
多様な働き方が選べる今、選択肢のひとつに独立や起業があります。組織に属さず事業を運営する独立・起業は、同じような意味合いで使用される場面が多く、明確な違いについて知らない方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、独立や起業に興味を持つ方に向けて、両者の違いを徹底解説します。どちらの方法を実践する場合にも欠かせない、準備方法や事業開始までの流れ、失敗しないポイントもまとめました。独立・起業について理解を深めたい方は、ぜひ最後までお読みください。
独立と起業の違いとは?

独立と起業は同じような場面で使用する言葉であり、両者は混同されがちですが、その意味合いやニュアンスは異なります。ここでは、独立と起業の違いをまとめました。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
独立とは?
独立とは、ビジネスシーンにおいて「所属していた組織から離れて自分ひとりの力で生計を立てること」を指します。会社員から個人事業主になる、サービスを立ち上げるなど、その方法はさまざまです。
独立は、組織に属さず自分で事業を営むことを広く指し、その形態は個人事業主としての活動から法人設立まで幅広く含みます。一方で、起業は「新しく事業を起こすこと」を意味し、個人事業主としての開業も起業に含まれますが、一般的には会社を設立する場合に使われやすい言葉です。
以下の記事では、独立の手段としてフリーランスになる場合におすすめの仕事7選を紹介しています。フリーランスの仕事事情なども知れるため、独立する前の事前知識としてぜひ参考にしてみてください。

起業とは?
起業とは、簡単にいうと「新しく事業を立ち上げること」です。法人を設立するケースもあれば、個人事業として始めるケースもあります。一般的なビジネス文脈では、法人を設立して会社を運営する形を指すことが多いです。
よく比較される言葉として「個人事業主」があります。個人事業主とは、個人で事業を営んでいる「人」のことです。税務上の区分として税務署に開業届を提出すると、個人事業主として活動できるようになります。起業スタイルの1つではありますが、ニュアンスとして独立する場合に使用されるケースが多いです。
事業を起こすことを指す「起業」について、関連する言葉との違いや具体的な手順等は以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

