Illustrator（イラストレーター）のクリッピングマスクは多くのデザイナーが使用する機能の一つです。上手に活用すればデザインの幅をグッと広げられるうえ、手軽に利用できることが魅力といえるでしょう。しかしIllustratorを触り始めた方では、「クリッピングマスクがうまく使えない…」と悩むかもしれません。
そこで今回は、クリッピングマスクの基本的な意味や使い方、デザインに使える活用方法などについても解説しています。クリッピングマスクを利用する際の注意点も紹介しているので、Illustratorを上手に使用したい方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
Illustratorのクリッピングマスクとは
Illustratorのクリッピングマスクとは簡単にいうと、写真や画像の一部を切り抜く（くり抜く）機能のことです。図形オブジェクトを活用することが一般的であり、チラシやバナーなどさまざまなデザインに活用されています。
トリミングと違い好きな形に切り取れるうえテキストを使ったマスクも使用できるので、おしゃれな作品を作りたい方はぜひ使い方を勉強してみてください。
クリッピングマスクと不透明マスクの違い
Illustratorにはクリッピングマスクだけではなく「不透明マスク」というマスク機能も存在します。しかし双方の内容は大きく異なるので、間違えないように注意しましょう。具体的な違いは下記の通りです。
| 名称 | 内容 |
|---|---|
| クリッピングマスク | 画像の色を色味を変更せずにくり抜きができる |
| 不透明マスク | 画像に不透明度の調整を適用してくくり抜きができる |
つまり不透明マスクは、画像の境界線をぼかす際に活用できる機能です。クリッピングマスクでもぼかしは使用できますが、透明度やグラデーションなどのより細かい調整を行うなら不透明マスクを活用するとよいでしょう。
Illustratorのクリッピングマスクの基本的な使い方
ここからは、Illustratorのクリッピングマスクの基本的な使い方を見ていきましょう。デザインに使える応用方法は後述で詳しく紹介するので、まずは間違えずに機能を利用できる方法を覚えてみてください。具体的な手順は下記の通りです。
- くり抜きたい画像を配置する
- 図形オブジェクトを画像の上に配置する
- 画像と図形オブジェクトの両方を選択する
- メニューの「オブジェクト」を選択する
- 「クリッピングマスク」の「作成」を選択する
「作成」をクリックすると、オブジェクトの形に画像を切り取ることが可能です。またクリッピングマスクが適用できない場合は、画像とオブジェクトの両方が選択できている方確認してください。Illustratorのクリッピングマスクの基本的なやり方は以上です。
Illustratorのクリッピングマスクの応用方法
それではIllustratorのクリッピングマスクの応用方法を紹介します。今回は、下記の3つのやり方を見ていきましょう。
上記のテクニック以外にも、クリッピングマスクにはさまざまな活用方法が存在するので、ここで紹介するやり方は一つの参考にしてください。順番に見ていきましょう。
テキストで画像を切り抜く方法
画像をテキストで切り抜く方法は、さまざまなデザインで使用されています。おしゃれなデザインが作れるので、ぜひ試してみてください。具体的な手順は下記の通りです。
- 素材にする画像を配置する
- 画像の上にテキストを配置する
- 画像とテキストの両方を選択する
- メニューの「オブジェクト」を選択する
- 「クリッピングマスク」の「作成」をクリックする
「作成」をクリックすると、画像がテキストの形に切り取られます。また印刷などを行う際は、クリッピングマスクを適用したテキストをアウトライン化しておきましょう。テキストで画像を切り抜く方法は以上です。
複数のクリッピングマスクを作成する方法
一枚の画像を複数のオブジェクトでくり抜く際は、「複合パス」を利用する必要があります。チラシやフライヤーなどで利用されるテクニックなので、ぜひ活用してください。具体的な手順は下記の通りです。
- 素材にする画像を配置する
- 画像の上に複数のオブジェクトを配置する
- オブジェクトだけを全て選択する
- メニューの「オブジェクト」を選択する
- 「複合パス」の「作成」をクリックする
- 画像とオブジェクトを全て選択する
- 「クリッピングマスク」の「作成」をクリックする
