「マスマーケティングとは何?」
「マスマーケティングには、具体的にどのようなものがある?」
上記のような疑問を抱く方もいるでしょう。そこで、本記事ではマスマーケティングの概要や種類と特徴、メリットとデメリットを解説。また、マスマーケティングの活用事例も紹介します。
マスマーケティングについて詳しく知りたい方やマスマーケティングの仕事をしたい方は、最後までチェックしてみてください。
マスマーケティングとは
マスマーケティングとは、マス(一般大衆)をターゲットとしたマーケティング手法です。対象を特定せず、多くのターゲットに向けて画一的なアプローチを行います。大量生産、大量販売、大量プロモーションを前提としており、できる限り多くの消費者に商品やサービスなどを認知してもらうのが主な目的です。
マスマーケティングは不特定多数の消費者をターゲットとするため、性別や年代、居住地などに左右されない商品の訴求に適しています。たとえば、食品や飲料、日用品などの販売促進や認知拡大に効果的でしょう。
マスマーケティングの全盛は、大量生産・大量販売が主流だった高度経済成長期だとされています。その後は消費者のニーズの多様化や市場の成熟などにより、ターゲットを定めるマーケティング手法が注目され始めました。しかし、幅広い層に受け入れられる商品やサービスの訴求をする場合は、現在でも大きな効果が見込まれるといえます。
代表的なマスマーケティングの種類と特徴
ここでは、代表的なマスマーケティングの種類と特徴を紹介します。今回は「テレビCM」「ラジオCM」「新聞広告」「雑誌広告」の4つについて説明するので、それぞれの特徴をチェックしてみてください。
代表的なマスマーケティングの種類 | 特徴 |
---|---|
テレビCM | ・テレビ番組の途中や前後に放送される ・商品やサービスの魅力を映像で伝えられる |
ラジオCM | ・ラジオ放送のなかで放送される ・ラジオ番組は固定ファンがいるため、ターゲットを絞りやすい |
新聞広告 | ・新聞の紙面に掲載される ・信頼度が高い |
雑誌広告 | ・雑誌の裏表紙や誌面に掲載される ・特定のターゲット層にアプローチしやすい |
テレビCM
テレビCMとは、テレビ番組の途中や前後に放送される広告のことです。広告枠を購入することで、広告配信ができます。商品やサービスを映像で伝えられるため、訴求方法のバリエーションは豊富でしょう。
テレビCMには、「タイムCM」「スポットCM」の2種類があります。「タイムCM」は、企業が番組のスポンサーとなって放送するCMです。「スポットCM」とは、番組を問わず各テレビ局が指定した時間に放送されるCMのことを指します。
ラジオCM
ラジオCMとは、ラジオ放送のなかで流される広告のことです。音楽やキャッチコピーなどで商品やサービスの魅力を伝え、認知拡大や販売促進を狙います。ラジオ番組には固定ファンがついているケースが多く、ターゲットを絞りやすいのが特徴です。
ラジオCMもテレビCMと同様に、「タイムCM」「スポットCM」の2種類があります。
新聞広告
新聞広告とは、新聞の紙面に掲載される広告のことです。「記事下広告」「雑誌広告」「雑報広告」などの種類があります。新聞広告を掲載するためには審査に通過する必要があるため、ほかのメディアと比べて信頼度は高いでしょう。
新聞の購読者数は減少傾向にある*1ため、訴求力は期待できないと思う方もいるかもしれません。しかし、年齢層が高めの人は新聞から情報を得ている場合も多いうえ、特定の地域に広告を出せるため、ターゲット層を絞りやすいといえます。
雑誌広告
雑誌広告とは、雑誌の裏表紙や誌面などに掲載される広告のことです。写真やイラスト、文章などで商品やサービスの訴求ができます。雑誌は一定期間保管されると考えられるうえ、繰り返し読まれる場合もあるため、読者の記憶に残りやすいといえるでしょう。
また、雑誌は読者の属性や趣味などがある程度絞られます。特定のターゲット層にアプローチしやすいのが、雑誌広告の特徴です。
マスマーケティングのメリット
マスマーケティングのメリットは、以下の3つが挙げられます。
- 幅広い層に訴求できる
- コスト効率が高い
- 認知度の向上を狙える
各メリットを詳しく見ていきましょう。
幅広い層に訴求できる
マスマーケティングのメリットの1つは、幅広い層に訴求できることです。年齢や性別、地域などを絞り込まないため、さまざまな消費者にリーチできます。
また、潜在顧客に対してアプローチできるのもメリットだといえるでしょう。商品やサービスに対してあまり関心を抱いていない顧客層も、テレビや雑誌などで繰り返し目にすることで徐々に興味が湧き、購買行動につながる可能性もあります。
コスト効率が高い
コスト効率が高いのも、マスマーケティングのメリットです。マスマーケティングを実施することで大量販売が見込めれば、大量生産によるコスト削減や物流の効率化などができるでしょう。
大量販売を実現できれば生産性や経済効率性が向上すると考えられるため、生産や流通にかかるコストを下げられるといえます。
認知度の向上
マスマーケティングを実施すると、認知度の向上が期待できます。テレビやラジオ、新聞、雑誌の広告は多くの人に届くため、商品やサービスの認知度はアップするでしょう。
また、大量生産と大量販売ができれば不特定多数の人の目に留まる可能性が高まるので、まだ商品やサービスを認知していない層にもアプローチできるといえます。そうして認知度がアップすれば、消費者に購買行動を起こしてもらえやすくなるでしょう。
マスマーケティングのデメリット
マスマーケティングには、デメリットもあります。具体的には、以下の4つが考えられます。
- ニッチな層には訴求しづらい
- 費用が高額になる場合がある
- 競合他社との競争が激しい
