社内教育の方法の一つに「コーチング」が注目されています。しかしコーチングに対して漠然としたイメージをもつ人も多く、「具体的に何をすればいいんだろう…?」と悩む方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、コーチングの意味や必要なスキル、成果を出すポイントなどについて解説します。仕事でコーチングを取り入れたい方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
そもそもコーチングとは
コーチングの定義は人や企業によって少し異なることはありますが、国際コーチング連盟 ICFによると下記のように定義されています。
「コーチングとは、思考を刺激し続ける創造的なプロセスを通して、クライアントが自身の可能性を公私において最大化させるように、コーチとクライアントのパートナー関係を作ることです。対話を重ね、クライアントに柔軟な思考と行動を促し、ゴールに向けてコーチとクライアントのパートナーシップを意味します。」
ICF Japan「ABOUT COACHING」より
簡潔にお伝えすると、会話を通じてクライアントと信頼関係を作り、相手の可能性を最大限広げるプロセスがコーチングと考えられます。また社内教育においては、クライアントが部下に該当します。
コーチングとティーチングの違い
コーチングと近い言葉として「ティーチング」が挙げられます。しかし双方の意味は大きく異なります。コーチングの場合は相手の人生の可能性を広げることを目的にしており、スキルの指導などは基本的に行いません。
一方でティーチングは「教える」ことに重点をおいています。具体的には学校の先生に勉強を習うなどは、ティーチングといえるでしょう。したがってティーチングとコーチングは行うプロセスが大きく異なるのです。
下記の記事では、コーチングとティーチングの違いについて詳しく解説しています。双方を使用するシーンについても説明しているので、気になる方はこちらも参考にしてください。
コーチングスキルが注目されている3つの理由
「普通に教えるのではなく、どうしてコーチングが重要なんだろう?」と気になる方もいらっしゃるかもしれません。相手によって期待できる効果は異なりますが、コーチングには下記のメリットが存在します。
- 仕事の生産性が向上する
- 相手の適性を理解できる
- 自発的な行動を期待できる
また下記の記事では、人気コーチである「こばかなさん」にコーチングの効果について詳しく取材しています。コーチング受講者の感想も紹介しているので、「そもそもコーチングって本当に効果あるの?」と気になる方は、ぜひ参考にしてください。
※こばかなさんはSHElikesのコーチではありません。
仕事の生産性が向上する
コーチングは相手の可能性を見出す工程でもあるため、仕事に対する部下のモチベーションアップにつながります。自分に自信をもった社員が業務に意欲的になり、結果として仕事の生産性が向上することは少なくありません。
またコーチングスキルを身につけることにより上司のリーダーシップが発揮され、チームに一体感が生まれる事例も多く見られます。
相手の適性を理解できる
相手との対話を重ねることで、部下の適性が理解できることもコーチングの特徴の一つです。例えば仕事を任せている部下と向き合って話をすることにより、相手の向き不向きを理解できる可能性があります。
自分の得意分野を認識できると仕事の進め方が大きく変わります。相手の適材適所を見つけてあげるためにも、コーチングは有効な手段といえるでしょう。
自発的な行動を期待できる
コーチングを受けた相手は、さまざまな仕事に対して自発的に取り組むようになる傾向があります。理由は自分の可能性に気づき、相手がポジティブな気持ちになるからです。コーチングは相手が心に抱える負担を軽くするプロセスでもあります。
したがって現代社会に多い、「自分はだめだ…」などの自己否定感を解決できる可能性があります。社内教育で成果を挙げたい方は、ぜひコーチングを実践してみてください。
コーチングに必要な3つのスキル
ここからは、実際にコーチングを行ううえで必要なスキルを見ていきましょう。
- 傾聴
- 承認
- 質問
相手の課題によっても必要なスキルは異なりますが、一般的には上記の通りです。順番に見ていきましょう。
傾聴
傾聴はその名の通り、相手の話に耳を傾けることを指します。部下の話を親身に聞き、相手の本質的な課題を見出しましょう。社内教育でコーチングを実践する際に会話を思わず遮って、コーチ側が話し始めることがあります。
そのようなことをすると相手は「自分の話は聞いてもらえない…」と感じる可能性があります。そのためコーチングを実施する側になる時は部下の些細な悩みにも耳を傾け、相手を徹底的に理解・共感することが大切です。
承認
コーチングにおける承認には、幅広い意味が存在します。例えばクライアントの考えが間違っていても否定はせず、まず認めることが大切です。またコーチングを受けた部下が成果を出した際は、一緒に喜んであげることも重要になります。
