X(旧Twitter)やLINE、Instagram、TikTokなど、SNSを日常的に利用する人の増加に伴い、多くの企業がSNS広告の活用を進めています。
しかしSNSには複数の種類があるため、SNS広告で成果を出すには、各SNSの特徴について理解しておく必要があります。
本記事では、現在国内で普及している主要なSNSの、媒体ごとの特徴を捉えた「SNS広告の成功事例」を紹介していきます。SNS広告を活用したいと考えている方は、ぜひご参考ください。
SNS広告とは?
SNS広告は、ソーシャルネットワーキングサービス上の宣伝広告のことを指します。SNS広告を活用することで、商品やサービスの認知度をアップさせることはもちろん、ブランド力の向上や売上の改善などの効果が期待できます。
SNS広告各媒体の特徴や、メリット・デメリット、広告運用に関わる費用などについては以下の記事で詳しく解説しているのであわせてご覧ください。
【媒体別】主要6媒体のSNS広告の成功事例
SNS広告において重要なのは、単に広告を出稿するだけでなく、インプレッション数(ユーザーの画面に表示される回数)を増やすなど、効果的にユーザーへ情報を届けることにあります。
ここでは、主要SNS 6媒体で成果を収めた広告の例を取り上げます。いずれも各媒体の特徴を活かした好例ばかりなので、参考にしてください。
1.Facebook広告の成功事例
アメリカのMeta社が運営するFacebookは、2024年でサービス開始から20年を迎えるSNSです。国内のアクティブユーザー数は月間2,600万人を超え、利用する年齢層が幅広いことも特徴です。
「実名登録」にて利用されるSNSであるため、ターゲティングの精度が高く、狙ったユーザー層にアプローチしやすい点がメリットといえるでしょう。
株式会社フジボウアパレル
「B.V.D.」などスポーツインナーブランドを展開する株式会社フジボウアパレル。同社は、特定のターゲットへの訴求効果の高いクリエイティブ(広告のために制作されたコンテンツ)を見極めるために、Facebook広告を利用しました。
複数の動画広告にABテスト(複数の広告内容を比較しニーズの高いものを選定する手法)を実施し、最良のクリエイティブを明確化。広告の訴求精度を高めることで、コンバージョン率2.4倍やCPA(顧客獲得単価)57%の改善を果たしています。*1
メルセデス・ベンツ日本株式会社
メルセデス・ベンツ日本がFacebook広告で活用したのが、「自動車インベントリー広告」です。これは、関心を示した自動車に特化した情報を表示する広告で、ユーザーによって好みが分かれる自動車の宣伝に効果的な手法です。
インベントリー広告導入以前と比べ、完了した問い合わせ数16%増加、コンバージョン率3倍という想定以上の成果を生むこととなりました。*2
2.Instagram広告の成功事例
Instagramは、写真や動画の投稿をメインとするSNSで、10〜30代の比較的若年層ユーザーが多いことも特徴です。
InstagramもFacebookと同様に、ターゲティング精度の高い広告の打ち出しが可能です。通常の画像・動画形式に加え、24時間だけ表示される「ストーリーズ」など、さまざまな種類の広告運用が図れます。
株式会社ツヴァイ
結婚相手紹介サービスを展開する株式会社ツヴァイは、Instagram広告を活用し、資料請求サイトへの訪問を増やすことに成功しています。
同社が課題としていたのは、サービス利用に対する「敷居」の高さです。サービスを遠いものと感じていたユーザーのイメージを改善するため、若年女性への接点最大化に向けたストーリーズ広告を積極的に活用しました。
既存の広告フォーマットと比べ、Instagram広告はユーザーに抵抗なく受け入れられ、クリック率(CTR)63%向上、クリック単価(CPC)41%抑制といった成果を得ました。*3
3.X(旧Twitter)広告の成功事例
日本国内での普及率も高いX(旧Twitter)の魅力は、拡散力の高さです。リポスト(リツイート)された投稿はフォロワー以外にまで拡散され、多くのユーザーに情報が伝わります。
X広告を活用すれば、商品・サービスの認知拡大が図れます。特に若年層への宣伝を試みる場合には要チェックのSNS広告です。
株式会社ジンズホールディングス
