ミッションステートメントとは?事例や作り方を紹介

ミッションステートメントとは?事例や作り方を紹介
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ライター Satsuki Yokouchi
採用コンサルタント/HR専門の編集者・ライター/社労士アシスタントとして活動する複業フリーランス。パーソルキャリアで求人広告営業、人材系スタートアップにて子育て世代や外国籍向け人材事業を経験。生命保険営業やカフェ店長、Webディレクターなど、異業種の経験も豊富に持つ。
エディター Tomomaru
フリーランスWeb編集・コンテンツディレクター兼たまにライター。 略歴は、アパレル→事務職を経てWebデザインをスクールで学んだのち、SHElikesと出会いWeb制作会社でマーケOLしてみたり。結果、書くことが天職だと思い込み、副業ライター道を歩んでいる。次なる野望は絵描きになること。思い込むのは自由です。

ミッションステートメントとは、企業や個人の存在意義や価値観、行動指針などを示した宣言文です。企業が掲げた経営理念や行動指針に込められた想い、提供するサービスの意義などを明文化し、ステークホルダーに向けて発信します。

今回は、ミッションステートメントの定め方や効果、企業事例、作り方をはじめ、個人のミッションステートメントとの違いも解説します。

ミッションステートメントとは?

ミッションステートメント(Mission Statement)は、企業経営の根幹となる理念を示す重要な文言です。会社の方向性や目標、従業員が目指すべき姿勢を明確に定義するもので、ユニークな価値提案を盛り込み、競合他社との差別化を図ることが重視されます

ミッションステートメントがあれば、ステークホルダーに対して企業の存在理由を明確に伝えることができ、ブランドロイヤリティの向上に寄与します。また、社員のモチベーション向上や採用活動にも効果的で、顧客に対する製品やサービスの意義を示すなどのメリットが期待できるでしょう。

ミッションステートメントを簡潔で分かりやすく定めれば、企業活動の指針となります。経営者や従業員が求心力を持って邁進するための羅針盤ともいえます。

企業理念・経営理念との違い

ミッションステートメントは企業の目的や存在意義を明確に定め、声明文として外部に表明したものです。具体的で簡潔な文章のため、従業員に行動指針を示す手法として適しています。一方、経営理念や企業理念は、事業・経営における根本的な考え方を示したもので、ミッションステートメントよりも抽象的で哲学的な場合もあります

企業理念、経営理念、ミッション、ビジョン、バリューや、ミッションステートメントなどの言葉は、企業によって少しずつ解釈が異なる点に注意しましょう。

企業におけるミッションステートメントの効果

企業がミッションステートメントを定めると、以下のような効果が期待できると考えられます。

それぞれを詳しく解説します。

従業員のモチベーション促進

ミッションステートメントは、企業の存在意義や目的を明確に示すため、従業員のモチベーションを高める効果が期待できます。共通の目標が明確であるほど、従業員一人一人が目標達成への貢献を実感できるため、仕事への意義や誇りを持てるようになるでしょう。

また、ミッションステートメントが具体的で簡潔であれば、従業員は自分の役割と、自社の大きな目標がリンクしていることを理解しやすくなります。さらに、社内の意思統一を図ることができ、風通しの良い組織風土の醸成にも寄与します。

こうした明確な目標設定と一体感は、従業員の生産性とエンゲージメントを高め、企業への貢献意欲を掻き立てます。

企業理念のアピール

ミッションステートメントは企業の存在意義や目的を簡潔に表したもので、その背景にある企業理念や価値観をアピールするのに適しています。

企業理念は比較的、抽象的で哲学的な表現になりがちですが、ミッションステートメントはそれを具体化し、分かりやすく伝える点が特徴です。製品やサービスを通じて実現したい理想や、社会への貢献などの志向性を、簡潔な言葉で表現できるのです。

ミッションステートメントには企業理念の核心部分が凝縮されています。そのため、従業員や株主、顧客など様々なステークホルダーに対して、企業の価値観や行動原理をアピールする最適な媒体となるでしょう。

