SESとは?派遣との違いやSES企業で働くメリット・デメリットも解説!

SESとは?派遣との違いやSES企業で働くメリット・デメリットも解説!
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ライター 美亜
専門学校卒業後、シンガーとして音楽活動を行う。その後、リラクゼーションサロンのセラピスト、IT・web系の人材紹介会社にてライター業、派遣にて経理事務を経験。現在はフリーライターとして、主にキャリア系・IT系の記事を執筆。
エディター Tomomaru
フリーランスWeb編集・コンテンツディレクター兼たまにライター。 略歴は、アパレル→事務職を経てWebデザインをスクールで学んだのち、SHElikesと出会いWeb制作会社でマーケOLしてみたり。結果、書くことが天職だと思い込み、副業ライター道を歩んでいる。次なる野望は絵描きになること。思い込むのは自由です。

これからエンジニアを目指そうと考えている人の中には、「SES」という言葉を聞き、なんとなく働き方のイメージだけ浮かぶという人もいるのではないでしょうか。

今回は、SESについて派遣やSIerとの違いから、SES企業で働くエンジニアのメリット・デメリット、スキルの習得方法まで解説します。SESに興味がある方や、SES企業で働きたいという方はぜひ参考にしてみてください。

SESとは?

SESとは、システムエンジニアリングサービス(System Engineering Service)の略で、ITエンジニアの働き方・契約形態の一つです。仕組みとしては、SESを事業として行っている企業(SES企業)がクライアント企業にエンジニアの技術力や労働力を提供し、クライアント企業からSES企業へ業務内容や工数に応じた報酬が支払われます。

「SES契約」という言葉に明確な定義はありませんが、その多くは準委任契約に該当するものと考えられます。基本的にエンジニアがクライアント企業へ出向いて勤務し、システムやソフトウェアといった成果物の完成・納品は問わないのが一般的な特徴です。

SESと派遣の違い

派遣と混同されがちなSESですが、両者の大きな違いは「指揮命令権の持ち主」と「雇用主(雇用形態)」の2つです。

派遣の場合、エンジニアは登録している派遣会社と雇用契約を結び、「派遣社員」として派遣先企業(クライアント)へ出向します。その時の指揮命令権はクライアントにあり、業務に関する指示はクライアントが行います。

一方でSESの場合、エンジニアはSES企業と雇用契約を結び、その企業の「正社員」や「契約社員」(アルバイト含む)としてクライアント企業へ出向します。SESではエンジニアが所属するSES企業に指揮命令権があるため、クライアント企業はエンジニアに対して業務や勤怠に関する指示を行うことができません。

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SESとSIerの違い

派遣の他にも、SESと混同されやすい言葉に「SIer(エスアイヤー)」があります。SIerは、システムインテグレーター(System Integrator)の略で、基本的にクライアントからシステム開発を受託し、システムの企画・設計から開発、運用まで請け負う企業のことを指します。

SESとの違いは、労働力ではなくプロジェクト全般の成果物に対して報酬が発生する点です。また、成果物が報酬の対象になることから、業務の責任や指示の権利はSIer企業にあります。

SESはやめとけと言われている?

エンジニアを経験した人の中には、「SESはやめとけ」という声を挙げている人もいるでしょう。

ネガティブな意見がある理由としては、一部のSES企業の運営体制が大きく関わっています。たとえば、携わりたい業務があり入社したものの、当初聞いていたIT業務とは異なる環境に配置されることでSESに対してのネガティブな意見が出てしまうと考えられます。

ただし、世の中には多くのSES企業があり、きちんと企業選びをすればエンジニアとしてのキャリアを始めることが可能です。むしろ、SESは未経験でも挑戦しやすく、仕事をしながら基礎スキルを磨ける機会があるので、これからIT業界への参入を目指している人にはおすすめの働き方と言えるでしょう。