また以下の記事では、起業を目指す方に向けて具体的なステップを解説しています。起業準備を進めたい方は、ぜひチェックしてみてください。

【比較表】独立と起業の違いを6つの視点でチェック!
「独立」と「起業」はよく混同されがちですが、厳密には意味合いが異なります。それぞれの違いを以下の6つのポイントで比較すると、より違いが明確になるでしょう。独立と起業、どちらが向いているのかを判断する際の参考にしてみてください。
独立(個人事業主) | 起業(法人) | |
---|---|---|
税金 | ・所得税 ・消費税及び地方消費税 ・復興特別所得税 ・個人住民税 ・個人事業税 |
・法人税 ・法人住民税 ・法人事業税 ・特別法人事業税 ・消費税及び地方消費税 |
手続き | 開業届を税務署に提出する。 数日で始められるうえに、 開業するのに費用はかからない。 |
法務局で登記、定款作成、 公証人認証などの手続きが必要。 設立する会社形態によるが、 株式会社の場合は20万円以上 かかるのが一般的。開始まで 1か月程度かかることも。 |
資金調達 | 融資は小規模に限定される傾向にある。 | 銀行融資を受けやすく、 資金調達の選択肢が広がるため、 事業拡大に有利。ベンチャーキャピタルや エンジェル投資家からの出資も存在するが、 成長性の高い一部の事業に 限られるのが実情。 |
働き方 | 「フリーランス」に近い。 クラウドソーシングで受注したり、 知り合いから案件を受けたりと、 仕事を獲得するスタイルはさまざま。 |
社員を雇うなど、組織で事業を 推進することが多い。その分、 仕組み化や経営に注力する必要がある。 |
社会的信用 | 「個人」として扱われるため、 社会的信用はやや弱め。 |
「会社」として見られるため、 取引先や金融機関からの信用度が高い。 |
リスク | 借金や損失はすべて個人に直結する。 生活費と事業資金が混ざりやすい。 一方、開業にはコストがかからないため、 リスクを抑えて始められるメリットがある。 |
法人は原則として有限責任。 日本では中小企業の融資にあたり 代表者保証を求められるケースが一般的。 そのため、法人化しても経営者個人の 資産がリスクにさらされる可能性が ある点には注意が必要。 |
【独立・フリーランス志望向け】準備から成功までのロードマップ
会社員から独立を目指すとき、最初に必要なのは「どんな準備をしておくか」を知ることです。入念な準備を行わないまま退職すると、生活費や事業計画が整わずに不安定なスタートを切ってしまう可能性があります。
ここでは、これから独立を目指す方にむけてのロードマップを具体的に整理しました。
それぞれ一つずつ確認することで、独立後の道筋がクリアになり、迷わず行動に移せるようになるでしょう。
独立を決める前にやるべきことチェックリスト
「会社を退職して独立したい」と考えたとき、大きな決断を伴います。なぜなら独立は生計を立てるための手段であり、事業によって収入を得る必要があるからです。そのため、独立するまでに入念な準備を進めることをおすすめします。
ここでは、独立を決める前にやるべきことを3つまとめました。独立準備に向けて、まずはそれぞれ確認してみましょう。
独立をしたい理由などを考え、自己分析する
まずは、独立したい理由や経緯を具体的に言葉にしてみましょう。理由が明確であればあるほど、それは事業の「軸」となり、困難な壁にぶつかった時の強い支えとなります。明確な目的意識は、後悔のない決断を下すための原動力にもなります。
次に、自己分析を通じて「何で戦うか」を明らかにします。会社員としての仕事に得意・不得意があるように、独立する事業にも向き・不向きがあるものです。これまでの経験やスキル、人よりも得意なことなどを洗い出してみてください。どのような事業であれば自身の強みを最大限に活かし、成果に繋げられるか、その方向性が見えてきます。
独立後の事業内容を計画する
独立の理由が明確になったら、次に事業内容を計画しましょう。会社に所属するのと違い、独立する場合は営む事業を自分で選択し、立ち上げる必要があります。自己分析などからヒントを得て、事業内容を計画してみましょう。
事業内容を計画する際に押さえておくべきポイントは、以下の4つです。
- サービス内容を明確にする
- 同業他社を分析する
- ビジネスモデルを考える
- 目標数値を定める
収支が好調な同業他社がいる場合は、どのようなビジネスモデルで収益を得ているのかを知るのがポイントです。先に事業の道筋を歩んでいる競合を参考に、自身の事業内容を綿密に考えていきましょう。
独立後の収支の考え方を確認しておく
独立すると、会社員時代とはお金の流れがまったく変わります。会社員のときは、給与から税金や社会保険料が自動的に差し引かれ、手取り額だけが振り込まれます。そのため、受け取った金額をそのまま生活費として使うことができました。
一方、独立した場合、「売上」から事業の「経費」を引いたものが、まるまる自分の取り分になるわけではありません。その「利益」のなかから、自分で税金や社会保険料(国民健康保険料や国民年金)を支払い、さらに将来のための事業資金を確保する必要があります。お金の使い道が格段に増えるため、独立後のお金の流れは、より多角的な視点で管理しなくてはなりません。
独立におすすめの3つの方法
独立したいときにどのような手段を選ぶべきか迷う方も多いのではないでしょうか。ここでは、独立におすすめの方法を3つ紹介します。
独立の手段としてぜひ参考にしてみてください。
自分で事業を立ち上げて、独立する
1つ目は、自分で事業を立ち上げて独立する方法です。アイデアとして、好きなこと・挑戦してみたいと思っていたことを軸にした事業なども良いでしょう。
注意したいのは、初めて経験する業種を選んだ場合はリスクはつきものだということ。事業で見込まれる収益は予想しにくく、軌道に乗るまでは初期費用を工面できないことも少なくありません。生活が苦しくなるほどのリスクを背負うと継続が難しくなってしまいます。無理なく始めるためにも、まずは小さく始められる業種を選択するのがおすすめです。
現在の仕事や知識を生かして独立する
2つ目は、現在の仕事や知識を生かして独立する方法です。これまでに培ったノウハウやスキルを土台として、事業を展開できるか考えてみましょう。趣味や経験、資格など自分の強みから事業のアイデアを考えると始めやすいのでおすすめです。
たとえば、コンサルの経験を生かして悩みを解決するサービスを展開する、デザインスキルを活かしてWebサイト制作を受注するなど、今あるスキルを生かして独立する方法を考えてみてください。
フランチャイズを活用して、独立する
3つ目は、フランチャイズを活用して独立する方法です。企業へロイヤリティを支払う代わりに、販売・経営のノウハウや店舗運営に必要なサービスが活用できる点が魅力といえます。ゼロから事業を立ち上げずに済むため、独立しやすい方法の1つといえるでしょう。
フランチャイズは、ブランドや経営ノウハウを活用できる一方で、ロイヤリティ負担や契約条件によって自由度が制限されるデメリットもあります。事業計画を立てる際には、収益性と負担のバランスを事前に十分確認することが大切です。
【起業・会社設立志望向け】事業を成功に導くためのステップ
起業するとなったときには、一般的に以下の4つの手順で進めていきます。
それぞれの工程でやるべきことを見ていきましょう。
また、それぞれのステップに関連する知識やスキルを効率的に習得するには、オンラインスクールの活用も効果的です。以下の記事では、起業におすすめの女性向けキャリアスクール・SHElikesについて解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