意思決定における共通基準の提供

ミッションステートメントは、社員一人一人が意思決定をする際に、共通の拠り所となるのがメリットです。ミッションステートメントには、企業が目指す方向性と核となる価値観が明確に示されているため、企業の様々な意思決定の判断基準となるためです。

具体的には、新規事業の採否や製品開発の方針、マーケティング施策の選択といった場面において、「この選択肢がミッション達成に資するか」「私たちの価値観に沿うものか」と考え、組織として一貫した行動につながります。

ほかにも、ミッション遂行に向けた思考プロセスが社内に浸透すれば、個人の裁量に委ねられがちな判断もスムーズになるでしょう。その結果、迅速な意思決定と組織の統一性が実現できるメリットもあります。

ミッションステートメントの事例3選

ミッションステートメントの企業事例を3つ見てみましょう。

それぞれのミッションステートメントをご紹介します。

スターバックスコーヒージャパン株式会社

OUR MISSION
この一杯から広がる 
心かよわせる瞬間 
それぞれのコミュニティとともにー
人と人とのつながりが生み出す 
無限の可能性を信じ、育みます*1

スターバックスコーヒージャパンでは、OUR MISSION(私たちがここにいる理由)とともにOUR PROMISES(私たちがともに目指す姿)として6つの目指す姿を具体的に掲げています。あわせて、OUR VALUES(私たちの行動指針)を5つ挙げて、従業員の行動基準を明確に表しています。

株式会社ファーストリテイリング

ステートメント─ Statement
「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」
ファーストリテイリングのミッション─ Mission
ファーストリテイリンググループは─
・本当に良い服、今までにない新しい価値を持つ服を創造し、世界中のあらゆる人々に、良い服を着る喜び、幸せ、満足を提供します
・独自の企業活動を通じて人々の暮らしの充実に貢献し、社会との調和ある発展を目指します*2

ファーストリテイリングでは、ステートメントとミッションを分けて記載しています。また、「私たちの価値観(Value)」を4項目、私の行動規範(Principle)を6項目掲げて、より具体化した価値観や行動指針を対外的にアピールしています。

さらに、ミッションや価値観の補足情報として「本当に良い服とは何か」「お客様の立場に立脚するとは、どういう意味か」を掘り下げ、説明文も公表しているのが特徴的です。

大塚商会グループ

使命
大塚商会は多くの企業に、情報・通信技術の革新によってもたらされる新しい事業機会や経営改善の手段を具体的な形で提供し、企業活動全般にわたってサポートします。そして、各企業の成長を支援し、わが国のさらなる発展と心豊かな社会の創造に貢献しつづけます。

目標
・社会から信頼され、支持される企業グループとなる。
・従業員の成長や自己実現を支援する企業グループとなる。
・自然や社会とやさしく共存共栄する先進的な企業グループとなる。
・常に時代にマッチしたビジネスモデルを創出しつづける企業グループとなる。

行動指針
・常にお客様の目線で考え、お互いに協力して行動する。
・先達のチャレンジ精神を継承し、自ら考え、進んで行動する。
・法を遵守し、社会のルールに則して行動する。*3

大塚商会グループは、社会的役割・責任・存在意義を「使命」として、目指すべき「目標」や日々の「行動指針」を告示・宣言して、ミッションステートメントを制定しています。ミッションステートメントの発表にあたり、社長が説明する動画や、具現化に向けた「やるべきこと」も公開しています。

企業のミッションステートメントの作り方

企業のミッションステートメントの作り方は、以下の3ステップです。

  1. プロジェクトチームを立ち上げる
  2. 価値観を特定する
  3. 内容を文章化する

それぞれを詳しく解説します。

1.プロジェクトチームを立ち上げる

ミッションステートメントを策定する際は、経営陣はもちろん、様々な部門の従業員を交えた横断的なプロジェクトチームを立ち上げることが賢明です。多様な視点を反映させることで、バランスの取れた内容となります。

