コンテンツマーケティングとは、WebサイトやSNSなどのコンテンツを通して見込み客や既存顧客と接触するマーケティング方法のことです。コンテンツマーケティングで成果をあげるには、最終目的を達成するための中間目標となるKPIの設定が欠かせません。
本記事ではコンテンツマーケティングのKPIを設定する手順やポイント、具体的なKPIとなる指標の例などを解説します。
コンテンツマーケティングのKPI設定に悩んでいる方やコンテンツ企画・制作に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
コンテンツマーケティングにおけるKPIの基本
コンテンツマーケティングとは、ユーザーにとって有益なコンテンツを発信することで、購買に繋げるためのマーケティング手法です。コンテンツは、Webサイト、オウンドメディア、SNS、セミナー、広告など、さまざまな種類があります。
コンテンツマーケティング活動を効果的に行うにあたり、欠かせないのがKPIやKGIなどの成果指標の設定です。コンテンツマーケティングにおける、KPIについて解説します。
KPIとは
KPIとはKey Performance Indicatorsの略です。日本語に翻訳すると「重要業績評価指標」。最終目的を達成するために、途中経過を評価するために定められる中間目標のことです。
コンテンツマーケティングにおけるKPIの例には、オウンドメディアのアクセス数や閲覧数、受注や登録などのCV数(成果件数)、記事の投稿数などが挙げられます。このように具体的な数字を指標にすることで、マーケティングの成果を出しながら段階的に最終目的に進むことができます。
KGIとの違い
KPIと似ている言葉にKGIがあります。KGIはKey Goal Indicatorの略で、日本語に翻訳すると「主要目標達成指標」です。
KPIが最終目的を達成するための細かい中間目標なのに対して、KGIは最終的な目標のことをいいます。コンテンツマーケティングにおけるKGIは、顧客の獲得数や売上の増加率などが設定されます。KGIの中間段階にKPIを設定することで、KGIが達成しやすくなります。
コンテンツマーケティングのKPI設定手順
コンテンツマーケティングのKPIを設定する手順を紹介します。流れとしては、最初にコンテンツマーケティングの最終目的を明確にして、そこから必要なKPIを設定していきます。
- コンテンツの目的を明確にする
- 戦略全体におけるコンテンツの役割を確認する
- ゴールを具体化する
- 必要な指標をリストアップする
- 顧客行動のフェーズを考慮してKPIを設定する
- KPI達成の期限を決める
1.コンテンツの目的を明確にする
まずは、オウンドメディアによる情報の発信やYouTubeの動画配信など、それぞれのコンテンツの最終目的を明確にしましょう。
例えばオウンドメディアの場合、ユーザーが知りたい情報を発信することで自社サービスの認知・流入拡大を目指したり、ECサイトの場合、記事から購入サイトへの流入拡大や売上増加を目的にしたりします。
2.戦略全体におけるコンテンツの役割を確認する
コンテンツの目的を明確化したら、戦略全体における各コンテンツの役割を整理していきましょう。
現在行っているコンテンツの「流入経路」「種別」「役割」などを一覧表にしてまとめます。役割を分けるときは、マーケティングファネルを活用するのがおすすめです。マーケティングファネルとは、見込み客がサービスを認知してから購入(行動)するまでのフレームワークのことです。マーケティングファネルを参考にすることで、顧客の段階に合った役割が分担できます。コンテンツごとに「初回接触」「見込み客獲得」などと分けると良いでしょう。
3.ゴールを具体化する
コンテンツの目的が決まったら、ゴールが達成されている状態の具体的な指標となるKGIを設定します。
KGIは最終目的なので、サービスの売上件数や増加率、問い合わせ件数や会員登録数などの数値を設定します。コンテンツマーケティングのゴールを可能な限り数値化して、成功の状態を具体的にイメージしましょう。
4.必要な指標をリストアップする
ゴールを達成するために、必要な指標をリストアップします。KPIの代表的な指標には、Webサイトの閲覧数や投稿記事数、SNSのシェア数やいいね数、などがあります。
