ビジネスにおけるオリエンテーションは、新入社員や異動社員が業務をスムーズに進めるうえで重要な役割を担います。特にこれから社員を迎える立場の方なら、押さえておきたいポイントといえるでしょう。
そこで本記事では、オリエンテーションの基本的な意味や目的をはじめ、具体的な例や効果を高めるためのポイントまでわかりやすく解説します。「オリエンテーションとガイダンスの違いを知りたい」「新入社員にどんな内容を教えればいい?」といった疑問がある方は、ぜひ最後までお読みください。
オリエンテーションとは?

オリエンテーション(Orientation)とは、日本語で「方向づけ」「適応・順応」を意味する言葉です。ビジネスにおいては「オリエン」とも略され、主に「新入社員への教育や指導のための説明会」という意味で使用されています。新入社員や異動社員が新しい職場環境へスムーズに馴染むための最初のステップとして位置づけられているのです。
たとえば、会社の歴史や組織体制、オフィスルールなどを説明し、先輩や同期との交流を通じて人間関係を築く場を設けるケースが多くあります。緊張や戸惑いをやわらげる機会になり、業務を気持ちよくスタートできる雰囲気作りの一環として有効な手段といえるでしょう。
ガイダンスとの違い
オリエンテーションと混同しやすい言葉に「ガイダンス」があります。ガイダンスとは、特定の物事に対して初心者向けの説明を行うことです。
オリエンテーションは基本的な知識のある人に向けた説明なのに対し、ガイダンスはまったく知識のない状態の人に向けた説明を指します。たとえば、「会社の施設案内などの基礎的なガイダンスを受けたあとに、一社員としての意識を高めるオリエンテーションを実施する」というイメージです。
ビジネスにおけるオリエンテーションの目的は?
オリエンテーションを有意義なものにするためには、実施の目的を明確にすることが大切です。ビジネスにおけるオリエンテーションの目的には、以下の3つが挙げられます。
企業ごとにオリエンテーションの実施目的は異なるため、例を参考にしながら考えてみましょう。
企業に対する理解を深めるため
一般的にオリエンテーションは、参加者に企業への理解を深めてもらう目的で行われるため、入社前後に実施されるケースがよく見られます。オリエンテーションを通じて企業の方針を把握したうえで現場に入れば、業務を円滑に始めやすくなるでしょう。
また、会社へのエンゲージメント(愛社精神)が高まると、離職率の低下や人手不足の解消、企業利益の向上などに繋がります。

