就職や転職の面接で聞かれることの多い、将来のキャリアプラン。
特に結婚・出産などのライフイベントを迎える可能性がある方は、生活環境の変化がキャリアに影響を与えることは少なくありません。ただ、自分のキャリアを具体的にイメージすることが難しく、「キャリアプランが思いつかない……」と悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、年代・職種別の具体的なキャリアプラン例や、キャリアプランを立てるポイントを解説します。記事の後半では、理想のキャリアを実現した3名のロールモデルもご紹介。将来のヒントを見つけたい方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
キャリアプランとは何か?
キャリアプランとは、将来実現したい仕事や働き方を明確にし、理想と現実のギャップを埋めるために身に付けるべき経験・スキルを考える計画です。キャリアは一般的に「仕事上の経歴」を表すことが多いですが、仕事を含めた「生き方」そのものを意味することもあります。就職や転職の面接では、「成長意欲があるか」「自社の価値観とマッチするか」を判断するために、キャリアプランを尋ねる質問が頻出します。
キャリアプラン設計の上での代表的な軸
そもそも、キャリアプランが必要な理由は、在りたい姿やどんな仕事をしたいかによって必要なスキルや強みが異なるからです。終身雇用制度が一般的だった時代は、勤続年数や年齢に応じて安定した給与やキャリアアップが保証されていました。しかし、これからは働き手が自ら理想とするキャリアを描き、成長していくことが求められます。ただ、自分なりの軸がなければ、何を実現したいのかを考えることは難しいものです。そこで、キャリアプランを設計するための判断軸をご紹介します。
自己実現をするため
自己実現を一言でいうと、「ありのままの自分でいること」です。キャリアプランを考えるとき、現実とは離れた理想の自分を追い求め、それに向けて成長していくことをイメージしやすいかもしれません。しかし、本来の自己実現ができている状態とは、ありのままの自分を表現でき、心地いいと感じられる状態です。そんな自分軸を持ってキャリアプランを考えることも、一つの選択肢です。
経済的自立のため
どのようなライフイベントが発生しても自分自身の収入だけで生活できるよう、経済的な自律を軸にする方もいるでしょう。近年では、「FIRE」を目指してキャリアプランを設計する人も増えてきました。FIREとは「Financial Independence, Retire Early」を略した言葉で、定年を待たず早期に退職し、資産運用で収入を得て生活をしていくことです。こうした金銭面を軸にキャリアを考えることも、不安定な時代を生きる上で大切になります。
社会貢献のため
キャリアプランの軸が、自分ではなく他者や社会に向いている例です。社会貢献と一口に言っても、その貢献度の大きさや関わり方はさまざまです。多くの場合、企業はビジネスで利益を生み出すために事業を展開しています。仕事を通じて社会に貢献したい方は、どのような課題解決をしたいのか、その課題に対して直接的に関わりたいのか、それとも間接的に貢献したいのかを考えてみるといいかもしれません。
幸福度を高めるため
仕事は1日を占める割合が大きいため、「自分が何をしているときに幸せを感じるか」を軸にキャリアを形成すれば、充実した日々を送ることができるでしょう。そのためには、自分自身の「幸せ」を定義する必要があります。今までの人生を振り返り、何がきっかけで喜びを感じたのか、反対に不満を感じたのかを棚卸しをしてみましょう。
年代別 女性のキャリアプラン例
ここでは、年代別に求められることを踏まえたキャリアプラン例をご紹介します。キャリアを歩む中で自分の考え方や周りの環境は変化するため、定期的にアップデートすることが大切です。
20代女性のキャリアプラン例
- 将来に向けて幅広い経験やスキルを高められる仕事に就く
- 第二新卒として興味のある業界や職種に挑戦する
