ビジネスシーンにおいて、ブレイクスルーという言葉を聞いたことがある方はいるでしょう。しかし、以下のように思うこともあるのではないでしょうか。
「ブレイクスルーとは何?」
「ブレイクスルーはどのように起こす?」
そこで、本記事ではブレイクスルーの意味や種類、思考法を解説。また、ブレイクスルー思考を身につける方法も説明します。
ブレイクスルーに詳しくなりたい方や、ビジネスにおける困難を乗り越える方法を知りたい方は、ぜひチェックしてみてください。
ブレイクスルーとは?
まず、ブレイクスルーとは何かを説明します。ここでは、以下2点を見てみましょう。
- ビジネスにおけるブレイクスルーの意味
- イノベーションとの違い
それぞれを詳しく解説します。
ビジネスにおけるブレイクスルーの意味
ブレイクスルーとは、「破壊」「打開」などを意味する「ブレイク(break)」と「通りぬける」「通過する」という意味の「スルー(through)」を組み合わせた言葉です。ビジネスシーンにおいては、「停滞している状態から抜け出す」「現状の困難や課題を突破する」といった意味で使われます。
元々はアスリートが厳しい現状を乗り越える場面や科学技術が飛躍的な進歩を遂げたときなどに使われる言葉でしたが、近年ではビジネスシーンでも使用されるようになりました。課題や困難に直面したときに、一時的な対応をするのではなく本質的な解決策を生み出すときに使われます。
イノベーションとの違い
ブレイクスルーと似た言葉にイノベーションがありますが、それぞれの意味は異なります。ブレイクスルーは、前述の通り障壁を突破するときに使われる言葉です。
一方で、イノベーションには「革新」「刷新」という意味があり、既存のシステムを見つめ直して新たな技術を開発したり、従来の考え方から離れて新しいアイデアを生み出したりすることを指します。つまり、イノベーションを起こす際は必ずしも課題や困難を抱えているわけではありません。
なお、困難や障壁を突破できると、結果的に革新が起きることもあるでしょう。そのため、ブレイクスルーはイノベーションの一種といえるかもしれません。
ビジネスシーンにおけるブレイクスルーの使い方と例文
ここでは、ビジネスシーンにおけるブレイクスルーの使い方と例文を紹介します。以下の3つが、ブレイクスルーの具体的な使い方です。
- 既存製品の売上が低下していたが、新しいアイデアを思いついて改良したところブレイクスルーが起こり、過去最高の売上を記録した。
- 社員の育成やスキル向上が課題だったが、目標と現状を明確にしたうえで研修を実施したところ、各社員の成長にブレイクスルーをもたらした。
- 経営状況が悪化しており、表面的な対処法では解決できる可能性は低い。全社員が協力してブレイクスルーを起こすことが必要不可欠だ。
課題や困難に直面しているときは、上記の例文のような使い方をしてみてください。
ブレイクスルーの種類
ブレイクスルーには種類があり、以下4つに分けられます。
- タイプ0
- タイプ1
- タイプ2
- タイプ3
それぞれを詳しく見てみましょう。
タイプ0
タイプ0とは、既存の商品やサービス、技術などを改良・改善することを指します。商品やサービスのクオリティはアップしますが、課題の解決や障壁の突破をするとは限らないため、ブレイクスルーの前段階ともいえるでしょう。
ブレイクスルーに該当しないケースもあることから、タイプ0とされています。
タイプ1
タイプ1は、既存の技術や研究をさらに突き詰めることで新たな突破口を見出すブレイクスルーです。仮説と検証の繰り返しや長期的な実験などを経て新たな発見をすることが、タイプ1に分類されます。
タイプ1の具体例としては、青色LEDが挙げられます。青色LEDは実現不可能とされてきましたが、既存の技術や研究を深く掘り下げたことで実現に成功しました。
タイプ2
タイプ2は、既存の商品やサービス、技術が持つ価値を再考するブレイクスルーです。たとえば、「既存商品の価格は変えず、消費者のニーズを満たせるような新たな価値をつける」「既存のサービスを別の市場で販売する」などがあります。
新しい製品や技術の開発には、時間と費用がかかるでしょう。タイプ2のブレイクスルーは、タイプ1と比べてコストを抑える効果が期待できます。
タイプ3
タイプ3は、タイプ1とタイプ2を組み合わせたブレイクスルーです。既存の商品や技術を深堀りしながら、その価値を再定義します。
2つのブレイクスルーを同時に起こすことを目指すため、プロセスが複雑化する可能性があります。しかし、新技術の発見と新たな価値の創出を組み合わせられれば、より影響力のあるブレイクスルーを実現できるでしょう。
ブレイクスルー思考とは?
