映画やアニメ、ゲームなどの映像作品にはCGやVFXなどの技術が使用されています。近年はソフトの性能が向上しつつあり、VFXを作りやすくなっていると考えられるでしょう。そして人気の映像作品を見た人には「自分でもVFXを作ってみたい…!」「将来はVFXクリエイターになりい…!」と考える方がいるかもしれません。
そこで今回は、VFXの意味やCGとの違い、VFXを使用した人気作品や使用できるソフトなどについて解説します。迫力のある映像を作ってみたい方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
注目されるVFXとは?
VFXとは「Virtual Effects」の略称であり、日本では「視覚効果」と呼ばれることが一般的です。実写映像を撮影した後にCGで作成した映像を加えたり、ゲームやアニメの背景や世界観演出などに使用されています。映画やテレビ、ゲームやアニメなどエンターテイメント業界で使用される技術の一つであり、華やかな映像作品の多くはVFXを使用して作られています。
またVFXは架空の映像を作品に落とし込めるため、自由な演出を施した動画作品を作ることが可能です。ただしVFXを使用するコンテンツの多くには、CGやSFXなどの技術も使用されています。
VFXとCGの違い
CGは「Computer Graphic(コンピューターグラフィック)」のことであり、コンピューターで作成した図形や画像、キャラクターなどが該当します。
例えばアバターキャラクターのオブジェクトを作成する場合、モデリングやボーンの配置、アニメーション設定などを行いながらキャラクターを作成します。また動きのある3Dは、3DCGアニメーションと呼ぶことが一般的です。これらの工程で作られた作品がCGと呼ばれています。
一方でVFXは撮影した映像に演出を加える技術を使用した映像を指すことが一般的です。つまりCGとはコンピューターを使って作成されたコンテンツであり、それらを映像に落とし込むとVFXになると考えられます。ただしCGの定義は業界や年代によって認識が異なる可能性があるので注意してください。
VFXとSFXの違い
VFXと近い言葉として、SFXが挙げられます。しかし双方の意味は全く異なるので、ただし内容を理解しておきましょう。
SFXとは「Special Effects(スペシャル エフェクト)」の略称であり、撮影の現場で演出を施す技術のことです。例えば戦争をテーマにした映画などでは、火薬や爆薬を利用して爆発シーンを演出します。一方でVFXは撮影された映像にCGを施す技術なので、SFXとは意味が全く違います。
しかしSFXを使って作られた作品には、VFXが使用されていることが一般的です。したがってVFXの勉強をしたい方は、リアルの映像作品に「映像でどのような演出ができるのか?」と考えてみるとよいでしょう。
VFXを使用した人気作品
ここでは、VFXを使用した人気作品を見ていきましょう。
どのような技術が使われているのか解説します。
アバター
アバターは、3DとVFXを巧みに使った映像作品の一つです。とある惑星をテーマにした物語であり、地球にはない森や植物などをVFXで見事に表現しています。実写のシーンではSFXも多く使用されており、カメラワークや演出、映像編集などさまざまな技術の参考になるでしょう。
演者の表情や筋肉の動きをコンピューターでトラッキングしてCGでモデリングを行うことで、より人間に近いアバターを演出しています。
参考:シネマトゥデイ『アバター〈特別編〉』予告編』より
ハリーポッター
魔法をテーマにしているハリーポッターは、VFXの技術が光る作品といえるでしょう。例えば出演者が魔法を使用する際は光や白い霧などのVFXを活用して、「よりリアルな魔法」をイメージさせます。
作品の舞台となる「ホグワーツ」はCGで作成した建造物を使用しており、カメラワークやモデリングスキルの勉強になるでしょう。グリーンバックを使用したクロマキー合成を活用したシーンも多く、撮影から制作までの参考になる作品といえます。
参考:ワーナーブラザーズ『ハリー・ポッターと賢者の石』20周年予告より
シン・ゴジラ
シン・ゴジラは、怪獣である「ゴジラ」を完全CGで再現したことで注目を集めた作品です。筋肉の構造や皮膚のマテリアルをリアルに表現しており、現実世界にゴジラがいる錯覚を思わせる技術力が魅力といえます。
建造物が崩れるシーンでもVFXが使用されており、被写体を活用したSFXのレベルも非常に高いといえるでしょう。CGを中心にした作品に興味のある方は、シン・ゴジラを参考にしてみてください。
参考:東宝MOVIEチャンネル『シン・ゴジラ』白組によるCGメイキング映像より
VFXを作成できるソフト
VFXを作成するにはCGソフトやゲーム開発ツールなどが必要です。ここでは、映像制作業界や個人クリエイターが使用するツールを見ていきましょう。具体的には下記の通りです。
それぞれの特徴について解説します。
Blender
Blenderは、無料で利用できるオープンソースの3DCGソフトです。本格的なCG制作に対応しているため、高度なVFXや映像演出、モデリングなどの映像制作作業を行えます。動画編集機能も搭載されているので、VFXを使用した映像作品を作ってみたい方におすすめのソフトといえるでしょう。
プラグインを導入すればさまざまな機能を追加できるため、自分の作業に必要なソフトにカスタマイズすることも可能です。Blenderの使い方はYouTubeなどでも多くのクリエイターが発信しているので、一定の使い方は独学でも勉強できるでしょう。コストをかけずに本格的なVFXを作ってみたい方は、ぜひBlenderを試してみてください。
参考:Blender
After Effects
