CGクリエイター検定は、CG制作や映像制作に必要なスキルを測る民間検定です。
映画やゲーム、アニメーション、CM、テレビ番組、ミュージックビデオなど、CGの利用範囲は広まっており、私たちの生活に浸透してきています。医療や学術分野でも必要とされており、CGクリエイターの需要は今後もますます高まっていくでしょう。
CGクリエイター検定に合格できれば、映像制作会社への転職やフリーランスのCGデザイナーとして独立する場合にも役立ちます。
この記事では、CGクリエイター検定の内容、おすすめのテキストやメリットについて紹介します。
CGクリエイターとは?
CGクリエイターとは、専用ソフトを使ってCG(コンピューターグラフィックス)を制作する仕事です。ゲームや映像業界、テレビやWebなどの広告業界が主な活躍の場として挙げられます。
CG映像の制作では、さまざまな役割を担うスペシャリストがそれぞれのスキルを出し合い、1つのCG作品を完成させます。代表的なポジションには、次のようなものがあります。
- モデラー:物体の形状そのものを組み立て、色や質感をつける
- アニメーター:モデラーが作成したCGモデルを動かすためのアニメーション設定を行う
- エフェクトアーティスト:炎や煙など、映像に特殊効果を加える
CGは映画やCMといった映像分野での活用が有名ですが、最近では技術の発展に伴い、建築・医療・車・製造業においても3DCGを使ったシミュレーションをおこなうなどあらゆる分野で活用されるようになりました。
それにともない、CGクリエイターの活躍の場も広がりをみせています。
CGクリエイター検定とは
CGクリエイター検定とはCG-ARTS協会主催の民間資格です。
難易度によってベーシックとエキスパートに分かれています。ベーシックでは、2次元CGや3次元CGに対する基本的な知識と、CGの静止画制作の知識が求められます。
エキスパートでは、3次元CGと映像に対する専門的な知識について出題されます。また、身につけた知識を3次元CG映像の制作に応用することができるかどうかも問われます。
検定試験は毎年2回で、7月と11月に実施されます。会場は全国20か所以上です。
受験資格は特になく、ベーシックは5,600円、エキスパートは6,700円の検定料を払えば誰でも試験に挑戦することが可能です。合否結果は30日後を目安に、CG-ARTS Webサイトで発表されます。
検定は、1日最大4種類までの併願受験が認められています。ベーシックとエキスパートを併願できるだけでなく、Webデザイナー検定やマルチメディア検定といったCG-ARTS協会が主宰するほかの試験との併願受験も可能です。複数のエキスパート試験に合格すれば、「CG-ARTSマイスター」を名乗ることができるようになります。
出題形式 | マークシート10問 |
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受験料 | ベーシック:5600円 エキスパート:6700円 |
合格率 | 20~30% |
合格ラインの目安 | 100点満点中70点 |
開催頻度 | 7月・11月の年2回 |
詳しい試験概要を解説します。
出題内容
CGクリエイター検定ベーシックは、2次元および3次元CGとデザインへの基礎的な理解に加えて、CG静止画制作に知識を利用する能力が問われます。
CGクリエイター検定エキスパートの場合、シーン構成やプロダクションワークといった応用技術までが出題範囲です。著作権などの法律に関する問題もあり、作品のファイル形式や規格についての問題も出題されます。
- ベーシック:CGとは、表現の基礎、2次元CGと写真撮影、3次元CGの制作、技術の基礎知識、知的財産権
- エキスパート:実写撮影、映像編集、モデリング、リギング、CGアニメーション、シーン構築、プロダクションワーク、知的財産権、ファイル形式・規格、数理造形
出題形式
CGクリエイター検定の出題形式は、ベーシックもエキスパートもマークシートで、問題数は10問です。合格基準点は難易度により多少の変動がありますが、ベーシックとエキスパートともに100点満点中70点となっています。試験時間には違いがあり、ベーシックが60分、エキスパートは80分です。
合格基準
CGクリエイター検定の合格ラインは、ベーシック、エキスパートともに100点満点中70点です*1。年度にもよるものの、ベーシックは応用問題の数が少ないため、合格率は60~80%と高めです。
一方、エキスパートはより深い知識を問われるので、合格率は20~30%となっています。全体的に合格者が多かった回でさえ、50%を切っています。難易度が高いため、合格を目指すには、数か月がかりの勉強と技術の向上が求められます。
CGクリエイター検定の応募者数は、ベーシック、エキスパートも増加傾向にあります。年度によって試験の難易度は変化するため、あくまで合格基準は目安として捉えておくようにしましょう。
CGクリエイター検定の難易度は?
