デジタル技術の急速な発展に伴い、DX人材の需要が高まっています。DX人材として活躍できることを証明するための手段として、資格の取得は有効です。資格は客観的なスキルの証明につながるため、DX人材を求める企業にとって魅力的に感じるでしょう。
DXに関する資格は数多くあり「どれを受験するべきか」と悩む人も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、DX人材に必要な知識やスキルが身につくおすすめの資格12選をまとめました。資格選びのポイントも解説しているので、ぜひ最後までチェックしてみてください。
DX人材とは?
DX人材には、まだ明確な定義はありません。一方、経済産業省が公開している資料では、「DX」について下記のように定義しています。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、データやデジタル技術を使って、顧客目線で新たな価値を創出していくことを指します。
引用:経済産業省「デジタルガバナンス・コード 実践の手引き(要約版)」より
昨今デジタル技術の発展に伴い、積極的にデジタルを活用してビジネスモデルをより良いものに変えていこうという動きが進んでいます。企業の業種にかかわらず、デジタルの活用が求められるなか、DX推進に貢献できる「DX人材」の需要が高まってきているのです。
この記事では、DX人材に必要な知識・スキルの証明が可能な資格12選を紹介します。今後、デジタル領域で活躍したい方や資格取得を通して市場価値を高めたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
DX資格取得のメリット
DX人材に必要なスキル・知識の保有が証明できる資格を取得しておくことのメリットは、下記の2つです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
キャリアアップにつながる可能性がある
DX資格を取得すると、キャリアアップにつながる可能性があります。DXの推進には、デジタルに関する専門的な知識が必要です。企業の多くはDX推進に向けて、DX人材の確保を目指して動いています。
DX人材であるか否かを判断する基準の1つに資格があり、DX資格取得により活躍の場が広がる可能性があるのです。DX資格の取得は、結果的にキャリアアップにつながるというメリットがあります。
市場価値が向上する
DX資格取得によって市場価値が向上する点も、メリットの1つです。DX人材の不足が課題とされるなか、DX資格取得によって知識・スキルを身につければ、より必要とされる人材になれるでしょう。
資格取得は客観的なスキルのアピールに役立ちます。DX資格の取得により、DX人材として活躍できるスキルがあることを証明できるかもしれません。需要が高い領域のため、デジタル領域で活躍できる人材になれば、市場価値が向上するでしょう。
DX資格の選び方のポイント
近年、DX推進の流れの加速に伴い、DX資格の種類も増えてきています。数あるなかから自分に合った資格を選択するためには、下記の3つのポイントを押さえておきましょう。
それぞれ詳しく解説します。
キャリア目標と照らし合わせる
取得するDX資格を選択する際は、キャリア目標と照らし合わせることをおすすめします。なぜなら、「DX人材」と一口にいっても、役割や業務が異なるからです。経済産業省と独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の発表によると、DX人材は下記の5つの人材類型で分けられています*1。
- ビジネスアーキテクト
- データサイエンス
- サイバーセキュリティ
- ソフトウェアエンジニア
- デザイナー
DX人材として活躍できる場は多岐に渡るため、今後のキャリア目標を描いてDX資格の取得を目指すことが重要です。上記の画像を参考に「興味のある分野はあるか」「どんなキャリアを歩みたいか」を考えてみてください。
難易度を確認する
DX資格の取得を目指す際は、資格の難易度を確認するのもポイントの1つです。DX資格の種類は豊富にあるため、初心者でも受験できるものから経験者を対象としたものまで、難易度に幅があります。
たとえば、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が推奨するITパスポート試験は、社会人として必要なITの基礎知識を問う試験です。実務経験が無くても比較的受験しやすい難易度といえます。一方、DXに関連する資格はさまざまあり、受験資格に一定の条件を設けている試験も。受験する資格を選択する際は、難易度を確認し受験可能か判断しましょう。
取得にかかる費用と時間制約を確認する
資格取得にかかる費用と時間も資格を選択する際に気をつけておきたいポイントです。ほとんどの資格試験では受験料が必要であり、試験によって差があります。試験によっては研修の受講が義務のものもあり、研修費用が追加で発生する場合も。
試験に加えて研修の参加が必要な場合、試験日と研修日の確保が必要です。このように、試験によっては時間的な制約が発生することがあります。受験前に試験概要を確認し、費用と時間の制約がどれくらいあるかをチェックしましょう。
DXの知識やスキルが身につく資格12選
ここからは、DX人材として活躍する際に活かせる知識やスキルが身につく資格12選を紹介します。各試験の主な特徴は、下記の表にまとめました。受験する資格を選択する際の参考にしてください。
