

「起業して自分の事業を立ち上げたい」と考えたことがある人もいるでしょう。起業にはやりたいことを実現できたり、自由に働けたりといったメリットがある一方で、デメリットも存在します。
起業の魅力的な側面だけなく、リスクについても理解することが後悔しないために重要です。この記事では、起業のメリット・デメリットや起業に向いている人の特徴、起業に成功した人の事例などを解説します。起業しようか迷っている方は、ぜひ記事の内容を参考にしてください。
起業のメリット5選
起業で得られる主なメリットを5つ紹介します。
それぞれ1つずつ見ていきましょう。
自由な働き方を手に入れられる
起業する大きなメリットは、自由な働き方を手に入れられることです。もちろん事業の内容によりますが、満員電車での通勤から解放され、自宅やカフェ、旅行先などの好きな場所で仕事を進められます。
また、平日の昼間に子どもの学校行事に参加したり、介護が必要な家族のそばで仕事をするなど、ライフスタイルに合わせて柔軟に働くことも可能です。生活に合わせて仕事の内容や場所を選べるのは、起業の魅力といえるでしょう。
頑張った分だけ収入が増える可能性がある
会社員の場合、成果を挙げてもすぐに給与に反映されなかったり、勤続年数に応じて徐々に昇給したりなど、収入が増えづらいこともあるでしょう。しかし、起業すれば、事業の成功がダイレクトに自身の収入に反映されます。
生み出した利益は会社の成長のために投資して、さらに売上を増やせるなど、頑張り次第で収入を青天井に伸ばせる可能性があるのは魅力です。事業が軌道に乗るまで厳しい時期を過ごす可能性もありますが、自分の努力が収入に反映されるのは、大きなモチベーションになるでしょう。
本当にやりたい仕事で自己実現できる
自分のやりたい仕事ができるのも、起業するメリットの1つです。会社員であれば、良いアイデアや解決したい課題があっても、会社の方針や予算の都合で実現できないこともあるでしょう。
一方で、起業なら「社会のこの課題を解決したい」といったアイデアをもとに、事業を始められます。自分のやりたい仕事ならモチベーションを維持しやすく、長く続けられるはずです。
自分の裁量ですべてを決定できる
事業に関わることを、すべて自分で決定できるのも起業の魅力です。経営の方向性から、オフィスを構える場所、一緒に働く従業員まで、自分の裁量で選べます。
組織であれば稟議を通す必要があるなど、物事を決めるのに時間がかかりやすいです。しかし、起業であればスピーディーな意思決定が可能になります。自分に裁量権がある分、責任も伴いますが、自らの判断でビジネスを動かせるのは起業家ならではのメリットでしょう。
定年がない
起業するメリットの1つに、年齢に縛られずに働けることも挙げられます。会社員の場合、定年退職が求められるケースも多いです。少子高齢化の影響で国も高齢者の就業確保を目指していますが、令和6年の時点で「定年制の廃止」を取り入れている企業は3.9%に留まっています*1。
起業すれば、健康とモチベーションが続く限り、働き続けられるでしょう。逆に、早い段階で引退することも選べます。自分のライフプランに合わせて柔軟に働く期間を変えられるのは、大きなメリットです。
このようにメリットが多い起業ですが、「自分には難しそう……」と諦めている人もいるのではないでしょうか。そんな方は女性向けキャリアスクール・SHElikes(シーライクス)の活用がおすすめです。以下の記事で、SHElikesが女性起業家を目指す方におすすめな理由を解説しているので、こちらもぜひご覧ください。