CGクリエイター検定の難易度については、ベーシックは応用問題の数が少ないため、対策を怠らなければしっかり合格を勝ち取れると考えられます。2020年度後期の応募者数は3963人で、そのうち60.68%*2が合格しました。
一方で、エキスパートはより深い知識を問われるため、合格には数か月がかりの勉強が必須です。合格率は、時期によって20~50%前後と大きなばらつきがあります。2020年度後期の応募者数は1331人で、そのうち合格率は23.71%*2でした。
エキスパートではベーシックよりも専門的な知識が問われ、大きく難易度が上がります。試験対策は万全にしておかなければなりません。
CGクリエイター検定におすすめのテキスト
試験対策に取り組む際は、最初に過去問をチェックし出題形式や内容を把握するようにしましょう。CGクリエイター検定の公式サイトでは過去問が公開されており、過去2回分の問題を確認できます。
過去問から問題の傾向がわかったら、詳細な解説がされているテキストや参考書で勉強を進めていきます。CGクリエイター検定におすすめのテキストとしては、次のようなものがあります。
CGクリエイター検定 エキスパート・ベーシック公式問題集
「CGクリエイター検定 エキスパート・ベーシック公式問題集」は、基礎知識の習得はもちろんのこと、実践問題に慣れておきたい方にもおすすめの公式過去問題集です。過去に出題された問題などが練習問題として再編されたもので、エキスパート3回分、ベーシック3回分が掲載されている実践形式の問題集となっています。
実際の過去問をもとに問題が作成されているため、出題の傾向なども掴むことが可能です。解答・解説が別冊となっているので、答え合わせも効率よく行えます。
CGクリエイターになるためのポートフォリオ制作の教科書
「CGクリエイターになるためのポートフォリオ制作の教科書」は、CGを作る過程のなかでも、ポートフォリオ制作に焦点を当てて解説した参考書です。
ポートフォリオとは、自分が作ってきた作品を集め試行錯誤の過程を紹介する役割を果たし、就職や転職活動の際に提出します。この本では、ポートフォリオの制作過程が丁寧に解説されています。
制作の手順通りに解説が進むため、真似をしながら進めるだけでも自分のポートフォリオを作成することが可能です。現役クリエイター兼講師が教えてくれるポートフォリオ制作術と内定を勝ち取ったポートフォリオが、見開き解説つきで多数掲載されています。
CGクリエイター(背景モデラー、キャラクターモデラー、アニメーター、コンポジターなど)として仕事に就くことを目指している方におすすめです。
CGクリエイター検定のメリット
CGクリエイター検定に合格することには、次のようなメリットがあります。どんなことに役立てられるか確認して、合格を目指しましょう。
自分のスキルを証明できる
CGクリエイター検定に合格する大きなメリットとして、スキルや知識があることを客観的に証明できる点が挙げられます。
未経験からCGクリエイターを目指す方など豊富な実績を持っていない方の場合は、就職・転職を目指す際に相手に自分の実力を伝えるのが難しいという問題があります。特にCGクリエイターのようなクリエイティブな職種は、ポートフォリオを提出して作品を見てもらうなど感覚に頼った評価が行われる場面も多く、実際にどんな技術を使って作品を生み出しているのかが伝わりにくい傾向にあります。
資格を取得することで、試験に合格できるソフトの操作スキルがあることを対外的に証明できるようになります。
資格取得を通じて、短期間でスキルを習得できる
CGクリエイター検定に合格するための勉強を通じて、CGに関する知識やスキルを短期間で習得できる点もメリットといえます。
未経験の方は、CGクリエイター検定に合格することを最初の指標とすることで、着実にステップアップしていくことが可能です。経験者の場合も、難易度の高いエキスパートへの挑戦を目指すことで、さらにスキルを磨くきっかけになるでしょう。
