情報リテラシーとは?重要性から知識不足によるリスク、対策まで簡単に解説

情報リテラシーとは?重要性から知識不足によるリスク、対策まで簡単に解説

「情報リテラシーとは具体的にどんなもの?」

このような疑問をもつ方もいるのではないでしょうか。

インターネットの普及によって情報が溢れる現代では、情報リテラシーへの意識が高まっています。企業において、情報リテラシー不足による情報漏洩や企業への信頼低下は避けたいものです。

本記事では、情報リテラシーの重要性とリスクを抑えるための対策をわかりやすく解説します。

情報リテラシーとは何か

情報リテラシーとは、簡単にいうと「正しい情報を入手し活用できる能力」のことです。インターネットを通じてさまざまな情報にアクセスできるようになった今、個々の情報リテラシースキルが重要視されています。

ここからは、情報リテラシーとは何かを具体的に解説します。

情報リテラシーの定義

Oxford Referenceにおいて、情報リテラシーは「問題解決のために情報を入手、識別、評価、整理する能力」と定義されています*1。具体的には、以下が情報リテラシースキルの例です。

  • 質の高い情報を認識するスキル
  • フェイクニュースに気づくスキル
  • 必要な情報を見つけるリサーチスキル

インターネットの普及により個人が情報発信を行えるようになった現代では、このような正しい情報を見抜き、活用する力が求められます。

ネットリテラシーやメディアリテラシーとの違い

情報リテラシーと似たような意味合いで使われる言葉に「ネットリテラシー」や「メディアリテラシー 」がありますが、以下のような違いが存在します。

  • ネットリテラシー:インターネットの情報を正しく理解して使いこなす能力
  • メディアリテラシー:メディア(広告、ニュース、映画、書籍など)の情報を読み解き使いこなす力

一般的にネットリテラシーは「インターネット上に存在する情報全般」について重点が置かれます。一方で、メディアリテラシーは「あらゆるメディア・媒体における情報」についての意味合いが強いようです。つまり、情報リテラシーは両者のリテラシーを内包する言葉ともいえるでしょう。

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情報リテラシーが重要視される背景と政府の取り組み

情報リテラシーが重要視される背景には、現代の急速なテクノロジーの進化による情報の増加が挙げられます。現代は、スマートフォンとインターネット環境があれば、誰でも情報の入手・発信ができる時代です。

しかし、私たちが日常で取り込む情報の中には、フェイクニュースや不確かな内容が紛れていることもあります。情報リテラシーを高めることは、本当に必要な情報を見つけ活用するために役立ちます。ここからは情報リテラシーが重要視される背景と政府の取り組みについて、詳しく解説します。

テクノロジーの急速な成長

テクノロジーが急激に成長し、インターネットには膨大な情報が溢れています。現代では、スマートフォンの普及やSNSの登場によって、画像や動画、テキストなどさまざまな形式の情報が出回っています。どのような形式の情報であっても、ニュアンスを正しく汲み取らなければいけません。

ビジネスの場面でインターネットから情報収集をすることもあるでしょう。内容の正誤があいまいな情報ではなく、信頼できるWebサイトからの情報を活用した方が、根拠に基づいた意思決定ができます。見つけた情報の質によって、先の行動やビジネスの結果さえ変わってくるかもしれません。

また、情報を発信する側も、顧客が欲しい情報を見つけやすいよう媒体や形式を選択する必要があります。

日本と海外における取り組みの違い

総務省の調査によると、欧米を始めとする海外諸国では、先行して情報リテラシー教育への取り組みが進んでいます*2アメリカでは2020年に「Digital Education Action Plan」、イギリスでは2021年に「Online Media Literacy Strategy」を策定しています。具体的な欧米での教育への取り組みには、以下の事例があります。

  • 7〜12歳に向けたデジタルリテラシーの原則をゲームを使って学ぶプログラム
  • 若者や教育者、保護者に向けた無料のデジタルリテラシープログラム
  • 生徒に向けた情報源やバイアス、透明性の理解のための無料プログラム

総務省は日本では今後、海外諸国の先行事例を参考に教材の開発を行い、保護者や教職員、生徒など、それぞれに適した取り組みを展開することが望ましいと示しています。

文部科学省による情報教育について

文部科学省では、小中学校の段階から情報リテラシーに関する教育を進めたいという考えを示しています。小学生・中学生ごとに異なる能力を育成するよう区分しています*3。具体的には、以下の通りです。

  • 小学生:コンピュータの操作、ソフトの起動、文字入力など基本的操作に注力した教育を行う
  • 中学生:基礎知識に加えて、モバイル端末の操作や目的に応じたソフトの選択など応用的なスキルを育てる

