個人事業主のメリット・デメリットを解説!税金の基礎知識や節税対策も

個人事業主のメリット・デメリットを解説!税金の基礎知識や節税対策も
ABOUT ME
ライター TaekoYamasaki
同志社大学経済学部卒業。在学中はマネジメントを学ぶために、カフェで時間帯責任者を努める。卒業後はインテリアや家具の販売・接客や店舗管理を担当。働くなかでキャリアを見つめ直し、SHElikesに入会。現在はSEOライターとして、SHEを含め5社と契約をしながら、フリーランスのライターとして活動中。
エディター 古澤 椋子
鹿児島大学大学院水産学研究科修了。水産系社団法人にて、水産に関わる調査研究、行政との折衝などを経験したのち、水産系ベンチャーにて、広報を担当。2023年からフリーライターとして活動を始め、主にエンタメ系の記事を執筆。SHElikesでキャリア、マインド共に変化した経験から、SHEsharesのライターを務める。
税理士 / 監修者 高橋和也
大阪市立大学法学部卒業後、クボタ、インテリジェンス等で10年以上営業職に従事。その後、会計知識ゼロで35歳のときに会計業界に転身。2017年に43歳で税理士登録・開業。営業経験を活かしたフットワークの軽さで、都内から関西、四国、九州まで幅広いエリアのお客様をサポート。一般社団法人など非営利団体の税務を得意とし、最近では大学アメリカンフットボール関連の一般社団法人の顧問税理士も務める。また、自身のYouTubeチャンネル「たかはしかずや税理士チャンネル」で一般社団法人やインボイス制度などの情報を発信。共著に『一般法人・公益法人の理事・監事・評議員になったらまず読む本』(忘羊社)。

会社員を辞めて独立する場合、個人事業主になることを検討する人が多いです。

「個人事業主になろうと思うけど初めてのことで不安」
「個人事業主になるメリットやデメリットはあるの?」

このような思いから個人事業主になることに不安を感じる人が多いのではないでしょうか?本記事では、個人事業主になるメリット・デメリットを解説します。ほかにも、税金の基礎知識や節税対策など、事前に知っておくことで損しない知識までお伝えします。少しでも開業を視野に入れている方にとって参考になるでしょう。

個人事業主になるメリット

個人事業主とは、法人を設立せずに個人で事業を営んでいる人のことで、法律上の概念として定められています。個人事業主になることで得られる4つのメリットについて解説します。

手続き次第で節税しやすい

開業した際に個人事業の開業届出書(以下、開業届)とともに所得税の青色申告承認申請書を提出すると、確定申告時に条件次第で節税できます。確定申告とは、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた正しい所得額の算出を行う手続きのことです。*1 

事業所得の確定申告には青色申告と白色申告の2種類があり、青色申告をすることで税制上の優遇措置を受けることができます。青色申告をするためには期限までに青色申告承認申請書を提出する必要があります。青色申告者は、事業などの所得から最大65万円の青色申告特別控除を受けられます。*2 

開業届を提出し、且つ、青色申告承認申請書を提出することは青色申告特別控除を受けるための必須の条件です。この手順を踏むことで青色申告特別控除という節税対策が可能なため、メリットのひとつになるでしょう。

スキルを磨けば収入を増やせる

個人事業主として働く場合、スキルを磨くことで収入を増やせる可能性があります。スキルを身につけることでクライアントや依頼主に提供できる価値が高まり、報酬が増えることもあるからです。

たとえば、記事を提供して報酬をもらっているライターが、記事内で使用する画像の撮影までできるようになったとき、執筆代に加えて撮影代まで報酬としていただけることがあります。

会社員として働く場合、基本給や勤務形態に応じた給与を受け取ることが一般的です。基本給が決まっている分、スキルの習得が給与に直接反映されることを実感するのは難しい場合が多いでしょう。