起業のデメリット3選
起業には、以下3つのデメリットもあります。
各デメリットを解説します。
収入が不安定になるリスクがある
会社員のように、毎月決まった額の給料を保証されるわけではないのが、起業の大きなデメリットです。事業が軌道に乗るまでは収入が下がったり、赤字になったりすることも珍しくありません。
実際に、日本政策金融公庫の「2023年度新規開業実態調査」によると、開業時に苦労したこととして「資金繰り・資金調達」を挙げた人の割合は59.6%にものぼります*2。起業した最初は、顧客を思うように獲得できなかったり、予期せぬトラブルが発生したりすることで、収入が不安定になることも覚悟しておきましょう。
すべての手続きを自分でやる必要がある
起業すると事業の運用だけでなく、経理や税金、社会保険といった手続きをすべて自分で行う必要があります。また、個人の場合は所得税、法人の場合は法人税の納付手続きが求められるなど、会社員の頃とは違った手続きも増えてきます。
会社員の場合は総務部などに税金関連の手続きをしてもらえますが、起業すると自分で申告を行い、税金を納付する必要があるため、慣れないうちは手間がかかるでしょう。税理士など専門家に相談したり、自分で情報収集したりして、経理に関する知識を身につけておくことが大切です。
自己責任が増える
自己責任が増えるのも、起業におけるデメリットの1つです。会社員なら仕事でミスをした場合、会社や上司にカバーしてもらえることもあるでしょう。一方で自分で事業を始める場合、ミスをするとすべて自分の責任になります。
また、融資を受けた場合は返済義務が生じ、従業員を雇えば、彼らの生活を守る責任が生まれます。このように、何を始めるにも自分にプレッシャーがのしかかる点には注意が必要です。
起業したほうがいい人の3つの特徴
ここでは、起業したほうがいい人の特徴を解説します。
自分が起業家に向いているか知りたい人は、参考にしてください。

自分のアイデアや情熱を形にしたい人
自分のアイデアを形にしたい人は、起業家に向いています。「こんなサービスがあれば、世の中はもっと便利になるはず」といった、内から湧き出る強い情熱や、確固たるビジョンを持っている人は、起業後もモチベーション高く事業に取り組めるはずです。
起業すると困難に直面することもありますが、「これを叶えたい」という強い想いがあれば、問題も乗り越えていけるでしょう。
リスクを恐れず、自力で道を切り開くガッツがある人
起業はいいことばかりではありません。収入が不安定になったり、失敗して信頼を失ったりといったリスクがつきものです。これらのリスクを恐れることなく、むしろ挑戦の機会と捉えられる精神的な強さがある人は、起業家に向いているでしょう。
またトラブルが発生した際に、誰かのせいにしたり助けを待ったりするのではなく、自ら解決策を探し、行動に移せる力も不可欠といえます。柔軟な思考と行動力があれば、起業後も事業を拡大し続けられるはずです。
常に学び続ける姿勢を持っている人
ビジネスを取り巻く環境は、目まぐるしく変化しています。市場トレンドの変化や、法改正、テクノロジーの進化などによって、昨日まで通用していた成功法則が、今日には通用しなくなることも珍しくありません。
そのため起業家になるなら、常にアンテナを高く張り、新しい知識やスキルをどんどん吸収し続ける姿勢が不可欠です。業界の専門知識はもちろん、マーケティングや法律など幅広い分野について学び、自身の事業をアップデートし続けることが、持続的なビジネスにつながります。

個人or法人?起業方法によりメリット・デメリットに違いがある!
起業を決意したら、「個人事業主」として始めるか、「法人(会社)」を設立するかを考えましょう。以下で、それぞれのメリット・デメリットについて解説します。
個人事業主として起業するメリット
以下に、個人事業主として起業するメリットを挙げました。
1つずつ見ていきましょう。
開業手続きが比較的簡単にできる
個人事業主になるのに、難しい手続きは必要ありません。具体的には、開業日から1ヶ月以内に税務署へ開業届を提出すれば、すぐに事業を開始できます*3。
法人のように、定款の認証や法務局への登記といった複雑な手続きは必要なく、費用もかかりません。「まずは小さく始めてみたい」という方は、個人事業主として起業するのがおすすめです。

