

デジタル技術の発展に伴ってリスキリングが注目されていますが、以下のように思う方はいるのではないでしょうか。
「リスキリングの具体的な事例を知りたい」
「リスキリングにはどんなメリットがあるのかな?」
「リスキリングの方法には、どのようなものがあるのだろう?」
そこで、本記事では企業のリスキリング事例やリスキリングのメリットなどを解説。加えて、リスキリングの成功事例も紹介します。
リスキリングの事例を知りたい方やリスキリングに取り組みたい方は、ぜひ最後までチェックしてみてください。
リスキリングとは?
まず、リスキリングについて説明します。リスキリングは、経済産業省に以下のように定義されています。
新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること*1
つまり、リスキリングとは環境の変化に対応するために新しい知識やスキルを習得することを指します。
ちなみに、リスキリングについては以下の記事で解説しています。詳しく知りたい方は、ぜひ目を通してみてください。

企業のリスキリング事例を紹介
それでは、企業のリスキリング事例を見てみましょう。今回は、以下6社の取り組みを紹介します。
- 富士通株式会社
- 日本マイクロソフト株式会社
- 株式会社日立製作所
- キヤノン株式会社
- ヤフー株式会社
- 味の素株式会社
それぞれの事例をチェックし、リスキリングの参考にしてみてください。
富士通株式会社
富士通株式会社は、デジタル人材不足の解消を目的にリスキリングを開始しました*2。ServiceNow社やMicrosoft社などと協力して「Global Strategic Partner Academy」という教育プログラムを展開し、最先端のデジタル技術やノウハウをオンラインで習得できる環境を世界中の従業員に提供しています。
また、顧客対応の経験を積める実践的なプログラムを実施し、従業員のキャリアをサポートする取り組みも行っています。
日本マイクロソフト株式会社
日本マイクロソフト株式会社は、パーソルイノベーション株式会社と共に法人向けオンラインコーチングサービス「学びのコーチ」を提供しています*3。日本のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進のため、デジタル人材を育成するのが目的です。個人に合わせたキャリアコーチングとラーニングカリキュラムを活用し、高度なクラウド人材の育成を目指しています。
なお、同社は2023年までにクラウドとAIに関する認定資格取得者を15万人創出することを予定しています。また、2025年までに高度デジタル人材の人数を2万人にするそうです。
株式会社日立製作所
株式会社日立製作所は、DX推進のための人材育成を強化中です*4。デジタルに関する学習ができるコースを約100も展開しており、データサイエンティストやエンジニアなどさまざまな職種の人材拡充を目指しています。
また、デジタルリテラシーを高めるために、「デジタルリテラシーエクササイズ」というプログラムを提供しています。デジタルに関する学習カリキュラムが4つのステップに分けられており、基礎から実践的なスキルまで順序立てて学ぶことが可能です。
キヤノン株式会社
キヤノン株式会社は、リスキリングの一環として研修施設「CIST(Canon Institute ofSoftware Technology)」を設立しました*5。デジタル関連の教育システムを拡充することで、従業員がキャリアを築いて活躍できる機会の創出を目指しています。
また、今後の事業戦略に必要な知識を従業員に習得してもらうため、AIやIoT、ビッグデータなどに関する教育にも注力しています。加えて、国立情報学研究所や早稲田大学などが主催しているソフトウェア技術者を育成するコースに社員を派遣し、エキスパートの育成を図っているそうです。
ヤフー株式会社
ヤフー株式会社(現在は合併によりLINEヤフー株式会社)は、グループ全体でAI人材を育成するコミュニティ「Z AIアカデミア」を創設しました*6。研究者やエンジニアだけではなく、ノンエンジニアや文系出身の人もAI人材として活躍できるようになることを目指しています。
たとえば、AI技術をビジネスに活用する方法を紹介する座学を開講したり、知識の向上を目的としたワークショップを実施したりしています。2026年までにAI人材を5,000人増員するのが目標だそうです。
味の素株式会社
味の素株式会社は、DXの推進を目的として「ビジネスDX人財」「システム開発者」「データサイエンティスト」の育成を開始しています*7。「ビジネスDX人財」においては2020〜2022年の3年間で従業員の約80%に相当する延べ2,436名が認定を取得しており、リスキリングの取り組みは成功しているといえます。
加えて、社員一人ひとりの成長を支えるために「キャリア開発支援」も行っています*8。法務やマーケティング、営業などさまざまな分野の研修を提供することで、従業員のキャリアサポートを実施しています。
企業がリスキリングに取り組む目的は?
