ペルソナとは?マーケティングで活用するメリットや設定方法・具体例を解説

ペルソナとは?マーケティングで活用するメリットや設定方法・具体例を解説

マーケティングの基本として、最初に勉強する人も多いペルソナ。ペルソナ設定を行えば、ペルソナに近いユーザーに適した商品やサービスを作りやすくなります。一方でデジタルマーケティングの手法が増えた今、「ペルソナマーケティングはもう古い」との意見も。ペルソナを勉強しようと思っている人は、その真偽も気になりますよね。

この記事では、ペルソナの概要や活用するメリット、具体的な設定方法を詳しく紹介していきます。

ペルソナとは?

ペルソナとは、マーケティング分野で利用される用語で、自分が販売したい商品やサービスを利用する具体的なユーザー像のことです。ラテン語において仮面や人格を意味する「ペルソナ(Persona)」に由来しています。

マーケティングの手法の一つとして「ペルソナマーケティング」という言葉を聞いたことがある人もいるでしょう。ペルソナは、企業のビジネス戦略において、顧客やクライアントを理解するために使われます。

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ペルソナとターゲットの違い

商品やサービスのユーザー像を考える際に「ターゲット」という言葉を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。ペルソナとターゲットの違いは、「ユーザー像をどこまで掘るか」です。マーケティングにおいて果たす役割は似ていますが、ペルソナではターゲットよりも詳細で具体的な人物像を作ります。化粧品会社で女性向けの新商品を販売すると仮定して、実際の例を見てみましょう。

ターゲットの例 ペルソナの例
・関東在住の30代
・女性
・社会人3年目
・既婚者
・化粧品に興味あり
・東京都世田谷区在住の32歳
・女性
・携帯販売員
・社会人3年目を迎えたばかり
・既婚者、子どもはなし
・コスメはプチプラを使用
・休日はフィットネスジムに通う
・水回りの家事による手荒れが悩み

ターゲットの場合、「30代の女性」「関東在住」など、年齢や性別などの属性を中心に情報を整理しますが、ペルソナでは人物像をさらに細かく深掘りします。商品に関係のありそうなことであれば、ユーザーが抱えている個人的な悩みや趣味まで想定することも。このように、架空のユーザー像を設定し、適切な施策を探るマーケティングの手法を「ペルソナマーケティング」と呼びます。

ペルソナマーケティングの手法は古い?

ペルソナマーケティングには多くのメリットがありますが、近年では「古い手法」として、その必要性を疑問視する声が上がっています。その理由の一つは、デジタル広告の媒体が増加し、SNS投稿や口コミなどユーザー側の発信が盛んとなったことです。ユーザーとの接点が増えたことにより、効果的なマーケティングを実施するためにもペルソナ設定に限らずあらゆる方法を模索しながら進める必要があります。

さらに近年ではAIを活用することで、人間よりもスピーディかつ高精度で作業を進められるなどの可能性も示唆されています。人の手によるペルソナ設定だけでは、時間がかかったり考慮しきれない要素が生じたりするため、ペルソナマーケティングは古いといわれているのかもしれません。

しかしながら、商品やサービスの企画・開発段階からAIが顧客の細やかなニーズに応じた提案を行うのは個人の裁量(AIの扱い方)によって大きく左右されます。そのため、ペルソナ設定は依然としてマーケティング戦略において欠かせない役割を果たしていると言えるでしょう。

ペルソナマーケティングを活用するメリット

ペルソナマーケティングを活用するメリットは、主に3つあります。

  • ターゲットに刺さるアプローチができる
  • 戦略の方向性が定まりやすくなる
  • 顧客イメージを組織内で共有しやすい

商品やサービスのユーザー像を明確にする役割をイメージする人も多いかもしれませんが、実はそれだけではありません。この章では、ペルソナマーケティングを活用するメリットを解説します。

ターゲットに刺さるアプローチができる

ペルソナマーケティングは、ユーザーの関心事や行動パターンにも焦点を当てるため、ターゲットに深く刺さるアプローチが可能です。たとえば先程のペルソナで挙げた「水回りの家事による手荒れが悩み」という悩みからは、「保湿効果のある商品が欲しい」というニーズがわかります。また、「コスメはプチプラを使用」していることからは、なるべく化粧品にはお金をかけたくないという気持ちが表れているともいえます。

ペルソナを考える過程で、ユーザー自身も気がついていなかった潜在的なニーズを発見することもあるかもしれません。このようなユーザーの悩みに寄り添ったアプローチは、売れる商品をつくるための効果的な手段となるでしょう。

