昨今急速にデジタル化が進んでおり、デジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指す企業が増えています。DXを進めるうえで自社の製品・サービスのデジタライゼーションが検討されることもあるでしょう。一方でデジタライゼーションの意味やメリットについて詳しく知らないという人もいるのではないでしょうか。
この記事ではデジタライゼーションの意味や具体例について分かりやすく解説します。また記事の後半では、デジタライゼーションを推進する方法や推進する際のポイントも解説します。デジタライゼーションについて詳しく知りたい人はぜひご覧ください。
デジタライゼーションとは?
デジタライゼーションについて詳しく知るために、以下の点から解説していきます。
一つずつ見ていきましょう。
デジタライゼーションの意味
デジタライゼーションとは「デジタル技術で社内の業務やビジネスモデルを変革し、新しい価値を生み出すこと」をいいます。経費管理を例に挙げてみましょう。変革前は営業先で支出した領収証などを手作業で帳簿に記帳しており、時間がかかっていました。
しかしデジタル技術を導入しシステムが取引を自動入力してくれるようになったことで、空いた時間にデータ分析などのより営業に集中できる環境になるといった具合です。デジタル化によって新しい価値を創造できるようになることをデジタライゼーションといいます。
デジタイゼーションとの違い
デジタイゼーションとは「アナログをデジタル化すること」をいいます。たとえば報告書やパンフレットなどを紙から電子化にしたり、紙に押す印鑑から電子印鑑に変えたりといった形です。
デジタイゼーションは業務の流れなどを変えずにアナログのものからデジタル形式に変えることを指す一方で、デジタライゼーションはデジタル化することで変革することまでをいいます。つまりデジタイゼーションのステップの先に、デジタライゼーションがあるという流れになります。
デジタルトランスフォーメーションとの違い
デジタルトランスフォーメーション(DX)とは「データとデジタル技術を活用し、ビジネスモデルや業務、企業文化を変革し、競争力を高めること」をいいます。DXの身近な例としては、モバイルオーダーやタクシーの配車サービスなどが挙げられます。
つまりデジタル化することで、大きな付加価値を生み、企業の業務効率化のみならず、他社との競争力を強化したものといえます。デジタルトランスフォーメーションは、デジタライゼーションのステップアップしたもので、より組織全体を最適化するものだといえます。
デジタライゼーションの具体例
デジタライゼーションの具体例として、以下の5つを取り上げます。
それぞれ詳しく解説していきます。
オンラインバンキングとモバイル決済
デジタライゼーションの身近な例として、オンラインバンキングとモバイル決済が挙げられます。近年注目されているフィンテックにも挙げられる取り組みです。
オンラインバンキングは銀行に行くことなく、スマホやPCで残高確認や振込・送金、金融商品の取引まで行うことができます。またモバイル決済はスマートフォンを使って支払いができる決済方法で、わざわざ現金を持たなくてもスマホ一つで支払いを完結できるサービスです。どちらも銀行に行ったり、現金を持ったりしなくてもスマートフォンの簡単な操作で利用できます。
電子商取引
電子商取引とは「ネットワーク上でものを売買したり、契約したりする取引全般のこと」をいいます。たとえば、スマートフォンでネットショッピングをしたり、フリマアプリで商品を売買したりすることが挙げられます。
ネットワーク上で取引するので国内外関係なく売買でき、わざわざ外出しなくても簡単に購入できるメリットがあります。またネット上でたくさんの商品を一度に閲覧できるため、比較しながら選択・購入できることも魅力です。
スマートホーム
スマートホームは「より生活を便利で快適にした次世代型の住居」です。たとえば家電をスマートフォンと連動させておくことで、スマートフォン一つで鍵を簡単に自動開閉できたり、外出時にエアコンや家の電気の自動操作をしたりすることが可能です。
また家に室内カメラをつけることで、部屋の状況やペットの様子なども確認できます。スマートホームのメリットとして、家電を自動で操作できるため節電が見込めることやあらゆる機械の操作がスマートフォン一台でできることから利便性が向上することが挙げられます。
デジタルヘルスケア
デジタルヘルスケアとは「デジタル技術を活用した健康管理や医療行為のこと」です。たとえば、ウェアラブル端末を利用して心拍を測ったり、血糖値の変動を確認したりすることで、自分の健康に関する状態を手軽に把握できます。
デジタルヘルスケアがより発展することで、健康増進を図ったり、遠隔地に住んでいる人でも十分な医療を確保できたりします。
自動運転車
自動運転は「機械が人の代わりに運転してくれるもの」です。自動運転にはレベルがあり、アクセルとブレーキ操作を自動サポートしてくれるものから、人が何も操作しなくても運転してくれるようなものまで存在します。
自動ブレーキ機能がついていることで交通事故を防止できたり、車の操作に専念する必要がなくなるため車の移動時間を有効に使えたりといったメリットがあります。
デジタライゼーションがもたらすメリット
デジタライゼーションから得られるメリットとして主に以下の3つがあります。
一つずつ見ていきましょう。
効率性の向上