ここまで企業のリスキリング事例を紹介してきましたが、なぜリスキリングに取り組むのでしょうか。結論からいうと、リスキリングの目的は以下の2つが考えられます。
- DXを推進し、企業をさらに成長させるため
- 働き方の変化に対応するため
それぞれ詳しく見ていきましょう。
DXを推進し、企業をさらに成長させるため
リスキリングの目的の1つは、DXを推進して企業のさらなる成長を目指すことです。ちなみに、DXは「デジタル・トランスフォーメーション」の略で、データやデジタル技術を活用することで会社の競争力強化や生産性の向上などを図り、企業の優位性を高めることを指します*9。
インターネットやスマートフォンの普及により世界はデジタル化しているため、企業が成長するにはデジタル社会への対応が必要不可欠でしょう。そのため、デジタルに関する知識やスキルを従業員に習得(リスキリング)してもらうことは、企業をさらに成長させることにつながると考えられます。
働き方の変化に対応するため
働き方の変化に対応するためにリスキリングに取り組む場合もあるでしょう。テレワークが普及した昨今ではオンラインでのミーティングやメール、チャットツールによる連絡などが増えているため、デジタルに関するスキルを従業員に身につけてもらう必要があります。
もし「リモートワークは不可」「ミーティングは対面でのみ実施」のような状態だと、社員のモチベーションや生産性の低下につながる可能性があります。リスキリングを通じて柔軟な働き方ができるようにすることは、社員と企業の双方にとってプラスになるでしょう。
リスキリングのメリット
ここからは、リスキリングのメリットを紹介します。結論としては、以下の2つがあげられます。
- 社員の意欲向上につながる
- 離職を防ぎやすい
2つのメリットを詳しく説明します。
社員の意欲向上につながる
リスキリングのメリットの1つは、社員の意欲向上が期待できることです。新たな知識やスキルを習得できる環境があると社員のモチベーションが上がり、仕事に積極的に取り組むようになる可能性は高まります。
また、社員の意欲が高まることで、生産性が上がったり新しいアイデアが生まれたりすると考えられます。リスキリングに取り組むと、会社の成長にもつながるでしょう。
離職を防ぐことができる
社員の離職を防ぎやすくなることも、リスキリングのメリットの1つといえます。前述の通り、新しい知識やスキルを習得する機会があると社員の意欲が向上すると考えられるため、「この会社で働くのは楽しい」「やりがいを感じられる職場」などと思ってもらえるでしょう。また、社員の離職を防ぐことは、採用コストの削減にもつながります。
ただし、リスキリングを通じて身につけた知識やスキルを活かして転職する社員が出てくる可能性もあります。リスキリングに取り組むだけではなく、労働環境や待遇などにも着目する必要があるでしょう。
リスキリングを成功させるポイント
リスキリングを成功させるために押さえておきたいポイントは、以下の3つです。
- 企業が真剣に取り組む
- 社員がリスキリングに取り組みやすい環境を作る
- モチベーションを高められる教育プログラムを作る
各ポイントを詳しく見ていきましょう。
企業が真剣に取り組む
まず、リスキリングを成功させるためには企業が真剣に取り組む必要があります。全社員が自主的に新しい知識やスキルを身につけようとするとは限らないため、会社側がリスキリングの重要性を社員に周知させることが大切です。
リスキリングに対する企業としての本気度が社員に伝われば、成功する可能性は高まります。
社員がリスキリングに取り組みやすい環境を作る
社員がリスキリングをしやすい環境を作ることも欠かせません。業務時間外にリスキリングに取り組んでもらうことも少なくないため、スムーズに取り組める環境を整えておくことが大切です。
たとえば、「具体的な学習プログラムの作成」「オンラインで学習できる環境の整備」などをすると、社員がリスキリングに取り組みやすくなると考えられます。また、前述した6社のリスキリング事例からヒントを得るのもよいでしょう。
モチベーションを高められる教育プログラムを作成する
社員のモチベーションが高まるようなプログラムを作成するのも、リスキリングを成功させるポイントの1つです。勉強のやる気が出るような教育プログラムなら社員が継続的に学習する可能性が高まるため、新しい知識やスキルが身についてリスキリングは成功すると考えられます。
また、リスキリングに取り組むことで得られるメリットを社員に理解してもらうことも、モチベーションを高めることにつながるでしょう。
個人でリスキリングに取り組む方法
ここまでは主に企業側の視点でリスキリングの説明をしてきましたが、ここからは個人でリスキリングに取り組む方法を紹介します。具体的には、以下の3つがあげられます。