義務教育が終了する段階で一定の情報リテラシーを身につけておくことで、高校や大学でさらに専門的な情報を扱う際にも役立つでしょう。文部科学省は、子どもから大人まで幅広い年齢の人々の情報リテラシースキルを高めることを重要視しています。

情報リテラシーが低い状態におけるリスクの具体例

情報リテラシーが低い状態で起こり得るリスクには、以下のような例があります。

  • 正確な意思決定ができない
  • サイバー攻撃によって被害を受ける
  • 機密情報の漏洩や紛失が懸念される
  • 不適切な情報発信で炎上する可能性がある
  • 意図せず知的財産権を侵害してしまう

リスクを把握しながら、適切な防止策や対処法を考えてみましょう。

正確な意思決定ができない

正しい情報を見極めるスキルがない場合、まちがった情報をもとに意思決定をしてしまう可能性があります。情報を全て鵜呑みにするのではなく、正しい情報である根拠を見つけながらリサーチを行わなければいけません。

たとえば、個人が提供している情報は、発信者のバイアスや思い込みが内容に反映されてることもあるでしょう。情報の正誤が判断しかねる場合は、専門機関や関連企業のWebサイトを確認して情報を照らし合わせるなどの作業も必要です。

サイバー攻撃によって被害を受ける

主にITツールへの知識不足によって起こり得る被害が、サイバー攻撃によるコンピューターの乗っ取りや情報漏洩です。具体的には、以下のような場面で被害が発生する可能性があります。

  • スパムメールに気づかずファイルを開く
  • 悪質なWebサイトに気づかずアクセス
  • 公共Wi-Fiの利用によるウイルス感染

たとえば、フリーWi-Fiのセキュリティが甘ければ通信が傍受されることがあります。マルウェアと呼ばれる悪質なソフトウェアに感染してしまうと、個人情報が抜き取られたり、デバイスの操作ができなくなったりします。企業のパソコンでフリーWi-Fiへ接続することで企業や顧客情報の漏洩が起こらないよう、会社内でのルール規定や対策が必要です。

機密情報の漏洩や紛失が懸念される

情報リテラシーのスキルが必要になる場面は、インターネットを利用する場面だけではありません。対面で人と話すときに「相手に伝えて良い情報」と「企業内に留めておくべき情報」を認識しておかないと、内部機密の情報が社外に漏洩する可能性があります。

機密情報の扱い方について理解がないまま社外の人に話してしまうと、知らないうちに情報が拡散されてしまうかもしれません。漏洩した内容によっては、「独自の技術を他社に奪われる」「世間から反感を買う」など、企業が大きな損害を受ける可能性もあるでしょう。社外機密を従業員全員が把握し、適切な行動を取れるように、社内で一律のルールを規定することが重要です。

不適切な情報発信で炎上する可能性がある

企業の公式SNSアカウントやWebサイトなどでは、情報リテラシー不足が原因で炎上するリスクがあります。以下が、炎上の可能性がある発信内容の例です。

  • 差別的、モラルが欠如した発信
  • 著作権・意匠権・肖像権を侵害する発信
  • 真偽が定かではない情報の発信

SNSを通じてビジネスの拡大に取り組むことも多いですが、SNSで不適切な投稿をしてしまった場合、その拡散力はかなり早く、情報の修正が難しいです。企業の信用度や好感度が低下すると、売上だけでなくビジネスの継続に影響が出るかもしれません。

意図せず知的財産権を侵害してしまう

現代では、簡単に情報にアクセスできるからこそ、インターネットの情報が他人の財産であるという認識が薄れてしまうこともあるようです。知的財産権の侵害が発覚した場合、法的な措置や罰則が科せられる可能性があります。

知的財産権の1つである「著作権」に注目してみると、悪意なく他人の著作権を侵害してしまうケースも少なくありません。たとえば、「インターネットで見つけたデザインをコピーして転用し、相手の著作権を侵害してしまう」などです。

著作権のルールを改めて調べるなどして、個々が知的財産権への知識を高める必要があるでしょう。

情報リテラシーを高める方法

情報リテラシーを高めるには、個々の資格取得や社内での研修の実施も効果的です。企業に属する一人ひとりが情報リテラシーの意識を高めることで、リスクの軽減が期待できます。また、社内で情報の扱い方について共通認識をもつことも大切です。

ここからは、情報リテラシーの身につけ方を解説します。

資格取得の勉強をする

資格取得を通じて、個々の情報リテラシースキルの向上に取り組むことができます。「情報リテラシーを高めよう」という抽象的な呼びかけでは、従業員も何に取り組めば良いか分かりにくいかもしれません。資格取得の勉強を通じてインプットを行うことで、数値で知識の見える化ができます。

たとえば「ITパスポート」と呼ばれる資格は、株式会社日立ソリューションズや富士通株式会社、その他も多くの企業が活用しています*4。情報技術に関する基本的な知識を評価するための試験の1つで、ITツールの基本的な操作はもちろん、パスワード設定やファイアウォール、ウイルス対策ソフトウェアの使用など、セキュリティに関する知識の向上も見込めます。

