インテグリティとは?意味やコンプライアンスとの違いをわかりやすく解説

インテグリティとは?意味やコンプライアンスとの違いをわかりやすく解説
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ライター SanamiSasaki
フリーライター|新卒で金融業に従事し、出産後未経験で地元のメディアを運営する会社に転職。現在は推し活と育児を両立しながら、さまざまなWebメディアで執筆しています。

コンプライアンスに代わって注目されている言葉に、インテグリティがあります。「誠実さ」を意味するインテグリティは、ビジネスにおいて組織やマネジメントに欠かせない資質のひとつとして扱われています。もともと欧米企業でよく使われていた言葉ですが、現在日本でも注目している企業が多いようです。しかし、インテグリティの意味や具体的な姿勢をきちんと理解していない人もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、インテグリティとは何か解説していきます。起業している経営者やこれから起業を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。

インテグリティとは

まずは、インテグリティがどんなものか確認していきましょう。

インテグリティの意味

インテグリティ(integrity)とは、誠実や真摯といった意味を表す言葉です。概念のため明確な定義は難しいものの、正義を堅持して、誠実かつ一貫した態度や行動を貫くことと考えるとよいでしょう。もともとは欧米企業で従業員が持つべき資質や価値観を示すときに使われていた言葉ですが、現在はビジネス用語のひとつとして用いられるようになりました。

インテグリティ(integrity)の語源

インテグリティ(integrity)という言葉は、「全体性」や「完璧性」、「清廉性」といった意味を表す「integritas」というラテン語が語源となっています。誠実や真摯といった現在の意味とは異なるようです。

経営・人事におけるインテグリティの意味

インテグリティはビジネスにおいても、誠実さや真摯さを意味し、マネジメント層に求められる資質のひとつとして扱われます。具体的にいうと、法律や社会規範を守り、関わるすべての人や社会に誠実な経営に取り組むことです。組織や従業員の判断や行動が公正かつ適正であるよう、行動経営方針や行動規範のひとつに取り上げている企業も多くあります。

誠実さと聞くとまじめさや熱心さをイメージするかもしれませんが、ビジネスにおけるインテグリティは仕事へのまじめさだけでなく、法令遵守や企業倫理の実践といった組織的な視点を踏まえた行動も含まれるのが特徴です。

ビジネスにおいてのインテグリティの重要性を提唱したのは、経営学者であるピーター・ドラッカー氏。多くの著書の中で、表現は異なるもののインテグリティの重要性を繰り返し述べています。

インテグリティとコンプライアンスの違い

インテグリティとよく似た言葉に、コンプライアンスがあります。コンプライアンスとは、主に法令や社会的通念、社内規則を守ることを表す言葉です。企業や従業員がルールに従った行動をすることで信頼性を維持する外面的な取り組みといえます。それに対してインテグリティは、組織や従業員が誠実であろうとする価値観など内面的な要素が強く、積極的に社会に貢献する側面があります。

コンプライアンスは社会や組織のニーズに合わせた他律的な規範であるのに対し、インテグリティは自律的な規範を指し、規範の方向性が異なる点が大きな違いです。しかし、会社の経営には、インテグリティもコンプライアンスも欠かせない要素です。

企業や従業員に誠実さがあれば、法律を破るような行為はできないでしょう。インテグリティを実践するにはコンプライアンスの意識は避けて通れないため、両者は密接に関係しているといえます。

経営やマネジメントにおいてインテグリティが重要な理由

インテグリティが重要視されるようになった背景の一つとして、コンプライアンスが重視されるようになったことが挙げられます。

成果主義になっていくにつれ、成績を上げるために不正に手を染める企業や従業員が増えるようになりました。インテグリティが欠如した状態を変えるため、経営やマネジメントにおいて組織が誠実であることが求められるようになり、インテグリティという言葉が注目を集めるようになったのです。