After Effectsは、Adobe社が提供している映像制作ソフトです。動画編集で人気の「Adobe Premiere Pro」と連動して利用できるため、動画編集の副業をしている方にもおすすめといえます。カメラワークやエフェクト作成にも対応しているため、オリジナルの映像演出をしたい方にも使い勝手の良いツールといえるでしょう。
ただしAfter EffectsはCGのモデリングには対応していないため、キャラクターや建造物などを1からの作成ができません。したがってAfter Effectsは、撮影した映像にエフェクト効果を加える際に適切なソフトと考えられるでしょう。
Unreal Engine
Unreal Engineは高性能なゲーム開発ソフトです。映画やテレビ、アニメなどでも使用されるツールであり、Unreal Engineで作成されている映像作品は数多く存在します。CGやVFXの制作はもちろん映像編集にも対応しているので、適切なスキルを身につけた方であればUnreal Engineだけで制作作業が完結します。
商用利用をしないのであれば無料で利用できるため、VFX作成の練習としても活用できることがUnreal Engineの特徴です。ただし操作方法が難しく日本語での解説コンテンツは多くありません。したがってUnreal Engineを学ぶ際は、スクールなどを受講してスキルを身につけるとよいでしょう。
映像作品にVFXを使用するメリット
VFXの意味や制作ツールは理解できたものの、「映像にVFXを使用することにはどんなメリットがあるんだろう…?」と気になる方がいるかもしれません。具体的なメリットは人によって異なりますが、VFXには映像のクオリティが高くなるだけではなく、下記の魅力も存在します。
- 存在しない物体を構成できる
- 演出の幅が広がる
順番に解説します。
存在しない物体を構成できる
VFXの特徴は、撮影した映像にはない人や建物を差し込めることです。またこの世に存在しないキャラクターなどをCGで作成すれば、特別な世界観を演出できるでしょう。例えば宇宙をテーマにした作品などでは、自分たちで考えた「宇宙船」をモデリングして映像に加得ることで、「宇宙らしさ」を演出しています。
また自ら考えたオリジナルキャラクターを作成すれば、作品の中で命を吹き込むことも可能です。つまりVFXは、人間の思考を現実にできる技術の一つともいえるでしょう。
演出の幅が広がる
演出の幅を無限に広げられることも、VFXの魅力の一つです。例えば撮影した街中に異世界への入り口が現れるシーンなどは、VFXで作成されています。
ホラー映画などで施される不気味な世界観なども、VFXを活用すれば実現できるでしょう。つまりVFXの技術を勉強することは、作品の可能性を広げることにつながります。CGやVFXに興味のある方は、ぜひ学んでみてください。
VFXのデメリット
魅力的なメリットがある一方で、VFXには下記のデメリットが存在します。
- ハイスペックPCが必要
- スキルの習得が難しい
上記の項目を理解したうえで、VFXのスキルを勉強してみましょう。
ハイスペックPCが必要
一般的な動画編集と違い、CGやVFXの制作はパソコンへの負荷が大きい作業です。スペックの高いパソコンを使用しないと画面がカクついたり、パソコンがショートしたりする可能性があります。したがってVFXを学びたい方には、下記以上のスペックを搭載したパソコンを推奨します。
名称 | 推奨スペック |
---|---|
CPU | Core i7-14900K以上 |
メモリ | 32GB以上 |
GPU | GeForce RTX4000以上 |
推奨スペックは使用するソフトによってもやや異なるので、自分にあったパソコンを購入したい方はソフトの公式サイトを確認してみましょう。
スキルの習得が難しい
VFXでの映像表現のやり方は人によって異なるため、正解がありません。そのため独学で勉強していると、「これでいいのかな?」と考えてしまう可能性があります。またCGのモデリングではデッサンや人体構造、物体構造などの一定の理論を理解する必要があります。
ソフトの使い方はYouTubeなどでも勉強できますが、よりリアルな作品を作るには質の高いノウハウを学ぶことが大切です。したがってVFXアーティスト・クリエイターを目指す方は、スクールやセミナーの受講を検討してみるとよいでしょう。
VFXに関するよくある質問
最後に、VFXに関するよくある質問を紹介します。
未経験からVFXクリエイターになれる?
スキルを身につければVFXクリエイターになることは可能です。ただし作りたい作品や使用するソフトによっては、日本のインターネットでは情報が少ないかもしれません。そのためスキルの習得には膨大な時間が必要になると考えられます。
現場で使える実践的なスキルを身につけたい方は、本格的なCG制作が学べる学校やスクールで学習することをおすすめします。
動画編集にVFXのスキルは必要?
結論からお伝えすると、YouTube動画や広告動画などのコンテンツ作成であればVFXはほとんど使用しません。そのため、あえて高度なスキルを勉強する必要はないでしょう。しかし簡単なエフェクト演出などは求められる可能性があるので、After Effectsなどの定番ソフトの使い方は理解して損はありません。
VFXを使って映像作品を作ってみよう
VFXとは撮影した映像を加工して、新しい演出を加える技術を指します。CGでのモデリングやアニメーションなどさまざまなスキルが必要ですが、身につけると作品の表現の幅をグッと広げられます。興味のある方は無料ソフトなどを活用して、VFX制作の練習を始めてみましょう。
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