CGクリエイターの仕事に、専門的かつ総合的な視点で取り組めることを証明する資格であることから、キャリアによい影響をもたらしてくれるでしょう。CG業界でやりがいのある業務を任せてもらうためにも、ぜひチャレンジしてみてください。
CGクリエイターに必要なスキル
CGクリエイターになるために必要なスキルには、次のようなものがあります。
モデリングのための観察力
CGクリエイターにとって重要なスキルの1つとして、うまくモデリングする力があります。
モデリングの際にやみくもにパーツを作ってから組み立てていくと、作り込むところと力を抜くところの区別がつかなくなってしまうでしょう。無駄な作業を可能な限り減らしてクオリティを上げるためには、最初から完成した形をイメージして作り始めることが大切です。
このためモデリングの作業では、対象物を立体的に把握して全体を俯瞰する力が必要となります。例えば人の筋肉を表現する場合、筋肉全体の流れを読み取ってポリゴンで表現するなどの作業が必要です。
モデリングでは、自ら想像力を膨らませてオリジナルの表現方法を模索するしかありません。日頃から人体や動物の動きなどよく観察し、構造を把握する目を養うことができるとよいでしょう。
映像に関する研究
映像関係のCGクリエイターを目指したいと考えている方は、さまざまな映像コンテンツを見て研究することが大切です。
ゲームなどのアニメーションでキャラクターに動きをつける場合、人間や動物の動きを映像として表現することが求められます。現実のままの動きではアニメーションとして不自然だったり、現実ではありえないような動きをさせなければならなかったりと問題があるため、CGクリエイターの仕事では想像力を駆使して映像に落とし込むことが必要です。
実写からアニメーションまで幅広いコンテンツを研究し、自分であればどのように映像に落とし込むかを考える癖をつけるとよいでしょう。
専用ソフトの操作スキル
CG制作では、3dsMAX、MAYA、Zbrush、After Effectsといった専門的なソフトを使用します。CGクリエイターとして活躍するためには、さまざまな専用ツールを使いこなすことができるスキルが不可欠です。
必要な作業に応じて最適なソフトを使いこなせるよう、ソフトの操作に関する勉強を重ねなければなりません。制作ソフトには新しい機能が追加されることもあり、常にスキルをブラッシュアップする姿勢が求められるでしょう。
それぞれのソフトの特徴を理解し、自在に使いこなせるようなスキルを身につけることが大切です。
コミュニケーションスキル
CGクリエイターにはコミュニケーションスキルも重要です。CGクリエイターをはじめとするクリエイティブな仕事は一見、1人で黙々と作業を進めているようにも思えるかもしれません。ですが、CG制作の仕事は細かく分業されているケースがほとんどで、さまざまなポジションの制作スタッフがチームとなって連携しながら作業を進め、作品の完成に向けてそれぞれの役割を果たします。
このため、ほかの工程を担当するCGクリエイターとのやりとりはもちろん、役割によってはクライアントやプロデューサーといったさまざまな職種の人とコミュニケーションをとることも求められます。円滑に作業を進め、チームとしての士気を高めるためにも、コミュニケーションスキルを磨いておきましょう。
CGクリエイター検定に合格してクリエイティブな仕事を目指そう
この記事では、CGクリエイター検定の試験内容や難易度、CGクリエイターとして活躍するために必要なスキルなどを紹介しました。
クリエイティブな仕事は基準を設けて評価をすることが難しい場合が多いです。ですが、検定に合格することである程度のスキルがあることを証明することができます。
基本的な技術を身につけたうえで、映画・ゲームなどのエンターテイメントや医療、学術分野など、自分が専門としたいジャンルに必要なスキルを伸ばしていくのがおすすめです。
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*1 CG-ARTS|公益財団法人 画像情報教育振興協会「FAQ」
*2 CG-ARTS|公益財団法人 画像情報教育振興協会「検定試験 応募者数と合格率」