タイポグラフィとは?目的や読みやすい文字の作り方を紹介

タイポグラフィとは?目的や読みやすい文字の作り方を紹介

タイポグラフィとは、文字の配置・レイアウト・フォントなどを工夫することで、文字を読みやすく美しくするデザイン技法です。表現物に適したタイポグラフィを作ることで、文字の視認性を向上させるだけでなく、ユーザビリティの向上につなげられます。

本記事ではタイポグラフィの目的や基本的なルールをはじめ、具体的な文字の作り方、タイポグラフィ作成に役立つツールなどを詳しく解説します。初心者向けのタイポグラフィの学び方も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

タイポグラフィとは? 

タイポグラフィとは、文字や文章を読みやすく美しく配置するデザイン技法のひとつです。元々は活版印刷の文字の体裁を整えるために使われていた技法ですが、デジタル化が進んだ現代では「文字全般」に対してタイポグラフィの概念が浸透するようになりました。

タイポグラフィ最大の目的は、文章や文字の視認性・可読性・美しさを向上させることにあります。表現物に応じて最適な文字のフォント・太さ・行間・装飾などを配置することにより、文字を読みやすく美しくデザインするのが特徴です。

タイポグラフィを活用すれば、文字情報をイメージ通りに伝達できるだけでなく、ユーザビリティの向上にもつながるでしょう。

タイポグラフィには、大きく「文字を読みやすく美しくレイアウトする」「文字そのものをデザインする」の2つの意味があると言われています。ここからは、それぞれの意味を紹介します。

文字を読みやすく、美しくレイアウトする

タイポグラフィは「文字を読みやすく美しくレイアウトする」という意味で用いられるケースが多いです。具体的には、文字のフォント・大きさ・配置・行間などを人が読みやすいよう美しく配置することを指します。

文字情報を正しく相手に伝えるためには、文字がスラスラと頭に入るよう工夫しなければいけません。文字を読みやすくレイアウトすることで、読者の可読性を上げ、表現物のイメージをより正確に伝えやすくなります。

普段何気なく読んでいる雑誌やWeb上の記事も、ほとんどがタイポグラフィを活用して「読みやすさ」に配慮されています。「美しいレイアウト」が分からないという場合は、読みやすいと感じた文字や文章のデザインを真似するところから始めるのもおすすめです。

文字そのものをデザインする

文字を読みやすくレイアウトするのではなく「文字自体をデザインする」こともタイポグラフィの一種です。単なる文字列としてではなく、デザインの主体として文字を捉える表現技法のことを指します。

文字を主体としたデザインはイラストのような領域に近く、企業のロゴマークや道路標識などをイメージすると分かりやすいでしょう。

文字そのものをデザインする際は、フォントや色使い、タッチを細かく変えることで、全体の見え方を考慮するのが一般的です。プロのデザイナーでも難しい芸術的な分野になるので、まずはさまざまなデザインを研究するところから始めてみてください。

タイポグラフィの作り方

文字を読みやすくするためのタイポグラフィですが、具体的な作り方が分からないという方も多いのではないでしょうか。タイポグラフィを作る時は、下記7つのポイントに配慮することが大切です。

これらの基本ポイントを把握しておくことで、より効果的なタイポグラフィを作成できるでしょう。

表現物にあったフォントを選ぶ

大前提として、文字のフォント(書体)は表現物のイメージに合わせて選ぶことが大切です。日本語フォントは主に2つの種類に大別でき、それぞれ異なるイメージを有しています。

  • 明朝体:上品、高級感、和風、女性的、繊細、真面目
  • ゴシック体:スマート、都会的、目立つ、カジュアル

たとえば、おもちゃの販促POPを作る際には、カジュアルで文字を目立たせられるゴシック体が適しています。逆に書籍や新聞などには、真面目でかしこまったイメージのある明朝体を選ぶと良いでしょう。

このように、フォントは文字を通じて伝えたいイメージを考慮して選ぶのがポイントです。表現物に合わないフォントを選んでしまうと、こちらの意図とは正反対のイメージを与えてしまう恐れもあるため注意してください。

なお、明朝体やゴシック体の中にも「MS明朝」や「ヒラギノ角ゴシック」といったさまざまな種類があります。手書き風フォントやポップ体などデザイン性の高い書体もあるので、表現物や伝えたい雰囲気に応じて選んでみましょう。

ただし複数のフォントを使うとかえって読みにくくなるため、使うとしても2,3種類程度に留めておくのがおすすめです。

内容に合わせて文字サイズや色を変更する

文字のサイズや色は、内容に合わせて調整するようにしましょう。たとえば商品のタイトルや記事の見出しといった重要な箇所は、文字サイズを大きくして目立たせるのがおすすめです。フォントサイズを変更することで文章全体にメリハリが生まれ、読みやすさの向上につながります。