個人事業主は会社員と比べて、スキル習得が収入に直結しやすく、自分次第で収入が増やせる点でもメリットと言えます。

自由な働き方を実現しやすい

個人事業主になると、自由な働き方が実現しやすいというメリットもあります。会社員なら就業規則により、勤務時間や出勤日数が決まっているのが一般的でしょう。一方で、個人事業主には規則がなく、時間帯・場所も含めて自由な働き方が実現しやすいです。個人事業主になることで自由な働き方が選択できるので、柔軟な働き方を実現したい方にとってはメリットに感じるでしょう。

個人事業主になるデメリット

個人事業主は、自由な働き方が実現できる一方で、責任がともなうからこそデメリットを感じることがあります。ここでは、個人事業主になることで生じる4つのデメリットについてみていきましょう。

クレジットカードや融資の審査が通りにくい場合がある

個人事業主は、クレジットカードや融資などの審査が通りにくくなるなどのデメリットが生じる場合があります。

個人事業主は、会社員のように一定の給与が保証されておらず、収入が変動しやすいです。そのため、返済の見通しが立ちにくいことから金融機関でのローン審査が通りにくくなります。

また、個人事業主になった場合、事業での必要経費と生活費が混同しやすいです。日常生活で発生した費用を節税目的で経費を多めに設定するなどの行為も起こりえます。会社員や法人と比べて、金銭面で不透明になりかねない観点からも審査が通りにくくなるのです。

審査に通りやすくするための方法としては、確定申告・納税をきちんと行うほか、事業計画書や決算書類などの書類を用意するなどが挙げられます。

税金や保険料を自分で納める必要がある

個人事業主は、税金や保険料を自分で納める必要がある点もデメリットに感じやすいでしょう。

会社員の場合、社会保険や厚生年金の半額を会社が負担し、残りに関しては給与から差し引いての支払いになるので、事務手続き等の手間も少なくなっています。

一方で、個人事業主になると所得税・消費税・住民税・個人事業税・国民年金・国民健康保険料を自分で納める必要があります。支払いや手続きの手間がデメリットに感じるかもしれません。

人材採用において不利となる可能性がある

一緒に働く仲間を採用したいとき、人材採用において不利になる可能性があります。個人事業主には「どのような事業でどれくらいの収益があるのか」というような財務状況を開示する義務がない観点から、求職者が勤めるには不安要素となるでしょう。

人材採用において求職者の不安を取り除くために、採用時に給与額や諸手当を明示するほか、ハローワークなどの公的機関を利用して、人材募集を行うことで信用を得る方法が挙げられます。

個人事業主と会社員やフリーランスとの違い

会社員は企業という組織に属する1人であるのに対して、個人事業主は法人を設立せずに個人で事業を営んでいる人のことを指します。個人事業主は、会社員と明確な違いがある一方で、フリーランスとは対等に比較できるものではありません。

フリーランスという言葉には明確な定義はないものの、国で策定された「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」によると、フリーランスは「実店舗がなく、雇人もいない自営業主やひとり社長であって、自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者」と定義されています。*3

このように、フリーランスは働き方の1つであるのに対して、個人事業主は個人で事業を営んでいる人のことを指します。つまり、フリーランスのなかには個人事業主にあたる人と、あたらない人がいる、という構図です。また、独立を考える場合は、個人事業主のほかにも法人登記をすることで会社を設立する起業という選択肢もあるでしょう。

関連記事:フリーランスと個人事業主、どっちを選ぶべき?違いを徹底解説

上記のような違いから、会社員・フリーランス・起業のそれぞれにメリット・デメリットがあるので詳しく解説します。

会社員(サラリーマン)のメリット・デメリット

会社員は企業の従業員として働くため、企業に守られる立場である点がメリットになります。一方で、収入に頭打ちがあるほか会社が倒産すると一気に不安定になることがデメリットと言えるでしょう。

