STP分析とは?マーケティングにおけるメリットややり方をわかりやすく解説

STP分析とは?マーケティングにおけるメリットややり方をわかりやすく解説
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ライター TaekoYamasaki
同志社大学経済学部卒業。在学中はマネジメントを学ぶために、カフェで時間帯責任者を努める。卒業後はインテリアや家具の販売・接客や店舗管理を担当。働くなかでキャリアを見つめ直し、SHElikesに入会。現在はSEOライターとして、SHEを含め5社と契約をしながら、フリーランスのライターとして活動中。

STPとは、簡単にいうとマーケティング戦略を考えるための市場分析のフレームワークです。「S」「T」「P」という3つのステップに沿って市場分析することにより、最適なマーケティング戦略を考えるためのヒントが得られます。

「STP分析とは何か詳しく知りたい」
「STP分析のやり方を習得したい」

このような思いをもつ方に向けて、今回はSTP分析について詳しく解説します。概要から具体的なやり方、メリット、注意点まで解説しているので、ぜひ最後までチェックしてみてください。

STP分析とは?

STP(エスティーピー)とは、マーケティング戦略を考える際に活用されるフレームワークを指します。STP分析ともいわれ、Segmentation(セグメンテーション=市場の細分化)、Targeting(ターゲティング=顧客を設定)、Positioning(ポジショニング=自社の立ち位置)の3つのステップで構成される市場分析の手法です。

STP分析を活用すれば、市場での自社の立ち位置や、競合との違い、独自性を把握できます。分析結果をもとにマーケティング戦略を考案することで、効果的な施策の立案・事業や利益の拡大に繋げられるのがSTP分析のメリットです。

STP分析の項目と指標

STP分析の項目と指標
引用:SHElikesマーケティング入門コース_LESSON2「誰に届けるのか考える」より

STP分析を構成する項目は、上記の3つです。ここからは、各項目の概要と分析時に必要な指標について詳しく解説します。

S:セグメンテーション

1つ目のステップは、Sにあたるセグメンテーションです。「市場の細分化」を意味します。具体的には、2つの指標を用いて市場を4つに区別し、商品・サービスのニーズがある顧客層を明確にします。

指標とは、市場を区別する軸のことです。指標は独自で設定する場合もありますが、一般的に使用される指標もあります。ここでは、よく指標で検討されるセグメンテーションの4要素を見ていきましょう。

セグメンテーションの4要素画像
引用:SHElikesマーケティング入門コース_LESSON2「誰に届けるのか考える」より

指標を設定する際は「指標で区分された市場における顧客のイメージが具体的に持てるかどうか」が重要です。たとえば、指標を下記のように「男性・女性」「都市・地方」と設定したとします。

セグメンテーションとターゲティング画像1
引用:SHElikesマーケティング入門コース_LESSON2「誰に届けるのか考える」より

分析の結果、ニーズが「地方かつ女性を満たす属性」とわかったとしても、抽象的なイメージになってしまい、マーケティング施策が打ち出しにくくなります。指標を決める際は、顧客の具体的なイメージが持てるよう心がけましょう。

セグメンテーションについて分析のイメージが持てるよう、ここではユニクロの事例を紹介します。下記のように指標を設定すると、各市場における具体的な顧客像がイメージできるでしょう。

セグメンテーションとターゲティング画像2
引用:SHElikesマーケティング入門コース_LESSON2「誰に届けるのか考える」より

指標を用いて市場を細分化したら、次に「T:ターゲティング」で顧客を絞り込みます。

T:ターゲティング

Tにあたるターゲティングでは、セグメンテーションによって区別された4つの属性から、商品・サービスのニーズがある顧客を絞ります。ここでは、ユニクロの事例をもとにターゲティングについて見ていきましょう。セグメンテーションで分割した市場のうち、ユニクロの製品に対して最もニーズがあると考えられる顧客の属性は下記の通りです。

セグメンテーションとターゲティング画像3
引用:SHElikesマーケティング入門コース_LESSON2「誰に届けるのか考える」より

指標によって分けられた顧客の属性からターゲットを絞ることで、「ベーシックかつカジュアルな趣向を持っている属性」にニーズがあるとわかります。ターゲティングで大切なのは、ニーズがどこにあるかを明確にしてターゲットを絞ることです。ターゲティングを考える際の参考にしてみてください。

