近年では、広告を自社で運用する動きが一定数見られます。しかし広告運用の経験がない方には、「ROAS（ロアス）ってどうやって計算するの…？」「どうすれば広告で成果が挙げられるんだろう…？」と気になるかもしれません。
広告においてROASは大切な指標であり、理解することで施策の改善ポイントが見つかる可能性があります。したがって広告運用のインハウス化を検討している方は、しっかりと学習しておきましょう。
今回はROASの意味や具体的な計算方法、広告効果を高めるポイントなどについて解説します。記事内では広告運用において重要なROAS以外の指標や注意点も紹介しているので、広告を活用してビジネスを成長させたい方は、ぜひ参考にしてください。
広告運用で重要なROASとは
ROASとは「Return On Advertising Spend」の頭文字をとった略語であり、日本語では「広告費用対効果」と呼ばれています。わかりやすくいうと、「広告から得られた売上を％で可視化したもの」です。広告全体の評価ができることがROASのメリットであり、広告効果の最大化や広告コストのコントロールなどに活用することが一般的です。
広告の運用方法を変えるだけで費用対効果が大幅に向上する可能性があるので、ROASの意味や後述する計算方法はしっかりと理解しておきましょう。
ROASとROIの違い
ROASと近い指標として、ROIが挙げられます。しかし双方の意味は大きく異なるので間違えないように注意しましょう。
ROIとは「Return on Investment」の略称のことであり、「投資収益率」と訳されることが一般的です。簡単にいうと、マーケティング施策全体で得られた利益を指します。
一方でROASは「広告から得られた売上」を計算する指標であり、広告費以外のマーケティングコストは基本的に含まれません。そのためROASでは施策全体の利益は算出できないのです。
しかしビジネスにおいてROIは重要な指標の一つです。したがって自社で広告運用のインハウス化を検討している方はROASだけではなく。正確な利益を算出できるROIも理解しておきましょう。
ROASの計算方法
ROASの計算方法は下記の通りです。
ROAS（％）＝広告からの売上÷広告費×100
例えば広告費が100,000円で500,000円の売上が発生した場合は、下記の計算になります。
500,000÷100,000×100＝500%
上記の計算式ではROASが500%になり、広告費に対し5倍の成果を達成したと理解できます。一方で広告費が100,000円で売上が50,000円の場合はROASが50%となり、広告の費用対効果に見合っていない結果になります。
また広告から一定の売上が発生していても商品単価が低い場合、費用対効果に見合っていない施策になってしまう可能性もあるでしょう。ROASを確認すると広告費用対効果が目標値に届いていないことが見られるので、定期的に確認することが大切です。
ROASとあわせて理解するべき6つの指標
広告の費用対効果を適切に評価できるROASは大切ですが、広告運用で成果を挙げるにはさまざまな指標を理解することが大切です。ここでは、広告の分析に利用される一般的な指標を紹介します。具体的には下記の通りです。
| 指標 | 内容 | 計算方法 |
|---|---|---|
| アクセス数 | LP・Webサイトへのアクセス数 | ツールを活用 |
| セッション数 | LP・Webサイトにアクセスをして一定の行動を起こしたユーザー数 | ツールを活用 |
| CVR（％） | 商品の購入・リスト獲得などを目的とするユーザーアクションの割合 | コンバージョン数÷セッション数×100 |
| CPA（円） | 顧客獲得単価 | 広告費÷コンバージョン数 |
| ROI（％） | マーケティング施策全体の利益・評価 | 利益÷投資金額×100 |
| CTR（％） | 広告のクリック数 | クリック数÷広告の表示回数×100 |
上記以外にも広告運用では多数の指標を活用する企業が存在します。しかし紹介した指標の数値を改善するだけでもROASを最大化できる可能性は十分にあります。さまざまな指標を一気に学ぶのではなく、まずは最低限必要な指標の改善・向上から取り組みましょう。
ROASの目安となる数値
結論からお伝えすると、ROASの目安となる数値は販売する商品やサービスによって異なります。しかしROASが100%以下だと売上よりも広告費が上回っている計算になるので、迅速な改善が必要といえるでしょう。
またROASが100％以上でも商品の原価やツール使用料など広告費以外のコストが発生している場合、利益につながらないかもしれません。そのためROASの目標値を設定する際は、マーケティング全体で発生したコストを考慮して考えることが大切です。
ROASを分析して広告効果を最大化させる5つのポイント
ROASの意味については理解したものの、「広告運用で成果を出すにはどうしたらいいんだろう…？」と気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。広告で成果を挙げる方法は、企業の施策や販売する商品・サービスによって異なります。しかし下記の5つは広告の費用対効果を改善できる施策と考えられます。
順番に見ていきましょう。
ツールを使用して分析を行う
ROASやCVRなど広告運用の指標を改善するなら、ツールを活用した分析を行いましょう。例えば無料で利用できる「Googleアナリティクス」は、LPやWebサイトからのアクセス数やセッション数、コンバージョン率やユーザー属性などを手軽に分析することが可能です。ヒートマップツールを利用すればWebサイト内でのユーザー行動が可視化できるので、具体的な離脱箇所や関心が高いポイントを理解できるでしょう。