- 書籍で学ぶ
- 学習サイトで学ぶ
- スクールで学ぶ
3つの方法を解説します。
書籍で学ぶ
1つ目は、書籍でリスキリングに取り組む方法です。専門書やテキストなどを読み、新しい知識やスキルの習得を目指します。スクールと比べて費用がかからないため、低予算でリスキリングが可能です。
ただし、自分で学習スケジュールを立てる必要があり、疑問点も自力で解決することが求められます。そのため、挫折したりモチベーションが下がったりすることも考えられ、自走力が必要であるといえるでしょう。
学習サイトで学ぶ
学習サイトを活用してリスキリングに取り組むのもよいでしょう。プロに教えてもらえるため、効率よく知識やスキルの習得がしやすいといえます。加えて、カリキュラムが決まっているので、モチベーションを維持しやすいでしょう。
また、学習サイトはオンラインで受講できるため、時間や場所を気にせず学習できます。仕事とリスキリングを両立させやすいのが、学習サイトで学ぶメリットです。
スクールで学ぶ
スクールに通ってリスキリングに取り組む方法もあります。疑問点を講師に直接質問できるため、学習サイトと同様に効率よく勉強しやすいでしょう。
また、ほかの受講生と切磋琢磨することでモチベーションが高まる場合があります。加えて、スクールを通じて人脈が広がることもあるかもしれません。
リスキリングに成功したロールモデル
最後に、個人でリスキリングに取り組んで成功した以下2名の事例を紹介します。
- 副業起業でベビー服ブランドを立ち上げた美緒さん
- 異動先で即戦力として活躍したsatominさん
それでは、成功事例を見ていきましょう。
副業起業でベビー服ブランドを立ち上げ!長年の夢を叶える最後の一歩となった、スキルと自信の身に付け方とは 後藤美緒さん

会社員を続けながら副業として起業した美緒さんは、ベビー服ブランドを立ち上げました。女性向けキャリアスクールSHElikes(シーライクス)でマーケティングやWebデザイン、経営など、起業に必要であった分野のリスキリングをしたそうです。
本業と子育てで忙しい毎日ですが、SHElikesはオンラインで受講できるため、ランチ休憩や就寝前などの時間を活用して学習を進めたと言います。
【わたし流、社内キャリアUPの叶え方】営業10年目で企画職に異動した私が、複数のスキルを学び即戦力になった方法 satominさん

営業職を10年間続けてきたsatominさんは、新しいスキルを身につけるためにSHElikesに入会。ライティングを中心に、マーケティングやWebデザインなど幅広い分野の学習を始めました。
入会後すぐに営業企画部に異動になりましたが、SHElikesで身につけた複数のスキルを活かして即戦力として活躍できたそうです。また、新たな仕事の提案もできるようになったと言います。
成功しているリスキリング事例を参考にして、実際に取り組んでみよう
リスキリングは、さまざまな企業が導入を始めています。社員の意欲向上や離職防止などのメリットが見込めるので、本記事で紹介したリスキリング事例を参考にし、ぜひ取り組んでみてください。
もし個人でリスキリングをしたいなら、女性向けキャリアスクールのSHElikesがおすすめです。ライティングやマーケティング、Webデザインなど全40以上の豊富な職種スキルが定額・学び放題のため、幅広いスキルの習得を目指せます。さまざまなスキルをかけ合わせることは、キャリアの幅を広げることにつながるでしょう。
無料体験レッスンを実施しているので、まずは参加を検討してみてはいかがでしょうか。
女性向けキャリアスクールSHElikes無料体験レッスンはこちら
※引用
*1:経済産業省:「リスキリングとは―DX時代の人材戦略と世界の潮流―」リスキリングとはより
※出典
*2:富士通株式会社「グローバル規模のデジタル人材不足の解消に向けた人材育成プログラム「Global Strategic Partner Academy」を開始」より
*3:日本マイクロソフト株式会社「日本マイクロソフト、パーソルイノベーション デジタル人材育成で協業 デジタル×人の力で日本の DX 推進を加速」より
*4:株式会社日立製作所「企業における人財育成について~日立グループの取り組み~」より
*5:キヤノン株式会社「グローバル優良企業グループ構想フェーズVIにおける人材戦略」より
*6:LINEヤフー株式会社「Zホールディングス、“文理両軸でAI人材を育成”する「Z AIアカデミア」を発足」より
*7:味の素株式会社「味の素グループのデジタル変革(DX)」より
*8:味の素株式会社「キャリア開発支援~自律的キャリア開発の促進~」より
*9:経済産業省「デジタル・トランスフォーメーション」DXとは何か? IT化とはどこが違うのか? より