マーケティングディレクターは、マーケティング業務を統括する責任者です。近年はインターネットの普及により、マーケティングディレクターの網羅すべき範囲はデジタルツールまでと幅広くなりました。一方で、具体的なマーケティングディレクターの仕事内容がイメージできないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、マーケティングディレクターの仕事内容や年収、必要なスキルを解説します。マーケティングディレクターとしてのキャリアを叶えるヒントを見つけてみてください。
マーケティングディレクターとは？
マーケティングディレクターとは、企業におけるマーケティング全般を統括する責任者のことです。マーケティングに携わる多くのメンバーをまとめ、最適な決断を下す役割を担います。
マーケティング戦略を計画・実行する指揮官として、ブランドの認知度向上、顧客獲得、売上増加を目指すうえで、幅広いマーケティングの知識やスキルが求められる仕事です。業務としては、マーケティング戦略の立案と実行、チームの管理と指導、顧客や市場の動向分析、広告やプロモーション活動の監督などを行います。
マーケティングディレクターの仕事内容の例
業種・企業やチームの規模にもよりますが、マーケティングディレクターの仕事では、主に以下のような業務を行います。
マーケティングディレクターの多岐にわたる仕事内容について、それぞれ具体的に解説します。
市場調査・分析
まずマーケティングの戦略立案における市場調査は、マーケティングディレクターにとって重要な業務の1つです。価格・販促・商品開発・ブランドイメージなど、さまざまな側面から市場調査を行い、分析します。
次に、市場調査のデータをもとに顧客となる「ターゲット層」、顧客ニーズをより具体的にするための「ペルソナ」を設定します。ターゲット・ペルソナ設定は、顧客ニーズや感情を理解し、人の心を動かすマーケティングを実施するために欠かせないステップです。
データ分析
市場調査では、データ分析を実施し必要な情報を抽出します。プロジェクトの規模によっては膨大なデータを扱うこともあるので、分析手法を駆使して効率的にデータを読み取って行かなければいけません。データを分析したら、市場で勝つために適切な価格・プロモーション・流通チャネルなどを特定します。
プロモーション戦略の策定
「誰に」商品を届けたいかを決めたら、次は「どのように」届けるかというプロモーション戦略を策定します。マーケティングディレクターは、どのような訴求・デザイン・媒体でプロモーションをするべきかを見極めなければいけません。
Webサイト運用・Web広告・SNS広告・広報（PR）・イベントの実施など、さまざまな角度からプロモーションを検討・企画し、競合他社との差別化を図ります。プロモーション戦略の策定では、マーケティングディレクターの経験・企画力・発想力が試されます。
戦略の実行
マーケティングディレクターは、統括者としてマーケティング戦略を実行に移します。企業のビジョンや目標を示し、メンバーを進むべき方向へと導くのがマーケティングディレクターです。
マーケティング戦略の効果を最大限発揮するための、人材の配置、ツールの選定・準備、予算の管理も重要です。メンバーの強みやスキルを把握し、企業の課題解決や目標を達成するためのマーケティング戦略を実行します。
チーム管理
マーケティングディレクターは、スケジュールや予算管理などのマネジメント業務を行います。スケジュール通りに進めるのが難しい場合は、軌道修正をかけることも必要です。最終的には目標を達成できるよう、リーダーとしてチームをまとめていきます。
メンバーが迷うことのないよう、目標の達成に向けて「いつまでに何をやるべきなのか」を明確に示します。メンバーが最大限の力を発揮できるような声がけ、雰囲気作りも大切な業務なのです。
関係者とのコミュニケーション
マーケティングディレクターは、チームメンバーだけでなく経営陣やクライアントとのコミュニケーションも行います。進捗報告や交渉など、マーケティング戦略の実行を円滑に進めるために率先して行動しなければいけません。
コミュニケーション力が試されるシーンはさまざまです。たとえば、経営側の目的をチームメンバーにわかりやすく言語化する、クライアントの要望を具体的に聞き出すなどが挙げられます。コミュニケーションを円滑にするため、日頃から挨拶や雑談なども意識的に行います。
マーケティングディレクターに必要なスキル
マーケティングディレクターは、さまざまな人と関わるため、幅広い思考力が求められます。主に必要なスキルは、以下の通りです。
これらのスキルは、知識のインプットだけでなく、経験を通して培っていくものです。それぞれのスキルを解説します。
分析力
マーケティングディレクターには、さまざまな場面で分析力が求められます。具体的には、市場調査、ロジカルな意思決定、マーケティングの効果測定などがあります。
マーケティングディレクターは、分析を通して抽出した課題をチームに共有し、改善のために行動しなければいけません。データとロジカルに向き合えるスキルは、マーケティングディレクターにとって重要です。
交渉力
マーケティングディレクターは、さまざまな場面で交渉力が求められます。経営陣、クライアント、時にはメンバーと交渉することもあるでしょう。相手をリスペクトしながらも、最適解となる条件を提示しなければいけません。
たとえば、クライアントからの不条理な要求を飲み込んでしまうと、企業全体やチームメンバーに負担がかかってしまう可能性もあります。ヒアリングを丁寧に行い、互いの合意につながるように導くスキルが必要です。
戦略的思考力
マーケティングディレクターには、経営者のような戦略的思考力が必要です。企業のゴールから逆算し、目的・目標に到達するためにシナリオを立てます。
市場や顧客ニーズが日々変化し情報が行き交う中で、やるべきことを常に見極めなければいけません。戦略的思考力があることで、市場動向を正確に予測し、それに基づいた柔軟かつ効果的な戦略を立てることができます。
マーケティングディレクターの年収
