

デジタル技術の発展や働き方の多様化などからリスキリングが注目されていますが、以下のように思う方はいるのではないでしょうか。
「リスキリングとは何を指すの?」
「なぜリスキリングの重要度が高まっているのだろう?」
「リスキリングの方法を知りたい」
そこで、本記事ではリスキリングの意味やメリットを解説。また、リスキリングに取り組む方法や企業の導入事例も紹介します。
企業としてリスキリングの導入を検討している方や個人のリスキリングについて知りたい方は、ぜひ最後までチェックしてみてください。
リスキリングとは?
リスキリングは、経済産業省によると以下のように定義されています。
新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること*1
要するに、リスキリングは環境の変化に対応するために新しい知識やスキルを身につけることを意味します。
ちなみに、リスキリングの詳細は以下の記事内でも説明しているので、あわせてチェックしてみてください。

リスキリングの必要性とその理由
「なぜリスキリングが必要とされているのだろう?」と疑問を抱く方はいるでしょう。ここでは、リスキリングの必要性とその理由を企業と個人の両方の面から説明します。
結論からいうと、企業と個人はそれぞれ以下の目的でリスキリングをするといえます。
- 【企業】DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進
- 【個人】多様化する働き方への対応
それぞれ詳しく説明します。
【企業】DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進
企業は、DXを推進させるためにリスキリングが必要だといえます。DXとは、デジタル技術を活用して企業の競争力や生産性をアップさせることで、自社の優位性を高めることを指します。
デジタル化が進む昨今では、企業が成長するためにはデジタル社会への対応が欠かせないでしょう。そのため、企業は従業員にデジタルに関する知識やスキルを習得させることが大切です。
【個人】多様化する働き方への対応
個人にとってリスキリングが必要な理由は、働き方の変化に対応するためです。昨今ではリモートワークが普及しており、オンライン会議やメール、チャットツールによる連絡などが増えています。そのため、パソコンスキルやデジタルに関する知識などを身につければ、働き方の選択肢が増えるでしょう。
また、リスキリングを通じてAIやビッグデータのようなITに関する知識やスキルを身につけることで、キャリアの幅は広がるといえます。その理由は、IT人材の不足数は今後も増加すると試算されているからです*2。
リスキリングのメリット
ここからは、リスキリングのメリットについて見ていきましょう。企業と個人それぞれのメリットを2つずつ紹介します。
- 【企業】人材不足に対応しやすくなる
- 【企業】社員の意欲向上につながる
- 【個人】社内で評価される可能性が高まる
- 【個人】キャリアの幅が広がる
各メリットを詳しく解説します。
【企業】人材不足に対応しやすくなる
企業がリスキリングに取り組むメリットの1つは、人材不足に対応しやすくなることです。たとえば、前述の通りIT人材は不足しているため新たな人員を採用するのは難しい場合があります。そこで、リスキリングを通じてITに関する知識やスキルを社員に習得してもらうことにより、人材不足をカバーできると考えられます。
また、リスキリングの導入は、社員の離職を防ぐ効果も期待できるでしょう。新しい知識やスキルを身につけられる環境は、従業員自身のスキル向上につながります。そのような取り組みを推進する会社は、従業員の目に魅力的に映るとも考えられます。
【企業】社員の意欲向上につながる
企業がリスキリングを実施すれば、社員の意欲向上につながります。新たな知識やスキルの習得を目指せる制度があると社員のモチベーションがアップするでしょう。
仕事への意欲が高まると、業務の生産性が上がったり新たなアイデアが生まれたりする可能性が高まります。従業員の意欲向上は、会社の成長に良い影響をもたらすと考えられます。
【個人】社内で評価される可能性が高まる
個人がリスキリングに取り組むメリットの1つは、社内評価が高まることです。業務に必要な知識やスキルを積極的に身につけようとする姿勢は、上司や先輩に好印象を与えられるでしょう。
また、リスキリングをすることで、業務の効率化が見込めます。残業時間を減らせれば社内評価につながるうえ、ワークライフバランスも向上するといえます。
【個人】キャリアの幅が広がる
リスキリングを通じて新たな知識やスキルを習得すれば、キャリアの幅が広がります。IT人材の需要は今後も高いと考えられるので、IT関連のスキルを身につければ市場価値は高まるでしょう。また、複数のスキルをかけ合わせ、他者と差別化を図るのもおすすめです。
なお、リスキリングにおすすめのスキルや資格については、以下の記事で詳しく解説しています。何を学べばよいか分からない方は、ぜひチェックしてみてください。

