マーケティングとプロモーションは混同されることがありますが、マーケティング活動の一部がプロモーションにあたります。
本記事では、マーケティングとプロモーションの意味や違い、マーケティング活動の流れやプロモーションの手法について解説します。
マーケティングに興味がある方はぜひ参考にしてください。
マーケティングとプロモーションの意味
マーケティングとプロモーションは、どちらも商品やサービスを購入・利用してもらうための活動を指します。それぞれの詳しい意味を見ていきましょう。
マーケティングとは
マーケティングとは、商品やサービスが売れ続けるための仕組みを作ることです。具体的には、市場調査、戦略の立案・実行、宣伝、営業、アフターサポートなど、幅広い活動を意味します。
マーケティングの活動では、企業が顧客に積極的に売込みを行うというよりも、「顧客はどのような商品・サービスを求めているのか」「どうすれば顧客は満足するのか」という顧客のニーズを重視します。
プロモーションとは
プロモーションとは、顧客に商品やサービスを知ってもらい、購入してもらうための販促活動全般のことです。具体的な手法として、広告宣伝、イベント、キャンペーンなどがあります。主に売上アップやブランディングなどを目的に行います。
プロモーションはマーケティング活動の中の一部であり、効果的なマーケティング戦略を実行するための重要な要素と言えるでしょう。
フィリップ・コトラーが提唱するマーケティング活動の流れ
マーケティングの市場調査から戦略の立案・実行までの一連の流れのことを「マーケティングプロセス」と言います。
代表的なマーケティングプロセスとして、マーケティングの神様と称されるアメリカの経営学者フィリップ・コトラーが提唱する「R-STP-MM-I-C」が知られています。
- R=Research(調査・分析)
- STP=Segmentation Targeting Positioning(STP分析)
- MM=Marketing Mix(マーケティングミックス)
- I=Implementation(実施)
- C=Control(統制)
各フェーズの意味を見ていきましょう。
1.R=Research(調査・分析)
Researchでは、自社を取り巻く環境について調査・分析を行います。
調査・分析はマクロ環境とミクロ環境に分けて行います。マクロ環境とは政治的要因、経済的要因、社会的要因、技術的要因など、企業活動に影響を与える外部的な要因のことです。ミクロ環境とは、競合他社や業界への新規参入企業など、自社のビジネスに直接影響を与える業界内の要因を指します。
情報収集を入念に行い、さまざまな視点で自社の事業を分析をしていきます。
2.STP=Segmentation Targeting Positioning(STP分析)
STP分析では、市場の全体像を理解して自社にとって有望な市場を選定し、競合他社との相対的な位置づけを行います。STP分析はセグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの3つのフェーズがあります。
- セグメンテーション…顧客を分類して市場を細分化する
- ターゲティング…細分化した市場の中から有望な市場(顧客層)を選定する
- ポジショニング‥‥選定した市場での自社の立ち位置を明確化する
市場を選定することにより、ターゲットとする市場の競合の動きや状況を把握できるようになります。
3.MM=Marketing Mix(マーケティングミックス)
マーケティングミックスとは、マーケティングの実行戦略のことです。STP分析の結果をもとに、ターゲット顧客への具体的なアプローチ方法を策定します。
マーケティングミックスを構成する代表的なフレームワークに4P(Product、Price、Place、Promotion)があります。以下の要素を決めることによって、「どのような商品を、どのくらいの価格で、どこで、どう販売するか」という具体的な戦術を選択できるでしょう。
要素 | 意味 |
---|---|
Product(製品) | 製品・サービスの内容、パッケージ、生産方法など |
Price(価格) | 製品・サービスの価格・支払方法など |
Place(流通) | 製品・サービスと顧客を結ぶ経路・売り場など |
Promotion(販促) | 製品・サービスをどのように宣伝・販売するか(広告宣伝、販売促進活動など) |
4.I=Implementation(実施)