またツールでの分析を実施する際は「広告効果全体の改善」ではなく、CVRや滞在時間など一つひとつの指標を順番に改善する方が効率的と考えられます。したがって、まずは広告の問題点を考えて、少しずつROASを最大化させてください。
顧客インタビューを実施する
既存顧客がいる場合は、商品やサービスに関するインタビューを実施することで広告効果を最大化できる可能性があります。例えば商品の魅力を顧客に質問することで、ターゲットに刺さるコピーやデザインが見つかるかもしれません。自社のロイヤルカスタマーに広告に関する意見をもらうことで、自分たちでも気づかない改善点が発見できるでしょう。
自社の顧客がいない場合はモニターなどを実施して、広告に活用できる声を集めることをおすすめします。ROASは広告での成果が反映される数値なので、ぜひユーザーの意見を参考にコンテンツを改善してみてください。
A/Bテストを実施する
自社の魅力や強みが理解できていても、ユーザーの関心を集められなければROASは向上しません。したがって本格的な運用を始める前に、テストを実施することが大切です。
例えばSNS広告を活用する場合、「A広告」と「B広告」を出稿すれば、どちらの広告の反応が高いか確認できます。反応率の高い画像やテキストをラッシュアップすることで、より成果を期待できる広告運用が実現できるのです。
ただしCTR（クリック率）の高さだけで画像やテキストを選ぶだけでは、CV（コンバージョン）につながらない可能性があります。したがって広告でA/Bテストをする際はアクセスではなく、売上につながるユーザーを集めることを目的にしてください。
商品・サービスの値段を見直す
販売価格を見直すことで、ROASが大幅に向上する可能性があります。例えば10%の値上げをするだけでも商品の購入数が多い場合、ROASは10倍以上の成果になるかもしれません。
一方で値下げを実施することで販売数が伸び、結果的に売上が向上することも期待できるでしょう。したがって商品やサービスの値段を見直すことは、広告の費用対効果の改善に有効な施策といえます。
ただし大幅な料金改定は広告効果を大きく下げるだけではなく、既存顧客の不満にもつながるリスクもあります。したがって商品・サービスの値段を見直す際は慎重に行ってください。
クリエイティブ制作を徹底する
ターゲティングや出稿媒体などは大切ですが、広告においてはクリエイティブ制作も非常に重要といえます。なぜなら近年のWeb広告などは高性能なAIが搭載されているので、従来よりも精度の高い運用が手軽にできるからです。
しかし画像や動画、見出しやコピーなどは人が作成する方が成果が期待できるでしょう。前述したA/Bテストを活用すれば、より効果的なクリエイティブが見つかります。
表示されたクリエイティブがユーザーに刺さらなかったら、魅力的な商品を販売していても相手の関心を集められないでしょう。広告運用において画像や文章は売上を大幅に改善できる要素なので、広告で成果を出したい方はライティングやデザインなどのスキルも勉強してみてください。
ROASを活用する際の注意点
最後に、ROASを活用する際の注意点を紹介します。
広告運用のインハウス化を検討している方は、上記の4つを意識することが大切です。順番に解説します。
利益の算出方法ではない
前述で解説したように、ROASは広告に対する売上の値であり、広告費以外のコストは反映されていません。そのため会社の利益率を高めるには、ROIの計算方法や商品やサービスの細かいコスト管理が大切です。
広告から売上が発生したものの利益につながっていない施策はしばしば見られるので、自社のビジネスを発展させるためにも広告以外の売上やコストにも目を向けてください。
分析だけに時間をかけない
ROASを改善するために一定の分析時間は必要です。しかし分析や改善だけに時間を割くのは適切ではないかもしれません。なぜなら広告は出稿している限りコストが発生するからです。
また広告効果を一気に改善するのではなく、CTRやCVRなどの指標を一つひとつ修正する方がやるべきことが明確になります。全ての改善をまとめ行うとデータの収集が複雑になるので、最小限の分析時間で細かい修正を適時行ってください。
少額から運用を開始する
広告効果を最大化させるなら、まずは少額の広告費で運用を開始しましょう。理由はいきなり高額な広告費を使用すると、売上が発生しないと会社のダメージが大きくなるからです。より多くの広告費を利用することで得られるデータ量は増えますが、企業の体力を削る行為とも考えられます。
Web広告であれば数千円でも一定のデータを得ることが可能です。まずはテストをしながら最小限のコストでROASを高めることに尽力して、結果が期待できると判断できたら広告費用を上げるとよいでしょう。
定期的な改善が必要
ROASの高い広告運用ができていても、広告効果は時間の経過によって減少することが一般的です。例えば反応率が高いクリエイティブを使用しても、ユーザーに同じ画像が何度も表示されると反応率は低くなります。そのため広告で一定の成果が発生している状態でもトレンドや流行を調査しながら、PDCAを回してコンテンツを改善していきましょう。
ROASを理解して広告運用をインハウス化しよう！
ROASは広告の費用対効果を可視化でき、広告運用では必ず理解するべき指標といえるでしょう。ROAS以外の指標も理解したうえでクリエイティブやコンテンツを改善して、広告で事業を成長させてください。
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