企業がリスキリングに取り組む方法
ここでは、企業がリスキリングに取り組む方法を紹介します。大まかな流れは、以下の通りです。
- リスキリングの目的を定める
- リスキリング用のコンテンツを準備する
- 従業員に対してリスキリングを実施する
- 習得した知識やスキルを業務で実践してもらう
各ステップを詳しく見ていきましょう。
1. リスキリングの目的を定める
まず、リスキリングに取り組む目的を明確にします。会社の現状や課題などを洗い出し、リスキリングを通じて何を達成するのかを定めましょう。
なお、リスキリングの目的は具体的に設定するのが大切です。その理由は、目的が漠然としていると学習プログラムを立てにくくなるうえ、従業員にリスキリングの目的を正しく理解してもらえない可能性もあるからです。
2. リスキリング用のコンテンツを準備する
続いて、リスキリング用のコンテンツを準備します。従業員が活用しやすいと思えるような教材を用意しましょう。
例としては、オンラインで受講できる教材なら時間や場所を問わず学習を進めやすいと考えられます。また、外部から専門家を招いて研修を受けられる機会を設けるのもよいでしょう。
3. 従業員に対してリスキリングを実施する
リスキリング用のコンテンツが準備できたら、従業員に取り組んでもらいましょう。このとき、リスキリングを実施する目的を正しく伝えることが大切です。
なお、業務時間外にリスキリングをさせてしまうと、社員の納得を得られなかったり、リスキリングに積極的に取り組んでもらえなかったりすることも考えられます。リスキリングのメリットをしっかり伝え、かつ就業時間中に取り組めるようにするなど、リスキリングに対する社員の負担を減らせるよう意識するとよいでしょう。
4.習得した知識やスキルを業務で実践してもらう
リスキリングをして終わりではなく、習得した知識やスキルを業務に活かしてもらうことが大切です。リスキリングの成果を出せるような環境を事前に整備しておくとよいでしょう。
また、身につけた知識やスキルを業務で実践してもらったら、結果を振り返ってフィードバックをするようにしてください。「業務に役立った知識やスキルは成功事例として社内でシェアする」「足りないスキルが分かったら、リスキリングを重ねる」などをすることで、リスキリングの効果を最大限に得られるといえます。
企業のリスキリング導入事例
ここからは、企業のリスキリング事例を見てみましょう。今回は、以下3社の取り組みを紹介します。
- トヨタグループ
- 株式会社三菱UFJ銀行
- JFEスチール株式会社
各企業のリスキリング導入事例を紹介します。
トヨタグループ
トヨタグループは、一人ひとりがITのプロ人材になることを目指してデジタル環境の整備を進めています*3。全社員を対象に、デジタルに関する基礎知識や入門レベルのスキルを習得できる人材育成システムを整えています。
また、アプリの開発やデータ分析などを通じて、デジタル技術を活用した新しい働き方の実現を目指しています。
株式会社三菱UFJ銀行
株式会社三菱UFJ銀行は、デジタル人材の育成プログラムを全社員に提供しています*4。若手社員にはもちろん、デジタル戦略を踏まえた組織風土改革を実施するためマネジメント層に対してもデジタルに関する研修を行っています。
また、社員の自律的なキャリア形成のサポートを目的とした「キャリアチャレンジ制度」もあり、スタートアップへの出向や新事業の提案などを後押しするプログラムを実施しています。
JFEスチール株式会社
JFEスチール株式会社は、データサイエンティストを社内で養成する体制を構築しています*5。課題解決型の教育プログラムやeラーニングなどを導入したカリキュラムが整備されており、アルゴリズムの開発や実用化を独力で行える人材の育成を目指しています。
2019年の時点で、200名を超えるデータサイエンティストを輩出しています。
なお、以下の記事では企業のリスキリング事例を紹介しているので、あわせてチェックしてみてください。

リスキリングを実施するときのポイントや注意点
最後に、企業がリスキリングに取り組むにあたって押さえておきたいポイントと注意点を紹介します。結論としては、以下の3点を意識する必要があるといえます。
- 社員の納得を得られるようにする
- 社員がリスキリングに取り組みやすい環境を整える
- リスキリングは目的ではなく手段であることを意識する
それぞれを詳しく見ていきましょう。
社員の納得を得られるようにする
リスキリングを実施するときは、社員の納得を得ることが大切です。企業主導でリスキリングをする場合、「なぜリスキリングをする必要があるのか」「リスキリングに取り組むメリットは何なのか」などが明確でないと社員が積極的に学習をしないことも考えられるため、社員の声をしっかり聞く必要があります。
リスキリングの目的やメリットを明確にし、かつ社員の意見を反映させるなど、従業員が納得して取り組めるよう意識してみてください。
社員がリスキリングに取り組みやすい環境を整える
社員がリスキリングに取り組みやすい環境を整備する必要もあります。前述の通り業務と並行してリスキリングを実施するため、「勤務中の学習を認める」「隙間時間を活用してもらうため、オンライン学習が可能なプログラムを用意する」など、学習に適した環境作りが欠かせません。
また、社員に学習のモチベーションを維持してもらうことも大切です。リスキリングに取り組む人に向けたインセンティブを用意したり、成長を実感できる機会を設けたりするとよいでしょう。
リスキリングは目的ではなく手段であることを意識する
リスキリングは手段であり、目的ではないことを意識しましょう。リスキリング自体を目的にしてしまうと、勉強をするだけで満足してしまうと考えられます。
リスキリングは「DXを推進する」「生産性を高める」などの目的を達成するための手段であることを念頭に置き、身につけた知識やスキルを業務に活かせる環境を整えることが大切です。
リスキリングとは何かを理解して、実践してみよう
リスキリングとは、環境の変化に対応するために新しい知識やスキルを習得することを指します。デジタル化が進み、働き方が多様化する昨今では、企業が成長するためにはリスキリングは欠かせないでしょう。
また、リスキリングは個人にもメリットがあります。新しい知識やスキルを身につければ、働き方の選択肢が増えたり、キャリアの幅が広がったりするでしょう。
個人でリスキリングに取り組みたいと考える方には、女性向けキャリアスクールのSHElikes(シーライクス)がおすすめです。Webデザインやマーケティングなど全40以上の豊富な職種スキルが定額・学び放題なので、幅広いスキルの習得を目指せます。
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※引用
*1:経済産業省「リスキリングとは―DX時代の人材戦略と世界の潮流―」リスキリングとはより
※出典
*2:経済産業省「IT人材育成の状況等について」p6より
*3:株式会社トヨタシステムズ「デジタルトランスフォーメーション(DX)」より
*4:株式会社三菱UFJ銀行「社員一人ひとりが、世界が進むチカラになる。社員の「成長と挑戦」を支える人事制度改革」より
*5:JFEスチール株式会社「社内データサイエンティスト養成のための階層別・系統的教育体制を構築」より