業務のDX化が進むなか、パソコンスキルを持つ人材の需要は高まり続けています。パソコンスキルを自分の強みにするには、Officeソフトの操作スキルを証明できる「MOS」を勉強するのがおすすめです。なかでも、幅広い職種におけるデータ管理や分析、資料作成に活用されるExcelの操作は、社会人の必須スキルといえるでしょう。
この記事では、MOSのExcel資格の概要や取得するメリット、勉強方法を解説します。パソコンスキルに自信を持ちたい方や、MOSが役立つか気になる方は、ぜひ参考にしてください。
MOS(Microsoft Office Specialist)資格とは?
MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)とは、マイクロソフトオフィス製品である以下のソフトの操作や知識が問われる国際資格です。
- Excel
- Word
- PowerPoint
- Access
- Outlook
MOSはソフトごとに資格が区分されており、それぞれ2016・2019・365の3つのバージョンからさらに「一般レベル」と「上級レベル(エキスパート)」の2種類に分類されています。
「Officeソフト」とも呼ばれるこれらのソフトは、国内外問わず多くの企業が導入しています。従業員のパソコンスキル向上を図るために、MOSの取得を推奨する企業も少なくありません。
MOSのExcel資格の概要
MOSのなかでも、さまざまな作業に活用できる「Excel」の資格を取得してスキルアップを目指す社会人は多いでしょう。ここでは、MOSのExcel資格試験について以下の概要を紹介します。
MOSとは何か、どのように試験が実施されるのかを確認したうえで、取得を目指すレベルを選びましょう。
試験会場・試験日時・受験料
MOSの試験には「全国一斉試験」と「随時試験」の2種類があり、それぞれの試験は以下のように実施されます。
全国一斉試験 | 随時試験 | |
---|---|---|
試験会場 | 全国約30箇所の地域から選択 | 全国約1,500箇所の試験会場から選択 |
試験日時 | 月1~2回実施 | 各会場でほぼ毎日実施 |
また、MOSのExcel資格試験の受験料は以下の通りです。2025年5月1日以降は料金が改訂されます。※すべて税込表記
2025年4月30日まで | 2025年5月1日以降 | |||
---|---|---|---|---|
一般価格 | 学割価格 | 一般価格 | 学割価格 | |
一般レベル | 10,780円 | 8,580円 | 12,980円 | 9,680円 |
上級レベル | 12,980円 | 10,780円 | 12,980円 (変更なし) |
9,680円 (一般レベルと統一) |
全国一斉試験と随時試験で会場数や試験の実施頻度が異なりますが、受験料や試験内容に違いはありません。
受験資格・有効期限
MOSには受験資格や有効期限がありません。国籍や年齢を問わず誰でも受験できるほか、一度取得すると更新の必要がなく、保有し続けられます。
ただし、不合格になった試験を改めて受ける際は、前回の受験から24時間以上空ける必要があります。3回目以降の受験では、前回から48時間以上が経過していなければ試験を受けられません。また、未成年者の受験には保護者の同意が必要です。
MOSには再受験や未成年者の受験に関するルールが設定されているものの、合格するまで何度も挑戦できます。
出題形式・出題範囲
MOSの試験は、「マルチプロジェクト形式」で実施されます。マルチプロジェクト形式とは、5~10個のプロジェクトごとにファイルが用意され、各ファイルにおいて1〜7個の細かいタスク処理を指示される試験のことです。
試験は実際にパソコンでソフトを操作しながらタスクを進め、終了するとすぐに合否が分かります。全バージョンに同じ出題形式が取り入れられ、出題範囲においても大きな違いはありません。続いて、一般レベルと上級レベルの出題範囲について解説します。
一般レベル
一般レベルの試験では、Excelの基礎的な問題が出題されます。主な出題内容は、一般的な事務業務で使用されやすい機能の操作についてです。たとえば、試験では以下のような操作を求められます。
- ワークシートやブックの作成・設定・管理
- セルやセル範囲のデータ操作・設定
- テーブル作成とテーブルのデータ管理
- 数式や関数の使用
- グラフの作成・管理
出題範囲の内容が普段から使用している機能の操作であっても、実践的な練習を繰り返すことで、合格の可能性を高められるでしょう。
上級レベル(エキスパート)
上級レベルでは、Excelの基本的な操作スキルに加え、高度な機能を駆使してタスクを処理する能力が求められます。具体的には、以下のような内容です。
- ブックの設定・管理
- データの管理・書式設定