  • 会社員のメリット
    収入が安定している
    社会保険料や厚生年金が半額で済む
    税金や年金等の手続きを会社が代わりに行ってくれる
    福利厚生が受けられる
    社会的信用からローンなどの審査が通りやすい
    会社でスキルやノウハウを身につけられる
  • 会社員のデメリット
    収入に頭打ちがある
    会社が倒産すると不安定になる
    人間関係に悩む可能性がある
    就業規則により自由に働けない
    嫌な仕事でも引き受けなければならない
    会社都合による異動や転勤がある

フリーランスのメリット・デメリット

フリーランスは働き方を自由にできるなどのメリットがあるのに対して、収入が安定しづらく会社員と比べて経済的負担が多く発生するなどのデメリットがあります。

  • フリーランスのメリット
    働き方を自由に選択できる
    自分次第で収入アップが見込める
    働く場所や時間を自分で決められる
    業務内容を自分で選択できる
    人間関係のストレスが比較的少ない
    定年がなく生涯現役で働ける
  • フリーランスのデメリット
    仕事や収入が安定しづらい
    不規則な生活になる可能性がある
    確定申告などの業務以外の作業が必要である
    保険料や年金を全額負担する必要がある
    社会的信用が少ない
    子供の保育園の入園が難しくなることがある

関連記事:フリーランスと個人事業主、どっちを選ぶべき?違いを徹底解説

会社設立で起業するメリット・デメリット

法人登記を行なって会社設立をすると、ある一定の収入を超えればフリーランスや個人事業主に比べて、節税効果が期待できる点でメリットになることがあります。一方で、会社設立の手続きは煩雑であり、費用が必要な点ではデメリットになることがあるでしょう。

  • 会社設立で起業するメリット
    節税効果が期待できることがある
    資金調達の方法が増える
    事業継承がしやすくなる
    決算月を自由に決められる
    自由に事業計画が立てられる
  • 会社設立で起業するデメリット
    事業がうまくいかなかったときのリスクが大きい
    会社の信頼を一から積み上げる必要がある
    収入の保証がない
    赤字でも法人税がかかる
    設立に煩雑な手続きや費用がかかる

個人事業主になるためにやるべきこと

個人事業主のメリットやデメリットを理解したうえで、個人事業主になりたいとお考えの方もいらっしゃると思います。次に、個人事業主になるためにやるべきことを4つご紹介します。

開業届を提出する

個人事業主として働くなら、開業届けを提出するのがおすすめです。開業届を提出するタイミングは、開業後1ヶ月以内と定められています。*4

また、開業届の提出方法は3つあります。

  • e-Taxを利用してオンラインで提出する
  • 税務署へ直接書類を持参する
  • 税務署へ書類を郵送する

必要書類は国税庁ホームページまたは、最寄りの税務署で入手して必要項目を記入しましょう。開業届の提出が完了すれば、個人事業主となります。

事業用の銀行口座やクレジットカードを開設しておく

事業用の銀行口座やクレジットカードを作っておくことで、事業で発生した経費の把握がしやすくなります。また、公私の区別がしやすいという点でもメリットになるでしょう。

事業用の銀行口座を作る場合は、屋号付きで作成することをおすすめします。屋号とは、個人事業者の方が使用する商業上の名のことです。*5 事業用の銀行口座を開設する場合、開業届の控えや事業内容の確認など審査があるあるので、準備しておきましょう。

開業時に屋号を付ければ、屋号付きの銀行口座やクレジットカードを開設することができます。屋号付きの口座は、個人名に比べて顧客からの信頼が得やすいという点でメリットになります。

各種保険に加入しておく

会社員から独立した場合、一部の方を除き、各種保険の加入手続きを行う必要があります。所属していた企業が行っていた社会保険に関する手続きや支払いは、個人事業主になると自分で行う必要があります。

個人事業主として加入する保険は、国民健康保険、国民年金、介護保険(40歳以上)の原則3つです。国民健康保険への切替手続きが完了すると、国民年金料・介護保険料とともに徴収が始まります。