SES企業でエンジニアが働くメリット

エンジニアがSES企業で働くことには、メリット・デメリットどちらもあるため、転職を検討する際にはそれぞれ具体的に理解することが大切です。まず、SES企業でエンジニアが働くメリットの例として、以下の5つを紹介します。

  • さまざまなプロジェクトに携われる
  • 企業とつながりができる
  • 案件を選択できる場合がある
  • 未経験者も入社しやすい
  • 残業が少ない可能性がある

詳しく見ていきましょう。

さまざまなプロジェクトに携われる

SES企業で働くメリットの1つは、さまざまなプロジェクトに携われる点です。数ヵ月から数年単位で数あるクライアント先のプロジェクトに携われるため、案件の規模や分野などにかかわらず、幅広く実績を積むことができます。

たとえば、通常は経験できないような大手企業のプロジェクトに参画できたり、興味のある分野へ挑戦するハードルが下がったりと、自社開発のエンジニアに比べて多種多様な経験ができるでしょう。

企業とつながりができる

SESのエンジニアは、基本的にクライアント企業へ出向いて仕事を行うため、多くの企業や他のエンジニアとのつながりができるのもメリットの1つです。

SESでの仕事を通して幅広い人脈を作ることができれば、引き抜きをしてもらえたり、将来の仕事獲得につながったり、ビジネスに関する情報収集ができたりと、キャリアの幅を広げられる可能性があるでしょう。

案件を選択できる場合がある

SES企業によっては、エンジニアが案件を選択できる「案件選択制度」が導入されている場合もあります。

たとえば、自分の要望を汲み取った案件を紹介してもらえたり、複数の案件から選択ができたり、スポットとして参加できたりと、エンジニアが働きやすい環境を整えている会社もあります。

案件の選択が可能であれば、自分の好きな分野に特化させることや、身につけたいスキルに応じて未経験分野に挑戦する機会も得られるでしょう。

未経験者も入社しやすい

ITエンジニアは専門的な知識やスキルが必要ですが、SESでは未経験者でも入社しやすいといった特徴があります。SES企業は、多くのIT人材を採用することで成り立つビジネスモデルです。そのため、研修制度やサポートを充実させ、未経験の状態でも受け入れられるような環境を整えている企業もあります。

「正社員」として仕事をしながら実践スキルを身につけていけるのは、未経験者にとって大きなメリットと言えるでしょう。

残業が少ない可能性がある

他のエンジニア職と比べて、SES企業で働くエンジニアは残業が少ない可能性があります。SESは労働力を提供するサービスであるため、契約で決められている時間以上の労働をさせることはできません。成果物が完成していないからといって、残業を強要できるケースは少ないのです。

もちろん契約内容にもよりますが、成果物の完成に向けて残業が多くなりがちなエンジニアの中では、働きやすい環境であると言えるでしょう。

SES企業でエンジニアが働くデメリット

次に、SES企業でエンジニアが働くデメリットの例として以下の5つを紹介します。

  • システムの全工程に関われない
  • 年齢で仕事の幅が狭まることがある
  • キャリアを築きにくい場合がある
  • 環境の変化がある
  • 自社への帰属意識が薄れやすい

それぞれのデメリットについて解説するので、前述のメリットと比較しながら参考にしてみてください。

システムの全工程に関われない

SESではシステム開発の一部にスポットとして参加するケースもあるため、プロジェクトの全工程に関われないといったデメリットがあります。

割り振られた業務を遂行しても、完成形を見ることができず、自分は何のためにその仕事を行っているのかが実感しにくいことがあるでしょう。モノ作りが好きでエンジニアを目指している人にとっては、デメリットに感じる部分かもしれません。

年齢で仕事の幅が狭まることがある

保有しているスキルによっては、年齢を重ねるにつれて仕事の幅が狭まることもあります。これは、スキルや経験をあまり必要としないようなプロジェクトに対し、育成を目的に若手のエンジニアを割り振るケースが多いためです。