従業員のモチベーションも高まりやすいため、企業の一員としてのマインドセットを築くうえでも、オリエンテーションは取り入れて損はないでしょう。
社員の意識を統一するため
社員全員の意識を統一するのも、オリエンテーションを実施する目的の一つです。企業の理念や方針を説明したうえで、企業の一員になったことを実感してもらい、一人ひとりの今後の行動がどのような影響をもたらすかを理解させます。
こうした目的の場合、基本的に入社時や異動時に実施することが多いです。企業の方針や戦略が大きく変化するタイミングがあったときは、既存の社員に対してもオリエンテーションを実施することがあります。
人間関係を構築するため
オリエンテーションには、参加者の人間関係を構築するという目的もあります。これから一緒に働く社員同士の交流の機会を作ることで、研修や実務を円滑に進めていくのが狙いです。
そのため、業務で関わる先輩社員や上司がオリエンテーションに参加したり、自己紹介の場を設けたりするケースもあるでしょう。また、同期との交流を深められれば、配属先が分かれたあとでも社内でつながりができているため、その後の人脈形成にも役立ちます。
ビジネスにおけるオリエンテーションの内容例
ビジネスにおけるオリエンテーションでは、実施目的に応じて内容が異なります。ここでは、なかでも多いとされる新入社員の配属前に実施するオリエンテーションの内容例として、以下の3つを紹介します。
それぞれの内容について詳しく見ていきましょう。
企業の概要
多くの企業では、オリエンテーションで企業の概要について説明します。具体的には企業の文化や理念、積み上げてきた歴史、組織構造などを話すことが多いようです。
また、就業規則や社内制度、各種手当についても説明をし、新入社員に共通認識を持ってもらうことも重要になります。自分の役割や会社の全体像を把握できると、組織へのエンゲージメントが高まり、より前向きに業務へ取り組めるようになるでしょう。
ビジネスマナー
オリエンテーションでビジネスマナーの研修を行えば、スムーズに配属後の業務に入れます。具体的に考えられるのは、挨拶の仕方や正しい敬語の使い方、電話対応やビジネス文書の作成方法などです。
また、報連相(報告・連絡・相談)や時間管理に対する姿勢も、ビジネスの基本として押さえておきたいところ。特にコミュニケーションスキルは、社内外との関係性構築に欠かせないため、取り入れたい項目の一つです。
コンプライアンス
オリエンテーションでは、コンプライアンス(法令遵守)の重要性を理解させることも不可欠です。コンプライアンスについての知識がないまま業務に入ってしまうと、無意識に違反行為をしてしまったり、場合によっては企業の信用問題にもつながったりする可能性があります。
具体的には、業界の法規制や労働基準法、個人情報保護法などの説明をすることが多いようです。ハラスメント防止や倫理的な判断基準についても触れ、従業員が適切な行動を取れるようにすることも大事になるでしょう。「ルールを破った場合どうなるのか」「違反リスクを軽減するにはどうすればいいか」「相談窓口はどこか」など、具体例を交えて説明しておくと安心です。
主なオリエンテーションの手法
オリエンテーションは、内容や社風に合わせて参加者が理解しやすいやり方を選ぶとよいでしょう。ここでは、以下の4つの形式を紹介します。
それぞれの形式について見ていきましょう。
講義型の講習
既存社員(または外部講師)が新入社員の前で講習をする方法は、一般的に取り入れやすい形式です。外部講師が担当する場合は「Off-JT」、既存社員が講義する場合は「OJT」と呼びます。
基本的には社内に会場を設けることが多いですが、近年ではオンラインで実施するケースも。参加者全員に対して、一度に同じ内容を伝えられるのがメリットです。ただし、一方向のやり取りになりやすいデメリットもあります。確認テストやアンケートを挟むなど、適宜アウトプットの場を設けるのがおすすめです。
グループワーク
数名のグループを作り課題に取り組んでもらう手法もあります。実際の業務では、チームでプロジェクトを進めていくことも多いでしょう。同期との交流を深めたり、グループで協力をして課題を解決したりする経験は、実務においても役立つのです。
また新入社員にとっては、チームの中での立ち振る舞いを身につけられる良い機会になります。企業側は、従業員のコミュニケーション能力などを把握するチャンスにもなるので、適正に合わせた配置できるしょう。
ケーススタディ
特定の出来事をもとにして、対処法や対策などを学ぶケーススタディ形式もあります。実践的な知識や判断力を養うのが主な目的です。特に顧客対応やトラブルシューティングが必要な業種では、現場での対応力を強化する効果が期待されます。
ケーススタディでは研修用に題材を用意する場合もありますが、実際に自社で起きた事例を題材にするのがおすすめです。実際の業務に近い形で学ぶことで、参加者の理解度が深まりやすく、即戦力としての適応力も向上します。
ロールプレイング
ロールプレイングは、参加者が特定の役割を演じながら業務の流れや対応スキルを学ぶオリエンテーション手法のひとつ。上司や先輩がフィードバックを行うことで、実践的なスキルを身につけられるのがメリットです。特に営業やカスタマーサポートなど、対人スキルが求められる職種に適しています。
緊張感を持ちながらも安全な環境で経験を積めるため、即戦力としての成長を促せるでしょう。「どのように対応するべきだろう」「この対応だとお客様はこう思うな」などと考えながら進めるので、相手目線の思考も養われます。

レクリエーション
レクリエーション形式のメリットは、ゲームやアクティビティを通じて参加者の緊張をほぐし、コミュニケーションを活性化しやすいことです。「謎解き脱出ゲーム」や「共通点を探すゲーム」などを行うと、社員同士の相互理解が深まると同時に、一体感も生まれやすくなります。
単体で実施するのももちろん良いですが、別のオリエンテーション手法と組み合わせ、途中のアイスブレイクとして活用するのも効果的です。参加人数や職種、オリエンテーションの目的に合ったプログラムを選んでみてください。
オリエンテーション実施の基本手順
オリエンテーションを進める手順は、以下の通りです。
- 目標を設定する
- 日時を決定する
- 社内の担当者や講師に依頼する
- 具体的なプログラムを策定する
- パワーポイントなどで資料を作成する
オリエンテーションを円滑に進めるには、まず目的と日時を明確にし、必要な講師や会場を早めに確保しておくことが大切です。前述した手法を参考に、レクリエーションやグループワークなど多様なプログラムを組み合わせると、参加者の理解度が高まりモチベーションも維持しやすくなります。
また、可能であればパワーポイントのようなビジュアル資料を用意しておくのがおすすめです。説明がわかりやすくなり、全体の効果をいっそう高められるでしょう。