個人事業主が国民健康保険に加入できる4つの方法

個人事業主として独立した場合、下記の4つの方法で国民健康保険に加入する必要があります。

  • 国民健康保険
  • 健康保険組合などの任意継続
  • 各団体の国民健康保険組合
  • 扶養家族として社会保険に加入

どれを選択するべきかは、個人によってさまざまです。手続きの期限があるため、速やかに手続きが行えるよう会社を退職する前に検討しておきましょう。

個人事業主が加入するべき各種保険まとめ

各種保険の手続き期限をまとめました。手続きが必要な場合の参考になるでしょう。

各種保険一覧 手続き期限
国民健康保険 国民健康保険 退職日の翌日から14日以内
健康保険組合などの任意継続 退職日の翌日から20日以
各団体の国民健康保険組合 組合により異なる
扶養家族として社会保険に加入 退職日の翌日から5日以内
国民年金 退職日の翌日から14日以内
介護保険 退職日の翌日から14日以内

税金に関する知識を身につけておく

個人事業主は、税金の支払いや手続きを自分でしなければならないため、税金に関する知識を身につける必要があります。特に把握しておきたい税金は下記の4つです。

税金の種類 概要 税率
消費税 商品・製品の販売やサービスの提供などの
取引に対して広く公平に課税される税で、
消費者が負担し事業者が納付する*6
標準税率の場合10%
軽減税率の場合8%*6
所得税 個人の所得に対してかかる税金で、
1年間の全ての所得から所得控除を
差し引いた残りの課税所得に税率を
適用する*7
超過累進税率(下記に税率を表記)*7
住民税 公共施設、上下水道、ごみ処理、
学校教育といった行政サービスの
活動費に充てる目的で、その地域に
住む個人に課する地方税をいい、
道府県民税と市町村民税がある*8
所得割は所得に対して10%
均等割は所得に関わらず5,000円(※)*8
個人事業税 法人が安心して事業を行うために
地方団体が提供する行政サービスの
経費負担として支払う*9
不動産や事業によって得た所得から
控除額等を引いた金額に対して3~5%*9

※東日本大震災を踏まえ、都道府県や市町村が実施する防災費用を確保するため、2014(平成26)年度から2023(令和5)年度までの10年間、道府県民税・市町村民税ともに500円ずつ引き上げられています。

所得税の税率と計算方法

所得税は、所得が多くなるに従って段階的に高くなり、納税者の支払能力に応じて公平に税を負担するしくみとして超過累進税率が適応されます。課税される所得金額に対する税率は下記の表*10 のとおりです。

課税される所得金額 税率 控除額
1,000円 から 1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円 以上 45% 4,796,000円

上記の表をもとに所得税の税率がどのように適用されるか例を用いて見てみましょう。

(例)課税所得金額が650万円の場合に適用される所得税の税率及び所得税額(令和5年分)(国税庁「所得税のしくみ」より)*7

超過累進税率 図

税率5%:195万円×0.05=9万7,500円
税率10%:135万円×0.1=13万5,000円
税率20%:320万円×0.2=64万円
所得税額:9万7,500円+13万5,000円+64万円=87万2,500円(所得税額)

注:土地建物等や株式等の譲渡所得など他の所得と区分して税額を計算する所得もあります。

「どの項目に対してどれくらいの税率がかかるのか」を理解しておくことで、今後の支払いの見通しが立てやすくなるでしょう。

個人事業主ができる節税・税金対策

税金の支払いや手続きを自分で管理するからこそ、知っていないと損してしまう可能性があるので、事前に知っておくことをおすすめします。

必要経費を正しく計上する

必要経費を正しく計上することで、正確な所得を申告でき、適正な税金を納められます。経費と収入の差分を所得として税金を計算するため、経費に漏れがあると自ずと所得が増え、税額が多くなります。必要経費を正しく計上することが節税に繋がるのです。

所得税における経費とは、事業に必要な費用を指します。たとえば、Webデザイナーとして働く場合は、デザイン制作ツールの利用料やPC本体の費用は事業に必須の費用と言えるでしょう。

