カスタマージャーニーマップは、顧客の思考や行動心理の可視化に役立つフレームワークです。しかし、初めてカスタマージャーニーマップを作成する方の中には「どのようにまとめたらいいか分からない」、「作成効率が悪い」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
そんな時は、カスタマージャーニーマップツールを使用するのがおすすめです。ツールやテンプレートを使用すれば、直感的な操作のみで簡単にカスタマージャーニーマップを完成させられます。
本記事では、カスタマージャーニーマップの作成におすすめのツール9選を中心に、活用メリットや作成時の注意点を徹底解説します。無料で使えるツールもあるので、マーケティング施策を立案中の方はぜひ参考にしてください。
カスタマージャーニーマップ作成に活用できるツール9選
カスタマージャーニーマップの作成に活用できるツール9選を紹介します。ペルソナ設定や顧客の行動理解など、さまざまなニーズに役立つツールをピックアップしました。
- HubSpot
- INNOVA
- 15VISION
- QuestionPro
- Journey Builder
- Lucidchart
- Miro
- USERGRAM
- KARTE
それぞれの特徴や使い方などを解説するので、使いやすいカスタマージャーニーマップ作成ツールを見つけて活用していきましょう。
HubSpot
幅広いCRMツールを提供するHubsSpotでは、無料のカスタマージャーニーマップテンプレートが用意されています。閲覧できるテンプレートは、購入者が購入に至るまでの流れを認知・比較検討・意思決定に分けたバイヤージャーニー・テンプレートや、顧客の行動と思考を合わせて整理できるカレントステート・テンプレートをはじめとする全7種類です。
カスタマージャーニーマップ作成のメリットや具体的な作成手順も記載されており、初心者でも簡単にマップを作成できます。カスタマージャーニーの参考書籍も紹介されているため、マーケティング施策に携わる方は一度読んでみると良いでしょう。
資料は全てPDFコンテンツでダウンロードできるので、社内共有がしやすいのもうれしいポイントです。
INNOVA
INNOVAは、BtoB企業向けのマーケティング支援サービスを提供する日本企業です。「BtoB向け」、「ECサイト向け」の2種類のカスタマージャーニーテンプレートを提供しています。
テンプレートはPowerPoint形式になっており、内容を直接入力するだけでマップ作成が完了。記入サンプルも用意されているため、初心者でもスムーズに作業できるでしょう。
またINNOVAでは、カスタマージャー二ーの基本やマップの作り方などがまとめられた資料も提供しています。初心者にとって役立つ情報が満載なので、事前に確認しておくのがおすすめです。
15VISION
15VISIONは、Webサイト制作を中心にUI設計・プロダクト開発支援などを行うデザインユニットです。Keynote形式のカスタマージャーニーマップテンプレートを提供しています。
簡易的なペルソナ設定欄が付いたシンプルなテンプレートですが、ユーザーの感情から行動心理までを分析するなら十分なツールと言えるでしょう。アカウント登録不要かつ無料でダウンロードできるため、気軽に活用しやすいのも魅力です。
QuestionPro
QuestionProは、カスタマーエクスペリエンス・カスタマージャーニーマップ・ジャーニー分析に役立つCXソリューションサービスです。
顧客データの調査やペルソナ作成、マーケティング施策改善に関する機能が揃っており、効率的なカスタマージャーニーマップ作成を支援してくれます。簡易的なテンプレートも提供されているため、合わせて活用してみると良いでしょう。
ただしサイトやテンプレートは全て英語表記なので、日本語のツールを利用したい場合は注意が必要です。
Journey Builder
Journey Builderは、Salesforce社が提供するカスタマージャーニー管理プラットフォームです。セグメンテーションから分析まであらゆるプロセスをカバーしており、Journey Builderを設定することで最適なカスタマージャーニーを作成できます。