戦略の方向性が定まりやすくなる

ペルソナを明確に定めることで、ユーザーのニーズをより明確に把握できるため、そのニーズに合致した戦略を立てやすくなります。マーケティングには様々な手法がありますが、「誰の・どんなニーズに応えたいのか」によって戦略は変わります。

例えばターゲットが高齢者の場合、若者に対して効果的とされているSNSマーケティングは、思うような結果が得られないかもしれません。一方で同じ高齢者でも、ペルソナが「普段からSNSを使用している高齢者」であれば話は異なります。このように、詳細にペルソナを作り込むことで、商品をターゲットに届けるための戦略も練りやすくなります。

顧客イメージを組織内で共有しやすい

ペルソナを利用することで、ユーザーが商品をどのように利用するかというイメージを組織全体で共有しやすくなります1つの組織内には、デザイン担当部門や製品・サービスの広報部門など、複数の部署が存在します。商品やサービスの制作段階において、これらの部署間での円滑な意思疎通や一貫性のある行動を実現するためには、ユーザーに関する共通理解が必要です。

前提条件の認識にズレが生じてしまうと、必要のない作業が発生したり、スケジュールに遅れが出たりすることがあります。ペルソナは、各部署のメンバーが同じ視点に立って作業するために欠かせない要素なのです。

ペルソナ設定のやり方4ステップ

マーケティングにおけるペルソナ設定のやり方の例を4ステップで解説します。

  1. 自社の強みを明確にする
  2. ターゲット層を絞る
  3. 情報を収集する
  4. ペルソナを作成する

4つの段階には、それぞれ知っておくべきポイントがあります。一つずつ確認していきましょう。

1.自社の強みを明確にする

最初に、自社が得意とすることや他社との違いをはっきりさせましょう。企業自身が顧客の視点から自社を見つめ直す「自社分析」を行う必要があります。とはいえ、自社分析に取り組むといっても何をすればいいのかわからない人もいるでしょう。そんな時は「3C分析」のフレームワークを活用しましょう。

3C分析を活用した自社分析

  • Customer(市場・顧客)…自社にとっての“顧客”とは誰なのか、またどこにいるのか
  • Company(自社)…自社の強みとは何か
  • Competitor(競合)…自社と競合他社との違いは何か

自社の商品やサービスの課題や、顧客にどんな価値を提供しているかもあわせて考えてみましょう。自社を客観的に把握することで、まずは現在の状況を整理します。ほかにもさまざまな分析方法があるので、実際に検討しながら自社に合った方法を探してみてください。

2.ターゲット層を絞る

次に、ターゲットを絞りましょう。どんな年齢層の人やどんな興味を持つ人をターゲットにするかを決めます。ペルソナを作成する前の段階なので、「近隣に住む50代の男性」程度の大まかなターゲット層を絞れれば十分です。

ターゲットを絞る際に参考になるのが、既存顧客の購買データです。また、コンタクトセンターの問合せ履歴も役に立ちます。実店舗がある場合には、実際に足を運び、顧客の性別や年齢をリサーチするのも良いかもしれません。これらの情報を参考に、まずは顧客情報からおおよそのターゲットを設定してみましょう。

3.情報を収集する

ターゲットが決まった後は、ペルソナの作成に必要な情報を収集していきます。情報収集のやり方はさまざまですが、例として以下の方法があげられます。

  • アンケート・インタビュー
  • 顧客と接点を持つ担当者への聞き取り
  • インターネット上の口コミ調査
  • Webサイトに訪れたユーザーの行動データ

たとえばアンケートやインタビューは、自社の商品・サービスの購入者に対して実施することで、直接的なフィードバックをもらえたり、顧客の属性情報を得られたりします。またWebサイトにおけるユーザーのアクセス経路や離脱までの時間などを分析することも有効です。インターネット上の声と、インタビューでのリアルな声の2つの視点から情報を集めると、より詳細なペルソナが見えてくるかもしれません。

4.ペルソナを作成する

情報収集の次は、以下の3つの属性項目に沿って顧客の情報を整理します。

  • デモグラフィックデータ : 年齢、職業、性別、年収など
  • サイコグラフィックデータ : 趣味、嗜好、悩み、信念(宗教)、価値観など
  • ビヘイビアルデータ : 購買履歴、購入場所、購入方法など

情報がわからない部分もあるかと思いますが、3つのデータが揃えばペルソナのパーソナリティが徐々に浮かび上がってきます。可能であればイラストや生成AIを使って、ペルソナを視覚化すると情報を共有するときに便利です。

