ポジショニングとは?マーケティングにおける具体例・やり方を解説

ポジショニングとは?マーケティングにおける具体例・やり方を解説
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ライター あゆ
カナダ拠点のフリーランスライター。23歳で初海外・留学を経験。帰国後にWeb広告代理店に転職、SNS広告の記事・クリエイティブ作成、運用を担当。その後、再度カナダに渡航し現地で美容部員として働く。その後、SHEに出会い現在ライターを務める。
エディター Tomomaru
フリーランスWeb編集・コンテンツディレクター兼たまにライター。 略歴は、アパレル→事務職を経てWebデザインをスクールで学んだのち、SHElikesと出会いWeb制作会社でマーケOLしてみたり。結果、書くことが天職だと思い込み、副業ライター道を歩んでいる。次なる野望は絵描きになること。思い込むのは自由です。

マーケティングにおける「ポジショニング」は、商品やサービスを顧客に認知してもらうために重要です。ポジショニング戦略で競合他社と差別化をし、顧客に自社を選んでもらう必要があります。一方で、具体的なポジショニングのイメージが湧かない方もいらっしゃるかもしれません。

本記事では、ポジショニングを初心者にもわかりやすく解説します。他の分析手法との関係性を理解しながら、自社にとって適切なポジショニング設定を考えてみましょう。

マーケティングのポジショニングとは?

ポジショニングとは、簡単にいうと「位置付け」という意味です。マーケティングにおいては、商品やサービスを市場でどの位置に置くかという考え方です。

この「ポジショニング(立ち位置)」で競合他社との差別化を測ることで、商品やサービスの認知向上が期待できます。自社商品の独自性を見つけ、競合他社と比べて自社がどう優れているのかを明確にするためにポジショニングというプロセスが重要なのです。

ここからは、ポジショニングと密接に関わる「STP分析」「マーケティングミックス」との関係について解説します。

STP分析との関係

ポジショニングは、マーケティング手法であるSTP分析の3つの要素の1つです。STP分析は、「セグメンテーション(Segmentation)・ターゲティング(Targeting)・ポジショニング(Positioning)」から構成されます。

この最後のステップとなるポジショニングは、市場における自社商品の位置(ポジション)を決めて、顧客の商品やサービスに対するイメージを構築する工程です。独自性が輝くポジションを取ることで、競合他社との差別化ができます。結果、顧客に自社商品の価値が伝わり、認知を高めることが期待できます。

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マーケティングミックスとの関係

マーケティングミックスは、マーケティング戦略を具体的なアクションに変換するためのフレームワークです。簡単にいうと、ポジショニングが「何を訴求するか」を決定するのに対し、マーケティングミックスは「どのように訴求するか」を決める段階です。

マーケティングミックスの主な手法である「4P」は、「製品(Product)・価格(Price)・流通(Place)・プロモーション(Promotion)」を意味し、各要素での具体的なアクションを決めていきます。前述したSTP分析の次のステップにあたるのが、マーケティングミックスです。

マーケティングにおけるポジショニング戦略の重要性

マーケティングにおいてポジショニング戦略が重要な理由は、顧客に自社商品やサービスに対する価値を感じてもらうためです。

あらゆる商品やサービスが溢れる現代では、競合他社との差別化を行わなければ、顧客に必要な商品として認知してもらうことが難しくなっています。適切なポジショニング戦略を立てることで、「競合他社との差別化・ターゲット市場への適合・ブランドイメージの構築」などが可能になります。

たとえば、「缶コーヒー」を「朝」という時間にこだわりポジショニングを実施し、競合他社との差別化に成功したケースなどです。ポジショニング次第で、同じような商品やサービスを提供する他社の中から、顧客に選んでもらえる理由を作り出すことができます。

マーケティングで行うポジショニングの具体例

ポジショニングの具体例として「日本マクドナルド」のマーケティングを考察してみましょう。

ポジショニングの可視化に便利なのが、ポジショニングマップです。縦軸と横軸を設定し、競合他社と比べたときの自社の独自性を見極め、優れている点を把握します。ポジショニングマップは、競合を何と捉えるか次第で軸となる要素が変わります。

<競合をハンバーガーチェーンと捉えた場合>
軸:提供速度と価格

SHElikesマーケティング入門コースポジショニングマップ画像1
引用:SHElikesマーケティング入門コース_LESSON2「ポジショニング|分析例の紹介」より

<競合をカフェと捉えた場合>
軸:空間の快適さと価格

SHElikesマーケティング入門コースポジショニングマップ画像2
引用:SHElikesマーケティング入門コース_LESSON2「ポジショニング|分析例の紹介」より

上記のポジショニングマップから、マクドナルドは「安くて提供が早い」ハンバーガーチェーンであることを重視したポジショニングを行っていることがわかります。

ポジショニングの具体的なやり方

ポジショニングの内容が理解できたら、実際のやり方を順にみていきましょう。

  1. セグメンテーションとターゲティングを行う
  2. 顧客が購買を決定する要因を洗い出す
  3. ポジショニングマップの2軸を設定する
  4. 自社と他社の位置をマッピングする
  5. 自社が狙うべきポジションを検討する

ステップそれぞれにおける具体的な方法を解説します。

1.セグメンテーションとターゲティングを行う

顧客のイメージを明確にするために、STP分析のセグメンテーション(市場細分化)とターゲティング(顧客設定)を行います。まずセグメンテーションでは、市場を細分化する軸となる要素を洗い出します。以下がその例です。

  • 地理的要素(都市・地方)
  • 人口統計的要素(年齢・性別・所得)
  • 心理的要素(嗜好・ステータス)
  • 行動的要素(購買行動・使用態度)