もちろん、年齢に関係なく育成するという方針のSES企業もありますが、スキルを磨かないままなんとなく年齢を重ねてしまった場合、選べる仕事の幅が狭まる可能性があるでしょう。

キャリアを築きにくい場合がある

SESのエンジニアが担当する仕事では、プロジェクトの一部や下流工程のみというケースも少なくありません。そのため、マネジメントスキルや上流工程のスキルを磨くことができず、キャリアを築きにくい場合もあるのです。

エンジニアとしてさらにキャリアアップを目指したい場合、上流工程を経験できるようなプロジェクトに参加するか、一通りの経験を積んだら転職するかなどの選択が必要になることもあるでしょう。

環境の変化がある

SESではクライアント企業に出向して勤務することが多いため、プロジェクトごとに労働環境が変わってしまうというデメリットがあります。

せっかく人間関係を築いたり、生活リズムを整えたりしても、プロジェクトが変わればまた一からのスタートです。環境の変化をポジティブに捉えられる人は問題ありませんが、苦痛に感じてしまう人は注意が必要です。

自社への帰属意識が薄れやすい

SES企業で働くエンジニアは、クライアント先の企業にいる時間のほうが多いため、自社の社員と顔を合わせる機会が少なくなりがちです。仲間意識を持ちながら仕事をしたい人や、同期と一緒に頑張りたいという人には、帰属意識が薄れやすいことがデメリットになるでしょう。

SESでも帰属意識を強く持ちたいという人は、社内イベントが多い企業に入社するのもおすすめです。

SES企業のエンジニアがキャリアアップする方法

SES企業のエンジニアには「キャリアが築きにくい」と捉える人もいるようですが、企業選びや努力次第ではキャリアアップできる可能性もあります。SES企業のエンジニアがキャリアアップする方法としては、以下の例が挙げられます。

  • 上流工程に携われるSES企業へ転職する
  • 自社開発を行っている企業のSEへ転職する
  • フリーランスとして独立する

転職や独立などでキャリアアップを目指すなら、まずは将来自分がどのような職種に就き、どのような仕事をしたいかのキャリアプランを考え、それにあわせて必要なスキルを身につけていくことが大切です。

そして、上流工程に携われたり、企画から設計、開発、運用まで一貫して担当できたりするような環境に身を置くことで、エンジニアとしてのキャリアアップにつなげられるでしょう。

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SES企業で仕事をするためにエンジニアスキルを習得する方法

未経験者やエンジニアとしての経験が浅い人がSES企業で仕事をするためには、まず基本的なエンジニアスキルの習得が必要です。独学の場合、書籍や動画を活用しながらIT関連の用語や知識、システム開発に必要なプログラミングスキルなどを身につけていきましょう。

また、効率的にスキルを習得したい場合は、プログラミングスクールの活用がおすすめです。不明点を講師に質問できたり、挫折しにくいカリキュラムを組めたりするため、実践に役立つスキルの習得が目指せます。

以下の記事でおすすめのプログラミングスクールについて紹介しているので、参考にしてみてください。

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SESは、これからキャリアを積みたいエンジニアと労働力が必要な企業の双方にとってメリットが多い働き方です。特に、適性のある人や未経験の状態からエンジニアを目指す人にとっては、仕事をしながらスキルアップが図れる嬉しい仕組みと言えるでしょう。

ただし、目指す方向性や適性という点において、SESという働き方が向いていない人もいるでしょう。自分のスキルやキャリアプランを考えながら、しっかりと企業を選択し、スキルアップに向けた行動を取ることが大切です。

また近年では、エンジニアのSES以外にも、IT系クリエイティブ職の働き方は多様化しています。女性向けキャリアスクールSHElikes(シーライクス)では、全40以上の職種スキルからデジタル・クリエイティブスキルを自由に組み合わせて学べます。多様化した働き方にも対応できる複合的なスキルを身につけ、新たなキャリア構築を目指してみるのもおすすめです。

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