【シーン別】ペルソナ設定の具体例

ビジネスシーンで見るペルソナ設定の具体例には、BtoCとBtoBの2つのケースが考えられます。それぞれ異なるアプローチが必要ですので、具体的な設定方法について解説していきます。

BtoCのビジネスモデルの場合

BtoCの事業におけるペルソナ設定の具体例は以下のとおりです。

新商品:AI搭載のスマートウォッチ

  • ペルソナ:30代女性、会社員
  • 年齢:30代
  • 性別:女性
  • 職業:会社員
  • 趣味・関心事:健康、美容
  • 収入:300万
  • 生活スタイル:一人暮らし、フルタイム勤務
  • 悩み:忙しい仕事の合間の健康管理が難しい
  • 課題:運動量や睡眠の質がわかりにくい
  • ニーズ:手軽に健康管理ができるアイテムが欲しい

BtoCのマーケティングでは、一般的な消費者向けにサービスや商品を提供することが主な目的です。従って、ペルソナから浮き上がるニーズも個人が抱える悩みや欲求がメインになります。

BtoBのビジネスモデルの場合

BtoBの事業におけるペルソナ設定の具体例は以下のとおりです。

新サービス:クラウド型の倉庫管理システム

  • 年齢:45歳
  • 性別:男性
  • 企業規模:大企業
  • 業界:物流
  • 決裁権限:あり
  • 休日の過ごし方:ゴルフや釣りに行く、家族で出かける
  • 仕事のやりがい:物流を通して、お客様に必要な商品を届けられること
  • 課題:人材不足が深刻化しており、在庫管理に手間と時間がかかっている
  • ニーズ:在庫管理の効率化・人材不足の解消をしたい

BtoBのマーケティングでは、企業向けにサービスや商品を提供することが目的です。そのため、決済権限の有無やサービスを購入することで社内のどんな課題を解決したいのかをペルソナに盛り込むと良いでしょう。

ペルソナマーケティングの注意点

ペルソナマーケティングには、2つの注意点があります。どちらも最初に知っておけば対策できる内容なので、意識しながらペルソナの作成に取り組みましょう。

思い込みに気をつけながらペルソナを設定する

ペルソナを設定する際には、あらかじめ持っている固定観念や偏見に惑わされないようにしましょう。思い込みに気が付かないままユーザーの深掘りを続けてしまうと、ペルソナが実態からかけ離れてしまう可能性があります。また、思い込みと同様に、一部のユーザーからのフィードバックに基づいて全体を判断することも避けるべきです。

ペルソナマーケティングでは事実に基づいたデータと客観性の高い調査手法を用いて、ユーザーの実態を正しく把握することが重要です。不安であれば、複数人でペルソナを作成するか、完成したペルソナを第三者に見せてフィードバックしてもらいましょう。

定期的に効果検証・改善をおこなう

どんな業界でも、流行は日々変化しています。一度設定したペルソナをそのままにしておくと、時が経つにつれて古い情報に基づいたペルソナになってしまうこともあります。

適切な期間は業種によって異なりますが、例えばIT業界などの変化が速い業界では、数ヶ月単位や半年ごとにペルソナをアップデートすることが適している場合もあります。過去に作成したペルソナが時の流れによって実態とずれることもあるので、効果検証は定期的に行いましょう。また、ユーザーのフィードバックを受け入れ、改善につなげる姿勢も大切です。

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ペルソナマーケティングは、マーケティングの中でも基礎となる手法です。独学で勉強することも可能ですが、最初のうちは実際のユーザー像とかけ離れてしまう人も少なくなりません。そんな時に頼りになるのがプロのサポートです。また、プロの指導を受けることでモチベーションを維持しやすくなるメリットもあります。

たとえばキャリアスクールのSHElikes(シーライクス)では、ペルソナマーケティングに興味を持っている人に最適な6つのコースを提供しています。そのコースには、マーケティングの基礎から応用まで幅広い内容が含まれており、マーケティング全般に興味のある人にとっても価値のある内容となっています。マーケティング系のスキルが身に付く6つのコースは以下のとおりです。

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ABOUT ME
ライター すなくじら
事業会社でWebディレクター・ライター職を経て独立。現在はフリーライターとして活動しています。取材からSEOライティングまで、ジャンルレスにさまざまな記事を書きます。
エディター Kakuhata Kyosuke
同志社大学 生命医科学部医情報学科卒。在学中、基礎科学や生体情報の取得・制御、プログラミングについて学ぶ。大学院進学後Pythonデータ解析や生体化学を学んだあとライター業を開始。現在はフリーランスとして活動し、キャリア領域のメディアを中心にSEO記事を編集・執筆している。

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。