DX資格一覧 | 主な特徴 |
---|---|
DX検定 | スコアによって3つのレベル別に認定が 受けられる、DXの基礎を問う検定 |
+DX認定資格 | ビジネスパーソンが身につけておきたい DXの知識を問う資格試験 |
デジタルトランスフォーメーション検定 | DXの推進が加速する業界に従事する 社会人が受けておきたい検定 |
ITパスポート | すべての社会人が身につけておきたい ITの基礎知識を問う国家試験 |
情報セキュリティマネジメント試験 | DXの推進に欠かせない情報セキュリティの 基礎知識を問う国家試験 |
基本・応用情報技術者試験 | ITエンジニアになりたい人や キャリアアップを目指す人向けの国家試験 |
ITストラテジスト試験 | 企業の経営戦略に基づいてIT戦略の考案が できる知識・能力を問う国家試験 |
プロジェクトマネージャ試験 | システム開発に関するプロジェクトを 推進する知識・能力を問う国家試験 |
データベーススペシャリスト試験 | 組織の膨大なデータを管理・運用するために 必要な知識・能力を問う国家試験 |
ITコーディネータ | 企業や組織の成長に欠かせないIT経営に 関する知識やスキルを問うプログラム |
AI実装検定 | AI技術者としてビジネスで活躍する スキルがあることを証明する検定 |
AWS認定資格各種 | 世界でトップシェアを誇るクラウド サービスに関する知識を問う資格試験 |
各資格について詳しく解説します。
DX検定
DX検定は、名前の通りDXの知識力を測る検定です。獲得したスコアに合わせて、下記のようにレベル別で認定される仕組みをとっています。
- スコア800以上:DXプロフェッショナル レベル
- スコア700以上:DXエキスパート レベル
- スコア600以上:DXスタンダード レベル
受験資格に規定はなく、社会人として必要なDXの知識を問う試験です。レベル認定を受けると、名刺やプロフィールに掲載可能なオープンバッチが配布されます。DX人材に必要な知識を保有することを客観的に証明できるため、就職・転職やキャリアアップに活かせる検定といえるでしょう。
受験費用(税込) | 6,600円 |
試験時間 | 60分 |
受験方法 | Web受検(自宅、会社のPCまたは タブレットでの受検が可能) |
+DX認定資格
+DX認定資格はビジネスパーソンがもつスキルに対して、+αとなるDXの知識を問う資格試験です。DX未経験者を受験対象者としています。DX人材になるためのファーストステップとして受験することを推奨している資格試験です。
試験で出題される内容は、公開されている資料から確認できます。勉強範囲が明確なため、独学での試験勉強が行いやすい点でDX初心者でも受験しやすいでしょう。
受験費用(税込) | 8,800円 |
試験時間 | 40分 |
受験方法 | 自宅受験 |
デジタルトランスフォーメーション検定
デジタルトランスフォーメーション検定は、すべてのビジネスパーソンおよびこれからビジネスパーソンになる人を対象とした検定です。DX推進が加速する下記の業界に携わる人への受検を推奨しています。
- ITサービス・ITコンサルティング
- 情報・通信
- 自動車/機械
- 金融
- 人材・サービス
- 流通
- 小売り
- 医療
- メディア・エンターテイメント
検定で問われるテーマは、DXの概要とデジタル技術に関する基礎知識です。公式テキストの販売があるほか、勉強と受検の両方がスマートフォンで完結できるプランも。効率的に受検合格が目指せる点で初心者におすすめの検定です。
受験費用(税込) | 一般:9,350円 学割・全情協資格者部会会員 7,480 |
試験時間 | 60分 |
受験方法 | 自宅受験または会場受検 |
ITパスポート
ITパスポートは、ITに関する基礎知識を保有することを証明する国家試験です。IT人材に必要な基本的な知識を、下記の3つのカテゴリに分けて出題されます。
- ストラテジ系(経営全般)
- マネジメント系(IT管理)
- テクノロジ系(IT技術)
業務で効率的にITを活用するための総合的な知識が問われる試験です。すべての社会人またはこれから社会人になる人を対象とした試験であり、難易度はそれほど高くないといわれています。ITに関する国家資格を初めて受験する人におすすめの資格試験です。
受験費用(税込) | 7,500円 |
試験時間 | 120分 |
受験方法 | 会場受験 |
情報セキュリティマネジメント試験
情報セキュリティマネジメント試験は、情報セキュリティに関する正しい知識を身につけているかを問う国家試験です。IT技術の発展に伴い、組織が取り扱う情報は膨大な量になっています。情報を安全に取り扱わなければ、情報漏洩などのトラブルに発展することも。
情報セキュリティマネジメントとは、企業・組織が保有する情報をサイバー攻撃や情報漏洩といったさまざまな脅威から守るためのスキルです。試験に合格すれば、安全にITを活用できる人材であることが証明できます。
受験費用(税込) | 7,500円 |
試験時間 | 120分 |
受験方法 | 会場受験 |
基本・応用情報技術者試験
基本・応用情報技術者試験は、ITエンジニアに必要な基本知識・応用知識を問う国家試験です。基本試験では、システム開発・運用・管理の知識や技能が問われます。一方、応用試験では基本試験での内容に加え、上位者として課題解決できる応用能力まで求められます。