また、メールやプッシュ通知などあらゆるチャネルを通じ、顧客との1対1のコミュニケーションを可能にしているのも特徴のひとつです。顧客データに基づいてパーソナライズ化したメッセージを作成したり、顧客の行動予測に基づいてカスタマージャーニーマップの項目を調整したりと、顧客価値の向上に役立つ機能も多く揃っています。
Journey Builderを最大限に活用するためには、事前にペルソナ設計やカスタマージャーニーマップ作成の目的を社内で共有しておくことが大切です。
Lucidchart
Lucidchartは、資料作成や社内での情報共有、アイデアの可視化などを支援するクラウドサービスです。スマートな作図・資料作成に役立つツールが揃っており、カスタマージャーニーマップツールも用意されています。
ペルソナ設計や仮説立案など直感的に操作できるので、初心者でも困ることなくマップを作成できるでしょう。専用テンプレートも充実しているため、作図の手間を省いて効率的にマップを作成できるのが魅力です。
GoogleドライブやSlack、Teamsといった外部ツールとの連携も可能なので、社内で情報を共有したい時にも重宝します。
Miro
日立ソリューションズが提供するMiroは、チームでの共同作業を支援するホワイトボードサービスです。オンライン上での共同作業を効率化させるサービスで、カスタマージャーニーマップ作成ツールも用意されています。
カスタマージャーニーの可視化はもちろん、マップを使った分析や施策改善まで全てオンラインで実行することが可能です。イラストやイメージを使用し、直感的に顧客体験をマッピングできるため、初心者でも扱いやすいでしょう。
カスタマージャーニーマップのほか、ペルソナ設計や顧客接点(タッチポイント)に役立つテンプレートも完備しています。全て無料でダウンロードできるため、マップ作成の手間を省きたい方はぜひ活用してみてください。
USERGRAM
USERGRAMは、オンライン・リアルにおけるシーケンス分析に特化したクラウドサービスです。スマホやパソコンなどデバイスをまたいでユーザーの行動を計測し、AIを活用してユーザーの行動パターンを効率的に分析します。
Webサイト上での行動履歴はもちろん、実店舗での購入履歴やアンケート調査結果などオフラインでの行動データを統合分析するのが特徴です。ユーザーの行動の流れを的確に捉えられるため、カスタマージャーニーマップの作成に重宝するでしょう。
KARTE
KARTEは、ユーザーの感情・行動分析から施策実行までを支援してくれるCXツールです。リアルタイムで顧客一人ひとりの行動を可視化できるため、状況に応じて的確なアプローチを取ることができます。
精度の高い行動ログデータを収集できるので、カスタマージャーニーマップでのペルソナ設計や課題発見にも役立てられるでしょう。
カスタマージャーニー機能も備わっており、ユーザーの行動を起点にしたコミュニケーション施策を打てるのも魅力です。シナリオ分岐やABテストのほか、ステップ配信やトリガー配信、レポートなどの機能を通じ、適切な施策の立案や改善に取り組むことができます。
カスタマージャーニーマップのテンプレートでの作成がおすすめ
カスタマージャーニーマップの作成に慣れていない方は、テンプレートを利用するのがおすすめです。基本的なフレームワークに当てはめるだけで簡単に作成できるので、特別な知識がなくても問題ありません。
シンプルで使いやすいものから、顧客の行動予測やペルソナ設計に特化したものまで、テンプレートの種類もさまざまです。レイアウトをカスタマイズできるものもあり、目的やニーズに合わせて適切なカスタマージャーニーマップを作成できます。
テンプレートを使えば、カスタマージャーニーマップをゼロから作る手間を省けるので、作業の効率化にもつながります。無料テンプレートを提供しているサービスや会員登録不要のものも多いため、気軽に利用しやすいのも魅力と言えます。
カスタマージャーニーマップの作成に役立つサービス
カスタマージャーニーマップツール以外にも、マップ作成に役立つサービスは多く存在します。