オリエンテーションに適した服装
オリエンテーション当日は、主催者側も参加する側も身だしなみに気を配りましょう。周囲からの信頼や好感度を得るためには、相手に「きちんとしている」と感じさせる服装が欠かせません。ここでは、男性・女性それぞれの視点から、オリエンテーションにぴったりの装いを解説します。
男性の場合
男性の場合は、黒やネイビーなど落ち着いた色のリクルートスーツが無難です。ワイシャツは白、ネクタイはシンプルな柄を選ぶと、全体の印象がきちんとまとまります。A4サイズの資料が入るカバンも用意しておけば、実用面でも安心です。
「オフィスカジュアル」と指定された場合も、ジャケットと襟付きシャツ、スラックスを組み合わせるなど、スーツに準じた装いを心がけてください。ヘアスタイルはすっきりした短髪などが望ましいです。清潔感を大切にし、好印象に繋げましょう。
女性の場合
女性も男性同様、リクルートスーツの着用が基本です。「オフィスカジュアル」と指定された場合も肌の露出はできるだけ控え、落ち着いた色のジャケットと白ブラウス、スカートまたはスラックスを組み合わせるのが望ましいでしょう。
足元は3〜5cm程度のヒールがあるパンプスがおすすめです。アクセサリーをつける場合は、シンプルなものにとどめておけばビジネスシーンで浮くことはありません。髪型はまとめるかハーフアップにするなど、清潔感を意識すると印象が良くなります。
オリエンテーションの効果を高める方法
オリエンテーションの効果を高めるためには、ただ形式的に実施するだけでなく、以下のポイントを押さえることが大切です。
それぞれ解説するので、効果を最大化させるためにも実践してみてください。
実施目的を明確にする
まずは、オリエンテーションを行う目的を明確にしましょう。オリエンテーションを通じて、参加する社員に理解してほしいことや考えてほしいこと、身につけてほしいことなどをを定めます。
実施目的があいまいだと、参加した側も「結局、何のために受講したんだろう」「この先どう生かせば良いんだろう」といった状態になる恐れがあります。実施目的を明確に定めることで、テーマや適した手法も見えてくるでしょう。
入念に準備をする
オリエンテーションを円滑に実施するには、当日の進行や必要な物などを過不足なく準備をすることが大切です。これらを曖昧にしたままオリエンテーションを実施してしまうと、不足の事態が起きて進行が止まったり、参加者が企業に不信感を覚えたりする恐れがあります。
プログラム実施にかかる時間を正確に図れるようリハーサルを実施する、トラブルが起きた場合の対処法を事前に決めておくなど、入念に準備を進めましょう。合わせて、参加者に必要な持ち物がある場合も早めに通知しておくと安心です。
実施後のサポートを行う
オリエンテーションの効果を最大化するには、実施後のサポートが欠かせません。実際の業務ではオリエンテーションで学んだ内容を生かす場面が増えますが、当然疑問や不安も出てきます。これを解消するためにも、オリエンテーション実施後には可能な範囲でもサポートを行うのがおすすめです。
たとえば、新入社員一人ひとりに専属の既存社員がつく「バディ制度」や、新入社員一人ひとりのメンタルケアや質疑応答などを専属の既存社員が担う「メンター制度」などがあります。社内のオンラインプラットフォームやチャットツールを活用し、いつでも質問できる環境を整えるのも効果的でしょう。

オリエンテーションは組織づくりに効果的!
ビジネスにおけるオリエンテーションは、新入社員や異動社員の業務理解やモチベーションに大きく影響を与える大切な取り組みです。企業の理念や文化を共有し、人間関係を深めるようなプログラムを計画することで、組織全体の生産性向上にもつながるでしょう。実施する目的を明確にし、内容や形式を工夫すれば、より実践的なスキルが身につき、社員一人ひとりの成長を後押しできます。
しかし、ビジネスシーンは日々変化しているため、オリエンテーションを行う側・受ける側の双方がスキルアップを目指す姿勢を持ち続けることも大切です。「もっとビジネスで生かせるノウハウを増やしたい」「自分らしいキャリアを築きたい」と考えているなら、オンラインキャリアスクールSHElikes(シーライクス)で学んでみてはいかがでしょうか。
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