また文字の強調方法としては、文字色を変えたりアンダーライン(下線)を引いたりするのも効果的です。

文字列が全て同じフォントサイズ・色になっていると、読者もどの箇所が重要なのか分かりづらく、理解度に大きく影響します。そのためタイポグラフィでは、伝えたい情報の優先度に応じて、文字の大きさや色でメリハリを付けることが大切です。

行間を詰めすぎないようにする

文章が複数行になる場合は、行間を詰めすぎないよう注意が必要です。行間が詰まっていると窮屈な印象となり、文章が読みにくくなってしまう可能性があります。そのため文字量が多い場合は、文章の内容や文字量に応じて適切な箇所で改行を入れるようにしましょう。

ただし、行間を広くしすぎても間延びした印象になってしまうため、全体のまとまりを考慮しながら改行するのがポイントです。基本的には150〜190%の行間が読みやすいとされているので、ぜひ参考にしてみてください。

文字同士の間隔を調整する

行間と同様に、文字同士の間隔(字間)にも配慮するようにしましょう。字間を調整せず文字を打つことを「ベタ組み」と呼びますが、文字はそれぞれ異なる余白サイズを持っているため、ベタ組みだと同じフォントにしても文字と文字の間隔がバラバラになってしまいます。

特に大きな文字を使用するタイトルや見出しでは、字間のバラつきや余白が目立ちやすいので注意が必要です。字間がバラバラだと散漫な印象を与え、スラスラと文字を読むのが難しくなります。

字間と行間を均等にすると読みやすくなるので、全体のバランスを考慮しながらある程度のゆとりを持たせるようにしましょう。

色を使いすぎない

文字を強調したい時に役立つ「色」ですが、使いすぎはおすすめできません。複数の色が使われていると情報量が多量になり、読者もどこに着目すれば良いのか分からなくなってしまいます。

基本的には3色以内(ベースカラー・アクセントカラー・サブカラー)で構成することで、色のまとまりがよくなり読者側も情報を処理しやすくなるでしょう。

またタイポグラフィにおいて使用する色は、色が持つ特徴やイメージに応じて選ぶことが大切です。たとえば、文字色には可読性の高い黒色が使われることが多いですが、背景色が濃い青色や緑色の場合は見えにくくなってしまいます。

色特有の視認性や可読性を考慮したうえで、色同士のバランスを見ながら選ぶようにしましょう。

過剰な装飾は行わない

色やフォントを使いすぎないのと同様に、過剰な装飾もなるべく控えるようにしましょう。タイポグラフィを初めて作る時には、つい派手なデザインにしたくなりますが、過剰な装飾は文字の読みにくさにつながってしまいます。

特に集中して文章を読んでもらいたい場合には「輪郭線をつける」「影をつける」といった装飾は、タイトル程度に留めておくと良いでしょう。美しいタイポグラフィにするためには、読みやすさを最優先に考えてデザインすることが大切です。

文字の一部を変形し、アクセントにする

タイプグラフィ上級者の方には、文字の一部を変形させてアクセントにしてみるのもおすすめの方法です。たとえば「字」という漢字の棒線を鉛筆のイラストに変更したり、文字を斜めや波型に変形させたりといった方法が挙げられます。

アクセントを加えることで文章に緩急をつけられるので、読者も飽きることなく文章を読み続けられるでしょう。ただし前述の通り、装飾しすぎると読みにくくなるため十分注意してください。

なお、文字を変形させてモチーフやイラストを入れるときは、言葉の意味に関連したものを選ぶのがコツです。「月という漢字なら、はらい部分を月のイラストにする」のように工夫すれば、伝えたいイメージをより正確に表現できます。

タイポグラフィの作成ツール

タイポグラフィを作成する際は「Illustrator」や「Canva」といったデザインツールを活用するのがおすすめです。ここでは、各デザインツールの特徴やタイポグラフィへの活用法を詳しく紹介します。

Illustrator

Illustratorは、アメリカのソフトウェア会社・Adobeが提供しているグラフィック作成ツールです。テキスト・画像・イラストなどを組み合わせて、オリジナルのデザインを作成することができます。

Illustratorには文字のフォントセットが豊富に用意されているため、広告向け文章やロゴマークといったテキストもオリジナルデザインで作成可能です。文字タッチツールを使えば文字の大きさや配置も簡単に変更できるので、複雑なタイポグラフィを作る際にも役立つでしょう。