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企業の研修を受ける

個人や企業が情報リテラシースキルを向上させるために、社内で研修を設ける方法があります。たとえば「サイバー攻撃」や「知的財産権」などのワードについて具体例を踏まえて説明することで、情報リテラシーが不足するリスクについて社内で共通の認識をもつことができます。

研修を始める段階では、従業員間で情報リテラシースキルの差があるかもしれません。初めから高度なITツールに関する講座を設けるのではなく、情報リテラシーに精通していない人でも理解できる研修を実施しましょう。

また、情報リテラシーは役職に関係なく全員が平等に学ぶものです。アルバイトから管理者まで、社内の人全員が一定のスキルを学べる環境が理想です。

組織でできる情報リテラシーに関する対策

組織全体で情報リテラシー不足によるリスクを軽減するためには、企業側がルールやITツールの見直しを行う必要もあるかもしれません。具体的には、以下のような対策があります。

  • 情報の取り扱いルール・体制を整える
  • ツールや機器を最新バージョンにしておく
  • セキュリティシステムを導入する

ここからは、組織全体で統一した情報リテラシースキルを身につけるための対策を解説します。

情報の取り扱いルール・体制を整える

情報リテラシーは、「気を付ける」という個々の意識だけでは向上が難しいです。従業員に意思決定を任せるのではなく、企業側がルールを決めて一人ひとりが迷わずに行動できる環境が理想的です。具体的には、以下のようなルール設定ができます。

  • データへのアクセスや編集権限を設定する
  • 特定のWebサイトへのアクセスを制限する
  • リモートワーク時のルールを決める(Wi-Fi環境など)

たとえば、必要な人のみデータの閲覧・編集権限をもち、他の人は必要な場合のみアクセス権限を依頼することもできます。1段階ステップを情報の前に挟むことで、不必要に多くの目に情報が触れることを避けられるでしょう。

ツールや機器を最新バージョンにしておく

ソフトウェアのOS、VPNやWi-Fiなどのツールは、常に最新バージョンにアップデートすることを心がけましょう。セキュリティソフトや物のアップデートが行われる理由として、新たに発見された脆弱性やセキュリティの脅威に対する修正・改善が含まれていることがあります。

業務で使用するパソコンをはじめ、企業内で利用しているITツールが多くなるほど、アップデートの通知を見逃してしまうこともあるようです。セキュリティが弱く情報漏洩のリスクが高い状態での業務を避けるため、ITツールをできるだけ早い段階で最新バージョンにアップデートしておきましょう。

セキュリティシステムを導入する

セキュリティシステムの導入は企業や組織にとって非常に重要です。インターネットの進化と共にセキュリティ脅威も増加しているため、資産やデジタルデータを保護するためセキュリティシステムが活用されています。

予期しないサイバー攻撃などは、個人や企業がいくら対策をしていても完全に防ぐことは難しいです。人の手で操作するものにおいて、ミスを完全に無くすことはできません。セキュリティシステムなら、自動的にウイルスや誤作動を抑制し、サイバー攻撃からのデータ保護や情報漏洩防止が期待できます。

情報リテラシーを高め、正しい情報の扱い方を学ぼう

情報リテラシーの低さは、ビジネスでの意思決定や企業のセキュリティ面にも大きな影響を与えます。テクノロジーが発展し続ける現代で、私たちが入手する情報量はますます拡大していくでしょう。IT関連の知識に自信がない方は、資格取得やセミナーなどを活用してみるのもよいかもしれません。

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コミュニティを通して、一緒に学び支え合える仲間も見つかるかもしれません。興味があるスキルを学びながら、IT関連のスキルを高めていきましょう。

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※参考
*1:Oxford Reference「Information literacy」より
*2:総務省「メディア情報リテラシー向上施策の現状と課題等に関する調査結果報告」より
*3:文部科学省「第4章 情報教育」より
*4:情報処理推進機構「【ITパスポート試験】活用事例」より

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ライター あゆ
カナダ拠点のフリーランスライター。23歳で初海外・留学を経験。帰国後にWeb広告代理店に転職、SNS広告の記事・クリエイティブ作成、運用を担当。その後、再度カナダに渡航し現地で美容部員として働く。その後、SHEに出会い現在ライターを務める。
エディター Kakuhata Kyosuke
同志社大学 生命医科学部医情報学科卒。在学中、基礎科学や生体情報の取得・制御、プログラミングについて学ぶ。大学院進学後Pythonデータ解析や生体化学を学んだあとライター業を開始。現在はフリーランスとして活動し、キャリア領域のメディアを中心にSEO記事を編集・執筆している。

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