- 効果の検証が難しい
それぞれのデメリットを詳しく説明します。
ニッチな層には訴求しづらい
マスマーケティングのデメリットの1つは、ニッチな層に対してはあまり効果が期待できないことです。前述の通りマスマーケティングは不特定多数をターゲットとするため、幅広い消費者に受け入れてもらう必要があります。そうすると広告の内容は無難になり、特別な嗜好や価値観を持つ層に対する訴求力は弱まるでしょう。
市場が多様化し消費者の好みも細分化された昨今では、ターゲットを定めたマーケティング手法が台頭しています。幅広い層をターゲットにできる商品やサービスでないと、マスマーケティングで効果を得るのは難しいかもしれません。
費用が高額になる場合がある
マスマーケティングは、広告費が高額になる場合があります。特に、テレビCMや全国紙などで広告を出す場合は莫大な費用が必要になるでしょう。たとえば、「テレビ朝日」によると、民放キー局で15秒のCMを流す場合の相場は1回につき75万円からとされています*2。
上記に加えてCM制作費や芸能人のキャスティングにかかる費用などもかかると考えられるため、広告費は高額になるでしょう。
競合他社との競争が激しい
競合他社との競争が激しいことも、マスマーケティングのデメリットです。マスマーケティングは幅広い層をターゲットとするため、同じジャンルの商品やサービスを展開する他社と訴求対象が重なるといえます。
マーケティング手法や広告の内容によってシェアを拡大できるか縮小してしまうかが左右されるといっても過言ではないかもしれません。
効果の検証が難しい
効果の検証がしにくいことも、マスマーケティングのデメリットだといえます。基本的にマスマーケティングは不特定多数の消費者に画一的かつ一方的なアプローチをするため、「どの層にどの程度の効果があったのか」「どの施策を改善すればよいのか」などを把握するのは難しいでしょう。
延べ視聴率や販売部数などをもとに大まかなデータは得られますが、精度の高い効果測定をするのは困難です。
マスマーケティングの活用事例
最後に、マスマーケティングの活用事例を紹介します。今回は、以下4社の事例を見てみましょう。
- コカ・コーラ社
- マクドナルド社
- ソフトバンク株式会社
- 株式会社Yogibo
それぞれの事例を詳しく説明します。
コカ・コーラ社
「コカ・コーラ社」は、マスマーケティングを成功させた企業の1つです。同社はテレビCMやラジオCMに人気アーティストを起用したり、印象的なCMソングやキャッチコピーを流したりして、コカ・コーラが消費者の記憶に残るような取り組みをしてきました。代表的なキャッチフレーズ「Anytime, Anywhere, Anybody(いつでも・どこでも・だれにでも)」は、不特定多数に対する商品の訴求の成功例だといえるでしょう。
また、赤色の自動販売機や看板広告などを街中の至るところに設置することで消費者の視覚に訴えているのも特徴です。これにより、コカ・コーラを多くの消費者に印象付けているといえます。
マクドナルド社
「マクドナルド社」は、インターネットやSNSが普及する前にマスマーケティングを活用してブランドの認知度アップを成功させました。テレビCMを頻繁に流すことで、「ハンバーガーを食べるならマクドナルド」というイメージを消費者に定着させたといえます。
近年ではSNSを活用したマーケティングにも取り組んでいますが、有名人を起用したテレビCMを展開するなど、マスマーケティングも欠かさずに実施しています。
ソフトバンク株式会社
「ソフトバンク株式会社」は、マスマーケティングを実施することで認知度を高めました。白い犬のお父さんが登場する「白戸家」シリーズのテレビCMが人気を博し、携帯電話やインターネットのような通信サービスの訴求に成功したといえます。途中から新しいキャラクターが登場することもあるなど、ミニドラマのように楽しめる工夫がされているのもポイントです。
また、「SMAP」をテレビCMに起用していたことから、テレビ番組「SMAP×SMAP」の最終回には1回限りの特別CMを放送するなど、多くの消費者の印象に残る取り組みを実施しています。
株式会社Yogibo
「株式会社Yogibo」は、テレビCMとSNSを組み合わせることで消費者の関心を集めました。ゲーム「ウマ娘」などの影響により競馬が注目されるようになったことから、2022年に元競走馬をテレビCMに起用。CMの放送を記念して、X(旧Twitter)でキャンペーンを実施しました(現在は終了しています)。
元競走馬が「Yogibo」のクッションに横たわるCMの投稿には約36,000件の「いいね」が集まり、リポスト(旧リツイート)の数は約44,000件です。テレビCMとSNSマーケティングを通じて、商品やブランドの認知度をアップさせたといえます。
マスマーケティングとはどのようなものか理解して、実施してみよう
マスマーケティングとは一般大衆をターゲットとしたマーケティング手法で、代表例はテレビCM、ラジオCM、新聞広告、雑誌広告です。不特定多数の消費者を対象とするため、幅広い層に受け入れられる商品やサービスの訴求に適しています。
「広告費が高額になりやすい」「効果検証が難しい」などの注意点はありますが、幅広いターゲットに訴求できたり認知度の向上が期待できたりなどのメリットもあります。本記事で紹介したマスマーケティングの種類と特徴や活用事例をチェックして、施策を講じてみてください。
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※出典
*1:一般社団法人日本新聞協会「新聞の発行部数と世帯数の推移」より
*2:株式会社テレビ朝日「「テレビCMの費用」はどのくらいかかるの?15秒のCM1本流した時の相場価格は?」より