統計検定データサイエンス(DS)基礎
は、2021年から試験が開始された統計の知識をデータサイエンスに応用するための重要な資格試験です。
この試験では、データの集計や分析、モデリングなど、データサイエンティストに求められる基礎的なスキルが問われます。
難易度は決して低くありませんが、しっかりとした対策をすれば合格は十分可能です。
本記事では、統計検定DS基礎の難易度や、効果的な勉強法について詳しく解説しますので、これから取得を考えている人は、ぜひ参考にしてください。
統計検定データサイエンス(DS)基礎とは
まずは、「統計検定データサイエンス(DS)基礎」の試験概要や問われるスキル、どのような問題が出題されるのかを紹介します。
試験概要
試験概要*1は次のとおりです。
- 問題数:大問8題(大問1題当たり小問5問程度)、合計小問45問程度
- 出題形式:コンピュータ上で表計算ソフトExcelを使って処理した結果をもとに、選択や数値、文字入力で答える形式
- 試験方式:CBT方式(Computer-Based Testing方式)
- 試験時間:90分
- 合格基準:100点満点中60点以上
- 電卓の使用可否:使用できません
- 合格証の有無:試験日の翌月の第3週目にオープンバッジ(電子証明)が発行
- 受験料:一般価格 7,000円(税込)、学割価格 5,000円(税込)
- 試験日程:株式会社オデッセイ コミュニケーションズのCBT方式試験申込サイトから試験会場や試験日を選択
試験で問われる技能
「統計検定データサイエンス(DS)基礎」では、データサイエンスにおける重要な技能が問われます。特に、データハンドリング技能、データ解析技能、そして解析結果の適切な解釈が試験の中心となります。特に、Excelを使った実技が求められ、ピボットテーブルや各種関数を活用して、実際のデータを扱いながら分析を行います。
また、プログラミング言語であるPython(パイソン)の操作といった実務的な内容も含まれているため、学んだ知識を実務に活かすスキルも養えます。
データサイエンスに興味を持つ初学者にとって、実践的なスキルを身につけるための最適な試験なので、ぜひ取得を目指しましょう。
出題範囲
「統計検定データサイエンス(DS)基礎」の出題範囲は次のとおりです。*2
項目 | 内容 | 学習しておくべき用語 | Excel操作 |
---|---|---|---|
データベースマネジメント | 構造化データの構築、データ形式の変換、データ抽出などの整理・整形 | 構造化データ(レコード×フィールド、ケース×変数)、欠測値、データの結合、データ形式(ロング⇔ワイド)、データ抽出(ランダムサンプリング、無作為標本抽出)など | データのソート、ピボットテーブル、RAND関数など |
データマネジメント | データの種類や尺度を理解し、層別、水準(レベル)化、変数変換 | 質的データ、量的データ、データの尺度、層別、水準(レベル)化、変数変換、Z変換(標準化)、偏差値など | データの分析、四則演算、 IF関数など |
データの可視化 | データを目的に応じたグラフによる可視化 | 円グラフ、棒グラフ、折れ線グラフ、帯グラフ、ツリーマップ、パレート図、ヒストグラム、箱ひげ図など | グラフ作成 |
質的データの分析 | 1変量の質的データの分析 | パレート表、パレート図、構成割合(確率)、累積度数など | SUM関数、ピボットテーブル、CHISQ.TEST関数など |
2変量以上の質的データの分析 | クロス集計表を用いた連関分析や要因探索 | ||
量的データの分析 | 1変量の量的データの分析 データ分布を分析して現状把握 |
階級、度数分布表、基本統計量(平均、標準偏差、分散)、ヒストグラム、管理図、外れ値など | データの分析 AVERAGE関数 VAR関数 STDEV関数 CORREL関数
|
2変量以上の質的・量的データの分析 | 相関、単回帰分析、重回帰分析、回帰係数、残差 | ||
確率による意思決定 | 確率分布を理解しシミュレーションが実行できる。 | 条件付き確率、ベイズの定理、期待値、2項分布、正規分布など | BINOM.DIST関数 NORM.DIST関数 NORM.S.DIST関数 NORM.INV関数 CONFIDENCE.NORM関数 CONFIDENCE.T関数 Z.TEST関数 T.TEST関数 CHISQ.DIST関数 CHISQ.INV関数 CHISQ.TEST関数 データの分析 |
推定:標本誤差を理解し、母集団の推定ができる。 | 信頼区間、標本誤差、母平均など | ||
検定:仮説検定を理解し、文脈に応じた検定が可能 | 帰無仮説、対立仮説、有意水準、有意確率、Z検定、t検定、χ2検定 | ||
時系列データの分析 | 時系列データの特徴を分析できる | 指数、移動平均、成長率、季節調整など | AVERAGE関数 |
テキストマイニング | テキストの意味を理解し、出現頻度を分析できる |
統計検定データサイエンス基礎の難易度
「統計検定データサイエンス(DS)基礎」を受験しようと考えている方にとって、毎年どのくらいの人が合格しているのかは気になるポイントでしょう。