20代は、新卒入社した会社で働き続ける中で「この仕事は自分に合っているのか」「本当にやりたい仕事は何か」と悩みを抱えることがあるかもしれません。ただ、自分の強みや興味のある仕事を見つけられるタイミングは人それぞれです。将来に向けて力を付けられるよう、さまざまな経験やスキルを吸収することが大切になります。
転職においては、経験よりも将来性やポテンシャルが期待される傾向にあります。アピールできる実績があればもちろん強みになりますが、十分なスキルがない場合でも異なる業界や職種に挑戦することが可能です。第二新卒や未経験可の求人も多く存在するため、意欲を見せることでキャリアチェンジできるチャンスがあります。
30代女性のキャリアプラン例
- 今後のライフイベントを考慮してキャリアを設計する
- 今まで習得した専門性を高める
30代は、結婚・出産・子育てなど、20代と比較してプライベートの環境が変化する方も多いかもしれません。リクルートワークス研究所による調査によると、2021年の女性の第一子出産後の離職率が34.7%となっており *1、 ライフイベントはキャリアに少なからず影響を与えると考えられます。そのため、ライフイベントに変化が生じる可能性がある場合は、プライベートと仕事のバランスを考慮してキャリアプランを設計することが大切です。
また、30代に入ると、現場の中核を担う存在として期待される傾向があります。転職するときは、入社後に即戦力として何ができるのかをアピールすることが重要です。そのため、これまでの実績や経験を活かして専門性を高めることを意識しましょう。あらかじめ、自分が目指したいキャリアの方向性を明確にしておくといいかもしれません。
40代女性のキャリアプラン例
- 社内でキャリアアップする
- 高い専門性を活かして管理職として転職する
- 副業を始めてキャリアの幅を広げる
40代に入ると、今の会社で定年まで勤めるか、またはキャリアチェンジするかで悩む方が多いかもしれません。同じ会社に勤め続ける場合は、これまで築いた実績を活かし、社内での価値を上げて昇進を目指す選択肢もあります。
転職においては、管理職候補としての採用が多くなる年代です。マネジメント能力や組織をグロースさせる戦略作りなど、より求められるハードルが高くなるでしょう。求人数は比較的少なくなりますが、企業のニーズに合った高い専門性やスキルをアピールすると効果的です。
また、今まで培った経験や専門性を活かし、副業を視野に入れて考えることもおすすめです。会社に頼らない収入をつくることで、自分の市場価値を再認識できるでしょう。また、社外にコミュニティを持つことで、会社内ではなし得なかったことに挑戦できる機会があるかもしれません。
50代女性のキャリアプラン例
- 現職に引き続き貢献する
- 専門性を活かして第二の人生を送る
- 早期退職して趣味ややりたかったことに挑戦する
平均寿命の伸びから「人生100年時代」といわれるようになった現代では、50代はちょうど人生の折り返し地点です。現職に勤め続けて定年退職するだけでなく、新しい知識やスキルを身に付けてセカンドキャリアを歩むことを検討してもいいかもしれません。ただ、生活できる程度の収入を得るには、それ相応の時間や労力がかかります。新たなことにチャレンジする場合は、今までのキャリアやスキルの掛け合わせで可能性を広げてみてください。
現役引退後の生活に金銭的余裕のある方は、早期退職をして趣味に熱中することも人生を楽しむ選択肢の一つです。
職業別 女性のキャリアプラン例
キャリアプランを考えるとき、年代だけでなく職種によっても考え方が異なりますよね。そこで次は、職業別に分けてキャリアプランの例をご紹介します。
職業を一つとっても、キャリアの選択肢は無数に広がっています。あくまで一つの案として捉え、キャリアプランを検討する上で参考にしてみてください。
営業のキャリアプラン例
- 選択肢を増やすために無形の法人営業経験を積む
- 営業として管理職を目指す
営業と一口に言っても、扱う商材(無形か有形か)、営業を行う対象(法人か個人か)、目的(新規開拓か顧客維持か)はさまざまあります。キャリアプランを描く上で、自分がどのような領域に進みたいかを明確にすることが必要です。