P:ポジショニング

Pにあたるポジショニングでは、競合他社と比較して自社や商品・サービスがどの立ち位置にあるかを明確にします。競合他社と比較することで、自社の強みや独自性が見えてくるのがメリットです。自社にしか提供できない価値が明確になり、市場で自社が勝負できるポジションがわかるでしょう。

ポジショニングで重要なのは、あらゆる比較軸から適切なものを選択し、競合と比較することです。比較軸は例として、価格や品質、販売経路、提供価値などが挙げられます。

ここでは事例として日本マクドナルドと、競合する企業とのポジショニングの違いを見ていきましょう。日本マクドナルドの競合をハンバーガーチェーンと捉えたときのポジショニングは、下記のように考えられます。

ポジショニング画像1
引用:SHElikesマーケティング入門コース_LESSON2「誰に届けるのか考える」より

上記のように、競合他社と相対的に比較することで自社の市場での位置付けが見えてきます。また、競合他社の比較軸を変更すると、別の市場での自社の位置付けが見えてくることも。たとえば、日本マクドナルドの競合をカフェと捉えた場合は、下記のような位置付けになると考えられるでしょう。

ポジショニング画像2
引用:SHElikesマーケティング入門コース_LESSON2「誰に届けるのか考える」より

このように、比較軸を変えることで自社の位置付けは変化します。ポジショニングでは「どの切り口で競合他社と比較するか」が重要です。いろんな角度から市場分析し、自社の立ち位置を考えましょう。そうすることで、分析後に立案するマーケティング施策の幅が広がります。

STP分析のメリット

STP分析を行うことのメリットは、下記の3つです。

メリットを押さえておくことで、より効果的にSTP分析を活用できるでしょう。ここでは、3つのメリットについて詳しく解説します。

顧客ニーズを整理することができる

STP分析を活用するメリットの1つとして、顧客ニーズを整理できることが挙げられます。STP分析では、市場分析の過程で顧客の属性が明らかになり、具体的なペルソナ像(顧客像)が見えてきます。STP分析は誰に届けるべきかが明確になることから、顧客ニーズを整理できるのがメリットです。

ターゲットへの効率的なアプローチが可能になる

STP分析を活用すれば、ターゲットへの効率的なアプローチが可能になる点もメリットの1つです。市場の分析から顧客ニーズが整理できるため、ニーズがある属性が明確になります。これにより、狙ったターゲットに事業や商品・サービスの訴求ができ、効率的なアプローチが可能になるのです。

他社と差別化を図ることができる

STP分析を通して、自社の商品・サービスを競合他社と差別化できる点もメリットの1つです。STP分析のポジショニングで「競合他社と比較して自社が強みを発揮できる領域はどこか?」を明確にします。自社の強みを他社と差別化できれば、顧客へのアピールもしやすいでしょう。STP分析を活用することで他社と差別化でき、マーケティング施策が効果的に打ち出しやすくなるのもメリットの1つです。

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STP分析のやり方

STP分析を活用したマーケティング戦略の立案は、下記の4つのステップで構成されています。

  1. 目的の明確化
  2. 市場の細分化・選定
  3. 自分の立ち位置を決定
  4. マーケティング戦略の立案

ここでは、各ステップでの具体的なやり方について見ていきましょう。

1.目的の明確化

STP分析を始める前の準備段階として、事業目的の明確化は必須です。どんな事業にも目的やゴールがあります。まずは、事業を通して達成するべきことを整理しましょう。

STP分析は、事業目的を効率的に達成するために実施する市場分析の手法の1つです。目的を果たすためにアプローチするペルソナ像(顧客像)を明確にする工程で、STP分析を行います。分析結果を最大限に活かすためにも、まずは大前提となる事業目的を明確にしましょう。

2.市場の細分化・選定

事業の目的が明確になったら、市場の細分化・選定をします。ここでは、STP分析のセグメンテーション・ターゲティングを行いましょう。

まずは市場を細分化して、どこにニーズがあるのかを確認します。指標を用いて4つの顧客属性を見出しましょう。指標を設定するときは、下記の4要素もしくは独自で選定します。

