データマーケティングとは?メリットや手順・成功させるためのポイントを徹底解説

データマーケティングとは?メリットや手順・成功させるためのポイントを徹底解説

デジタル技術が発展し、膨大なデータを収集できるようになった昨今、とくに注目されているデータマーケティング。マーケティングにおいてデータ分析は欠かせない作業の一つですが、「データマーケティングとは何か」「データマーケティングはどのような手順で行うのか」分からないという人もいるでしょう。

本記事では「データマーケティングとは」という定義を始め、データマーケティングの具体的な手順、成功させるためのポイントまで解説します。

データマーケティングとは?

データマーケティングとは「データを分析することでマーケティング戦略を立てること」を指します。データマーケティングをより詳しく知るために、以下の2つの観点からデータマーケティングについて深堀りしてみましょう。

  • データドリブンとの違い
  • デジタルマーケティングとの違い

それぞれ解説していきます。

データドリブンとの違い

データドリブンとは「データを出発点としてマーケティング活動を行うこと」をいい、施策の策定や意思決定は収集したデータを主導として行われることを指しています。データマーケティングの場合は発想や想像力を起点としてデータを収集し、分析をしていくという形であるのに対し、データドリブンはデータから導き出される結果からさらに分析を重ねていく手法となっています。データドリブンとデータマーケティングは考えの出発点が異なることを押さえておきましょう。

デジタルマーケティングとの違い

デジタルマーケティングとは「デジタル技術を使ったマーケティング手法」をいいます。デジタル技術とは具体的にWebサイトやアプリ、SNS動画といった、さまざまなデジタルデバイスを活用したテクノロジーを指しています。

デジタルマーケティングとデータマーケティングは、完全に意味が異なるわけではありません。デジタルマーケティングがあらゆるデジタル技術を対象とする包括的なマーケティング活動である一方で、データマーケティングは、データを中心とした論理的に分析するマーケティング活動となっています。データマーケティングはデジタルマーケティングの一部と捉えるとよいでしょう。

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データマーケティングのメリット

データマーケティングのメリットとして以下の3つが挙げられます。

一つずつ見ていきましょう。

投資収益率(ROI)の向上

データマーケティングは具体的なデータに基づいて商品やサービスを展開する手法のため、効率よく顧客のニーズを満たす戦略を立てることが可能です。そもそも投資収益率(ROI)とは、広告や人材などに投資したお金がどれだけ利益に貢献したのかを表す指標を指します。データに基づくことで、どの販売チャネルやどの媒体が収益率が高いのかを分析できるため、費用対効果の高いアプローチを実現できます。

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顧客体験価値の向上

データマーケティングによって一人一人に合ったアプローチをすることが可能となるため、顧客に対する商品やサービス全体の体験価値向上につなげることも可能です。データマーケティングでは顧客の購入履歴や閲覧履歴、購入金額といった多くの情報を詳細に分析できるため、顧客それぞれの好みにパーソナライズして、興味を持ちそうな商品を宣伝したり、興味のありそうなサービスを情報として提供したりすることができるのです。顧客の体験価値が高まれば、企業や商品・サービスに対する愛着が湧き、継続的な利用へとつながります。

顧客との良好な関係構築

データマーケティングによって顧客の嗜好や購買活動を詳細に分析できるため、顧客に合わせたアフターフォローやサービスを展開でき、結果として顧客との良好な関係を築くことが可能となります。商品やサービスをリピートして買ってもらうためには、顧客との信頼関係を作ることが必要です。データマーケティングによって顧客に対して適切なアプローチを実施することで、企業や商品・サービスに対する満足度が高まり、長期的によい関係を構築することができるでしょう。

データマーケティングが注目されている理由

データマーケティングが注目されている理由として、デジタル技術が目まぐるしく発展していることが挙げられます。現代ではデジタル技術が急速に進歩し、顧客はWebやSNSといったオンラインツールで情報収集することが当たり前となりました。オンラインツールの活用で、顧客の嗜好や購買に至るまでのプロセスをデータによってたどれるようになったため、データを分析してより顧客のニーズを満たしたマーケティング戦略を立てるデータマーケティングが求められています。

データマーケティングの分析手法例

データマーケティングの分析手法の例として以下の5つを取り上げます。

それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。

コホート分析

コホート分析とは「顧客を一定の条件のもとにグループに分け、行動や傾向の変化を分析する方法」をいいます。たとえばあるファッションサイトでAという商品に焦点を当てて分析するとします。同じサイトを見ている顧客の中で「A商品を購入した顧客」「A商品を買わなかったものの決済前のカゴにいれていた顧客」「A商品を閲覧のみでかごに入れなかった顧客」「そもそもA商品を閲覧もしなかった顧客」のグループに分けていきます。それぞれの顧客のグループを分析することで、どのような顧客が商品を好んでくれたのか、商品をみたものの購入に至らなかった顧客に対してどのようなアプローチをすべきかのかを考えることができます。

回帰分析

回帰分析とは統計手法の一つであり、調べたい要素の値に対して、他の値がどのように影響を与えているのかを分析する方法です。たとえば、あるチェーン店の各店舗の売上高を回帰分析する場合、お店への来客数や男女比、広告宣伝費用、駅からの距離といった売上に関係する値をピックアップします。そのデータを基に回帰分析をすることで、売上への影響度合いを確認するといった形です。売上に対する影響度が判明することで、今後の予測の見通しを立てやすくなります。