汎用的なスキルを身に付ける上でおすすめなのが、難易度の高い無形商材の営業です。金融商品、システム、人材などは物理的な商材が存在しないため、顧客のニーズに沿ってカスタマイズすることが求められます。求められるハードルが高い営業にチャレンジすることで、他の職種でも通用しやすいスキルを磨き、キャリアの選択肢を増やすことができるでしょう。
マーケターのキャリアプラン例
- 代理店で経験を積む
- 事業会社でキャリアアップする
マーケティングの種類は幅広く、マーケターの仕事内容も多岐に渡ります。まずは基礎的なマーケティングの知識を習得し、さまざまな手法や案件に触れる中で得意な分野を深堀していくことをおすすめします。実績を残すことで、キャリアアップを目指しやすくなるでしょう。
成果を上げることができたら、その経験を活かして事業会社の管理職としてキャリアアップに挑戦するのもよいでしょう。代理店と異なり自社サービスや商品のマーケティングに取り組むため、戦略立案からリピーター獲得まで事業全体を俯瞰してみることができます。ビジネスの課題に従事することもあるため、自分自身のスキルアップにも繋がります。
デザイナーのキャリアプラン例
- ディレクター職を目指す
- フリーランスとして独立する
デザイナーという職種には、Webデザイナー、グラフィックデザイナー、UI/UXデザイナー、イラストレーターなどさまざまな種類があります。それぞれ専門性が高く、仕事内容や求められるスキルが異なります。まずは自分が専門性を高めたい領域を定めるといいでしょう。
キャリアップに必要なのは、デザイナーとしての高いスキルです。経験値を積んでデザイナーとして専門性を高めた後は、制作全般を指揮するディレクターなどのマネジメント職に転身する手段もあります。デザイナーは在宅で取り組める仕事内容も多いため、フリーランスとして独立し、個人で活躍するデザイナーも多くいます。
事務職のキャリアプラン例
- 資格を取得する
- 専門的な事務職へキャリアアップする
事務職の種類は幅広く、業界に特化した貿易事務や医療事務、部署ごとに配置される一般事務、営業事務、総務事務、経理事務などさまざまあります。キャリアプラン次第では必要なスキルが大きく異なるため、まずは自分が目指したい方向性を定めるといいでしょう。
一般的な事務職のキャリアプランとしては、上記に記載した専門性の高い事務職を見据えることが一つ考えられます。キャリアアップするには、資格を取得するなどスキルの向上が求められることもあります。資格取得には一定の期間がかかるため、いつまでに何の資格を取るのか、具体的な期限を定めておくことが大切です。
女性がキャリアプランを立てる手順【例文あり】
初めからキャリアの目標を明確に描ける方は多くありません。ここでは、キャリアプランを立てる手順についてご紹介します。具体的な計画を立てた上で、どのようなスキルが必要なのかを考えていきましょう。
- 現状を分析する
- キャリアプランを立てるためには、まず自分の現状を分析することが大切です。これまでの経験を振り返り、自分のスキルや強みを洗い出しましょう。設計したキャリアプランのゴールに向けて、逆算して筋道を考えることができます。
- キャリアの方向性を決める
- 自分が将来どう在りたいか、キャリアの方向性を整理します。どのような職種に就きたいのか、スペシャリストかジェネラリストか、希望する年収や働き方などを具体的に書き出しましょう。このとき、漠然とした方向性をイメージするのではなく、3年・5年・10年と期間を区切って中長期的に描くことが大切です。
- 行動計画を立案する
- キャリアプランを実現するため、ギャップを埋めるための具体的な行動を計画します。キャリアプランに対しどのようなスキルや経験が不足しているのか、それらを身に付けるためにどのようなアクションを起こすべきかを落とし込んでいきましょう。イメージしづらいときは、理想のキャリアを実現しているロールモデルを参考に、その人がどのようなプロセスを踏んできたかを調べてみてください。
- キャリアプランを書き出す
- キャリアの方向性と行動計画をもとに、キャリアプランを言語化してみましょう。人に伝えられるくらい具体的にイメージできると、目標がクリアになり達成しやすくなります。
