

企業でマーケティング業務を行う方や個人でビジネスをしている方には、「ファネルが大切」という言葉を耳にした経験があるかもしれません。しかしマーケティングファネルの意味を正しく理解できず悩む方も多いのではないでしょうか。
マーケティングファネルは大きな事業だけではなくスモールビジネスでも活用できる戦略なので、勉強して損はありません。
今回はマーケティングファネルの意味や活用方法、ファネル設計の具体的なポイントなどについて解説します。自身のビジネスを最大化したい方は、ぜひ参考にしてください。
マーケティングファネルとは
マーケティングファネルとは、認知から購買までのユーザープロセスを可視化したものを意味します。ファネルとは日本語で「漏斗(じょうご)」を指す言葉です。認知から購買までの図が漏斗に似ていることから、マーケティングファネルと呼ばれています。
マーケティングファネルを採用した企業は多く、キャンペーン効果の増大や新規集客などを目的に利用されている傾向にあります。スモールビジネスでファネルを設計している事業者には、マーケティングの効果アップが見込めるでしょう。SNSからの商品販売や個人事業を成長できる可能性もあるため、マーケティングファネルを採用した施策はぜひ活用してみてください。
「マーケティングファネルは古い」と言われる理由
ビジネスを成長させられる可能性がある一方で、「マーケティングファネルは古い」と言われる場合もあります。理由の一つは顧客の購買行動が変化しているからです。インターネットやSNSの普及により消費者の価値観は多様化しています。そのため従来のマーケティングファネルでは、現代のユーザー心理に沿わない可能性があり、新しいフレームワークが増えていることも古いと言われる理由の一つでしょう。
しかしマーケティングファネルを採用している大手企業は多く、有用性はあるとも考えられます。ファネルを設計することで施策の改善点を浮き彫りにできるため、一概に古いとはいえません。ただしユーザーの価値観が多様化していることは事実なので、ビジネスに最適なフレームワークの採用は大切です。
マーケティングファネルで使用する3つの図
それではマーケティングファネルで使用する図について紹介します。各ファネルの意味も紹介するのでしっかりと理解しておきましょう。
パーチェスファネル
パーチェスファネルはユーザーの認知から購買までを目的にした、あらゆるビジネスで使用できるファネルの一つです。消費者の購買行動の流れをモデルとする「AIDMA」をもとに考えられており、汎用性の高いマーケティングファネルといえるでしょう。パーチェスファネルで表される具体的な消費者の流れは、下記の通りです。
- 認知
商品やサービスを「知ってもらう」フェーズ。SNSでの発信や広告、イベントやコミュニティへの参加など認知拡大につながる全てが含まれます。販売する商品やサービスに適切なユーザーがどこにいるかを判断して、興味を引く発信活動を行うことが大切です。 - 興味
商品やサービスなどに「興味を抱く」フェーズ。価格やデザイン、機能や特徴などを詳しく調べて、見込み顧客が商品・サービスに関心をもちます。ユーザーに興味をもってもらうためにどのような施策を行うか、データを元に適切な戦略を考えましょう。 - 比較・検討
商品やサービスを「比較する」フェーズ。口コミやレビューを見たり、競合他社との類似商品と比較したりして、ユーザーが購入を検討します。「この商品は自分に必要なのかな?」と考えるユーザーが多いため、どのような訴求をするか考えましょう。 - 購買
比較検討を行ったうえで「商品を購入する」フェーズ。商品を買ってくれたユーザーの属性をもとに、各ファネルの見直しや改善をすることが可能になります。
パーチェスファネルは認知から購買に進むにつれてユーザー数は少なくなります。そのためパーチェスファネルは逆三角形の図になることが一般的です。またパーチェスファネルは商品やサービスの販売だけではなく、SNSなどのフォロワー数を増やすことにも役立ちます。汎用性の高いファネルなので、ビジネスをしている方はパーチェスファネルを設計してみるとよいでしょう。
インフルエンスファネル
インフルエンスファネルとは、商品やサービスを購入した後のユーザー行動を可視化した図を指します。インターネット上の消費者の購買行動モデルを説明する「AISAS」をもとに設計したファネルです。月額制(サブスクリプション)サービスやECサイトなどに有効なマーケティングファネルといわれています。インフルエンスファネルを考える具体的な流れは下記になります。
- 継続
商品やサービスの購入・契約をしたユーザーがリピートしている状態。どのようなユーザーが継続顧客になってくれているか分析することが大切です。 - 紹介
既存顧客が新しい顧客を紹介してくれるフェーズ。顧客満足度が高いビジネスほど紹介者が増える傾向にあります。また既存のユーザーが新規顧客を紹介したくなる取り組みも重要になるでしょう。 - 発信
商品やサービスに満足している顧客が発信するフェーズ。近年ではSNSで発信するユーザーが多く、認知拡大を顧客が助けてくれます。ただし顧客に宣伝をしてもらうためには、質の高いサービスを提供することが大切です。
インフルエンスファネルは継続から発信にかけてユーザー数が増え、逆三角形の図であらわされるパーチェスファネルとは違い、ピラミッドのような三角形の図になります。購入後の顧客心理を理解してファネル設計ができると、安定的にビジネスを成長させられる可能性があります。ユーザーが継続的に利用するサービスを販売している方は、インフルエンスファネルも設計しておきましょう。
ダブルファネル
ダブルファネルは、パーチェスファネルとインフルエンスファネルを合わせて設計したファネルです。認知から購入、発信までの流れを考えた戦略になるため、月額制サービスの多い近年において有効なファネルといえるでしょう。
二つの図を同時に考えるため作業量は多くなりますが、しっかりとしたマーケティングファネルを設計できるとビジネスを大きく成長させられる可能性があります。事業や発信活動の効果を高めたい方はダブルファネルを設計してみましょう。