指標をすべてリストアップしたら、KPIとして設定するための優先順位をつけていきましょう。KPIが多すぎると集計の工数が増えて業務に影響したり、最終目的がわからなくなったりするリスクがあります。優先順位をつけておくことで、本当に必要なKPIのみ設定することができます。
5.顧客行動のフェーズを考慮してKPIを設定する
リストアップした指標から、顧客のフェーズに合わせてKPIを設定します。顧客のフェーズとは、顧客がサービスを認知するところから購入・使用するまでの各段階のことです。
このとき、カスタマージャーニーマップを作成することで、顧客のフェーズやコンテンツマーケティングの目的からぶれないKPIを設定しやすくなります。カスタマージャーニーマップとは、顧客が商品・サービスの存在を知ってから購入にいたるまでのプロセスを時系列でまとめた図のことです。横軸には認知→検討→CV(購入など、最終成果)などのプロセスの段階をまとめて、縦軸には各段階に対する顧客の行動、心理、課題、施策などを記載します。
カスタマージャーニーマップもマーケティングファネルも、顧客の購入プロセスを可視化したものです。しかし、マーケティングファネルが購入プロセスをシンプルに可視化しているのに対して、カスタマージャーニーは顧客のフェーズごとに心理や行動を分析しています。そのため、具体的な施策やコミュニケーション方法を検討できます。
6.KPI達成の期限を決める
最後に、KPIを達成するための期限を設定しましょう。1から3の段階で立てたKGIから逆算して、各KPIを達成する目標期限を決めます。
このとき、KPIを集計する頻度やタイミングも決めておきましょう。
コンテンツマーケティングのKPIとなる指標
KPIの設定方法の次は、コンテンツマーケティングで設定される具体的なKPIの例を見ていきましょう。コンテンツマーケティングへの流入経路と具体的なコンテンツの種類、KPIとなる指標は下記のようなものがあります。
流入経路 | コンテンツの例 | 指標の具体例 |
---|---|---|
・検索エンジン(自然検索流入) ・Webサイトのリンク(外部サイトの被リンク、ブログでの紹介など) ・直接流入(ブックマークなど) ・SNS ・Web広告 ・メルマガ ・オフライン(ユーザー会、セミナーなど) |
・Webサイト・オウンドメディア(記事、セミナー、ホワイトペーパー) ・SNS(投稿、動画、写真、イラスト) ・ECサイト ・メルマガ ・広告 |
・UU数 ・アクセス・セッション数 ・PV数 ・CVR ・投稿数 ・資料ダウンロード数 ・問い合わせ数 ・CPA ・ROAS |
Webサイト・オウンドメディア
Webサイトやオウンドメディア(自社メディア)でのKPIは、まずは訪問者数や表示回数を増やすために、UU数、セッション数、PV数が指標になることが多いです。
UU数(ユニークユーザー数) | 特定の期間にWebサイトやページを訪問したユーザーの数(1人のユーザーが複数回訪問した場合は合計1回となる) |
---|---|
アクセス数・セッション数 | 特定の期間にWebサイトやページが訪問された数(同じユーザーが複数回訪問した場合、訪問回数すべて加算される) |
PV数(ページビュー数) | 特定の期間にページが閲覧された回数(同じユーザーが複数回閲覧した場合、閲覧回数すべて加算される) |
CVR(コンバージョン率) | アクセス・セッション数のうち、CV(成果件数)を獲得できた割合。商品・サービス購入数、資料請求数、問い合わせ数など |
回遊率 | 1回の訪問でユーザーがサイト内でどの程度コンテンツを閲覧しているかの割合 |
離脱率 | ユーザーがサイトを訪れた際、ブラウザを閉じたり別サイトに移動したりする割合 |
CVRはコンテンツマーケティングの役割によって異なります。例として、商品購入数、セミナー申込数、資料ダウンロード数、問い合わせ数、会員獲得数などが挙げられます。問い合わせ数、会員獲得数はユーザー情報の取得や顧客育成につながるため、重要なKPIになるでしょう。
上記のようなユーザーの動向だけでなく、記事投稿数や検索順位数などもKPIとして設定されます。
SNS
SNSのKPIは、フォロワー数、シェア数、動画の閲覧数、いいね数やコメント数などが設定されます。投稿に対するユーザーの反応の割合から算出されるエンゲージメント率も指標になります。