インテグリティが欠如している組織は、誠実さがない組織ということになります。たとえば過度なノルマを設定する、不正会計が横行している、虚偽の報告をするなど、従業員に対しても顧客に対しても不誠実な姿勢につながります。また、そのような業務のやり方を進めていると、従業員の体調に影響を及ぼしたり、従業員が問題行動を起こすなどのトラブルにつながる可能性も高まります。さらに、不誠実な姿勢が明るみになると、企業の信頼を失うことにもなりかねません。

このように、組織の根幹が誠実でなければ企業として成長することは難しいということもあり、インテグリティが注目されるようになりました。組織の中で決定権を持つリーダーやマネジメント職は特にインテグリティを持った言動を心がけることで、組織全体のインテグリティを保つことができるでしょう。

インテグリティのある人の特徴

インテグリティは抽象的な概念のため一概にはいえませんが、インテグリティのある人には以下のような共通点が見られるでしょう。

それぞれの特徴について、詳しく解説していきます。

誠実さがある

誠実さにはさまざまな意味が含まれますが、立場に関係なく相手を尊重する姿勢、最後までやり遂げる責任感の強さ、一貫した言動などが挙げられます。このような誠実な姿勢は普段の言動に現れ、周囲からの信頼にもつながるでしょう。

正直

インテグリティのある人は、嘘をつかず自分が不利になってでも正直であろうと務めます。たとえば、売上にはつながるが顧客のためにならないといった場面では、きちんと説明し実行しない判断ができるでしょう。ミスをした場合にも保身のために隠したり責任転嫁したりするようなことはせず、正直な姿勢で対応することができます。正しさを最優先して判断できる正直な人は、インテグリティのある人といえるでしょう。

倫理観がある

倫理観があることも、インテグリティのある人の特徴です。倫理観はモラルとも言い換えができ、人として守るべきことを指します。法律に違反することを避けるのは当然ですが、さらに少しでも倫理に反することには徹底して反対し、クリーンな状態を保つよう務めます。常に倫理に即した行動を取れる人は、インテグリティがあるといえるでしょう。

利他的な考え方ができる

自分の利益ではなく周りの利益を優先する、利他的な考え方ができることも特徴のひとつです。たとえば、自分の利益ばかりを追求し、社員に還元しない経営者では、従業員との信頼関係は築けないでしょう。自分の行動が他人のためになっているかを客観視して行動できることは、インテグリティに欠かせない要素です。

インテグリティの実践に取り組む企業事例

インテグリティを経営方針に掲げている企業も多くあります。インテグリティの実践に取り組む企業3社の事例をチェックしていきましょう。

花王

花王は創業からの企業理念である「正道を歩む」事業活動を目指し、インテグリティを重視した経営を行っています。花王が発行する「花王サステナビリティ」という冊子を通じ、コンプライアンスへのアプローチや実績などを提示し、インテグリティな組織であると社会に示しています。このような取り組みにより「よきモノづくり」を徹底する姿勢を表明し、消費者からの信頼につながっています。

伊藤忠商事

総合商社である伊藤忠商事は、2015年に企業のインテグリティさを表彰するインテグリティ・アワードを受賞しました。伊藤忠商事は、「ITOCHU Misson」や「ITOCHU Values」を打ち出し、取り組むべき方向性を示しているのが特徴です。掲げている従業員の行動基準のうちのひとつに誠実が挙げられており、インテグリティを推進しています。毎日行動指針に合った行動ができているかどうか、質問を投げかけることで確認するよう働きかけています。

AGC

ガラスやセラミック、電子部品などを手掛けるAGCは、「易きになじまず難きにつく」を基本精神に掲げ新しいことにチャレンジすることを宣言しています。基本精神を実践するため、求める人物像のひとつにインテグリティというキーワードを提示。インテグリティは他社から学び誠実な行動により信頼してもらえる人と定義しています。

インテグリティとは何かきちんと理解しよう

今回は、組織に重要なインテグリティについて解説しました。インテグリティは組織において重要な要素のひとつです。これから起業を検討している、組織拡大を目指しているといった人は、インテグリティを浸透させ信頼を得られるような組織を作ることで、多くのメリットが得られます。

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