セグメンテーションの4要素画像
引用:SHElikesマーケティング入門コース_LESSON2「誰に届けるのか考える」より

次に、4つの顧客属性から最もニーズのある属性を絞り込みます。ここまで「誰に何を届けるべきか」が明確になっていれば、次のステップに進みましょう。

3.自社の立ち位置を決定

次に、STP分析の「P」にあたるポジショニングを行います。具体的には、競合他社との比較を通して市場での立ち位置を決定します。競合他社の市場での立ち位置を知るためには、市場調査が欠かせません。

他社の商品・サービスを顧客として利用したり、業界の動向を調べたりして市場の現状を知るところから始めましょう。競合他社と自社を比較して、自社の強み・独自性などが見えてきたら、次のステップに移ります。

4.マーケティング戦略の立案

STP分析によって導き出した分析結果をもとに、マーケティング戦略を立案します。分析によって下記の3つの要素が明確になっているでしょう。

  • 事業の目的
  • 誰に何を届けるべきか
  • 競合他社と比較したときの自社の強み

ここでは、上記の要素をもとに目的達成のための具体的なマーケティング戦略を考えます。自社の強みを訴求してターゲットに届けることで、事業目的が達成されるのか冷静に判断しながら戦略を立案しましょう。

STP分析の注意点

STP分析を活用する際には、下記の3つの注意点を押さえておきましょう。

注意点を考慮して分析することで、最適なマーケティング戦略を導き出せるでしょう。それぞれの注意点について詳しく解説します。

市場・セグメントの規模や成長率を考慮する

STP分析の1つ目であるセグメンテーションでは、市場・セグメントの規模や成長率を考慮して市場を細分化するよう注意しましょう。なぜなら、どんなに魅力的な商品であっても、規模が小さい市場もしくは成長が見込めない市場にニーズがある場合には、収益の確保が難しくなるからです。

仮に、規模が小さい市場に参入する場合、顧客にアプローチする方法を工夫しなければならなくなるでしょう。顧客へのアプローチを効率的に行うためにも、市場・セグメントの規模や成長率を考慮するのは重要です。

客観的な視点を持つ

STP分析を活用する際は、客観的な視点を忘れないようにしましょう。市場を区分する、顧客の最適な属性を絞り込むなど、STP分析では思考をもとに判断する場面が多いです。

そのため、主観的な判断で分析を進めてしまうと最適なターゲットが絞り出せない可能性も。データや一般的な意見、他社との比較など総合的に判断できるよう、客観的な視点を持つことは重要です。

STP分析だけにこだわらない

STP分析は、数あるフレームワークの1つです。もちろん、STP分析をすることで市場におけるターゲットが明確になりますが、他にも活用できるフレームワークはあります。STP分析だけにこだわらず、さまざまなフレームワークを活用してマーケティング戦略を考えるための準備をしましょう。

市場分析の結果をもとに戦略を考える際の1つの手段として、マーケティングコミュニケーションがあります。下記の記事では、マーケティングコミュニケーションについて詳しく解説しているため、分析後の戦略を考える際にはぜひ参考にしてみてください。

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STP分析とは何かを理解して最適なマーケティング戦略を考えよう!

STP分析の結果は、マーケティング戦略を考える際に役立ちます。効果的な戦略で事業目的を達成するためには、戦略立案前の分析が重要です。STP分析を含むマーケティングのフレームワークを押さえれば、マーケティング視点での戦略立案がしやすくなるでしょう。

フレームワークについて理解を深めたい方には、スクールを活用するのもおすすめの1つです。オンラインキャリアスクールSHElikes(シーライクス)では、マーケティングの基礎知識から、Webマーケティング・SNSマーケティング・コンテンツマーケティングなど目的や手段に合わせたスキルを身につけることができます。

STP分析に加えて3C分析やカスタマージャーニーなど、マーケティングで活用するフレームワークの理解も深められるのが魅力です。気になる方は一度無料体験レッスンに参加してみてはいかがでしょうか。

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