税金の申告も比較的簡単にできる
個人事業主は、確定申告によって1年間の所得と所得税を計算し、税務署に申告・納税します。一見難しそうですが、法人に比べると税金の計算方法がかなりシンプルです。会計ソフトなどを利用すれば、経理や確定申告の知識がない方でも自分で申告書を作成できるでしょう。
自分で行うのが難しく税理士に依頼することがあっても、法人と比べて費用を安く抑えられるのも嬉しいポイントです。
収入によっては税負担が少ない
個人事業主は所得税を納めますが、これには収入が多くなるほど税率が上がる「累進課税」が採用されています。たとえば、年間所得が195万円未満の場合は税率5%、330万円未満なら税率10%です*4。
そのため、事業で得た利益がそれほど多くないうちは、法人税よりも所得税のほうが税率が低くなるケースがあります。一般的には課税所得が900万円を超えると、法人化したほうが税負担が軽くなるといわれているため、それより収入が低い場合は個人事業主のほうが節税できるでしょう。
個人事業主として起業するデメリット
個人事業主として起業するデメリットもあります。
法人を設立したほうがお得な場合もあるため、状況に合わせて判断しましょう。
社会的信用力が低い
開業や運営が簡単なことから、個人事業主は法人に比べて社会的信用力が低くなりやすいです。金融機関から融資を受けにくかったり、大企業との取引で与信審査が通りにくくなったりするケースもあるでしょう。
また、事務所の賃貸契約やクレジットカードの審査に落ちやすくなる可能性も。加えて、会社によっては個人事業主との取引を行わないところもあるため、顧客の開拓に苦労することも考えられます。
収入が多くなると税負担も多くなる
メリットで挙げた累進課税ですが、収入が増えると税負担が大きくなる点には注意が必要です。たとえば課税所得が900万円を超えた場合、所得税率は33%、法人税率は23.20%となり、個人事業主のほうが税負担が多くなります*4*5。
事業が大きく成長して利益が増えてくると、法人よりも税負担が重くなってしまうのは大きなデメリットでしょう。
会社設立のメリット
続いて、会社設立のメリットを3つ解説します。
それぞれ詳しく解説します。
節税効果が期待できる
会社を設立するメリットの1つは、節税効果が期待できることです。一定の所得を超えると、個人事業主よりも納める税金額を小さくできる可能性があります。
個人事業主が納める所得税は5%〜45%の7段階に分けられており、所得が増えるにつれて税率が上がります*4。一方で、法人税は資本金が1億円以下の法人の場合、所得が800万円以下なら15%、800万円以上なら23.20%です*5。
ある程度の所得が見込める場合は、会社を設立することで税負担を軽減できるでしょう。
社会的信用を得やすい
社会的な信用を得やすいことも、会社を設立するメリットです。法人を設立するには、資本金額や事業の目的、代表者名などの情報をまとめた書類を法務局へ提出し登記するため、社会的信用を得やすいと考えられます。
そうなれば、新規契約を獲得できる可能性が高まったり、金額の大きい取引をしやすくなったりする可能性もあるでしょう。
資金調達の方法が増える
会社を設立すると、資金調達の方法が増えます。個人事業主でも「日本政策金融公庫」から融資を受けたり、地方自治体の補助金制度などを活用したりして資金調達することは可能です。
しかし法人なら、新たに株式を発行して投資家から資金を集める「増資」や、ベンチャーキャピタル、エンジェル投資家などからの出資なども受けやすくなります。多額の資金を調達して大規模な事業を始めたい場合は、会社設立を検討してみてください。
会社設立のデメリット
会社設立には、以下のようなデメリットもあります。
法人の立ち上げを検討している方は、ぜひチェックしてみてください。
設立に費用がかかる
会社を設立するにあたって、数十万円ほどの費用がかかることには注意が必要です。かかる費用の例としては、以下が挙げられます。
- 株式会社の登記のための登録免許税:最低15万円*6
- 合同会社の登記のための登録免許税:最低6万円*6
- 会社の定款認証手数料:3万円〜5万円*7 ※合同会社は不要。
また、上記の手続きを司法書士などに依頼すれば、さらに費用がかかるでしょう。そのため、会社を設立するためにまとまった資金を準備しておく必要があります。
社会保険に加入する必要がある
社会保険への加入義務が発生するのも、会社を設立するデメリットです。従業員を雇わず、自分1人で会社を運営する場合でも、健康保険や厚生年金保険などに加入しなければなりません。
また、健康保険と厚生年金保険は労使折半のため、会社と被保険者で保険料を半分ずつ負担します。事業が拡大して従業員数が増えると、会社の負担額は大きくなるので注意が必要です。
赤字でも法人住民税がかかる
会社を設立すると、赤字でも法人住民税の納付が必要です。法人税や所得税は課税所得に応じて税額が決まるため、赤字の場合は税金はかかりません。一方で、法人住民税には均等割があり、資本金や従業員数を課税標準としているため、赤字の場合でも税金が発生します。
事業所の所在地にもよりますが、最低でも年間7万円程度かかるとされているため、経営状態によっては大きな負担となるでしょう。
起業に成功した事例を紹介!
最後に、起業に成功した2人の事例を紹介します。他の人がどのように起業に至ったのか、確認してみましょう。
ベビー服ブランドを立ち上げた後藤美緒さん
大学生時代から起業に興味があった美緒さんですが、「実際に行動する勇気は出なかった」といいます。子育てをするなかで「もっと楽に着せられるベビー服があればいいのに」と思ったことが、起業への思いが再燃し、挑戦するきっかけとなりました。
そして、ベビー服のブランドを立ち上げたいと考えていたときにSHElikesの存在を知り、デザインやWebの知識をつけるために入会を決意。コーチングやイベントへの参加を通じてモチベーションを高め、ベビー服のサービス「uni」を立ち上げています。