- 高度な機能を使用した数式・マクロの作成
- 高度な機能を使用したグラフやテーブルの作成・管理
上級レベルの試験では、関数やマクロを用いてデータのフォーマットを整えるような操作が多いのが特徴です。
受験者数・合格率・難易度
MOSの累計受験者数は、2024年末時点で520万人を超えています*1。ソフトやバージョンごとの受験者数は公表されていないものの、世界中で多くの人が取得を目指していることが分かります。また、MOSは合格率のデータも公表されていません。
しかし、試験の出題範囲などから難易度を推測できます。ここでは、一般レベルと上級レベルの難易度について解説します。
一般レベル
一般レベルは、基礎的な機能や操作が求められるため、初心者でも勉強して臨めば取得しやすい難易度の試験です。MOSが公表している全ソフトの受験者データによると、試験を受けるもっとも多い年齢層は21~30歳(31.7%)です*2。続いて、20歳以下が30.3%を占めています*3。
一般レベルは、就職活動を見据えた学生やキャリアの浅い社会人が、パソコンスキルを身につけるために挑戦しやすいレベルであることが考えられます。
上級レベル(エキスパート)
上級レベルの試験では、マクロを用いた操作やピボットテーブルの作成など高度な機能の操作スキルも求められます。上級レベルに合格するにはExcelの機能を一通り使いこなせる必要があるため、一般レベルよりも試験の難易度は上がります。
しかし、講座を受講したり繰り返し練習したりすることで、初心者でも十分に合格を目指せるといえるでしょう。
MOSのExcel資格を取得するメリット
MOSのExcel資格を取得することで、就職・転職活動や日々の業務など、さまざまなシーンに活かせます。ここでは、Excelを勉強してMOSを取得する以下のメリットを解説します。
Excelの資格を取る必要があるのか、MOSがどのように役立つのか気になる方は、ぜひ参考にしてください。
パソコンスキルを客観的に証明できる
MOSは、パソコンスキルを客観的に証明できる資格です。パソコンの操作スキルがあるかどうかの基準は、人によって異なります。MOSのExcel資格を取ることで、試験の合格基準を満たすレベルの操作ができることが明確になります。
MOSは一般レベルと上級レベルに分かれているため、取得した資格のレベルからどの程度のスキルがあるのかを具体的に示せるでしょう。MOSの取得は、「Excelが使える」という自己アピールの信ぴょう性を高めることにつながります。
業務効率向上につながる
Excelの機能を理解して円滑に操作できるようになることで、業務の効率化を図れます。MOSは実際にパソコンでExcelを操作しながら勉強するため、取得する過程で業務に直接活かせる実践的なスキルが身につきます。
たとえば、関数やマクロを用いたデータ整理やグラフ作成などは、生産性の高い働き方を実現するでしょう。これまで長い時間を費やしていたデータ分析や資料作成が、迅速かつ高いクオリティで行えるようになります。
就職・転職でアピールポイントになる
MOSは、就職・転職活動において有利にはたらく資格です。多くの企業でパソコンスキルを保有した人材が求められており、なかには採用選考に進むうえでExcel操作を必須スキルとしている企業もあります。
企業にとっても、履歴書の資格欄にMOSの記載があることで、応募者がExcelに強いことを判断しやすくなります。特に事務職を志望する場合だったり、社会人としてキャリアが浅かったりする場合、資格保有を強みとしてアピールできるでしょう。
MOSのExcel資格の勉強方法
MOSはIT系資格のなかでも難易度が低いといわれています。しかし、合格するには出題範囲を網羅的に勉強し、Excel操作に慣れておくことが重要です。ここでは、MOSのExcel資格を取得するための、以下の勉強方法を紹介します。
独学や講座の受講など、自分のスキルレベルやライフスタイルに合う方法で勉強を進めましょう。
公式テキストや問題集を活用する
独学でMOSのExcel資格を勉強する場合は、公式テキストや問題集を活用しましょう。MOSには、ソフトやレベル、バージョンごとに公式のテキストと問題集が出版されています。
公式の教材では、出題範囲を網羅した基礎から応用までの出題範囲を学べます。また、公式問題集には解説や模擬試験問題も含まれており、綿密な試験対策が可能です。独学で漏れなく勉強できているか不安な方は、公式テキストや問題集を使うとよいでしょう。
対策講座を受講する
普段からパソコンやExcelに触れる機会が少ない方や、効率的に試験勉強がしたい方は、講座を受けるのもおすすめです。通信講座やパソコンスクールでは、MOSの対策講座が多く開講されています。
対策講座によっては、プロの講師による解説を受けられたり、受講後に質問できたりします。不明点を迅速に解消できれば、効率的に学習を進められます。プロの講師から指導を受けることで、学習のモチベーションを保てるメリットもあるでしょう。
