IT化が進み、大量のデータを分析して活用しようとする企業が増えています。そんななかデータ分析において、データアナリストが注目されています。
では、データアナリストになるためには、どのような資格が必要なのでしょうか。
本記事では、データアナリストにおすすめの資格を紹介します。データアナリストの仕事に関する基礎知識も紹介するので、データアナリストへの転職やキャリアアップを考えている方はぜひ参考にしてみてください。
データアナリストにおすすめの資格11選
データアナリストのスキルを証明する一つの方法として「資格取得」が挙げられます。データアナリストに関連のある資格は民間・国家資格含めてさまざまです。ここでは、データアナリストにおすすめの11種類の資格を紹介します。難易度もあわせて紹介するので、受験の参考にしてみてください。
統計検定
統計検定とは、統計に関する知識を評価する全国統一試験です。統計検定を受けることで、数学的データ解析法を身につけられ、第三者に統計に関する知識や能力があることを証明できます。
統計検定は5段階のレベルごとになっている試験で、自分の実力に合わせて受験が可能です。データアナリストを目指す人は、まずは2級の取得がおすすめです。統計検定2級では大学1、2年次レベルの統計基礎知識が求められます。2級を取得できれば、データアナリストの業務で必要な統計理論の基礎が身についている証明になります。
主催団体 | 一般財団法人統計質保証推進協会 |
---|---|
受験方法 | PBT方式(統計検定1級)CBT方式(統計検定1級以外) |
受験料 | 統計検定1級(統計数理):6,000円 統計検定1級(統計応用):6,000円 ※統計数理と統計応用を同時受験する場合は10,000円 統計検定準1級:一般価格8,000円(学割価格6,000円) 統計検定2級:一般価格7,000円(学割価格5,000円) 統計検定3級:一般価格6,000円(学割価格4,000円) 統計検定4級:一般価格5,000円(学割価格3,500円) |
応用情報技術者試験
応用情報技術者試験とは、情報処理技術者試験のひとつで、実践的で高度なITスキルの取得を目的とした試験です。基本情報技術者試験のワンランク上の試験として位置付けられています。応用情報技術者試験に合格することによって、IT経営戦略から実践的な運用まで幅広くITの知識が身につきます。
応用情報技術者試験の難易度は、ITSSの7段階のレベルのうち、ミドルレベルのレベル3です。レベル3は、ITプロフェッショナルとしての専門分野を確立した状態を意味し、自分で課題の発見や解決ができるレベルとして位置付けられています。応用情報技術者試験の合格率は令和5年度春期試験で27.2%です。*1
応用情報技術者試験は、IT技術者として数年間経験を積んだ方が高度技術者を目指すための導入として受けるのがおすすめです。
主催団体 | 独立行政法人情報処理推進機構(IPA) |
---|---|
受験方法 | PBT方式 |
受験料 | 7,500円(税込) |
データベーススペシャリスト
データベーススペシャリストとは、データベースの専門知識が求められる国家資格です。データベースシステムの企画から運用・保守まで、データベース技術に関する幅広い内容が出題されます。データベーススペシャリストを取得することで、ビッグデータを活用できる人材として市場価値を高められます。
年間2万人が受ける資格で、合格率は約15%です。データベースの管理者や、インフラ系エンジニアを目指す方にもおすすめの資格になります。
主催団体 | 独立行政法人情報処理推進機構(IPA) |
---|---|
受験方法 | PBT方式 |
受験料 | 7,500円 |
オラクルマスター(ORACLE MASTER)
オラクルマスターとは、Oracle Databaseに関する技術があることを証明する資格です。Oracle Databaseとは、世界でも高いシェア率を誇るデータベース製品です。オラクルマスター試験は、ブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナの4つのグレードに分かれています。シルバー以上のグレードは世界基準の資格です。
主催団体 | 日本オラクル株式会社 |
---|---|
受験方法 | 監督付き試験 (オンライン) 監督なし試験 (オンライン) 監督付き試験 (オンライン /ピアソンVUE社テストセンター) |
受験料 | 37,730円(税込) |
OSS-DB技術者認定試験
OSS-DB技術者認定試験とは、オープンソースデータベース(OSS-DB)に関する技術力や知識を問われるIT技術者認定試験です。
OSS-DB技術者認定試験を取得することで、オープンソースを利用した大規模なデータベースの開発や運用が可能になります。また、PostgreSQLをはじめとしたOSS-DBの利用方法やデータベースの状態を検証し、パフォーマンスチューニングやトラブルシューティングもできます。
主催団体 | 特定非営利活動法人LPI-Japan |