アイウェアメーカーJINSがX広告で重視しているのは、ユーザーとのコミュニケーションです。同社はXが持つ、ユーザーの興味関心ごとへアプローチしやすいという特徴を活かし、潜在客層への広告配信を強化。
メガネの収納方法や、使用上での不便な点の解消法など、ユーザーが自ら発信するコンテンツ(UGC=User Generated Contents)の拡散を促し、そこからトレンドが生まれ、購買につながる流れを狙いました。
その結果、2020年3月から2021年同月までの間で、UGC数が380%増、インプレッション数約800%、エンゲージメント数約680%、フォロワー数も1.4倍への増加を果たしています。*4
株式会社NTTドコモ
携帯電話などの移動通信事業を展開するNTTドコモは、かねてよりXを利用していましたが、そこで課題としていたのは利用者との間に「距離がある」という点でした。利用者との距離を縮める手段としてX運用を改善した同社。フォロワー参加型の投稿を行うなど展開内容に工夫を加えました。
フォロー・リツイートで、「dポイント」が当たるインスタントウィン(結果がその場で分かる抽選キャンペーン)を企画したり、同社に興味を持ってくれるであろうユーザーにおすすめ表示させるプロモアカウント・プロモツイートを活用したりするなど、Xの特徴を活かした広告施策の強化も行っています。
結果としてフォロワー数は1年間で20万人増、リツイート数も月間3万件近くに伸びるなど目に見える成果を得ました。*5
コスタコーヒー
イギリス発のカフェチェーン「コスタコーヒー」は、クリスマス限定フレーバー告知の際にXを活用し、成果を上げています。
商品の発売にあたり、同社はXの通知機能を利用し、予告ツイートに「いいね」したユーザーが販売開始のタイミングで通知を受け取れるオプトインキャンペーンを実施。発売日には「話題を検索」タブの最上部に24時間広告を表示し、認知拡大も図っています。
さらにカルーセル広告を使い、ユーザーが各フレーバーをひとつずつチェックできるよう施策。加えて、アプリインストール広告で「コーヒー100万杯無料プレゼントキャンペーン」を実施したりと、広範囲にわたるプロモーションを展開しました。
結果的にイギリス国内でのインプレッションの合計は4,100万に上り、投稿に反応したユーザーの割合を示すエンゲージメント率は、ベンチマークより3倍も高い9.1%を記録しました。*6
4.LINE広告の成功事例
国内で月間9,500万人以上が利用し、利用率が80%を越えるLINEは、幅広い年齢層へ向け広告を配信することが可能です。
「友だち追加」機能を用いれば、ユーザーとコミュニケーションを図ることもできるため、多様なマーケティング施策が行えることも、LINE広告の特徴です。
LINE広告を活用した成功事例を見ていきましょう。
さくらフォレスト株式会社
健康食品やスキンケア用品などの通信販売業を展開するさくらフォレスト株式会社は、機能性表示食品「めなり極」の販促の一環として、LINE広告の強化を行いました。
他の媒体で配信効果が高かったクリエイティブをLINE広告にも横展開するほか、閲覧者の目に留まりやすいアニメーション形式による宣伝を実施。
類似配信(サイト訪問・商品を購入したユーザーと共通の特徴を持つユーザーへターゲティングを行う手法)を繰り返し、3カ月間で新規獲得件数が6倍という成果を上げました。この施策はCPAの削減にも効果が現れています。*7
株式会社スタイル・エッジ
株式会社スタイル・エッジは、弁護士や医師などの士業・医業を対象としたコンサルティングサービスを提供する会社です。士業界は一般的な広告商材と異なり、日常的にサービスを必要とするユーザーがさほど多くない傾向がありますが、同社でもLINE広告を活用した成功事例が見られます。
例えばターゲットを絞ることが難しい弁護士事務所の一般ユーザー向け案件では、LINE広告のターゲティング設定を幅広い地域・年代に設定。「示談金のアップ」など、利用者が理解しやすいメリットを含めたクリエイティブを作成し、顧客獲得を図りました。
LINE広告を導入してから1カ月で、Webサイトを訪れるユニークユーザー数(一定期間内のWebサイト訪問者数を示す指標)が240%増加するなどの成果を上げています。*8
オープンハウスグループ