学習サイトを活用して学ぶ
MOSの試験対策には、学習サイトも活用できます。学習サイトによっては、現時点のスキルレベルを診断できたり、ユーザー同士で情報交換したりすることが可能です。
MOSの公式サイトでは、試験の運営会社による学習支援サイトを紹介しています。公式サイトで紹介されている以外にも、インターネット上には模擬試験をダウンロードできるサイトや、Excel操作に関する問題を出題しているサイトがあります。学習サイトは、書籍や講座で学んだ知識の定着を図るのに役立つでしょう。
実際にExcelを操作してみる
MOSの取得を目指すには、Excelを使った練習が欠かせません。MOSの試験では、実際にExcelを操作して問題に沿った作業を行います。試験までにスムーズな操作を習得しておけば、焦ることなく試験問題を進めやすいでしょう。
また、関数やグラフ作成、ピボットテーブルの作成・変更など、座学だけで操作スキルを習得するのが難しい分野もあります。実際にExcelで操作を試してみることで学習内容の解像度が高まり、より実践的なスキルを身につけられます。
MOSのExcel資格に関するよくある質問
MOSのExcel資格取得を目指すにあたって、試験の種類や勉強方法に迷う方もいるでしょう。ここでは、MOSのExcel資格について、よくある以下の質問に回答します。
効果的に学習して仕事に役立つ資格を取るためにも、これらを事前に確認しておきましょう。
どのバージョンを取得するのがいい?
受験する試験のバージョンは、最新版である「Excel 365」がおすすめです。365の資格によって、最新版のExcelに対応できる操作スキルをアピールできます。
ただし、バージョンごとに機能や操作方法、試験形式に大きな違いはありません。仕事でOfficeソフトを使用している方は、業務で使っているバージョンを選ぶのもよいでしょう。
合格するにはどのくらい勉強時間が必要?
MOSのExcel資格に合格するための勉強時間は、もともとのパソコンスキルや学習の習熟度によって異なります。
パソコン操作に馴染みがない初心者が一般レベルに合格するには、1日2~3時間の勉強を継続して1ヶ月~2ヶ月程度はかかるでしょう。パソコン操作の知識やスキルがある人が一般レベルに挑戦する場合でも、約20〜40時間程度の勉強は必要です。
また、上級レベルに合格するには初心者で80時間程度、知識や経験がある人でも50時間弱は勉強する必要があるといわれています。
勉強はパソコンがないと難しい?
MOSのExcel資格を取得するなら、受験するバージョンのソフトが入ったパソコンを用意するのが理想的です。パソコン操作による実践型の試験が行われるMOSは、実際にExcelを使いながら勉強する必要があります。
パソコンがない場合は、スマートフォンやタブレット端末にExcelをインストールしたり、インターネットカフェやレンタルのパソコンを使ったりして、出題範囲の操作を練習しておきましょう。
独学でも取得できる?
MOSは独学でも取得できる資格です。一般レベルなら、パソコンやExcelの操作に慣れていない方でも、公式テキストなどを活用することで合格を目指しやすいでしょう。
ただし、独学の場合は講座やスクールに用意されているカリキュラムがないため、自分で出題範囲を確認しながら勉強する必要があります。受験日から逆算して計画を立て、スケジュール管理をしながら関数などの暗記や操作方法の練習を継続することが大切です。
MOS資格は「役に立たない、恥ずかしい」と聞いたけど本当?
MOSはIT系資格のなかでも難易度が低く、わざわざ取得するのは恥ずかしいという声もあるようです。特に、専門性の高いITスキルが求められる業種やパソコン操作が不要である職種などでは、役に立たないと認識されやすいでしょう。
しかし、MOSは受験者数が増加傾向にあり、取得を推奨する企業も多い国際資格です。パソコンで資料作成やデータ管理を行う仕事では、MOS取得によってスキルをアピールできます。
MOSの資格取得を通してExcel操作スキルを強みに変えよう
Excelはさまざまな職種の業務で活用されているため、社会人として基本的な操作は習得しておくべきといえます。
MOSの試験対策を通して、Excelの基本的な機能や高度な機能を使いこなすスキルを身につけられるでしょう。Excelに強くなることで、仕事の作業効率が上がったり、就職・転職活動においてパソコンスキルをアピールできたりします。
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※出典
*1*2*3:「マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)」試験に関するデータより