マーケティングファネルの活用方法3つ
マーケティングファネルは顧客の行動理解に役立つ施策ですが、下記のような活用方法も存在します。
- ファネル分析
- データ収集
- 顧客理解
順番に見ていきましょう。
ファネル分析
ファネル分析は、マーケティングファネルのそれぞれを分析して施策の改善点を明確にする手法の一つです。購買を目的にしたマーケティングファネルを設計してCV(コンバージョン)があがらない場合、認知・興味・比較/検討のどこかに問題があると考えられます。この場合は、以下のようにユーザー数で分析することがあります。
- 認知/100人
- 興味/80人
- 比較・検討/20人
- 購買/0人
上記のようなデータを得られた場合、興味から比較検討までに60人離脱していることがわかります。したがって「ユーザーに商品・サービスの魅力を伝えられていない」という仮説を立てられます。また比較・検討20人に対して購買が0の場合、商品やサービスが競合他社に劣っている可能性もあるでしょう。
各ファネルを分析することでマーケティング施策の改善点を明確にできます。質の高いビジネスを提供するためにも、ファネル分析は積極的に活用しましょう。
データ収集
マーケティングファネルは、ユーザー属性などのデータ収集にも活用できます。例えば認知から興味に進んだユーザーの性別や年齢、職業や所在地を調べられます。ユーザーに合わせた施策を打ち出すことで、よりピンポイントでターゲットに訴求しやすい広告や情報発信を行えるでしょう。
また購買したユーザーの顧客満足度を調査することで問い合わせ対応やコミュニケーションなど、販売する商品やサービス以外の改善点を見つけることにも利用できます。ビジネスにおいて顧客の情報を集めることは、事業の存続に大きく影響すると考えられるでしょう。
顧客理解
マーケティングファネルでは、カスタマージャーニーを使った顧客理解をもとにファネル設計をする方が多く見られます。カスタマージャーニーとはマーケティングファネルと同様、認知から購買までのプロセスを可視化したものであり、マーケティング施策の立案に役立つモデルの一つです。
マーケティングファネルとは違いユーザーの思考や感情にも着目するため、より深い顧客理解に役立ちます。例えば認知から興味に進んだ顧客の感情を分析すると、広告などの改善点が見つかるかもしれません。ユーザーの価値観は多様化しているので、顧客の行動だけではなく思考や感情も分析して、質の高いファネルを設計しましょう。
マーケティングファネルを設計するポイント2つ
ここからはマーケティングファネルを設計するポイントを紹介します。下記の項目を意識して適切なファネル設計をしてみましょう。
- 正しいペルソナを設計する
- 目的から逆算して設計する
順番に解説します。
正しいペルソナを設計する
顧客の行動を設計するには、正しいペルソナを考える必要があります。不特定多数のユーザーを対象にした場合、「自分には関係ないかな」と思う場合もあり、商品の魅力が伝わりきらないかもしれません。
適切なペルソナを考えられると認知から購買でだけではなく、商品紹介や情報発信でも大きな成果を期待できるでしょう。提供する商品やサービスが誰を幸せにできるかを徹底的に分析して、適切なペルソナを考えてください。
目的から逆算して設計する
マーケティングファネルは目的から逆算して設計しましょう。なぜなら認知から考えると的外れなファネルになる可能性があるからです。例えば「とにかくSNS発信が大事!」と認知のフェーズを明確にしないままSNS運用などに注力した場合、発信内容がまとまらなかったり、届けたいユーザーに情報を提供できなかったりする可能性があります。
したがってマーケティングファネルを設計する際は、下記のプロセスを意識しましょう。
- 販売する商品・サービスを分析する
- 競合他社と比較して優れているポイントを明確にする
- 顧客の関心を引くコンテンツを作成する
- ペルソナがいる場所を探す
目的から逆算することで、自社の仮説に基づいたマーケティングファネルを設計できます。分析やデータ収集もやりやすくなるので、ファネルを設計する際は最終目標から考えてみてください。
関連記事:目的の書き方4ステップ!具体的な例と企画書を作成する際に役立つ手法も解説
マーケティングファネルを使用する際の注意点
最後にマーケティングファネルを使用する際の注意点を紹介します。
- データを基に分析・改善を行う
- 別のフレームワークも利用する
上記のポイントを意識したうえでマーケティングファネルを考えてみましょう。
データを基に分析・改善を行う
各ファネルの分析・改善を行う場合は、事実に基づいたデータを参考に仮説を考えましょう。というのもデータではなく、「こんな感じにすればいいかも?」などと感覚で改善する方は意外と多く見られます。
顧客を正しく理解していれば有効な改善になるかもしれません。しかしユーザーの考え方は十人十色なので的外れな施策になる可能性があります。したがってマーケティングファネルを改善する場合はデータを分析したうえで、適切な施策を考えましょう。
別のフレームワークも利用する
展開するビジネスによっては、マーケティングファネル以外のフレームワークが最適になる可能性もあります。ビジネスを成長させるためにも、さまざまな施策を考えましょう。具体的にはユーザーの共感から拡散を目的にする「SIPS」や、消費行動をベースにした「AIDMA」などが挙げられます。複数の施策を利用することもマーケティングにおいて有効です。適切な戦略を設計してビジネスを成長させましょう。
マーケティングファネルを活用してビジネスを最大化しよう
マーケティングファネルはビジネスだけではなく、SNSでの発信活動にも役立つマーケティング施策の一つです。企業のマーケティング担当をしている方や、個人でビジネスをしている方はマーケティングファネルを設計してみましょう。
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