ブレイクスルー思考とは、現状の課題や困難を打破する突破口を見出すための思考法です。一般的に、問題を解決する際は「現状の把握→原因の分析→対策を講じる→実行」という流れになります。一方で、ブレイクスルー思考の場合は「理想の未来」を最初にイメージし、それを実現させるために必要なことを考えていきます。
「企業目的」や「目的を達成するための方法やシステム」から思考をスタートさせるため、現状の課題や困難を突破できる可能性は高まるでしょう。革新を起こす必要があるときや大きな転換が求められるシーンでは、ブレイクスルー思考が効果的だといえます。
非凡ブレイクスルー思考とは
非凡ブレイクスルー思考とは、ブレイクスルー思考に必要な基礎原理のことです。具体的には、以下の3つの原理で構成されています。
- 目的情報
- ユニーク
- システム
それぞれを詳しく説明します。
目的情報
目的情報とは、目的の達成のために必要な情報を指します。ブレイクスルー思考では不必要に多くの情報を集める必要はなく、目的達成のために必要な最低限の情報を収集することが推奨されています。
一般的に何かを検討するときや議論のときは可能な限り多くの情報を集めますが、ブレイクスルー思考においては情報量を重視しないのがポイントです。
ユニーク
ユニークとは、「特異な」「特徴的な」といった意味の言葉です。ブレイクスルー思考では、「すべての物事にはそれぞれユニークな差がある」という考え方をします。
出来事や状況が似ていても、それぞれの意味や特徴、文化、それに関わる人などには違いがあるため、全く同じではないでしょう。「万物にはユニークな差があるため、過去の事例や類似した状況から解決策を見出すことには限界がある」と認識することが大切です。
システム
ブレイクスルー思考では、「すべてのものはシステムである」と捉えます。「それぞれの出来事や要素などは独立しているのではなく、お互いに影響し合い、関係性を持っている」と考えることが、ブレイクスルー思考におけるシステムの原則です。
この考え方を採用することで、従来のシステムを本来あるべき状態に変える仕組みを作りやすくなります。
ブレイクスルー思考の4フェーズ
続いて、ブレイクスルー思考をするうえで必要な以下4つのフェーズを紹介します。
- 人間フェーズ
- 目的フェーズ
- 未来解フェーズ
- 生解フェーズ
各フェーズを詳しく見ていきましょう。
人間フェーズ
人間フェーズとは、現状や解決策などに関係する人たちとの関わり方を考える段階です。どのような人が関与するかによって直面している課題や解決策は変化するため、「関係しているのはどのような人たちか」「それぞれどのような視点を持っているか」などを考える必要があります。
「関係する人に応じて状況は変わるため、絶対解はない」という前提で、さまざまな人が関わり合いながらあらゆる視点をもとに解決策を探ることが大切です。
目的フェーズ
目的フェーズとは、目的の本質に着目して解決策を考える段階です。具体的には、「本来の目的は何か」「これから取り組もうとしていることにはどのような意味があるのか」などを考えます。
手段であるはずのことが目的化してしまうと、ブレイクスルー思考はできないでしょう。本質的な目的を常に意識しながら解決策を考えることが大切です。
未来解フェーズ
未来解フェーズとは、目的をふまえたうえで未来における本来あるべき姿を考える段階です。現状は関係なく、「どのような状態であるべきか」に焦点を当てます。
ブレイクスルー思考をするためには、未来のあるべき姿を最初に考え、そこから逆算して解決策を導き出すことが必要です。
生解フェーズ
生解フェーズとは、「解決策は常に変化するものだ」と考える段階です。社会情勢や人間の感情、環境、市場などは一定ではないことを理解して、状況の変化に対応していくことが求められます。
一度思いついた解決策が今後も通用するとは思い込まず、「環境や状況によって解決策は変化し得るもの」と捉えて常に改善や改革をしていくことが大切です。
ブレイクスルー思考を身につける方法
最後に、ブレイクスルー思考を身につける方法を紹介します。結論からいうと、以下の2つがおすすめです。
- ラテラルシンキングを鍛える
- 新しい情報や視点を取り入れる
それぞれを詳しく説明します。
ラテラルシンキングを高める
ラテラルシンキングとは水平思考とも呼ばれ、問題を解決する際に固定観念や既存の考え方にとらわれず、多角的な視点から考察する思考法のことです。ラテラルシンキングができるようになると、新しいアイデアが生まれやすくなったり、偶然起きたことが何かのチャンスにつながりやすくなったりします。
ラテラルシンキングを鍛える方法には、「前提を疑ってみる」「先入観を捨てて抽象化してみる」などがあります。
新しい情報や視点を取り入れる
新しい情報や視点を取り入れることも、ブレイクスルー思考を身につける方法の1つです。ブレイクスルーを起こすには既存の技術の見直しや従来の考え方からの脱却などが求められるため、これまでとは異なる情報を収集したり、別の視点で物事を考えたりする必要があります。
研修や勉強会、書籍などを活用して新しい情報をインプットし、グループワークや議論に参加して多角的な視点で物事を考える練習をすれば、ブレイクスルー思考を身につけられるでしょう。
ブレイクスルーとは何かを理解して、ビジネスに取り入れてみよう
ブレイクスルーは、ビジネスシーンでは「停滞している状態から抜け出す」「現状の困難や課題を突破する」などの意味で使われます。ブレイクスルー思考ができるようになれば、ビジネスパーソンとして成長を遂げられたり、ビジネス上の課題を解決できたりするでしょう。
ブレイクスルーには4つの種類があり、ブレイクスルー思考は3つの基礎原理と4つのフェーズで構成されています。本記事を参考にして、ブレイクスルーをビジネスに取り入れてみてください。
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