---|---|
受験方法 | CBT方式 |
受験料 | 15,000円(税抜) |
Python3エンジニア認定データ分析試験
Python3エンジニア認定データ分析試験とは、Pythonを使用したデータ分析の習得を目的とした試験です。Python3エンジニア認定データ分析試験を受けることで、データ分析や機械学習の基礎知識が学べます。
後ほど触れるG検定内の機械学習の知識があると、Python3エンジニア認定データ分析試験の内容が理解しやすい試験です。
主催団体 | 一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会 |
---|---|
受験方法 | CBT方式 |
受験料 | 一般:10,000円(税抜) 学割:5,000円(税別) |
G検定・E資格
G検定とはジェネラリスト検定と言われ、ディープラーニングの基本知識をもち、ビジネスでの活用例を把握しているかを問われる検定です。E資格とはエンジニア資格と言われ、ディープラーニングの理論を理解し、実際に実装するスキルがあるかが問われる資格です。どちらもAIに関係する職種に就職したいと考えている方にはおすすめです。
主催団体 | 一般社団法人ディープラーニング協会(JDLA) |
---|---|
受験方法 | G検定:IBT方式 E資格:CBT方式 |
受験料 | G検定 一般:13,200円(税込) 学生:5,500円(税込) E資格 一般:33,000円(税込) 学生:22,000円(税込) 会員:27,500円(税込) |
アクチュアリー資格試験
アクチュアリーとは、確率や統計などの手法を用いて不確定な事象を扱う数理のプロフェッショナルです。金融業界において、保険や年金などの分野で数理業務を行う専門職を指します。
アクチュアリー資格試験とは、アクチュアリーの実務を行う際に必要な専門的知識や問題解決能力の習得を目的とした試験です。資格勉強をすることによって、データアナリストに求められる確率や統計の専門知識を身に付けられます。
主催団体 | 公益社団法人日本アクチュアリー会 |
---|---|
受験方法 | 会場受験 |
受験料 | 一般:1科目10,000円 法人会員関係者:1科目7,000円 |
Tableau Certified Data Analyst
Tableau Certified Data Analystとは、Tableauの主要な知識や実践的なスキルを持っていることを証明する認定資格です。
Tableauとは、企業に蓄積された大量のデータの加工やレポート作成、分析などを可能にするソフトウェアです。マウスの操作だけで簡単にレポートが作成でき、データを可視化できるのがTableauの特徴です。
Tableau Certified Data Analystは取得してから2年間は有効な認定資格になります。
主催団体 | Tableau Software Inc |
---|---|
受験方法 | 試験監督付き試験(ピアソン VUE テストセンター)試験監督付きオンライン試験 |
受験料 | $250 |
Power BI Data Analyst Associate
Power BI Data Analyst Associateとは、Power BIに精通した人材であることを証明できるMicrosoft公式の資格です。Power BIとは、データの収集や保存、加工、分析するためのツールです。プログラミングなしでも大量のデータを処理できるのが特徴です。
Power BIの資格は現在日本ではそれほど有名ではない資格のため、取得している方は希少価値が高くなるでしょう。
主催団体 | Microsoft |
---|---|
受験方法 | オンライン受験 |
受験料 | ¥21103 JPY / $165 |
Azure Enterprise Data Analyst Associate
Azure Enterprise Data Analyst Associateとは、Azureの認定資格のひとつで、データ分析に必要なシステム管理や最適化の知見が求められます。
オンプレミスやクラウド環境でのデータ処理、データベース運用管理などのスキルの習得を目的としています。難易度はAzure認定資格の中でも中級に位置付けられています。
主催団体 | Microsoft |
---|---|
受験方法 | CBT方式 |
受験料 | 21,103円(税抜) |
データアナリストになるには資格が必須なのか
データアナリストになるために資格の取得は必須ではありませんが、第三者にアピールするためには、十分なスキルを身につけている証明が必要となります。
データアナリストとして転職やキャリアアップするには、企業が求めるレベルの統計学やITの専門的な知識が必要です。これらの知見があることを証明するひとつの手段として、「資格取得」が挙げられます。
データアナリストに関連する資格を取得することで、企業側は求めているレベルに達しているかどうか目安として判断できます。一方で、データアナリストになるためには実践的なスキルも必要です。資格取得と並行して、実践的なスキルを習得するよう心がけましょう。