個人事業主が経費にできる項目は、下記の通りです。*11 

経費に該当する勘定項目 費用の概要
売上原価 商品作成にかかる仕入れ代金や材料費など
租税公課 国や地方に収める税金(税金)など
水道光熱費 水道・電気・ガス・灯油購入分など
旅費交通費 交通費、宿泊費、出張代など
通信費 事業で使用する通話代、インターネット利用料など
広告宣伝費 事業の広告に関して必要な費用
接待交際費 取引先との接待や贈答にかかる費用
損害保険料 事業用で使用している店舗や事務所に関わる火災保険など
修繕費 店舗や自動車など修理にかかる費用
消耗品費 10万円未満もしくは、使用可能期間が1年未満の消耗品の購入
減価償却費 10万円以上かつ1年以上使用可能な固定資産を耐用年数で分割した費用
福利厚生費 事業主本人以外の従業員のために使用した費用
給料賃金 事業主本人以外の従業員に支払われる給与や賞与
利子割引料 受取手形における割引料や借入金の利息など
地代家賃 事業用に使用した事務所や駐車場などの費用
雑 費 上記の経費に該当しない費用

経費に該当するか判断に困る場合は、事業に関する出費、または収入を得るための出費であることが証明できるかを考えましょう。*12 

「青色申告特別控除」を受ける

青色申告を行うと、確定申告時に青色申告特別控除が受けられ節税に繋がります。青色申告特別控除とは、所得に対して最大65万円(55万円)の控除が可能な優遇措置であり、個人事業主として条件を満たすことで受けられるものです。

青色申告特別控除が受けられる条件として、下記の2点は必ず満たす必要があります。*2

  • 事業所得、不動産所得、山林所得のいずれかがある
  • 所得税の青色申告承認申請書を期日までに提出している

最大65万円(もしくは55万円)の控除を受ける場合には複式簿記で記帳し電子申告または優良な電子帳簿保存の要件を満たすことと、確定申告期限までに申告書を提出する必要があります。10万円控除を受ける場合には単式簿記による記帳を行うことが求められます。単式帳簿はお金の出入りのみを記録するシンプルな帳簿に対して、複式帳簿はやや複雑である代わりに正確な資金の動きが記録できるため、控除が受けられる金額が増えるのです。

複式帳簿の提出により正しく申告することを条件に、税制優遇制度を利用できます。条件を満たさない青色申告者は、10万円の控除になるため注意が必要です。

所得控除を利用する

15種類の所得控除において要件が当てはまる場合には、該当の控除が受けられます。利用できる所得控除を下記の一覧から事前に確認しておきましょう。*13 

所得控除一覧 概要
雑損控除 災害または盗難もしくは横領によって、
資産の損害を受けた場合等に受けられる控除
医療費控除 1年間で自分または生計をともにする
配偶者などのために支払った医療費が
一定額を超えるときに受けられる控除
社会保険料控除 自分または生計をともにする
配偶者などのために支払った
社会保険料金額分の受けられる控除
小規模企業共済等掛金控除 小規模企業共済法に規定された
共済契約に基づく掛金等を支払った場合に、
支払い金額分の受けられる控除
生命保険料控除 生命保険料、介護医療保険料および
個人年金保険料を支払った場合に、
一定の金額の受けられる控除
地震保険料控除 特定の損害保険契約等にかかる
損害部分の保険料または掛金を
支払った場合に、一定の金額で受けられる控除
寄附金控除 国や地方公共団体、特定公益増進法人
などに対し「特定寄附金」を
支出した場合に、受けられる控除
障害者控除 自分または生計をともにする
配偶者などが所得税法上の障害者に
当てはまる場合に一定の金額で
受けられる控除
寡婦控除 納税者自身が寡婦である場合に、
一定の金額で受けられる控除
ひとり親控除 納税者がひとり親である場合に、
一定の金額で受けられる控除
勤労学生控除 納税者自身が勤労学生である場合に、
一定の金額で受けられる控除
配偶者控除 納税者に所得税法上の控除対象配偶者が
いる場合に、一定の金額で受けられる
可能な控除
配偶者特別控除 配偶者に48万円(令和元年分以前は
38万円)を超える所得があるため
配偶者控除の適用が受けられない
ときでも、配偶者の所得金額に応じて、
一定の金額で受けられる控除
扶養控除 納税者に所得税法上の控除対象
扶養親族となる人がいる場合に、
一定の金額で受けられる控除
基礎控除 確定申告において所得税額の計算を
する場合に、総所得金額などから
差し引くことができる控除の1つ