起業アイデアを考える
まずは起業アイデアを考えましょう。起業は事業を起こして初めて成り立つものです。そのため、どのような事業で収益を得ていくのか考えるところから始まります。これまでの経験や得意分野、事業の拠点となる土地の特色など、アイデアのタネはたくさんあるでしょう。
「起業したいけどアイデアがない」と悩みを抱える方に向けて、以下の記事では起業アイデアの出し方について解説しています。ヒントを得る際の参考にしてみてください。

事業計画を作成する
起業アイデアが固まったら、形にするべく事業計画を作成しましょう。押さえておくべきポイントは以下の2つです。
- 事業によって達成したい目標を掲げる
- 目標達成までに課題となる点を洗い出す
まずは、事業の見通しを立てるために、1年後、3年後、5年後……と中長期的な目標を設定します。未来を見据えた事業計画を立てれば、事業が軌道に乗るまでがイメージしやすいです。そして、目標達成に向けて何が課題になるのか考えましょう。事業資金が足りないのか、需要が見込めないのかなど、起業に向けてやるべきことが見えてきます。
起業形態を決める
事業計画が作成できたら、次に起業形態を決めましょう。起業の形態は多種多様で、会社法で定められた「株式会社」「合同会社」「合名会社」「合資会社」といった会社形態に加え、「個人事業主」として活動する方法などさまざまです。
また、近年では「一般社団法人」や「NPO法人」など会社法以外の法人格を用いた起業も増えており、営利・非営利を問わず多様な選択肢が広がっています。
ただし、本記事では「会社法に基づく会社の設立」を中心に解説します。なお、合名会社や合資会社といった形態も法律上は存在しますが、無限責任を伴うため新規設立はほとんどなく、実務的には「株式会社」か「合同会社」のいずれかを選ぶのが一般的です。
- 株式会社:有限責任*1株式を発行して資金調達ができる
- 合同会社:有限責任 出資した人全員が社員となり、共同経営を行う
- 合資会社:1人以上の無限責任*2社員と1人以上の有限責任社員で共同経営を行う
- 合名会社:1人以上の無限責任社員で経営を行う
*1有限責任:経営者や株主の責任は出資額に限定される。
*2無限責任:企業の負債を個人の資産で全責任を負う。
起業形態を決めたら必要な手続きを進めましょう。以下の記事では起業に必要なものリストを解説しています。事前準備をするときには、ぜひ参考にしてみてください。