「文字を斜めにする」「文字の一部をモチーフにする」といったデザインも直感的に操作できるので、初心者でも扱いやすいのがうれしいポイントです。

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Canva

Canvaは、バナー・ロゴ・プレゼン資料・チラシなどの作成に役立つグラフィックデザインツールです。Webブラウザ上で使用することができ、グラフィックデザイン以外にもカラーパレット機能や写真・動画編集機能、Webサイト作成機能などさまざまな機能を備えています。

Canvaの最大の魅力は、誰でも簡単におしゃれなデザインを作成できること。タイポグラフィに関しても、写真・動画・イラスト素材などを使って簡単に作成することが可能です。テンプレートが非常に豊富なので、かわいい・シンプルといったイメージに合わせて理想のタイポグラフィを作成できるでしょう。

テンプレートを利用すれば「色やフォントを使いすぎる」「過剰な装飾をしてしまう」といった初歩的な失敗を防げるのも魅力と言えます。

タイポグラフィの初心者向けの学び方

高度なデザインスキルが必要になることも多いタイポグラフィですが、未経験の場合は下記いずれかの方法で学習を始めるのがおすすめです。

本やWeb上の学習サイトは、コスパ良く自分のタイミングで学べるのが大きなメリットと言えます。より本格的かつ効率的にタイポグラフィを学びたい方は、キャリアスクールに通ってみましょう。

本で学ぶ

独学でタイポグラフィを学ぶ場合は、まず本を購入して勉強を進めるのが一般的です。教本であればタイポグラフィの基本から応用まで順序立てて解説されているので、初心者でも理解しやすいでしょう。自分の好きなタイミングで学習できるので、仕事と両立しやすいのも大きな魅力のひとつです。

ただし独学の場合は、学習ペースが良くも悪くも自分次第となるので、人によっては勉強が長続きしない可能性も。本での学習は、最後まで自分を律して勉強を続けられる方に向いている方法と言えます。

学習サイトで学ぶ

近年ではWeb上の学習サイトでも、タイポグラフィを学ぶことができます。初期費用がかからず無料で学べるため、タイポグラフィを学ぶか迷っている方や何から始めていいか分からない方におすすめの方法です。本と同様に、自分のペースでコツコツと学習を進められるのもメリットと言えるでしょう。

しかし学習サイトには多くの情報があふれているため、誤った方法で学んでしまう可能性もゼロではありません。学習サイトを利用する場合は、デザイン会社やキャリアスクールのように信頼できる会社が運営するサイトを選ぶようにしましょう。

スクールで学ぶ

「実践的なタイポグラフィを学びたい」という場合は、キャリアスクールに通うのがおすすめです。専門スクールであればタイポグラフィのプロから直接指導を受けられるので、体系的なスキルを身に付けることができます。

本や学習サイトに比べて費用は高いものの、プロの講師からアドバイスを受けられるのは大きなメリットと言えるでしょう。

なかには案件サポートを実施しているキャリアスクールもあり、タイポグラフィを学んで就職や転職につなげたいと考えている方にぴったりです。オンラインスクールであれば好きな場所で受講できるので、比較的仕事との両立も図りやすいと言えます。

タイポグラフィとは文字を読みやすく配置するデザイン技法の一種

タイポグラフィとは、文字を読みやすく美しく配置するために、文字のフォントやサイズなどを工夫するデザイン技法の一種です。タイポグラフィを活用することで意図したイメージが伝わりやすくなるだけでなく、ユーザビリティの向上にもつながります。

タイポグラフィは本や学習サイトで学ぶことも可能ですが、より体系的に学びたい場合はキャリアスクールに通うのがおすすめです。

女性向けキャリアスクールのSHElikes(シーライクス)では、デザインの基本を学べる「Webデザインコース」やロゴ制作のプロセスを学べる「ロゴ・CIコース」が用意されています。ほかにもタイポグラフィ作成に役立つIllustratorを学べるコースもあり、実践で役立つスキルを身に付けることが可能です。

タイポグラフィを学びたい、デザイナーとして活躍したいという方は、ぜひ無料体験レッスンに参加してみてください。

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ABOUT ME
ライター 岩崎奈々
関西大学 社会学部卒業。在学中は国際協力を行う学生団体に所属し、広報やメディア発信に従事。新卒で凸版印刷株式会社に入社し、無形商材の営業を担当。フリーランスとして独立し、現在は主にインタビューライティングやSEOライティングをメインに活動中。その他メディア立ち上げやコンテンツ運営も実施。
エディター 古澤 椋子
鹿児島大学大学院水産学研究科修了。水産系社団法人にて、水産に関わる調査研究、行政との折衝などを経験したのち、水産系ベンチャーにて、広報を担当。2023年からフリーライターとして活動を始め、主にエンタメ系の記事を執筆。SHElikesでキャリア、マインド共に変化した経験から、SHEsharesのライターを務める。

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