総合不動産業を展開するオープンハウスグループでは、戸建事業のWeb会員登録者数増を図るため、LINE広告を活用しました。LINE広告を選んだ理由は、配信できる規模が広く、機械学習の精度が高いためだと言います。
広告運用のインハウス化(自社内で運用すること)を行うタイミングで、LINE広告に出稿していたクリエイティブの改善を図り、かつ現場で収集した顧客データを広告配信施策へと反映。その結果、資料請求数は通常時に比べ142%増加、CPAも82%抑制という成果を得ています。*9
5.YouTube広告の成功事例
国内での月間アクティブユーザー数が7,100万人を越える動画配信サービスYouTube。YouTube広告は、動画の視聴前や視聴中に提供される動画形式の広告や、「ディスプレイ広告」と呼ばれる静止画のバナー広告を指します。
YouTube広告においても各社さまざまな施策を行っており、多くの成功事例が見られます。
snaq.me(スナックミー)
お菓子の定期便事業を展開するsnaq.me(スナックミー)は、従来のGoogle検索広告などに加え、さらなるビジネス拡大を図るためYouTube広告を導入しました。YouTubeに適した動画の研究や、アニメーションの制作などに力を入れるほか、視聴者の行動を促すフレーズ付きで訴求できる「TrueViewアクション広告」を活用。
結果的に、開始1カ月でGoogle 広告全体からの申込数3倍という成果を上げ、さらに指名検索の増加などの効果も表れています。*10
株式会社ウエイブワン
株式会社ウエイブワンが展開するカペルミュールは、「毎日着れるお洋服(サイクルウェア)」をコンセプトとするサイクルウェアブランドです。
以前より自転車に興味のある利用者からの認知を得ていた同社は、ライトユーザーへの宣伝を強化するためにYouTube広告の活用を選択しました。
従来のテレビCMの内容を、より幅広いターゲットに訴求できるように見直し、YouTube広告として展開。その結果ブランド名での検索ボリュームも伸び、サイトへの流入は約8倍まで増加しました。*11
Hershey’s
アメリカの菓子・食品メーカーHershey’sは同社限定商品の販売拡大に向け、YouTube上で人気のクリエイターとのコラボレーションを企画しました。
Googleの自社ブランドコンテンツプラットフォーム「YouTube BrandConnect」を利用し、人気お菓子クリエイターを採用した同社。ブランドコンテンツや有料広告の短縮版を制作し、ホリデー シーズン商戦に対策しました。
結果として検索の増加率551%や、購入意向の増加率22%という成果を得ています。*12
6.TikTok広告の成功事例
中国発のByteDance社が運営するTikTokは15秒から10分ほどのショート動画を投稿・閲覧できるSNSです。
興味のある内容を検索するというよりも、テンポよく動画が表示され、面白い内容が発見できることがTikTokの魅力と言えます。
特に10~20代のユーザーから支持されるSNSなので、若年層への宣伝活動を行う目的でも、TikTok広告は活用されています。
ディップ株式会社 バイトル
パート・アルバイトの求人情報サイト「バイトル」は、若年層をターゲットとした「新生活応援キャンペーン」のプロモーションのために、トレンドを作るTikTok広告メニュー「Branded Mission with Hashtag Challenge」などを活用しました。
「ユーザーファースト」を理念に掲げる同社は、アルバイトを始める若い人たちが抱える不安や期待などの思いをネットで募集。それを歌詞に反映した楽曲を、若年層から支持を集めるアーティストとのコラボで制作しました。
制作されたバイト応援ソングはユーザーからの大きな反響を得て、関連動画の総再生回数は5,000万回にも達しましたが、その約8割はTikTokが寄与したとのことです。*13
ミツカングループ
調味料・加工食品、納豆などの製造販売を行うミツカンは、TikTokにて同社の商品を使用した簡単レシピ動画を公開しています。
フォロワーの増加を目的とした広告配信メニュー「コミュニティインタラクション」を活用しながら、約9万6,000という多くのフォロワーを獲得している同社。TikTok広告により既存のユーザーよりも若い層への訴求が図れ、新たな客層との接点を見出すことに成功しました。