データアナリストを目指す人が知っておきたい基本知識
データアナリストは、収集した大量のユーザーデータや実績データなどの情報を分析するのが仕事です。データアナリストの仕事内容はクライアントワークとインハウスでも異なります。
クライアントワークでは、クライアントから依頼を受けてデータの解析や課題解決を行います。主にマーケティング会社やWeb制作会社などで働く方が多い傾向です。インハウスのデータアナリストの場合、データ解析を自社で行います。インハウスのデータアナリストは金融や製造、医療、大学機関など専門性のある業界で働く方が多い傾向です。
求人ボックスのデータによると、データアナリストの平均年収は約699万円です。月給で換算すると約58万円で、初任給では約26万円が相場になります。*2
データアナリストの需要と将来性は、今後も高くなることが予想されます。GoogleやAmazon、Netflixなどの海外の企業では、顧客データを最大限に活用して業績につなげています。
また、IT技術を発展させるためには、データを分析するデータアナリストの存在が必要不可欠となります。国内外問わず、データアナリストはますます注目されていく職種と言えるでしょう。
データアナリストの基本知識はこちらの記事も参考にしてみてください。
データアナリストに関するよくある質問
ここでは、データアナリストに関してよく挙げられる4つの質問に答えていきます。データアナリストへの転職やキャリアアップを検討している方は参考にしてみてください。
30代、40代の未経験から転職できる?
まったくの未経験から30代、40代でデータアナリストになるのは難易度が高いでしょう。未経験者でも可能な求人は少しずつ出てきていますが、まだまだ少ないのが現状です。
30代や40代で未経験からデータアナリストに転職したい場合は、まずこれまでの業務内容から、データアナリストに共通する経験を探していきましょう。分析経験やクライアントの課題解決した経験はアピールポイントになります。
その他にも、副業や派遣、フリーランスなどで実績をつくるのもおすすめです。データベースやデータを扱う仕事の経験を積むことで、データ分析関連のスキルが身に付けられます。
資格を取得するおすすめの順番はある?
データアナリストの資格は難易度がさまざまなので、現在の自分のレベルや、目的に合った資格を取得するのがおすすめです。
一からデータ分析の知識を身につける場合は、オラクルマスターや統計検定の資格取得から挑戦するのをおすすめします。データ分析業務で必要となる基礎知識を幅広く身につけることで、応用的なデータ分析を行うための土台ができます。
データサイエンティストとの違いは何?
データアナリストとデータサイエンティストは似ている職種ですが、求められるスキルや役割が異なります。
データアナリストは、統計方法やデータツールを活用して、課題の解決方法を提案します。データアナリストには、データを可視化する力やレポーティングに関する知識が求められます。一方データサイエンティストは、統計学や高度な機械学習を駆使して、アルゴリズムの実装や分析モデルの構築に重きを置きます。
データアナリストとして活躍するためには?
データアナリストとして活躍するためには、就職・転職先の業界に関連するスキルを身につけましょう。必要に応じて、業務に関連する資格の取得を検討する必要があります。
データアナリストは、データ分析のほかにもスキルをかけあわせることで市場価値が高まります。たとえば、マーケティングスキルを持つデータアナリストは、コンサルティングファームやマーケティング企業で活躍できるでしょう。
女性向けオンラインキャリアスクールSHElikes(シーライクス)では、データ分析やマーケティングコースなど、データアナリストの業務につながる分野のスキルを学ぶことができます。ビジネスやプログラミング関連のコースもあるので、さまざまなスキルのかけあわせが可能になります。
女性向けキャリアスクールSHElikes無料体験レッスンはこちら
データアナリストになるには資格を取得してスキルを証明するのがおすすめ
データアナリストになるために資格の取得は必須ではありませんが、スキルを証明する指標になります。この記事で紹介した内容を参考に、資格の取得を検討してみてください。
また、データアナリストに興味がある方は、オンラインスクールで気軽に講座を受講してみるのもおすすめです。
SHElikesでは、全45以上の職種スキルが定額で学び放題です。データ分析やマーケティング、プログラミングの基礎知識などを動画で勉強できます。
気になる方は、ぜひ一度SHElikesの無料体験レッスンへ参加してみてください。
※出典
*1:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構「情報処理技術者試験 情報処理安全確保支援士試験 統計資料 令和5年 秋期試験」p1より
*2:「求人ボックス給料ナビ」データアナリストの平均年収より