Implementationでは、1から3のプロセスで決定した戦略・戦術に基づいて、マーケティングを実行します。
実行に移す前に、具体的な施策内容、スケジュール、KPIを設定します。KPIは、最終目標(KGI)を達成するための業績評価の中間的指標のことです。マーケティング施策のKPIの例として、商品購入数や資料請求数などの定量的な数値指標が挙げられます。
5.C=Control(統制)
Controlは、施策を実施した結果を評価するプロセスです。KPIの達成度から、達成できた目標、できなかった目標それぞれの要因の分析と評価を行います。
必要であればKPIの妥当性の検証や、マーケティングプロセスの改善に努めます。反省点をもとに、次回からより良い結果が出せるマーケティング施策へとブラッシュアップしていきます。
マーケティングとプロモーションの違い
マーケティングとプロモーションは混同されやすい言葉ですが、活動の目的は以下のようにそれぞれで異なります。
- マーケティング…売るための仕組みを作る活動全般
- プロモーション…商品・サービスの認知度や売上の向上を目的とした販促活動
2つの活動に違いがあるというよりも、マーケティング活動の一部がプロモーションにあたります。プロモーションは、マーケティングプロセスにおいて重要な要素と言えるでしょう。
マーケティングミックス4Pのうちの1つがプロモーション
プロモーションは、マーケティングプロセスの3つ目「マーケティングミックス」の代表的なフレームワーク「4P」のうちの1つです。
先述の通り、4Pは「どのような商品を、どのくらいの価格で、どこで、どう販売するか」という組み立てができるフレームワークであり、プロモーションは「商品・サービスをどう売るか」という手法を決める要素になります。広告宣伝や販売促進などニーズに合ったプロモーションを実施することによって、商品・サービスのブランディングや売上アップが期待できるでしょう。
プロモーションの手法
商品やサービスを宣伝したり、購入・利用を促したりするために、さまざまなプロモーション方法があります。
プロモーションの基本的な手法は以下の5つです。
目的に応じて、最適な組み合わせを考えてみましょう。
広告宣伝
広告宣伝は、マスメディアやインターネットを通して商品や企業活動の情報を発信する手法です。プロモーションの中でも、より広い顧客層へのアプローチが期待できる手法でしょう。
以前はテレビ、雑誌、新聞などのマスメディアによる広告が大半を占めていましたが、近年ではWeb広告やSNS広告などのインターネット広告出稿が増加しています。マスメディア、看板、チラシ、インターネットなどさまざまな媒体の中から、商品・サービスの宣伝に効果的なものを選びます。
PR
PR(パブリック・リレーションズ)は、自社の商品・サービスをテレビや雑誌などのメディアやインフルエンサーなど第三者に紹介してもらうことで、認知度の向上を目指す手法です。
影響力の高い第三者を通して情報を発信することで、社会的な信用性の向上も期待できるでしょう。
販売促進
販売促進(セールスプロモーション)は、顧客に対して商品やサービスの購買意欲を直接的に掻き立て、購入してもらうことを目的にした活動のことです。具体例として、イベント、サンプリング、クーポン・チラシ、キャンペーン、見本市などが挙げられます。
広告宣伝と比較して、購入に直結しやすいという特徴があります。
ダイレクト・マーケティング
ダイレクト・マーケティングとは、顧客と直接的にコミュニケーションを取って、商品・サービスの購入を促す手法です。カタログや資料を送付するダイレクトメール、電話やFAXを利用するテレマーケティング、Eメールマーケティングなどがあります。
顧客と1対1でコミュニケーションを取る方法なので、ニーズに合った情報を選ぶことが重要です。
パーソナル・セリング
パーソナル・セリングとは、販売員が顧客と直接対話して商品・サービスの購入を促す手法です。
個別に対話することで、顧客の細かいニーズや温度感に合ったアプローチができます。この手法は高価格の商品や、複雑なサービスなどを説明する際に効果的です。
プロモーションはマーケティング活動のひとつ
プロモーションは、マーケティング活動のひとつです。マーケティング戦略を成功させるためには、マーケティングプロセスを理解し、「商品をどのように知ってもらうか」「どうやってサービスを利用してもらうか」などに着目したプロモーションの工夫が重要です。
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