は、収益から費用を差し引いた数値です。マーケティング施策の粗利益を意味します。商品・サービスを提供する場合は売上高−費用で算出することが可能です。内部収益率とは異なり、マーケティング施策で得られた全体の収益率が利益になります。

9.投資回収期間

投資回収期間とは、マーケティング施策にかかったコストやリソースを回収するまでの期間を表した指標です。投資効果やリスクを評価する指標の一つであり、定期的な分析を経て適切な施策を検討することがあります。

10.顧客生涯価値

顧客生涯価値は、顧客を獲得するまでの費用を差し引いて得られる価値を意味します。具体的には顧客からの利益や新規顧客の紹介などが挙げられます。今後どのくらいの利益をもたらし得るのかを示す指標なので、サブスクリプションサービスを行っている事業者は顧客生涯価値を明確にすることが大切といえるでしょう。

11.トランザクションコンバージョン率

トランザクションコンバージョン率はWeb広告のクリックに対する、商品やサービスの購入・成約などのCVR(コンバージョン率)を意味します。CVRの改善に取り組むことで1クリックに対する成約率の工場が見込めるため、広告予算を下げて収益を得ることが可能と考えられます。

12.クリック単価

クリック単価はインターネット広告などにおける1クリックにかかる単価を意味します。使用するキャンペーンによっても異なりますが、1クリック1,000円以上の広告費が発生する可能性があります。したがってクリック単価を明確に把握しておくことは事業の予算管理において重要といえるでしょう。

13.広告費用対効果

広告費用対効果とは、マーケティイング施策における実質的な価値を意味します。「収益÷費用」で計算することが多く、自社のマーケティング施策からコスト削減までの優先すべき改善点を見極められる指標の一つです。

14.直帰率

直帰率はユーザーがWebサイトにアクセスして回遊せずに離脱した割合です。SEO対策をおこなっているメディアなどにおいて重要な指標の一つであり、メディア滞在時間やヒートマップなどを基に課題を洗い出すことが一般的です。SEOにも影響のある指標なので、定期的な分析が重要と考えられます。

15.口コミ増幅係数

口コミ増幅係数は口コミやSNSなど、シェアされた場所からの流入数を表す指標です。レビューやSNS投稿の広まりやすさや、自社の知名度や影響力がどのくらいあるのかを分析する際に使用されます。

口コミによってアクセスしたユーザーは、ダイレクトにアクセスしたユーザーと比べて興味や信頼感があるといわれています。そのため口コミ増幅係数を高めれば、商品・サービスの購入につながり、売上拡大が見込めるかもしれません、

データドリブンマーケティングの導入方法

ここからは、データドリブンマーケティングの導入方法を見ていきましょう。企業の施策によっても異なりますが、一般的には下記の通りです。

  1. KPIを明確にする
  2. 必要なデータを集める
  3. データを分類・可視化する
  4. データ分析を行う
  5. 仮説・検証を実施する

順番に解説します。

1.KPIを明確にする

KPIとは、ビジネスやプロジェクトの目標達成度を測定するための指標の一つです。期間を設定して売上成長率や顧客満足を指標にすることが一般的であり、プロジェクトの進捗率の計測指標になります。最終目標であるKGIに向かって必要な目標を洗い出し、どのような施策を進めるか議論してKPIを明確にしましょう。

2.必要なデータを集める

KPIを明確にしたら必要なデータを集める作業を行います。施策によっても異なりますが、アンケート調査やニーズ分析、広告キャンペーンにおける滞在時間や離脱率などが挙げられます。KPIの達成に必要な情報を明確にして収集を始めると効率的にデータを入手できるでしょう。

3.データを分類・可視化する

必要なデータを集めたらExcelやスプレッドシートなどを活用して、情報の分類・可視化を行います。データを集めるだけでは分析しにくいため、内容によってはグラフ作成やマインドマップによる分類なども有効と考えられます。

4.データ分析を行う

データの分類・可視化を実行したら分析を開始しましょう。取り扱う情報によっても異なりますが、広告キャンペーンの基本的な分析方法は下記の通りです。

  • 顧客の属性
  • 滞在時間・離脱率
  • 費用対効果

マーケティング施策によっては、共通・類似で分類するクラスター分析なども有効です。「誰が・どのような行動をしているのか」など分析して、自社の現状を明確にしましょう。

5.仮説・検証を実施する

分析から導き出した答えを基に、次なる施策を検討します。

  • ユーザーが離脱した理由は何か
  • CVが発生しない理由は何か
  • アクセスが伸びない理由は何か

情報を分析して明確になった課題に対して仮説を立てて検証を行います。Web広告やWebメディアを活用している事業者は、ヒートマップなどを利用すると改善点がより明確になる可能性があります。