複数のクリッピングマスクを作成する際は、先にオブジェクトを「複合パス」にする必要があるので注意してください。複数のクリッピングマスクを作成する方法は以上です。
マスクを反転させる方法
クリッピングマスクは基本的に画像の一部をくり抜く作業です。そのためマスクが適用されていない範囲は、画面から見えなくなります。しかし「画像の中の一部だけを切り取る」際は、マスクを反転させる必要があります。具体的なやり方は下記の通りです。
- 素材にする画像を配置する
- 画像の上に全体を隠すサイズのオブジェクトを配置する
- くり抜きたい位置に新しいオブジェクトを配置する
- 画像と全てのオブジェクト選択する
- パスファインダーの「中窓」を選択する
- 透明パネルの「クリップ」にチェックを入れる
「パスファインダー」と「透明」のパネルが表示されない方は、画面丈夫メニューの「ウィンドウ」から開くことが可能です。やや手順が多いかもしれませんが、画像の一部をくり抜いてテキストなどを挿入したい方は、マスクを反転する方法を活用してください。
Illustratorクリッピングマスクを解除する方法
クリッピングマスクの形を修正する際や使用する画像を変更する場合は、マスクを解除する必要があります。
- クリッピングマスクが適用されているオブジェクトを選択する
- メニューの「オブジェクト」を選択する
- 「クリッピングマスク」にある「解除」を選択する
反転させているマスクを解除する場合は、「透明パネル」にある「マスク」のチェックを外すだけで大丈夫です。
Illustratorのクリッピングマスクを使用する際の注意点
クリッピングマスクは便利な機能ですが、やり方を間違えると正しく機能しない可能性があります。したがって下記の項目には注意しましょう。
上記の3つについて解説します。
アウトライン化してテキストには利用できない
クリッピングマスクにテキストを使用する際は、アウトライン前のテキストにマスクを適用しましょう。アウトライン化されている場合テキストオブジェクトと認識されないので、クリッピングマスクが使用できません。したがって印刷物などを作成する方は、必要なクリッピングマスクを適用してからアウトライン化することを推奨します。
別レイヤーの画像には使用できない
画像と図形などのオブジェクトが別レイヤーになっていると、クリッピングマスクが使用できません。そのためクリッピングマスクは、同じレイヤー内のオブジェクトにしか適用されないと理解しておきましょう。またレイヤーをロックしている状態ではクリッピングマスクは使用できないので注意してください。
オブジェクトの重ね順に注意する
画像の下にオブジェクトを配置した場合、クリッピングマスクが正常に機能しません。複数の図形などを使用する場合、オブジェクトとオブジェクトの間に画像が入っているミスがしばしば見られます。またクリッピングマスクを反転させる場合は、切り抜きに使用するオブジェクトの下に画像を覆い隠す図形を配置することも忘れないでおきましょう。
Illustratorのクリッピングマスクに関するよくある質問
最後に、Illustratorのクリッピングマスクに関するよくある質問を紹介します。
クリッピングマスクが使えない理由は？
クリッピングマスクが利用できない理由は、大きく分けると下記の通りです。
- レイヤーがロックされている
- 重ねる順番が間違っている
- オブジェクトまたは画像だけを選択している
- オブジェクトがグループ化されている
上記のなかでも「オブジェクトまたは画像だけを選択している」ミスがしばしば見られます。図形オブジェクトを透明にしていると選択ミスをしやすいので、色付きの図形を使用しながらクリッピングマスクを適用してみてください。
複合パスが利用できない理由は？
複合パスが使用できない場合、図形以外のオブジェクトが選択されている可能性があります。例えば画像と図形を選択した状態で複合パスを作成しても、エラー画面が表示されます。つまり複合パスを使ってクリッピングマスクを適用する際は、先に図形などのオブジェクトだけに複合パスを使用する必要があるでしょう。
クリッピングマスクを活用してIllustratorでおしゃれなデザインを作ろう！
クリッピングマスクを使用すれば、作成するデザインの幅を広げることが可能です。仕組みを理解すれば手軽に利用できる機能なので、ぜひ活用してみてください。
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