- 表計算ソフト・アプリ
- ダイアグラム作成ツール
- マインドマップツール
- データ分析ツール
- 生成AI
ビジネスでの使用機会も多いツールばかりなので、抵抗感なく使えるという方も多いでしょう。それぞれのカスタマージャーニーマップへの活用方法を解説するので、使用できそうなものがないかチェックしてみてください。
表計算ソフト・アプリ
表計算ソフト・アプリは、カスタマージャーニーマップを作成するうえで基本的なツールです。ExcelやGoogleスプレッドシートが代表的で、簡易的なカスタマージャーニーマップを作成するのに適しています。
Excel向けのテンプレートを公開しているサイトも多いので、ゼロから作成するのが面倒な方は活用してみましょう。
ダイアグラム作成ツール
ダイアグラム作成ツールとは、フローチャートやマインドマップ、ネットワーク構造図などビジネスで必要な図を作成できるシステムのことです。
データや画像に基づいて自動で作図してくれるので、マップ作成にかかる労力を大幅に削減できるでしょう。おすすめのダイアグラム作成ツールとしては、Lucidchartやdraw.io、Canvaなどが挙げられます。
マインドマップツール
マインドマップツールは、頭の中のアイデアや思考を図表で可視化する際に役立つツールです。カスタマージャーニーマップ作成においては、マーケティング施策のアイデア整理や顧客情報の整理、全体像の把握などに活用できます。
主にクラウド型・インストール型・アプリ型の3種類があるため、社内で扱いやすいタイプを選んでみてください。また、共同編集機能やプレゼンテーション機能、タスク管理機能など備わっている機能もツールによって異なるため、事前に確認してから導入すると良いでしょう。
代表的なマインドマップツールとしては、MiroやXmind、MindMeisterなどが挙げられます。
データ分析ツール
カスタマージャーニーマップの作成では、膨大なデータからユーザーの思考や行動心理を適切に導き出す必要があります。行動ログや顧客満足度など顧客データは多岐にわたるため、効率的に作業を進めるためにもデータ分析ツールを使用するのがおすすめです。
たとえば、Googleアナリティクスと顧客データベースを連携させれば、顧客の行動分析から効果測定までを自動で行うことができます。アナリティクスのコンバージョンレポートや行動レポートはカスタマージャーニーマップ作成に役立てられるので、うまく活用してみましょう。
生成AI
近年話題となっている生成AIも、カスタマージャーニーマップ作成に役立つツールのひとつです。たとえばテキスト生成AI「ChatGPT」を活用すれば、年齢や性別といったプロンプトを入力するだけでペルソナ設計を自動で行ってくれます。
また、カスタマージャーニーマップの項目の縦軸(顧客行動や顧客心理)と横軸(顧客の購買までの流れ)をChatGPTに入力すれば、マップの自動作成も可能です。初心者の方はもちろん、設定したペルソナごとに複数のマップを作成したいという場合にも役立つでしょう。
しかし、生成AIを利用しても正しい回答を得られるとは限りません。プロンプト内容によっては、誤ったペルソナ設計やマップ作成が出力される可能性もあるため注意してください。
「顧客情報を豊富に伝える」「質問内容を工夫する」「製品・サービスの情報を詳しく提供する」など、工夫しながら利用することが大切です。
カスタマージャーニーマップのツールを活用するメリット
カスタマージャーニーマップツールを利用するメリットとしては、主に下記3つが挙げられます。
- チームで共有しやすい
- 作業時間を短縮できる
- 豊富な機能を利用できる
カスタマージャーニーマップの作成には膨大な時間と労力がかかるため、作業の効率化を図れるのが最大のメリットと言えるでしょう。
それぞれ詳しく解説するので、ツールを利用するか迷っている方はぜひ参考にしてください。
チームで共有しやすい
カスタマージャーニーマップツールを利用すれば、連携サービスを通じて作成したマップを他者と共有することができます。チーム内はもちろん、部署間を超えた社内共有もしやすくなるため、目的や認識の相違を解消できるでしょう。