分析したデータを基に自社の強みと弱みを把握して、適切なマーケティング施策を立案しましょう。

データドリブンマーケティングを活用するポイント

データドリブンマーケティングで成果を出すには、下記のポイントを意識してみましょう。

  • 広告・コンテンツ領域のマーケティングスキルを身につける
  • データリテラシーを理解する
  • データ以外の情報も参考にする

順番に解説します。

広告・コンテンツ領域のマーケティングスキルを身につける

データドリブンマーケティングを有効活用するには、広告マーケティングやコンテンツマーケティングなどのスキルが必要になります。理由はデータドリブンマーケティングは情報収集に特化した施策の一つだからです。

データ分析のスキルは大切ですが、ターゲットやオーディエンスに適切なメッセージを伝えるためには、広告・コンテンツマーケティングのスキルが重要になるでしょう。多くのマーケティングに精通すると戦略的思考も身につくので、ぜひ勉強してみてください。

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データリテラシーを理解する

データリテラシーとは簡単にいうと、情報を読み解き意思決定する能力を指します。データドリブンマーケティングでは消費者の行動や傾向を基に分析を行います。なかには参考にならないデータも多くなるため、情報の取捨選択が大切になるでしょう。

入手した全てのデータを鵜呑みにせず、自社に必要な情報だけを判別できるスキルも勉強することが大切です。

データにとらわれすぎない

データドリブンマーケティングで得られる情報は数値化されていることが一般的です。しかしユーザー心理などは数値データでは把握できない可能性もあるため、顧客やユーザーの思考・感情も理解する工夫を行いましょう。

キャンペーンでの離脱率が多い場合、離反した箇所を分析して読者に寄り添ったメッセージを加筆することで改善が見込めるかもしれません。データは大切ですが、ユーザーの行動心理にも着目しておきましょう。

データドリブンマーケティングを行うメリット

なぜ企業の多くはデータドリブンマーケティングを採用しているのか、気になる方もいるかもしれません。データドリブンマーケティングには下記のメリットが存在します。

  • 自社に適切なマーケティング施策を見つけられる
  • 競合よりも優位になれる可能性がある

順番にみていきましょう。

自社に適切なマーケティング施策を見つけられる

データドリブンマーケティングは、企業で情報を集めることが一般的です。したがって自社に関わるユーザーだけの情報を入手できます。例えば自社サービスに関心のあるユーザーを対象に調査をすれば、見込み顧客の消費行動を理解できる可能性があります。そのため企業ならではのマーケティング戦略を考えられるかもしれません。自社の強みを生かした施策が見つかるかもしれないので、有益なマーケティング施策といえるでしょう。

競合よりも優位になれる可能性がある

膨大なデータを分析すると、USP(Unique Selling Proposition:商品・サービスが持つ独自の価値)が明確になる可能性があります。自社の強みだけではなく競合他社より優れているポイントを理解できることは、データドリブンマーケティングの魅力といえるでしょう。

USPを軸にした施策を実行すれば、他社には真似できない戦略を行えると考えられます。競争市場でビジネスをする方は、自社の明確な強みを発見して適切な施策を行ってください。

データドリブンマーケティングのデメリット

データドリブンマーケティングには大きなメリットがある一方で、デメリットも存在します。

  • 正しいマーケティングスキルが必要となる
  • ビッグデータの分析に時間がかかる傾向にある

上記を理解したうえで、適切な施策を行いましょう。

正しいマーケティングスキルが必要となる

データを基に施策や戦略を展開する場合は、正しいマーケティングスキルが求められます。理由はマーケティングプランを感覚的に設計すると、目標指数を達成できないだけではなく、コストを浪費するリスクがあるからです。

一方でマーケティングに精通していれば、少ない費用で大きな成果を挙げられることも期待できます。自社に適切な戦略を行うためにも、実践的なマーケティングスキルを身につけて損はありません。

ビッグデータの分析に時間がかかる傾向にある

データトリブンマーケティングは多くのデータを取り扱うため、分析に時間がかかる可能性があります。データの収集だけではなく分類や可視化、取捨選択などの作業も行うため分析までに膨大な時間を要するでしょう。

しかし近年では、「Content Grabber」などのビッグデータ解析ツールも普及しつつあります。データ分析を効率化したい方は、解析ツールなどの導入も検討してみましょう。

データドリブンマーケティングを活用して適切な施策を行ってみよう

データドリブンマーケティングは自社にとって適切な戦略を考えられる魅力的な施策の一つです。リソースのかかる作業は多いですが、USPを生かしたマーケティングプランを設計できることは大きなメリットといえるでしょう。

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