ペットと飼い主のためのサービスで起業したケーナさん
会社員として働いていたケーナさんですが、育休に入り自分と向き合う時間ができたことで、「スキルを身につけよう」と考えたといいます。何かを作るのが好きだったことでWebデザインに興味を持ち、SHElikesに入会しました。
当初はWebデザイナーを目指していたものの、本当にやりたいことを考えたときに、「ペットの飼育放棄問題をどうにかしたい」と思ったそうです。家事や育児の隙間時間に学習を進めてスキルを身につけ、ペットと飼い主のためのサービス「ペテトテ」を創設しました。


起業のメリットとデメリットを把握して、事業を始めるか否かを判断しよう
起業は、自由な働き方や収入アップといった大きなメリットがあり、魅力的なキャリアの選択肢といえます。しかし、収入の不安定さや重い責任といった厳しい現実があるのも事実です。不安な方は、個人事業主という形で小さく始めてみて、徐々に法人化するのもいいでしょう。
起業にあたって不安がある人は、第三者に相談するのもおすすめです。女性向けキャリアスクール・SHElikesでは、同じ目標を持つ仲間や先輩の起業家に相談できるコミュニティがあります。Webサイトのデザインから事業計画まで、不安な点があれば相談して解決することが可能です!
全45以上の職種スキルが学び放題であるため、「起業するジャンルが定まっていない」という人も、さまざまなコースを受けることで、興味・関心を持てる分野が明確になるかもしれません。
気になる方は、お気軽に無料体験レッスンに参加してみてください。


※出典
*1:厚生労働省「令和6年『高年齢者雇用状況等報告』の集計結果」より
*2:日本政策金融公庫「2023年度新規開業実態調査」より
*3:国税庁「A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続」より
*4:国税庁「No.2260 所得税の税率」より
*5:国税庁「No.5759 法人税の税率」より
*6:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」より
*7:日本公証人連合会「会社の定款認証手数料の改定」より