最終準備と事業開始
最終準備として手続きや事業に必要な設備などを揃えます。また、いきなり事業を開始するのがリスクに感じる場合は、法人化を見据えつつも個人事業主として小さく始めるのも1つの手です。試験的に事業をスタートさせて軌道に乗ると見込めたら、法人化に踏み切るのも良いでしょう。
より具体的に起業するまでの流れを知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。

独立・起業に共通する「失敗しない」ためのポイント
独立・起業は、事業が軌道に乗るかどうか計画段階ではわからない点を不安に思う人もいるでしょう。ここでは、事業が失敗しないためにも押さえておきたい4つのポイントを解説します。
プライベートや金銭面を踏まえてタイミングを見極める
1つ目のポイントとして、プライベートや金銭面を踏まえて独立・起業するタイミングを見極めることが挙げられます。会社員と違い独立・起業すると、仕事に費やす時間は自分でコントロールしなければなりません。
ときにはプライベートを犠牲にして仕事に注力する期間が必要になることも。可能な範囲で時間に余裕があるタイミングで独立・起業し、事業に注力できる環境を整えましょう。また事業の収支状況によっては、必要以上に資金が必要になることもあります。そのため、必要な資金が十分に準備できたタイミングで独立・起業に踏み切るのがおすすめです。
小規模な事業から始める
失敗しないための原則は、事業をできる限り「小さく」始めることです。立ち上げ時の初期費用や毎月の固定費は、収益が不安定な時期には大きな負担となります。また、計画通りに収益が上がるとは限りません。生活を脅かすほどのリスクは、事業の継続を困難にします。
- 副業から始め、収益の見通しを立てる
- 店舗を持たず、オンラインや間借りから始める
- 在庫を抱えないサービス業を選ぶ
- 一人で完結できる事業から着手する
まずは無理のない範囲から始め、事業の成長に合わせて投資を拡大していくことが、挑戦を継続させる賢明な戦略です。

資金管理方法を定めておく
3つ目のポイントとして、資金管理方法を定めておくことをおすすめします。資金は運転資金と設備資金の2つに分けて考えましょう。
- 運転資金:人件費など事業運営に必要な支払いに回す資金
- 設備資金:建物や機会など備品の購入にあてる資金
また、事業計画とあわせて「いつどれくらい資金が必要なのか」「どこから資金を調達するのか」など、資金計画を立てておくと安心です。
専門家(税理士、弁護士など)への相談も検討する
独立や起業を考えるなら、税理士や弁護士など専門家への相談も検討しておきましょう。会社員時代と違い、税金や契約といった判断をすべて自分で行う必要があり、誤るとトラブルや余計な出費に直結しかねません。
たとえば、税理士は日々の帳簿管理や経費の整理にとどまらず、税務全般の手続きや申告をスムーズに進めるための支援を、弁護士は契約書の内容確認やトラブル防止など、事業を守るための法務面をサポートしてくれます。
商工会議所やよろず支援拠点といった公的機関でも無料相談が可能です。創業計画の立て方や金融機関からの融資の受け方、補助金の活用方法など、実務に直結する知識を得られます。こうした専門家や支援機関を早めに頼り先として持っておくことで、安心して事業運営に集中できるでしょう。
独立や起業を叶えるために必要な知識を習得しよう!
独立や起業を叶えるためには、入念な準備が必須です。会社員と違い、事業の責任は自分で負うことが求められますし、事業計画書の作成など新たな知識を習得する必要もあります。「独立や起業に向けて準備をしたいけど、何から始めたらいいかわからない」という方には、起業に必要な知識が学べるスクールを活用するのがおすすめです。
たとえば女性向けキャリアスクールSHElikes(シーライクス)の起業コースでは、 起業の基礎知識や流れを理解し、自分にあった事業の立ち上げ方が学べます。事業計画書の作成など実践的なスキルまで習得できるので、独立・起業を目指す方におすすめです。
随時無料体験レッスンを開催しているので、気になる方は一度参加してみてはいかがでしょうか。