ここでは、面接でキャリアプランを伝えるときの簡易的な例をご紹介します。面接では、結論→具体例→まとめの順番で簡潔に分かりやすく述べるようにしましょう。下記のテンプレートに当てはめて書き出してみてくださいね。
【例文】
①キャリアプランのゴールを伝える
「私の目標は◯◯です。」
②ゴールまでの具体的なアクションを伝える
「そのために、3年後までに◯◯に取り組み、5年後までには◯◯の経験を積みたいです。 10年後には、◯◯を目指したいです」
③前向きに努力することをアピールする
「目標を実現するために、御社の◯◯職で◯◯のスキルを身に付けて成長したいです。」
- 実行して定期的に見直す
- キャリアプランは、設計した時点で考えられる仮説に過ぎません。人生は予想し得ない出来事が起こったり、行動してみないと分からないことがたくさんあります。行動する中でよりキャリアプランをブラッシュアップするための選択肢が生まれ、納得感を高めることができるでしょう。実行したら定期的に見直し、臨機応変に軌道修正することが大切です。
女性向け キャリアプランを立てる上でのポイント
キャリアプランを立てる手順についてご紹介しましたが、書き出すのが難しいと感じる方も多いのではないでしょうか。そこで、自分の強みが見つからない、キャリアアップのイメージを掴みにくいと感じる方に向けて、キャリアプランを立てる上でのポイントをお伝えします。
自身のスキルや強みを把握する
まずは、自分のスキルや強みを認識することが大切です。中には、広く浅く業務を経験したり、目立った業績を残すことができず、「自分には強みがない」と感じる方がいるかもしれません。しかし、仕事をするうえで自分なりに工夫したこと、うまくいかないときに行動を変えた経験があれば、それは業種や職種が変わっても活かせる立派な強みだといえます。まずは正しく自己理解することから始めてみてくださいね。
キャリアアップに必要な資格や知識を習得する
キャリアプランの方向性が決まったら、自分に不足している経験やスキルが見つかるでしょう。理想と現実のギャップを埋めるために、具体的にどのような資格や知識が必要か調べてみてください。資格を取得することは、目標を実現しようとする前向きな姿勢、一定のスキル・知識を身に付けていることを証明できるメリットがあります。
女性であることによるハンディキャップを恐れず、自らアピールすること
妊娠・出産を希望する方は、キャリアにブランクが生じることや、子育てに対してネガティブなイメージを持たれることに不安を感じる方が多いかもしれません。しかし、まだ起きていない未来を恐れる必要はありません。「女性」ではなく一人の社会人として、これまで培ってきた経験や自分の強みをしっかりアピールすることが大切です。
長期的に見据え、自分自身の人生設計に合わせたものを立てること
少子高齢化が進んでいることにより、年金の受給開始年齢が引き上げられたりと、老後の金銭面が不透明な時代になっています。プライベートでは、住宅ローンの返済、子どもの教育費、親の介護費用など大きな出費が必要になる方もいるかもしれません。生涯でかかるお金について知り、自分自身の人生設計に合わせてキャリアを考えることが重要です。
理想のキャリアを実現した3名のロールモデルを紹介!
ここまで、キャリアプランを考える手順やポイントについてお伝えしました。ただ、いざ考えてみると具体的にイメージすることは難しいですよね。そんな方に、理想のキャリアを実現した3名の女性をご紹介します。身近にロールモデルがいない方は、ぜひキャリアのヒントを見つけてみてくださいね。
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sakiさんは、専門学校卒業後に柔道整復師として勤務していました。しかし、お子さんが保育園に入れなかったことから、職場を退職せざるを得ない状況に。そんなキャリア迷子の中、女性向けキャリアスクールのSHElikesに入会。自宅にいる時間を最大限活用しながら学習を進め、在宅ワークでお子さんに「おかえり」と言ってあげられる理想の働き方を実現されました。
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