投稿数が少ないと十分なデータがとれないため、開始当初は投稿数を指標にすることもあります。
ECサイト
ECサイトとはネットショッピングができるWebサイトのこと。KPIは売上につなげるための指標が設定されます。例としては、アクセス数、CV数(成果件数、商品の注文件数や資料の申し込み件数など)、ショップの会員獲得数、検索エンジンからの流入数、1購買あたりの購入点数、利用頻度などが挙げられます。
メルマガ
メルマガのKPIは、CV数(商品受注数、セミナーやイベントの申込件数など)、メルマガ開封数、送信数や送信頻度などが挙げられます。メルマガに記載しているリンクをクリックした回数や、リンク先の動画閲覧数などもKPIになります。
広告
広告のKPIはCV数やクリック率のほか、広告が何回表示されたか表すインプレッション数、広告が表示されたユーザーの総数であるリーチ数などがKPIに設定されます。
また、CVを獲得するための費用を表すCPA(コンバージョン単価)や広告費1円あたりで得られた売上のROASなど、広告費の費用対効果に関する数値も重要なKPIになります。
コンテンツマーケティングのKPI設定で成果を出すためのポイント
コンテンツマーケティングのKPIを現実的に達成するために、押さえておきたいポイントを紹介します。
現状のリソースを考慮して必要な指標を絞る
コンテンツマーケティングで成果を出すためには、企業の現状を正しく理解して、現実的に達成できるKPIの指標を設定することが重要です。まずは自社のコンテンツから発生しているリード数やCV数などをチェックして、流入経路や成果へのつながりを把握しましょう。
今までの成果や課題から、実現性と必要性のあるマーケティングを策定します。
データ分析を欠かさない
コンテンツマーケティングのKPIを設定したら、定期的に数値を確認していきます。KPIを設定した時点で、今後、数値を確認するタイミングを決めておくと良いでしょう。数値を見るときは「KPIを達成しているか」という確認だけでなく、現在の課題や今後の動きも検討するようにしましょう。
また、コンテンツマーケティングの運用やデータ分析は、ツールを使うとスムーズです。Googleが提供する「Google Search Console」は、Google検索でのサイトのインプレッション数、クリック数、掲載順位などを分析できます。無料でデータ収集と分析ができるので、KPIの集計におすすめです。
定期的に目標数値を見直す
KPIはコンテンツの状況に合わせて、定期的に数値を見直していく必要があります。最初に設定したKPIがなかなか達成できなかったり、コンテンツマーケティングの進捗状況が芳しくなかったりするときは、データ分析やミーティングを行って対策を立てましょう。
また、ユーザーのニーズや競合他社の動向の変化も、コンテンツの数値に影響します。環境の変化に合わせて、柔軟にKPIを見直していきましょう。
コンテンツマーケティングのKPIを変更する際の注意点
コンテンツマーケティングのKPIは状況に応じて変更する必要がありますが、その際は下記のポイントに注意してください。
目的がぶれないように気をつける
KPIを変更する際は、あくまで「最終目的を達成するための中間目標」であることから、ぶれないようにしましょう。
コンテンツマーケティングが上手くいっていなかったり、思うような成果があがらない状況が続いていたりしても焦らずに、現時点から最終目標までの過程を見通してKPIを設定します。
チームメンバーへの共有を忘れない
KPIを達成するためには、チームで一体となって目標に進まなければなりません。そのため、KPIを変更したら、チームメンバーに必ず共有しましょう。
同様に、普段からKPIの達成度合いもメンバーに見えるようにしておくと、チームがまとまりやすくなります。KPIを達成することで、チーム全体のモチベーションアップにもつながるでしょう。
コンテンツマーケティングで成功するなら、適切なKPIを!
コンテンツマーケティングは成果があがるまで時間のかかりやすい施策なので、最終目的を達成するために、適切なKPI(中間目標)を設定することが欠かせません。本記事の内容を参考に、最終目的と現状に合ったKPIを決めましょう。
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