基本試験は「ITエンジニアの登竜門」と位置付けられており、ITエンジニアを目指す方向けの試験です。応用試験は、ITエンジニアとしてキャリアアップしたい方向けの試験といえます。
受験費用(税込) | 各7,500円 |
試験時間 | 基本情報技術者試験:合計190分 応用情報技術者試験:合計300分 |
受験方法 | 会場受験 |
ITストラテジスト試験
ITストラテジスト試験は、企業の経営戦略に基づいてIT戦略の考案、実行ができる人材であることを証明する国家試験です。ITストラテジストは、高度なIT人材として知識やスキルを活かして企業のDX推進の戦略立案を主な役割としています。
資格取得を目指せば、DX推進に欠かせない要となるポジションに必要な知識が身につくでしょう。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)によると、「情報処理技術者試験」のなかでも最難関の資格であり、難易度が高い特徴があります。
受験費用(税込) | 7,500円 |
試験時間 | 合計300分 |
受験方法 | 会場受験 |
プロジェクトマネージャ試験
プロジェクトマネージャ試験は、システム開発分野におけるプロジェクトマネジメントの知識やスキルを問う国家試験です。DXの推進には、プロジェクトの進行が欠かせません。1つのプロジェクトを完遂するにあたって、業務に携わるチームメンバーを取りまとめる必要があります。
試験はプロジェクトの計画やチームマネジメントの方法など、プロジェクトマネジメントに必要な知識や能力が試される問題で構成されています。専門性を要する役割のため、試験難易度は高い位置付けとなっています。
受験費用(税込) | 7,500円 |
試験時間 | 合計300分 |
受験方法 | 会場受験 |
データベーススペシャリスト試験
データベーススペシャリスト試験は、膨大なデータを取り扱う知識やスキルを問う試験です。ITの発展に伴い、企業は顧客の詳細なデータを取り扱えるようになりました。そこで、手動では管理できない量のデータを安全に運用するために活躍するのが、インフラ系エンジニアです。
データを企業活動に活かすためには、データベースシステムを構築し安全に運用する必要があります。データベーススペシャリスト試験では、データベースを取り扱う専門家としての知識・スキルがあるかが問われます。専門性が高く難易度の高い試験です。
受験費用(税込) | 7,500円 |
試験時間 | 合計300分 |
受験方法 | 会場受験 |
ITコーディネータ
ITコーディネータは、経済産業省が推進するDX資格試験です。試験では、企業や組織の成長に欠かせないIT経営に関する知識やスキルが問われます。ITコーディネータに認定されるには、認定試験の合格と研修プログラムの参加が必要です。
認定試験の出題範囲は「IT経営推進プロセスガイドライン」をもとにしており、IT経営の体系的な理解が求められます。試験に加えて研修での実践経験が必要なため、実践的なスキルを身につけたい方におすすめのプログラムです。
受験費用(税込) | 19,800円 (研修代は別途22万円必要) |
試験時間 | 120分 |
受験方法 | 会場受験 |
AI実装検定
AI実装検定は、AIの知識や実装力を問う検定です。合格者には「ディープラーニング実装師」の称号が与えられ、AIの実装力が一定以上あることが証明できます。検定試験は下記の3つの階級があり、段階的な受験が可能です。
- B級:AIの概要に関して基本的な理解ができているか
- A級:AI技術に必要な数学・プログラミングの基本的な知識が理解できているか
- S級:AIの実装力に加えて画像処理をメインとした実践的な力まで身についているか
AIはIT技術の進歩とともに、さまざまなサービスやプロダクトにおいて導入が進んでいます。AI実装検定に合格すれば、AI技術者としてビジネスで活躍するスキルがあることを証明することができます。
受験費用(税込) | B級:9,900円 A級:14,850円 S級:33,000円 |
試験時間 | B級:60分 A級:60分 S級:60分 |
受験方法 | 会場受験 |
AWS認定資格各種
AWS認定資格は、Amazon Web Services(AWS)が提供するクラウドに関する知識やスキルを問う資格試験です。AWSはクラウドコンピューティングサービスであり、クラウドサービスのなかでトップシェアを誇ります。
AWSを使用したシステムが増えている今、AWSの運用・保守ができる人材であることを証明するAWS認定資格の需要は高まっています。AWS認定は全12種類(2024年4月30日までは全13種類)あり、目的やレベルに合わせて受験できます。AWSを使用するエンジニアや、エンジニアを目指す人におすすめの資格です。
DX人材として活躍するなら資格取得を目指そう!
DXの推進が加速する昨今、DX人材の需要が高まっています。IT業界に属する企業はもちろん、ほかの業界でもDX化が求められているため、すべての社会人にとってDXの知識は必要です。DXの知識に関する資格を取得すれば、活躍の場が広がりキャリアアップにつながるでしょう。
DX人材に必要な知識が身につく資格は多岐にわたり、難易度や求められるスキルはさまざま。資格取得の目的を明確にし、受験する資格を選ぶ必要があります。また、社会で活躍する人材になるには、資格取得に加えて実践的なスキルが求められるでしょう。
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※出典
*1:経済産業省「デジタルスキル標準 ver.1.0」より