セグメント化をしたら、その中から自社の顧客として最適な層をターゲティングします。顧客が価値を感じるポイントに絞って分析すると、競合他社との差別化ポイントを発見しやすくなります。ターゲットの区切り方に正解はないので、さまざまな角度から分析をしてみましょう。

2.顧客が購買を決定する要因を洗い出す

ターゲット顧客が、自社商品やサービスの購買を決定する要因を洗い出します。この購買決定要因を「KBF(Key Buying Factor)」と呼びます。前のステップでターゲット顧客像を明確にしておくほど、KBFがイメージしやすくなります。

KBFの例は「価格・品質・実績・ブランドイメージ・利便性」などです。ターゲット顧客によってKBFは異なるので、既存顧客へのアンケート、ターゲット顧客のニーズ調査などを行いKBFを洗い出す必要があります。

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3.ポジショニングマップの2軸を設定する

ターゲット顧客の強い購買理由(KBF)となるものを、ポジショニングマップの縦と横の2軸として設定します。ポジショニングマップで独自性のある位置を見つけるには、以下のポイントを意識します。

  • ターゲット顧客のKBFを満たすもの
  • 競合他社との違いを示せるもの
  • 2軸それぞれが独立して関与性が低いもの

たとえば「価格×品質」を2軸にすると、基本的に価格が上がるにつれて品質も高くなるので、商品が右上がりに並ぶマップが出来上がってしまいます。「価格×アクセスの良さ」「価格×提供スピード」のように、関与性が低い軸を設定しましょう。

4.自社と他社の位置をマッピングする

ポジショニングマップの2軸が決まったら、自社と競合他社の位置をマッピングします。競合他社の調査を行い、市場における自社と他社の位置を把握します。

競合他社が多い業界では、それぞれをマッピングすべき位置の把握が難しいかもしれません。そのような場合は、全体像を把握するために大まかに位置をマッピングしてから、必要に応じて細かな調整をしましょう。

5.自社が狙うべきポジションを検討する

最後に、自社が目指すべきポジションを検討します。競合他社と比べて、自社は何が優れているのか、またその要素は顧客にとってベネフィットになるのかを試行錯誤する段階です。「顧客のベネフィット+独自性(USP)」を掛け合わせて競合が少ない、もしくはいないスペースを探します。

空白のスペースが見つかったら、「隠れた競合が存在しないか」「ビジネス展開しにくい要因はないか」を慎重にリサーチします。調査や検討を重ねポジションを決めたら、そのポジションを確率するためのマーケティング施策を考えます。

ポジショニング戦略の効果を高めるためのポイント

ポジショニング戦略の効果を高めるには、以下を意識しましょう。

適切なポジショニングをするには、自社商品・サービスの理解や外的要因など幅広い視点が必要です。ポジショニングの効果を出すためのポイントを、それぞれ解説します。

商品・サービスの強みを明確にする

自社の商品やサービスの強みを明確にします。競合他社と差別化でき、顧客が価値を感じる強みがわかれば、適切なポジショニングの取り方を見極めることができます。強みを明確にするには、「3C分析・PEST分析」が有効です。競合調査や外部環境の分析を行い、顧客のベネフィットにつながる自社の特徴を把握します。

自社の商品・サービスの強みとはいえない部分でポジショニングをしてしまうと、競合他社に埋もれる、もしくは顧客に価値を感じてもらえない可能性があります。自社独自のポジショニングをするには、顧客にとって意義のある強みを見つけ出し、他社との差別化を図ることが重要です。

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定期的にリポジショニングを検討する

適切なポジショニングか否かは、ビジネスを市場に出すまでわかりません。設定したポジショニングが成果につながらない場合、リポジショニングで認知を改善させる必要があります。

ポジショニングで成果が出ない要因としては、ポジショニングが適切でない、もしくは顧客ニーズや環境の変化に対応できていない可能性があります。たとえば車業界で考えてみると、一昔前は「早さ・機能性」があれば顧客の購買につながったかもしれませんが、近年ではエコフレンドリーな車であることも重要視されるようになりました。

時代によって良い商品の基準は変わるので、市場の動きに合わせてリポジショニングを検討しましょう。

必要に応じてテンプレートや作成ツールを利用する

初めてポジショニング戦略を立てる場合、KBF比較表やポジショニングマップを一から作成するのは難しいこともあるでしょう。効率よく作業するには、インターネットでダウンロードできるパワポのテンプレートや作成ツールの活用がおすすめです。

ポジショニングを行うには、さまざまな分析手法を使いこなす必要があります。必要に応じて既存のテンプレートを使用することで作成時間を省き、戦略策定に時間を使うことができます。

スキルや思考力を高める

効果的なポジショニングを行うには、マーケティング関連のスキルや思考力が重要です。以下がその例です。

  • 情報収集力
  • 分析力
  • 論理的思考力
  • クリティカルシンキング

マーケティングでは、数値をもとに問題を把握し、根拠のある戦略を立てなければいけません。ベネフィット(=メリットから得られる未来)を考えるときは、物事を顧客視点で捉えるスキルも必要になります。

スキルや思考力の習得は一朝一夕にはいかないため、実践を積みながら徐々に論理的思考や分析方法に慣れていきましょう。マーケティング関連の本やオンラインスクールなどで、マーケティングのフレームワークなどの知識を学ぶのもおすすめです。

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ポジショニングはマーケティングにおける顧客認知を獲得するために重要

マーケティングの一環であるポジショニングは、世に溢れる商品やサービスの中から自社の価値を顧客に認知してもらうために欠かせません。ポジショニング戦略によって競争優位に立てる位置を見極め、そのポジションを確率するための施策を進めていく必要があります。

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