会社員なら企業が年末調整時に手続きを行いますが、個人事業主は確定申告時に自分で手続きする必要があります。該当の所得控除があるかを把握しておくことで、漏れなく節税対策が可能になるでしょう。

補助金や助成金の活用を検討する

利用できる補助金や助成金があれば、活用次第で事業資金をまかなえるでしょう。補助金も助成金も、財源は公的な資金から出されるため、申請や審査が必要になり、一定の資格が必要な場合があります。

個人事業主が利用できる補助金や助成金の一例を見てみましょう。

補助金・助成金 概要
雇用調整助成金 経済上の理由により、事業活動の
縮小を余儀なくされた事業主が、
雇用の維持を図るための休業、
教育訓練、出向に要した費用を
助成する制度*14
両立支援等助成金 働き続けながら子育てや介護を行う
労働者の雇用の継続を図るための
就業環境整備に取り組む事業主に
対して両立支援等の費用を支給する
制度*15
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 中小企業・小規模事業者等が今後
複数年にわたり相次いで直面する
制度変更(働き方改革や被用者保険の
適用拡大、賃上げ、インボイス
導入等)等に対応するため、革新的
サービスの開発・試作品開発・生産
プロセスの改善を行うための
設備投資等を支援する制度*16
小規模事業者持続化補助金 持続的な経営に向けた経営計画に
基づく、販路開拓等の取り組みや、
業務効率化の取り組みを支援する
ための制度*17
IT導入補助金 さまざまな経営課題を解決する
ためのITツール導入を支援する
ための制度*18

助成金や補助金の情報は更新されるため、情報収集を怠らずに活用できるものを見つけることをおすすめします。

個人事業主になるために準備しよう!

個人事業主になるためには、開業届の提出が必要です。法人として独立するよりも手続きが簡単で費用がかからないほか、確定申告時に青色申告特別控除が利用できるなどのメリットがあります。

メリットがある一方で、会社員とは異なり、金銭面の管理も仕事の獲得も自分で責任を持って行動する必要があります。

個人事業主として継続的に働くためには、常にスキルアップの意欲を持ち、価値提供できる手段を増やすことが重要です。個人事業主になる前から、学習習慣を身につけることで個人事業主として独立したあとも役立ちますし、身につけたスキルは仕事に活かせるでしょう。

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※出典
*1 国税庁「確定申告とは」確定申告の概要より
*2 国税庁「No.2072 青色申告特別控除」より
*3 内閣官房・公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」より
*4 国税庁「個人で事業を始めたとき/法人を設立したとき」より
*5 国税庁「屋号・雅号の入力について」より
*6 国税庁「消費税のしくみ」より
*7 国税庁「所得税のしくみ」より
*8 総務省「個人住民税」より
*9 総務省「個人事業税」より
*10 国税庁「No.2260 所得税の税率」より
*11 税務署「貸借対照表作成の手引き」より
*12 国税庁「No.2210 やさしい必要経費の知識」より
*13 国税庁「No.1100 所得控除のあらまし」より
*14 厚生労働省「雇用調整助成金」より
*15 厚生労働省「事業主の方への給付金のご案内」より
*16 厚生労働省「令和5年度 両立支援等助成金」より
*17 全国中小企業団体中央会「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金について」より
*18 IT導入補助金2023より

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。