基本的にコーチングには主従関係がないと考えられます。つまりコーチングにおける承認は相手の考えの全てを認め、共感するプロセスともいえるでしょう。
質問
質問はコーチングにおいて大切なスキルといえます。なぜなら質問は相手に気づきを与える工程だからです。例えば仕事で成果がでない部下に対して、「どうして結果がでないと思う?」と質問することで相手が課題に向き合い、自分なりの答えを出してくれるでしょう。
また質問をしても返答がない場合は、相手と一緒に原因を考えてあげることも大切です。コーチ側が答えを教えるのではなく適切な質問を行い、部下にとっての最適解に導いてあげてください。
コーチングスキルで成果を挙げるポイント
必要なスキルを理解したら、コーチングで成果を挙げるポイントも学んでおきましょう。具体的には下記の通りです。
- 1対1で対話する
- 双方向を意識する
- 継続的に実施する
- 相手に主導権を与える
順番に解説します。
1対1で対話する
相手に本音を話してもらうためにも、コーチングは1対1で行いましょう。周囲に人がいると周りの目を気にして、伝えたい内容を相手が話せない可能性があります。
コーチングを受ける方の中には、「自分の想いを他人に伝えるのは恥ずかしい…」と考える方がいるかもしれません。したがって部下にコーチングを行う際は、相手が緊張しない空間を作り、2人で話をすることが大切と考えられます。
双方向を意識する
コーチングを実施する際は片方の一方的な話でなく、双方がしっかりとコミュニケーションをとることを意識しましょう。相手に話をしてもらうことは大切ですが、コーチ側から質問をしてクライアントの悩みを引き出すことも重要になります。またコーチが一方的に指導することはティーチングになってしまい目的が変わるので、注意してください。
継続的に実施する
一回のコーチングでは、クライアントの成長や成果はほとんど期待できません。というのもコーチングは時間をかけて相手の本質を見出すことです。そのため短期間での変化は期待しないことをおすすめします。長期的にコーチングを実施することで少しずつ効果が見えてきます。したがって社内教育でコーチングを行う場合は、部下のペースに合わせて自他共に成長することを意識しましょう。
相手に主導権を与える
コーチングでは、常に相手に主導権を与えましょう。コーチ側からアドバイスをするのではなく受ける側の思考を整理するためにも、相手に考えて発言してもらうことが大切です。したがってコーチングでは、クライアントの話す時間が長くなることが正解と考えられています。部下にコーチングを行う際は、適切な質問をしながら相手の話を聞き、聞き役に徹することを意識してください。
コーチングスキルを高めるポイント
最後に、コーチングスキルを高めるポイントを紹介します。
- コーチングフローを意識する
- セミナー・研修を受講する
- コーチングを受けてみる
- セルフコーチングを学習する
順番に見ていきましょう。
コーチングフローを意識する
コーチングで成果を出すなら適切なフローを理解しておきましょう。一般的には下記の通りです。
- 信頼関係の構築
- 課題の発見
- 目的の発見
- 行動計画
相手の心に抱える悩みを打ち明けてもらうには、まず信頼関係を作る必要があります。いきなりコーチングを開始しても本質的な悩みに辿りつけない可能性があるので注意しましょう。双方に信頼関係が生まれたら質問をしながら相手の課題や目的を探し、具体的な行動計画を一緒に作ってあげてください。
セミナー・研修を受講する
実践的なスキルを身につけたい方は、セミナーや研修を受講してみましょう。プロのコーチから具体的なアドバイスをもらえるため、短期間でのスキルアップが期待できます。コーチングは相手によってプロセスが異なることがあるので、現役のコーチから指導を受けられるのはメリットといえるでしょう。
コーチングを受けてみる
自身が実際にコーチングを受けることも、スキルアップに重要な要素です。サービスとしてコーチングを受けることにより、話し方や質問のやり方だけではなく、クライアントとの距離感やコーチとしての雰囲気も勉強になるでしょう。またコーチングを受けることで自分の課題が明確になり、モチベーションを高めることも期待できます。
セルフコーチングを学んでみる
セルフコーチングを学ぶことで自分の目標や目的が明確になり、ポジティブな気持ちで人生を歩めることが期待できます。セルフコーチングを通して気づいたことは、部下に対するコーチングでも活躍するでしょう。相手だけではなく自分のことも理解して、クライアントの本質的な悩みを解決できるコーチを目指してみてください。
コーチングのスキルを身につけて仕事で成果を挙げよう!
コーチングには社員や部下の潜在能力を引き出せる可能性があります。相手に対する思いやりをもちながらコーチングに必要なスキルを身につけ、クライアントの成長をサポートしてあげましょう。
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