リーダーには中立的な立場の者を任命し、全社的な関与を促します。また、株主、顧客、取引先などのステークホルダーの代表者も参画させると、より実効性の高いものになるでしょう

2.価値観を特定する

次に、企業の価値観やビジョン、行動原理を特定します。過去の経緯と伝統、競合他社との差別化ポイント、企業文化などを掘り下げ、核となる部分を見出しましょう

ワークショップ形式で従業員の意見をつのり、経営陣との議論を重ねながら、企業の存在意義を検討していきます。様々な立場の声に耳を傾け、建設的な議論を通じて本質的な価値観を特定しましょう。

3.内容を文章化する

前のステップで特定した価値観を、簡潔かつ分かりやすい一文に集約します。ここでも経営層、従業員のみならず、株主、顧客、取引先など様々な立場に伝わるような、無駄のない言葉選びを意識します。

伝えたい本質が的確に表現されているか、全従業員の理解が得られるか、行動規範となり得るかをチェックしながら、繰り返しブラッシュアップを行いましょう

個人のミッションステートメントとは?

個人のミッションステートメントとは、自分自身の人生における目的や存在意義を簡潔に述べた文章のことです。企業のミッションステートメントが組織の方向性を示すのに対し、個人のそれは人生の指針となります。

個人のミッションステートメントは、自分の人生の目標や価値観を明確化し、モチベーションを維持しながら進んでいくための道しるべとなります。ミッションステートメントを作成することで、自分自身を深く理解できるだけでなく、人生の優先順位が明確になり、目標達成への集中力が高まるでしょう。

つまり、個人のミッションステートメントは自らの人生を豊かにし、より意義深くするための強力なツールとなり得ます。

個人のミッションステートメントの作り方

個人のミッションステートメントの作成方法を3ステップでまとめます。

  1. 自己内省をする
  2. 自己内省の結果をもとに自分の役割を明確にする
  3. 内容を文章化する

順に詳しく解説します。

1.自己内省をする

まず、自分自身を深く理解することが不可欠です。過去を振り返り、どのような経験から何を学んだか、何に価値を置いてきたかを掘り下げます。自分の長所や短所、強みや弱み、好きなことや得意なことを洗い出し、人生で大切にしている理念や信念、夢や目標を見つめ直しましょう。

2.自己内省の結果をもとに自分の役割を明確にする

次に、自己内省で見つけた自分の“核”となる部分から、自分の役割を見出します。役割には、家族の中における自分の立ち位置、社会に対する自分の貢献、人生を通して実現したいことなどが挙げられます。自分が最も価値を置く領域で、どのようなインパクトを与えたいのかを見極めましょう。

3.内容を文章化する

役割が明確になったら、ミッションステートメントとして一文に集約していきます。簡潔で分かりやすい言葉を選び、自分の人生の目的や存在意義を的確に表現します。無駄のない言葉遣いを心がけ、繰り返し文言を磨いていきましょう。完成したミッションステートメントを日々意識することで、行動の指針となり、目標達成への原動力になります。

ミッションステートメントで価値観や存在意義を表現してみよう

ミッションステートメントは、企業や個人の存在意義を明確にする重要な文章です。企業のミッションステートメントは経営理念を体現し、事業・サービスの意義などを盛り込むことで差別化を図ります。

ミッションステートメントを定めれば、従業員のモチベーション向上や対外的なアピールにつながるでしょう。ミッションステートメントの作成プロセスは企業と個人でほぼ変わりませんが、どちらも価値観の特定と、繰り返し文章をブラッシュアップすることが大切です。

多様な視点で価値を掘り下げ、ミッションステートメントの作成に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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※引用
*1 スターバックスコーヒージャパン株式会社 Our Mission, Promises and Values
*2 株式会社ファーストリテイリング FAST RETAILING WAY (FRグループ企業理念)
*3 大塚商会 ミッションステートメント

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。