まず、受験者数ですが、2016年の396人から、2023年には24,981人と年々増加しています。背景には、データサイエンス分野への関心の高まりと、試験の認知度向上が考えられます。
一方、合格率は年ごとに変動が見られ、2021年の合格率は42.8%、2022年には34.0%に低下しましたが、2023年には62.3%に回復しています。*3
統計検定データサイエンス基礎は、一般的には比較的取り組みやすい試験であるものの、年によって試験の難易度や受験者の競争状況が異なることがわかります。
統計検定データサイエンス基礎に必要な勉強時間の目安
続いては、統計検定データサイエンス基礎の勉強時間の目安をみていきます。
まず、一般的なExcel操作に慣れている方であれば、統計検定2級以上を保有している場合は約20時間の学習で合格が見込めます。
一方、データサイエンス未経験の方であれば、統計学の基礎知識とExcelのスキルをゼロから学ぶ必要があるため、40〜60時間程度は必要かもしれません。
さらに、統計学やExcelの操作を初めて学ぶ場合には、まず統計学の基本をしっかりと学んだ後、Excelでの実践的なデータ処理を行う必要があります。この場合、学習には50〜100時間程度かかることが予想されます。
このように、事前知識や経験に応じて学習時間は異なります。自分の状況を加味した学習プランを立てましょう。
統計検定データサイエンス基礎の勉強法
統計検定データサイエンス基礎の試験に合格するためには、計画的な学習と効果的な勉強法が必要です。ここでは統計検定データサイエンス基礎の勉強に役立つ具体的な方法を4つ紹介します。初心者でも取り組みやすい内容なので、これから試験に挑戦する方はぜひ参考にしてください。
公式サイトのサンプル問題を確認しておく
試験対策の第一歩として、公式サイトに掲載されているサンプル問題を確認しましょう。サンプル問題をチェックすれば、試験の形式や出題される問題のタイプを把握でき、自分の現在の理解度を客観的に評価できます。どの分野に重点を置くべきかが明確になるため、効率的に学習を進める手助けにもなるでしょう。
さらに、サンプル問題によって試験の傾向や頻出分野を把握し、試験本番に向けた具体的な対策を立てることも可能です。
講座・セミナーを受講する
専門の講座やセミナーでは、試験対策に特化した内容が提供され、実践的なアドバイスや問題解決のコツが学べます。
特に講座では、経験豊富な講師から直接指導が受けられるので、理解を深めるための具体的な戦略やノウハウを身につけられます。また、講座やセミナーでは質問する機会が設けられているケースも多いです。疑問点をその場で解消できるため、自分の学習の進捗状況を確認しながら効果的に学ぶことができるでしょう。
プロの指導を受けることで、試験準備がより一層充実したものになるはずなので、ぜひ検討してみてください。
参考書で問題を解く
基礎的な知識を固めるためには、参考書を活用して問題を解くことが非常に効果的です。
特に、参考書には、試験に関連する理論や実践問題が豊富に掲載されているため、自分の理解度を確認しながら学習が進められます。
さらに、過去問や類似問題を解くと試験形式に慣れるだけでなく、実際の試験で出題されやすい分野を重点的に勉強できます。
自信を持って試験に臨むためにも、ぜひ参考書は手にしておきましょう。
Excel操作のスキルを習得する
データサイエンス基礎試験では、Excelを利用したデータ処理能力が大きなポイントとなります。試験では、特にデータの整理や分析において、ピボットテーブルや各種関数(AVERAGE、VARなど)の活用能力が問われます。
そのため、これらの機能を自在に操作できるスキルを身につけることが重要です。
特に、実際のデータを用いた実践的な練習を通じて、Excelでのデータ分析スキルを深めておけば、試験問題に対する対応力が飛躍的に向上し、合格に一歩近づけるでしょう。
統計検定データサイエンス基礎の勉強におすすめの参考書
統計検定データサイエンス基礎を効果的に学ぶためには、信頼できる参考書の活用が必須です。特に、試験の内容に沿った問題や解説を提供し、基礎から応用まで幅広くカバーしているかどうかがポイントといえます。
そこで、統計検定データサイエンス基礎の試験対策に役立つ、おすすめの参考書を2冊紹介します。合格に必要な知識とスキルを身につけるためにも、ぜひチェックしてください。
『日本統計学会公式認定 統計検定データサイエンス基礎対応 データアナリティクス基礎』著:大橋 洸太郎、塩澤 友樹、渡辺 美智子
本書は、「データサイエンス基礎」試験の出題範囲を網羅したテキストです。
単なる統計の解説にとどまらず、試験問題で使用されるデータセットをダウンロードできる機能も提供されています。たとえば、Excelを使ったデータ処理の方法やその具体的な手順を学ぶためのQRコード付き動画などは非常に便利です。
そのため、試験での解答能力を高めるだけでなく、実務で役立つデータアナリティクスのスキルを実践的に身につけることができる内容となっています。統計知識の向上と同時に、現場での活用を視野に入れた実践的な能力も養うためにも、ぜひ一度お試しください。
『Excel で学ぶ ビジネスデータ分析の基礎 ビジネス統計スペシャリスト・エクセル分析ベーシック対応』著:玄場 公規、湊 宣明、豊田 裕貴