クラスタリング

クラスタリングとは、一見異なる種類に見える多くのデータの中から性質が類似するものを集めてクラスターに分類する手法です。マーケティングの場合、大量のデータを効率的に分析できるため、顧客の特性を分類するために活用されることが多いです。たとえば、商品購入時のアンケートを基に顧客特性をクラスタリングすることで、商品の効果的なプロモーションに役立てることができます。

ウェブ分析

ウェブ分析とはその名の通り「ウェブサイトを分析する方法」をいいます。自社のサイトを分析し、クリック率やPV数の低いページを改善したり、顧客数を増やすためのアプローチ方法を考えたりします。Web分析ではさまざまな数値で分析する定量分析や、数値では分からない好感度や関心度といった定性分析、競合サイトなどとの比較分析といったさまざまな角度から分析を重ねることが重要です。

予測モデリング

予測モデリングとは、過去のデータから目的とするデータを予測する数学的なモデルを指し、将来の予測をある程度立てることのできる方法です。マーケティング業界においては、顧客の行動パターンや購入履歴などのデータを基にして、需要予測や販売予測、将来に起こりうるトレンドといった、さまざまな将来の現象を予測します。必ずしも正確な結果を導き出すわけではありませんが、予測から導き出せる情報をもとにより効果的なマーケティング施策を策定することが可能です。

データマーケティングを行う手順

データマーケティングを行うには以下の手順で行う必要があります。

それぞれの手順を一つずつ解説していきます。

目的の明確化

データマーケティングは膨大な量のデータを扱うため、まず始めにどのような目的のためにデータを分析する必要があるのかをはっきりさせることが重要です。例えば、「Webサイトのアクセス率を20%増やす」「新商品の売上を10%増やす」「新しい顧客ターゲットを獲得する」といった具合です。目的によって収集すべきデータや顧客へのアプローチ方法は変わります。目的を明確化することで、適切なデータを取集することが可能となり、効率的にマーケティング戦略を練ることができます。

必要なデータの収集

目的が明確化されたら、必要なデータを集めましょう。例えば新しい顧客ターゲットを獲得するのであれば市場調査に力を入れたり、既存顧客の商品・サービスに対する好感度を上げたいのであれば顧客の性別や年代などの属性や購買履歴といった調査に注力したり、といった具合です。目的に応じて膨大なデータから必要なデータのみを抽出することが大切です。

データのクレンジングと分析

データ収集後、データの精度を高めるクレンジングと分析を行っていきます。必要なデータを収集したからといって、そのまま使えるわけではありません。データを分析する前に、データの不備や重複している項目がないかを事前に確認の上修正しておかなければ、データ全体の精度が低くなってしまいかねません。データを整理した上で、分析を行い、現状における課題を見つけ出します。

分析結果の具体的な施策への落とし込み

分析をした結果浮き彫りになった課題に対して、具体的な施策を策定します。たとえば既存顧客の再利用する割合は多いものの、新しい顧客が獲得できていないことが課題である場合、新規顧客を獲得するためのキャンペーンを行うといった形です。施策を実行するうえで関係する各部署との協力を得ることも欠かせません。最初に立てた明確な目的から乖離しないように関係部署への連携を図り、施策を実行していきましょう。

改善の継続

施策を実行した結果、どのように改善されたのか、まだ改善の余地のある点はどこかを繰り返し検証・改善を繰り返していくことが大切です。データ分析を行った結果、策定した施策が想定通りうまくいくとは限りません。実行された施策の策定→実行→効果検証→改善といったようにPDCAを回し、緻密に改善していくことが求められます。

データマーケティングを成功させるためのポイント

データマーケティングを成功させるためには以下のポイントを押さえることが大切です。

それぞれのポイントを見ていきましょう。

顧客中心のアプローチを行う

「どのようなものに関心を抱いているのか」「どのようなアプローチを好むのか」といった顧客を中心としたアプローチ方法を考えることはとても重要です。マーケティングにおいては、常に顧客の視点で物事を考えることは欠かせません。データマーケティングでは、顧客から収集したデータを分析し、潜在的なニーズを汲み取って新しい商品やサービスの価値を提供していくことが求められています。ただデータを分析するのではなく、顧客の求めているものが何かを見極めて戦略を練るとよいでしょう。

質の高いデータを収集する

データ分析を行う上で、質の高いデータを集めておくことも重要です。例えば顧客の性別や年齢、住所といった顧客に関するより具体的なデータと、購入履歴や購入費用、購入日といった詳細な購買データを組み合わせることで、どの性別・世代の人がどのような商品を好む傾向にあるのかといった緻密なデータを収集することが可能となります。質の高いデータを収集することで顧客の潜在的なニーズを汲み取ることができ、マーケティング戦略の策定に役立ちます。

テクノロジーを活用する

より効率的にデータを活用するためにも、さまざまなITツールを利用するのが望ましいといえます。例えば顧客に関するさまざまな情報を手作業で管理するのはかなりの労力と時間がかかりますが、CRMシステムという顧客に関する情報を統一して管理してくれるシステムを利用すれば手間も人為的なミスも無くなります。テクノロジーを活用することで、よりデータを手際よく、そしてスピーディーに分析することが可能になります。

データマーケティングの手順や成功するためのポイントを押さえて、マーケティング戦略を立てよう

今回はデータマーケティングのメリットや手順、成功するためのポイントについて解説しました。データマーケティングを成功させるためには「顧客中心のアプローチを行うこと」「質の高いデータを収集すること」「テクノロジーを活用すること」の3つを意識するとよいでしょう。

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ライター Yukie
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エディター 工藤 梨央

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