マーケティングディレクターの大まかな年収を把握するために、職種別の求人統計データを参考にしてみましょう。以下は、マーケティング職とディレクターの正社員の平均年収データです。
- マーケティング職：484万円（342万円〜1,068万円）*1
- ディレクター：475万円（359万円〜1,078万円）*2
金額の振れ幅が大きいことから、企業や業務内容、経験年数や保有スキルによって年収は異なると考えられます。上記はあくまでも目安の年収なので、実際の求人サイトの情報も確認してみてください。求人情報をリサーチすることで、求められる経験やスキルを知ることもできるでしょう。
マーケティングディレクターの仕事のやりがい
マーケティングディレクターは、裁量権の大きい仕事です。責任が伴う分、以下のようなやりがいを感じられるでしょう。
仕事でやりがいを感じるシーンは人それぞれです。これらマーケティングディレクターのやりがいを参考に、自分が仕事に求めるやりがいとは何かを考えてみてください。
さまざまな業務に携わることができる
マーケティングディレクターは多岐にわたる業務に携わるため、新しいアイデアやデータ、人に触れる機会が多いです。網羅する範囲が広いだけあって、「分析力・クリエイティビティ・コミュニケーション力・リーダーシップ」など、さまざまなスキルを高められるポジションです。
業務の例として、「市場調査・データ分析→ターゲット層に向けたコピー作成→広告代理店と連携したプロモーションの実行」のような一連の流れ全てに携わることもあるでしょう。さまざまな角度から物事を見るポジションでもあるため、多方面のスキルを磨くことができます。
広い視点を身につけることができる
マーケティングディレクターとして働くと、広い視点で物事を見る目が養われます。部門・経営陣・クライアントを含めた全体像を把握しながら戦略を立てるので、鷹の目で全体を見渡す経営者視点の考え方が学べるでしょう。
広い視点を持つと、短期的な成果のみに執着せず、企業の長期的な成長を描いた戦略が立てられるようになります。これは、自分の人生において長期的なキャリア形成を考える際にも活用できる視点となるでしょう。
影響力の大きい仕事ができる
マーケティングディレクターは、企業のブランドイメージや市場でのポジショニングに影響を与える役割を担っています。マーケティングの効果次第では、世間からの企業イメージがガラッと変わることもあり得ます。自分のアイデアが企業や世の中に与えるインパクトの大きさを感じられるでしょう。
影響力を感じるシチュエーションの例として、「キャンペーンを通じてブランド認知度を急激に向上させた」「新製品発売に伴うマーケティング戦略で想定以上の売上を出した」などがあります。責任が大きい分、企業の長期的な成長につながる仕事であるため、大きな達成感が得られるでしょう。
マーケティングディレクターに向いている人の特徴
マーケティングディレクターは、周りの状況を把握しながら率先して行動できる人に向いています。向いている人の具体的な特徴は、以下の通りです。
それぞれを解説していきます。
リーダーシップがある
チームをまとめて正しい方向に導くリーダーシップ力のある人は、マーケティングディレクターに向いています。トラブルやミスが発生した際も、マーケティングディレクターは冷静に対応し、チームの士気を高めるために率先して行動しなければいけません。
リーダーシップ力とは、ただ周りを引っ張るだけでなく、時には相手に寄り添いながら正しい方向へ導いていくことでもあります。「この人のために頑張りたい」と思ってもらえるような統率力のある人は、マーケティングディレクターとして重宝されるでしょう。
コミュニケーション能力が高い
対人関係において意思疎通を図るのが得意な人は、マーケティングディレクターに適しているでしょう。マーケティングディレクターは、チームメンバー、経営陣、クライアントとコミュニケーションを取るので、異なる視点に合わせた話し方をするスキルが求められます。
コミュニケーション能力が高い人は、話すだけでなく聞く力もあるのが特徴です。相手が話したいことを引き出せるよう、ボディランゲージを駆使したり、相手の話を最後まで遮らず関心を示したりするとよいでしょう。
決断力がある
マーケティングディレクターは市場の変化や競合の動きに対して素早く反応し、戦略変更などの決断をしなければいけません。そのため、いざという場面で責任を持って判断を下せる人に向いているといえるでしょう。
マーケティングに関わる膨大な情報をもとに決断を導き出すことは、簡単ではないかもしれません。その決断は、チームや企業を巻き込むものになるので、裁量権がある一方でプレッシャーを感じることもあります。どのようなときでも試行錯誤を重ねて意思決定ができる人は、マーケティングディレクターとしてのプレッシャーさえも楽しめるでしょう。
マーケティングディレクターを目指し、スキルの習得を始めてみよう
マーケティングディレクターは、企業の成長に深く関わる仕事の1つです。戦略や施策の実行を通して成果を提供できるので、やりがいも感じやすいでしょう。ただし、マーケティング全般に関する幅広い知見も求められるため、少しずつ知識やスキルの習得に取り組んでみてください。
マーケティングディレクターを目指している方は、女性向けキャリアスクールSHElikes（シーライクス）がおすすめです。SHElikesでは「Webマーケティング」「データ分析」「Webディレクター」コースなど全45以上の職種スキルから、興味のあるコースを組み合わせて受講できます。
幅広い知識をインプットすることで、マーケティングディレクターに必要な「広い視点で物事を見る」という力も養えるかもしれません。興味があるスキルを学びながら、理想のキャリアを実現させましょう。
女性向けキャリアスクールSHElikes無料体験レッスンはこちら
※出典
*1：求人ボックス給料ナビ｜マーケティング職の仕事の年収・時給・給料（求人統計データ）より
*2：求人ボックス給料ナビ｜ディレクターの仕事の年収・時給・給料（求人統計データ）より