本書は、オデッセイコミュニケーションズが実施・運営する資格試験「ビジネス統計スペシャリスト」の新科目「エクセル分析ベーシック」に対応した公式テキストです。
ビジネスの現場で活用されるデータを正しく理解し、分析するための基礎知識をわかりやすく解説しながら、Excelを用いた具体的な分析手法を丁寧に紹介しています。
特に、初心者でも無理なく学べる内容となっており、ビジネス実務で役立つデータ分析スキルを習得したい方に最適です。さらに、Excelでの操作方法が実際の業務にどのように応用できるかを実践的に学べるため、データ分析のスキルアップを目指す方にも大変有用な1冊となっています。
統計検定データサイエンス基礎の関連資格と難易度
統計検定データサイエンス基礎の資格を取得すれば、データを使った意思決定や問題解決に必要な統計的手法を理解できるようになります。
関連する資格として、データサイエンス発展(DS発展)やデータサイエンスエキスパート(DSエキスパート)といった上位資格があるので、それぞれの特徴を紹介します。
今後のスキルアップにも役立つ情報なので、ぜひおさえておきましょう。
データサイエンス発展(DS発展)
データサイエンス発展(DS発展)は、データサイエンス基礎の次に位置する資格で、より高度なデータ分析手法や応用技術が学べます。
難易度が上がるため、合格率は基礎レベルより低くなります。
特に、統計の応用やデータ解析の実務経験が求められることが多いため、実践的なスキルを網羅した学習が必要です。
データサイエンスエキスパート(DSエキスパート)
データサイエンスエキスパート(DSエキスパート)は、データサイエンス分野の最高峰の資格です。そのため、難易度は非常に高く試験範囲は膨大です。具体的には、高度な統計知識やビッグデータの解析、機械学習の応用まで幅広い分野でのスキルが求められます。
そのため、試験に合格するには専門的な知識を深く理解し、実務経験も積んでおく必要があります。
統計検定データサイエンス基礎に関するよくある質問と回答
最後に、統計検定データサイエンス基礎に関するよくある質問と、それに対する具体的な回答を紹介します。受験を考えている方や、試験準備を進める方は参考にしてください。
データサイエンス基礎を受験するメリットは?
データサイエンス基礎を受験する最大のメリットは、データサイエンスの基本的な知識を体系的に学び、実際に使えるスキルが身につくことです。特に、ビジネスシーンや研究現場において、データ活用した意思決定を行う場面が増えています。そのため、データ分析の基礎を理解していることは、今後のキャリアにおいて強力な武器になるのです。
さらに、統計やデータサイエンス分野における上位資格に進むための基盤となり、専門知識を身につける足掛かりにもなるでしょう。
過去問は解くことができる?
データサイエンス基礎試験の過去問は公表されていません。
そのため、公式サイトや参考書で提供されているサンプルを活用しましょう。サンプル問題であっても、試験の形式や問題の傾向を把握でき、合格率を上げるための対策も立てやすくなります。
試験の申し込み方法は?
試験の申し込みは、希望する日時や会場を選び、申し込みフォームに必要事項を入力するだけで完了します。さらに、試験は定期的に実施されているため、自分のスケジュールに合わせた受験日を選ぶことができます。
また、オンライン試験の選択肢も用意されており、自宅などの自分が最も快適に受験できる環境を選ぶことができる点も大きな利点です。統計検定データサイエンス基礎試験の申し込みは、公式統計検定協会のWebサイトから行うことができますが、必ず最新の情報を確認して手続きを進めてください。
データサイエンティストに関連する資格を知りたい
データサイエンティストを目指す方にとって、スキルを体系的に学び、客観的に証明するために資格取得は非常に有効な手段です。関連する資格には、統計やデータ分析、プログラミングなどの幅広い分野があります。
たとえば、「統計検定データサイエンス基礎」は、データ分析の基礎をしっかりと学ぶための資格であり、データサイエンティストのキャリアのスタートに最適です。
くわしくは次の記事で紹介しているので、ぜひご覧ください。
データサイエンスの分野は幅広いため、自分の興味やキャリア目標に合わせた資格取得を目指すことで、スキルアップとキャリアの道を確実に広げることができるでしょう。
資格を取得して統計検定データサイエンティストとしてのスキルをアピールしよう
今回の記事では、統計検定データサイエンティスト基礎の受験を検討している方に向けて、試験概要や出題範囲や難易度、勉強方法などを紹介しました。
データサイエンティストとして活躍するには、統計検定データサイエンス基礎を体系的に学ぶことは非常に有効です。
SHElikesでは、データ分析や広告運用、マーケティングなどのコースを通じてデータ活用スキルを高められます。さらに、プログラミングの入門コースやビジネススキルを学ぶコースもあり、データサイエンスに関連する知識も深めることができるでしょう。
興味がある方は、一度無料体験レッスンに参加してみてはいかがでしょうか。
※出典
*1「統計検定」統計検定 データサイエンス基礎(DS基礎)より
*2「統計検定CBT(データサイエンス基礎)」出題範囲表より
*3「統計検定」各年の受験者総数と各級各年の合格率(CBT方式)より