デジタライゼーションが与えるメリットとして、業務効率化があげられます。たとえば、タブレットやスマートフォンの社内導入を取り上げてみましょう。
スマートフォンやタブレットを活用することで、資料を一つの場所にまとめられるため資料を探す手間が省けたり、リアルタイムで社内や社外の人とやり取りできたりすることが可能です。また働く場所を問わなくなるため、よりフレキシブルに働けます。
カスタマーエクスペリエンスの向上
デジタライゼーションによって、サービスや商品に対する顧客の満足度をより高いものにすることも可能です。カーシェアリングの会社を例に挙げてみましょう。カーシェアリングは「車を所有すると維持費がかかるから持ちたくないけど、ドライブしたい」という顧客のニーズを満たしています。
会員登録から車の予約、配車、返却に至るまでスマホ一つで簡単にできるため、顧客の満足度を上げることができ、かつ新しい価値を提供することに成功しています。
コスト削減
コスト削減ができるのもデジタライゼーションのメリットです。たとえば紙の資料からPDFなどの電子資料に変更することで、紙や印刷にかかる費用が抑えられ、資料を保存しておくための場所を削減できます。
業務プロセスをデジタル化することで、労働力を削減しつつ、人的ミスの発生も抑制できるでしょう。デジタライゼージョンにより、あらゆるコストの削減につながります。
デジタライゼーションを推進する方法
デジタライゼーションを進めるためのステップが4つあります。
それぞれの内容を詳しく解説していきます。
1.現状の把握・分析
デジタライゼーションの始めのステップとして「現状の把握と分析」を必ず行いましょう。自社のデジタル化の進捗度合いやデジタル化が不足している点を確認するとともに、現在の仕事の流れや業務内容を細かく再点検していきます。
現状を把握していないと、社内の問題点を捉えることができません。現状を理解して分析することで、効率性を上げることやコスト削減に向けた取り組みに向けた一歩を踏み出すことができます。
2.デジタル化が必要な業務の洗い出し
次にデジタル化が必要な業務は何かを検討していきます。デジタル化することで社内の業務効率が上がり、かつ顧客の満足度をあげられるものをいくつかリストアップしましょう。
たとえば、電話でのお客様対応業務を行っている会社を想定します。従来の電話対応からAIの自動応答チャット機能に切り替えると、電話対応に対する人の手を削減したり、顧客は24時間いつでも疑問を解消したりすることができます。
3.デジタル化の手段の検討
デジタル化が必要な業務を把握できたら、デジタル化できる方法を検討してみましょう。デジタライゼーションで掲げた目標を、社内の業務に落とし込む形です。たとえば、社内の経費精算を自動化させて業務効率化を目指すとします。
経費を自分で打ち込まなくても即座に仕訳できる機能を含めたいと考え、AI機能を含めることがいいのではないかと検討するといった形です。デジタル化を進めていくうえで、どのような手段を組み込めばいいのかを考えましょう。
4.デジタル化の実行と効果検証
手段を検討したら、早速デジタル化の実行と効果を確認しましょう。実際にデジタル化システムを導入して現場での検証をしなければ、実際に本当に効果を得られているのかを確かめられません。
導入後、改良の余地はないのか、システムに不足な部分はないのかを実証していきます。その際に導入後の社員の声などを参考にしてみるとよいでしょう。最初に定めたデジタライゼーションの目標に近づけるように効果を点検していきましょう。
デジタライゼーション推進におけるポイント
デジタライゼーション推進において気を付けておきたいポイントが2つあります。
- 明確な戦略とビジョンを持つ
- 従業員への理解を促す
それぞれ見ていきましょう。
明確な戦略とビジョンを持つ
デジタライゼーションの推進において、明確な事業戦略や目指すべき目標を持っておきましょう。たとえば、「経費管理を自動にすることで、データ分析といったより顧客のニーズ把握にかける時間を創出し、顧客への新しい価値提供するための仕組みを作り出す」といった具合です。
なぜデジタル化を行う必要があるのか、そしてデジタル化を進めた先に何を得られるようにするのかというしっかりとした軸を持っておきましょう。
従業員への理解を促す
デジタライゼーションを進めるうえで、従業員の理解を得ることは不可欠です。社内システムをデジタル化をすることで一番影響を受けるのは、実際に利用している従業員です。デジタル化で業務効率ができるからいいのではないかと思われる人もいるかもしれません。
しかし元々のシステムで業務フローを確立している人は、変化を好まない可能性があります。デジタル化の目的や目指すビジョンを従業員に共有し、デジタル化への理解を得られるように準備しておきましょう。
デジタライゼーションで業務の効率化や新しい価値創造を目指そう
この記事では「デジタライゼーションとは」について詳しく解説しました。デジタライゼーションとは「デジタル技術で社内の業務やビジネスモデルを変革し、新しい価値を生み出すこと」をいいます。またデジタライゼーションを推進することで、「効率性の向上」「カスタマーエクスペリエンスの向上」「コスト削減」などのメリットが得られます。デジタライゼーションを推進し、新しい価値を作り出していきましょう。
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