また共同編集機能が搭載されたツールであれば、仮に休んだチームメンバーがいたとしても、円滑に情報共有が可能になります。情報共有は一貫性のあるアプローチを打ち出すためにも重要なので、積極的に活用するのがおすすめです。
作業時間を短縮できる
カスタマージャーニーマップは、何度も試行錯誤を重ねて作成することが大切です。データ分析や課題整理には時間と労力がかかりますが、ツールを使えば各プロセスにおける作業効率を高めることができます。
またカスタマージャーニーマップは、顧客との接点や行動ログ、感情などさまざまな要素を埋めながら作成しなければいけません。テンプレートを使用すれば必要な要素の埋め忘れの心配がないため、より精度の高いマップ作成を叶えてくれるでしょう。
豊富な機能を利用できる
カスタマージャーニーマップツールには、アクセス解析やABテストなどさまざまな機能が搭載されています。カスタマージャーニーマップの作成に欠かせない、ユーザー行動の効果測定を効率的に行えるのもメリットのひとつです。
ツールの機能を利用すれば仮説検証と改善を素早く繰り返せるので、ユーザーの状況に合わせて迅速な対応ができるでしょう。
カスタマージャーニーマップを作成する際の注意点
最後に、カスタマージャーニーマップを作成する際の注意点を紹介します。
- 適切にペルソナを設定する
- 目的を明確にしてツールを選定する
- 仮説検証・改善を繰り返す
カスタマージャーニーマップを作成する際はまずペルソナを設定し、各ペルソナに応じて目的やゴールを明確にすることが大切です。ユーザーの購買プロセスやニーズは常に変化するため、顧客データに基づいて適宜アップデートを行いましょう。
適切にペルソナを設定する
カスタマージャーニーマップを作成する際は、まずペルソナを設定することが重要です。カスタマージャーニーマップは顧客の行動や思考を可視化するための手段なので、企業本位ではなく顧客目線で作成しなければいけません。
「顧客はこのように思っているはずだ」、「顧客にはこう行動してほしい」など、思い込みや理想によって作成すると実際の顧客の状況との乖離が生じ、誤ったマーケティング施策を立案してしまう恐れがあります。
顧客データや提供製品・サービスに応じて適切にペルソナを設定し、設定したターゲットに即したマップを作成してください。
目的を明確にしてツールを選定する
ペルソナを設定したら、次はカスタマージャーニーマップを作成する目的・ゴールを明確にしていきましょう。
「見込み顧客数を増やす」、「お問い合わせ件数を増やす」など短期的な目標から、「リピート購入を増やす」、「競合優位性を高める」など中・長期的な目標まで、目指すべきゴールは企業によって異なります。チーム内で目的を明確にしたうえで、目的達成に役立つツールを選定することが大切です。
目的が曖昧な場合は、顧客の行動変容を促せないカスタマージャーニーマップになってしまうため注意してください。
仮説検証・改善を繰り返す
カスタマージャーニーマップは、一度完成したら終わりではありません。顧客のニーズや購買プロセスは常に変化しているため、変化に応じて仮説検証や改善を繰り返す必要があります。
ビジネスを取り巻く環境や市場も変化し続けているため、定期的にカスタマージャーニーマップを見直し、必要に応じてアップデートしていきましょう。
また、カスタマージャーニーマップを作成する時は、最初から作り込みすぎないこともポイントです。完璧を求めすぎると、チーム内での議論もまとまりにくくなり、かえって精度が低いマップが完成してしまう恐れがあります。
まずは大枠でマップを作成し、運用状況・結果を見ながらブラッシュアップしていくのがおすすめです。
カスタマージャーニーマップツールを使用し、顧客視点のマーケティング施策を立案しよう
カスタマージャーニーマップを作成する際は、豊富な機能を備えたツールを使用するのがおすすめです。無料テンプレートを提供するツールも多いため、初心者でも効率的にカスタマージャーニーマップを作成できるでしょう。
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