キャリアアンカーとは?意味や8つの分類、適職を知る診断方法を簡単に解説!

キャリアアンカーとは?意味や8つの分類、適職を知る診断方法を簡単に解説!
ABOUT ME
ライター 円子 七海
短期大学卒業後、鉄道会社と法律事務所にて勤務。コロナ禍を機にフリーランスの働き方に興味を持ち一念発起して独立。現在は、法律系メディアや女性向けメディアをメインに活動中。
エディター 古澤 椋子
鹿児島大学大学院水産学研究科修了。水産系社団法人にて、水産に関わる調査研究、行政との折衝などを経験したのち、水産系ベンチャーにて、広報を担当。2023年からフリーライターとして活動を始め、主にエンタメ系の記事を執筆。SHElikesでキャリア、マインド共に変化した経験から、SHEsharesのライターを務める。

キャリア形成において、これだけは譲れないポイントや価値観を持っている人がほとんどでしょう。

このような職業選択の軸になる価値観やポイントを「キャリアアンカー」と呼び、8つのカテゴリーに分類されています。自分が持っている価値観がどこに分類されるのかがわかると自分の適職が見えてきたり、企業に伝えることで人材配置に生かしてもらったりすることができます。

本記事では、キャリアアンカーの詳しい解説や8つの分類について紹介します。

キャリアアンカーとは

キャリアアンカー(Carrer anchor)とは、アメリカの組織心理学者であるエドガー・シャインが提唱した理論で、キャリア形成において重要な軸となる価値観のことを指します。

この理論では「anchor(いかり)」という言葉が用いられ、船が海底にいかりを下ろすと安心して停泊できるように、キャリア形成においても自分にとって重要な価値観があれば、将来の方向性を明確にできるということを示しています。

キャリアアンカーの理論は個人だけでなく、企業内でも活用できます。従業員の特性や能力を把握して人材の配置や異動を考えたり、適切な人材育成の計画を立てたり、従業員のパフォーマンス向上に役立てることが可能です。

キャリアアンカーを把握するメリット

キャリアアンカーを取り入れることは、個人と企業の両方にメリットがあります。それぞれのメリットを紹介します。

従業員のメリット

従業員側がキャリアアンカーを把握しておくことは、より満足度の高い働き方を選択するのに役立ちます。長期にわたって満足度の高いキャリアを築けるでしょう。

また、自分のキャリアの軸を理解していると、将来の方向性や目標を明確にできます。それにより、自分自身の成長に適したキャリアパスの構築ができるでしょう。

業務においての個人的な目標設定を決める上でも、大事な指針となるはずです。

企業のメリット

従業員のキャリアアンカーを把握することで、従業員が重視する価値観や目的に沿った働き方を提案することが可能です。適切な働き方を提供することは、従業員の労働意欲や満足感につながります。

また、従業員の希望に合った人材配置を行うことができれば、離職率の低下につながり、定着率の向上にもつながるでしょう。

従業員と企業が、キャリアアンカーを通じてお互いのニーズを理解し合うことで、持続性の高い人材戦略を展開でき、生産性を上げることができます。

キャリアアンカーの3要素

キャリアアンカーの軸は「コンピタンス」「動機」「価値観」の3つの要素が重なる部分のことです。ここでは、3つの要素について解説していきます。

コンピタンス

コンピタンスは仕事をする上で不可欠なスキルや知識のことで、キャリアアンカーの理論のなかでは「自己の中核的な能力」「得意分野」「専門性」と言われています。

強みや弱みを把握する自己分析を通して「自分は何ができるのか」「どのような分野が得意なのか」を明確にしていきます。業務を自信を持って遂行する上で重要になるモチベーションを高める要素です。

動機

動機は自己実現に向けた欲求や興味関心のことを指します。自分がやりたいことや関心を持てる分野を仕事にして、満足度や達成感を高めるために重要です。

動機は外部からの刺激によって生じる「外発的動機」と、内なる欲求や興味から湧き上がる「内発的動機」の2つに分類されます。キャリアアンカーでは、特に仕事へのやりがいを強く感じられる内発的動機が重視されます。

価値観

価値観は、どのような仕事をしている自分に価値を感じるかを指します。

自分の価値観にしたがって仕事ができると、仕事をすることへの意義を感じられます。仕事をする意味や目的が明確になり、モチベーションも高められるでしょう。

たとえば「人に奉仕したい」「専門性のある仕事がしたい」など、自分がやりがいを感じる瞬間が具体的な例としてあげられます。自分の仕事に対する価値観や、やりたいことを明確にすることで意欲的に仕事に取り組むことができます。

キャリアアンカーの8つの分類・カテゴリー

キャリアアンカーを提唱したエドガー・シャインは、3要素を組み合わせたパターンを8つに分類しました。それぞれのカテゴリーについて紹介します。

1.専門・職能別

専門的なスキルを活かすことに重点を置き、特定の分野で活躍を目指すタイプです。管理職に昇進するよりも現場で仕事を続けることを好み、特定の業務において高い能力を発揮します。