社員が出演する動画や、TikTokクリエイターとのコラボレーションなど、TikTokならではの「壁を感じさせない」コミュニケーションを自社商品のプロモーションに活用しています。*14
ダイキン工業株式会社
空調機器の製造販売で知られるダイキンが、TikTok広告の活用で狙ったのは若年層へのブランド認知拡大です。同社は広告内にて人気TikTokクリエイターを起用し、かつユーザーのライフスタイルに即した「あるあるネタ」を軸にコンテンツを制作。
簡易LPを作成できる「インスタントページ」から関連動画や公式アカウントページへ誘導するほか、エンゲージメントしやすいユーザーへ優先的に広告を配信する「6秒 Focused View」、動画にバナーを追加して表示するインタラクティブアドオン機能「ディスプレイカード」など、複数のTikTok広告の機能を活用し、閲覧数のアップとブランドリフト向上を図りました。
結果的に広告認知は31.4%増という数値を示し、「エアコンと聞いて⼀番に思い浮かべるブランドは?」という質問に対するブランド想起が9.0%アップするなど、成果を上げています。*15
成功事例を参考に各SNS広告の特徴を知ろう
さまざまな業界・業種でSNS広告は活用されており、従来の告知媒体以上の成果を上げている事例も少なくありません。
成功事例に共通しているのは、各SNSのユーザー層や機能などの特徴を的確に捉え、それを活かした広告を出稿している点と言えます。
SNS広告に関わる仕事をしたいと考える方は、各媒体の強みや、メリット・デメリットなどについて把握しておく必要があるでしょう。
女性向けキャリアスクールSHElikes(シーライクス)では、SNSマーケティングなど全45以上の職種スキルの習得が目指せます。SNSのアカウント運用や投稿コンテンツのデザイン制作など、IT系職種に活かせる多様なスキルを複合的に学べます。
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※参考
*1:「Facebook ads case study | Meta for Business」株式会社フジボウアパレルより
*2:「Facebook ads case study | Meta for Business」メルセデス・ベンツ日本より
*3:「Instagram広告の成功事例 | Instagram Business | Instagram for Business」株式会社ツヴァイより
*4:「Xマーケティング 認定代理店事例」JINS × ホットリンクより
*5:「Xマーケティング」NTTドコモのTwitter公式アカウント運用事例より
*6:「Xマーケティング」コスタコーヒーの成功事例より
*7:「LINEヤフー for Business」コンバージョン数が約6倍にV字回復!健康食品ECにおけるLINE広告活用の“勝ち筋”とは より
*8:「LINEヤフー for Business」弁護士事務所のWebサイトを訪問するUU数が240%アップ!LINE広告による認知拡大で、弁護士をもっと身近に より
*9:「LINEヤフー for Business」CVR 158%改善!「トレンド」と「顧客理解」の掛け合わせで着手するオープンハウスグループのクリエイティブ改善とは より
*10:YouTube 広告 成功事例 snaq.me(スナックミー)より
*11:Google広告活用事例 株式会社ウエイブワンより
*12:Hershey’s は YouTube BrandConnect を活用 – YouTube 広告より
*13:「【公式】TikTok for Business: TikTok広告」ユーザーファーストが「共感」を呼ぶ。バイトルが実施する、TikTok を活用したコミュニケーション戦略とは より
*14:「【公式】TikTok for Business: TikTok広告」ミツカンのTikTokアカウントが急成長の理由 企業の壁を感じさせない動画の魅力づくり より
*15:「【公式】TikTok for Business: TikTok広告」TikTok広告で企業認知31.4%増!将来のエアコン購入層に向けたダイキンのコミュニケーション施策 より