キャリアの方向性を変えることを望まず、専門性を活かせない部署に異動してしまうとモチベーションが低下してしまう可能性があります。

2.全般管理

「出世したい」という気持ちが強く、経営者や管理職を目指すタイプです。専門性のある仕事より、責任あるポジションで組織をリードすることに大きな価値を見出します。

さまざまな経験を積むために異動にも前向きで、キャリアアップのためなら資格取得にも努めます。責任を与えられることに、自己の成長を感じます。

3.自立・独立

集団行動があまり得意ではなく、独立心が強いタイプです。ルールに縛られず、自分のペースやスタイルを尊重しながら働くことを好みます。

仕事は自分なりのやり方で進めたいと思っていて、できるだけ自分の力で成し遂げたいと考えます。一定の規則や枠組みに縛られる組織にはなじめず、離職したり、独立したりすることも多いです。

4.保障・安定

仕事を選ぶ際に事業が安定していることや福利厚生の充実など、安定や保障があることを重要視するタイプです。大企業の社員や公務員として長期的に働くことを好みます。

将来への不安を可能な限り減らして安心して仕事をしたいと思っていて、変化やリスクを伴う行動は避けます。キャリアチェンジや異動は、大きなストレスとなってしまうでしょう。

5.独創性

独創性を活かして新しいアイデアを生み出したいと思うタイプです。芸術家や起業家によく見られるタイプで、企業に属することがあっても最終的には独立を選ぶ人が多いでしょう。

商品の開発や新規事業の立ち上げに関わる仕事にも関心が強く、柔軟な働き方が選べるテレワークやフレックスタイム制を導入している企業のほうが、能力を発揮できるでしょう。

6.奉仕・社会貢献

社会への貢献度に価値を見出し、仕事を通じて人や社会のために役立ちたいと思うタイプです。医療や社会福祉、教育などの分野で活躍できる仕事を好みます。

人の役に立つことを第一に考えていて、出世や自己成長よりも喜びを感じます。また、誠実さのない仕事ぶりや内部の不正を許せない傾向にあります。企業では監査や人事部門に配属されると自分の能力を発揮できるでしょう。

7.純粋な挑戦

難しい課題を解決することに喜びを見出し、困難な状況にも自ら挑戦するタイプです。

大きな壁をを越えることに達成感を感じ、仕事が手ごわいほどモチベーションが高まります。常に自分を磨く努力を惜しまず、ハードワークにも積極的に取り組みますが、単純な作業が苦手でルーティンワークは好みません。

8.ライフスタイル

ワークライフバランスを重視にするタイプです。「自分のしたいこと」「家族の事情」「仕事」それぞれのバランスを大切にします。

仕事に真剣に取り組む一方で、育児休暇取得など、家庭やプライベートな時間も同じように重視します。有給休暇はきちんと取得し、急な飲み会には滅多に参加しません。プライベートに影響を及ぼすようなことがあれば転職を考えることもあります。

キャリアアンカーの診断方法

キャリアアンカーは、無料の診断サイトで手軽に診断できます。他にも「コンピタンス」「動機」「価値観」を書き出してみる方法でも、キャリアアンカーを診断できます。

自分の仕事や私生活でのやりがいや大切にしたいこと、反対に避けたいことを明確にすることで自分のキャリアタイプを把握していきます。

一般的に、キャリアアンカーは30代で確立されると言われていますが、経験や実績が不十分な場合は判断が難しい場合もあります。また、ひとつのタイプに当てはまらない場合や、複数のタイプに当てはまることも考えられるでしょう。

キャリアアンカーの考えが活用できる場面

実際、キャリアアンカーの理論はどのような場面で活用できるのでしょうか。ここからは、キャリアアンカーの活用方法について解説します。

人材育成・各種研修

人材育成や新人研修などの場面では、トレーニングのテーマとして役立ちます。

たとえば、まだキャリアを形成していない新入社員にとっては、キャリアアンカーの概念を理解することで、自分のキャリアにおいての「譲れない価値観」を明確にするきっかけとなります。

また、30代以降の中堅社員ならキャリアアンカーが形成されている可能性が高いため、自身のキャリアアンカーを振り返ることで、今後のキャリアを見直すきっかけとなるでしょう。

人事異動・人材配置

人事異動では、キャリアアンカーを考慮したほうが人材配置の失敗が少ないです。

たとえば、出世の意欲が強いタイプは異動も前向きに受け入れ、成長の機会と捉える傾向があります。一方で、専門性を重視するタイプにとっては、職種が変わる異動はモチベーションが下がってしまい、離職につながる可能性が考えられるでしょう。

事前にキャリアアンカーを把握することで、社員の特性に合ったリスクの少ない人事異動ができます。

キャリアデザイン

キャリアアンカーを把握することで、どのような職種や業界で活躍できるのか理解しやすくなります。

しかし、キャリアアンカーは結婚や子育て、健康状態の変化など、ライフステージの変化に伴って変化します。そのため、定期的に見直す習慣を身につけることが重要です。

定期的な見直しは適切なキャリアパスの選択に役立ちます。また、組織内でのキャリアアップや転職を考える際にも、自分の価値観や強みを理解していたほうが、より充実したキャリアを築けるでしょう。

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キャリアアンカーは適切なキャリア形成に必要不可欠

今回は、キャリアアンカーの理論や活用方法について詳しく解説しました。

キャリアの選択は今後の人生にも大きく関わってくるため、慎重に行う人が多いでしょう。そんなとき、キャリアアンカーと把握しておけば、キャリアの軸が明確になり、より適切なキャリア形成ができます。

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