目標達成シート(マンダラチャート)とは、目標達成のために必要な要素を可視化するツールのことです。米国のメジャーリーグで活躍する大谷翔平選手が活用していたことでも話題になりました。
目標達成シートは、個人的に使うのはもちろんビジネスにおいても有効です。便利なツールであると知っていても「活用方法がわからない」と悩む人も多いのではないでしょうか。
本記事では、目標達成シートをビジネスで活用する方法をまとめました。書き方や例を用いて解説しています。目標達成シートについて興味がある方は、ぜひ最後までチェックしてみてください。
目標達成シート(マンダラチャート)とは?
目標達成シートとは、目標達成のために必要な工程をピックアップし、整理するためのツールのことです。目標管理のフレームシートを形にしたもので、目標達成までにやるべき工程が可視化され、わかりやすくなるメリットがあります。
ビジネスにおいて目標管理と達成に向けた行動は重要ですが、目標を意識し続けるのは難しいもの。目標達成シートは漠然とした考えを可視化できるため、施策やアイデアを考える際にも役立つツールなのです。
目標達成シートは別名マンダラチャートとも呼ばれています。由来は悟りの境地を表す絵画曼荼羅(マンダラ)です。放射状の構造が、フレームワークのヒントとなりました。また、目標達成に向けたツールのため、「達成シート」「チャレンジシート」と呼ばれることもあります。
目標達成シートの構成の例
目標達成シートは、3×3の9マスの枠組みで構成されるのが基本です。真ん中に実現したい目標を記載し、周囲のマスには実現するために取り組むべきことを記載していきます。
たとえば、最終目標が「新しい知識を習得する」であれば、実現するために取り組むべきこととして「キャリアスクールに通う」「学んだことを実践する」「毎日勉強する時間を設ける」などが挙げられるでしょう。
シートに記載した要素をこなしていけば、最終目標の達成につながります。さらに詳細な計画を作るために、マスの数を9×9の81マスに増やして細分化することが多いです。
ビジネスにおける目標達成シートの活用方法
目標達成シートをビジネスで活用する目的は、主に3つあります。
目的に応じてシートを活用すると、目標が叶いやすくなります。ここでは、それぞれの活用方法について詳しく見ていきましょう。
目標の明確化
目標達成シートを活用すると、文字通り目標が明確になり、達成のための必要な行動が洗い出されます。目標のために取り組むべきことを可視化し毎日確認することで、行動が習慣化されやすくなるでしょう。
また、目標達成以外にもプロジェクト管理や事業計画、新商品開発などにも応用できます。ビジネスにおいて役立つ場面は多いです。目標を言語化したい場合や、実行に移したい場合に積極的に活用してみてください。
目標達成までのプロセスの具体化
目標達成シートは、目標達成までの道筋を具体化するのにも役立つツールです。シートを作成する際は、1つの目標に対して行動目標や要素をピックアップします。そのため、記入したシート全体を見たとき、目標を叶えるまでのプロセスがイメージしやすくなるでしょう。
目標を達成するためには、ゴールから逆算して計画を立てることが重要です。闇雲に行動すると、達成までに時間がかかったり、最悪の場合達成できなかったりすることも。目標までのプロセスを明確にし、具体的な行動計画を描くために、目標達成シートを活用してみましょう。
スケジュールの管理
目標達成シートは、スケジュール管理にも役立つツールです。シート内のマスを埋めていくと、目標達成に向けたアクションが明確になります。
目標達成のための各ステップが具体的になり、必要なアクションがひと目で確認できるのです。目標達成シートは、シート自体がToDoリストにもなり、進捗の確認や反省、振り返りの作業にも活用できます。
ビジネスに役立つ!目標達成シートの書き方と例
ビジネスにおいて目標達成シートを作成する際は、以下の順に沿って進めていきます。
それぞれのステップを詳しく確認していきましょう。
ステップ1|3×3マスの中央に達成したい目標を書く
まずは目標達成シートの中心のマスに、最終目標を記入します。たとえば、営業職・事務職・技術職における最終目標は、下記のように設定することが多いです。
職種名 | 目標の例 |
---|---|
営業職の場合 | 売上を20%アップ |
事務職の場合 | 発注ミスを0にする |
技術職の場合 | 生産量を10%アップ |
目標が曖昧だと、達成に向けての行動が整理しにくくなるため、できるだけ具体的にすることが大切です。目標に数字を入れることで効果測定がしやすくなります。たとえば「売上アップ」という目標よりも「既存顧客のリピート率を今より10%アップする」という具体的な目標のほうが、達成へのステップも検討しやすくなるでしょう。
ステップ2|中央マスの周囲8マスに「目標達成に必要な要素」を書く
次に最終目標を書いたマス以外の8マスに、目標を達成するために必要な要素を記入していきます。下記の表には、ステップ1で例に出した営業職・事務職・技術職の場合に必要な要素をいくつか挙げてみました。
各職種における最終目標 | 必要な要素の例 |
---|---|
営業職で「売上を20%アップ」を 目標にした場合 |
・集客に力を入れる ・仕入れ値を下げるなど |
事務職で「発注ミスを0にする」を 目標にした場合 |
・発注フローを見直す ・ダブルチェックを徹底するなど |
技術職で「生産量を10%アップ」を 目標にした場合 |
・無駄な工程の洗い出しをする ・業務効率化に必要なツールの 導入を検討するなど |
必要な要素が、現実的に実行できない内容では意味がありません。実際に行動に移せそうな内容に落とし込めると良いでしょう。
ステップ3|8つの要素それぞれにおいて、目標となる8つのマスを書く
続いて、具体的な行動目標に落とし込むために、前のステップで決めた8つの要素それぞれを中心に書いた「縦3マス×横3マス」の9マスからなる枠を新たに8つ作成します。合計で81マスになれば、枠組みは完成です。
8つの要素を配置する際は、重要な項目が目につきやすいよう、左上から順に配置するのがおすすめです。目標達成シートを見たときに、優先順位がひと目でわかるようになります。
ステップ4|残ったマスに具体的な行動目標を書く
最後に、目標達成のために必要な行動を決めていきましょう。ステップ3で書き出した8つの要素に関連する具体的な行動目標やタスクを、各8個ずつ記入していきます。このとき、中心の要素をベースとして周囲の8マスに行動目標を書きましょう。
目標達成シートは81マスすべて書き込むのが基本です。すべて記入するのは難しいかもしれませんが、できるだけマスを埋めることを意識してください。シートが完成すれば、あとは目標達成のためのアクションをひとつずつ起こしていくのみです。小さな目標を順にクリアしていくことが、目標達成への近道になります。
目標達成シートをビジネスで活用する4つのメリット
目標達成シートをビジネスで活用することで、以下のようなメリットが得られます。
それぞれ解説していきます。
将来の理想像に近づくための指針となる
目標達成シートを活用すれば、将来の理想像に近づくための指針を明確にできます。これにより、目標達成に向けて具体的な行動を起こしやすくなるでしょう。
目標は頭の中で考えているだけでは、具体的に行動できないことも少なくありません。シートを上手く活用すれば、理想を叶えるためのプロセスが明確になるため、目標達成へのモチベーションもアップするでしょう。
自分に足りないスキルや経験を発見しやすい
目標達成シート作成のステップには、目標達成に必要な要素を考える工程があります。必要な要素のなかには、現状と目標との差分を補うものを挙げることが多いです。そのため、現状の課題を整理することにもつながります。
課題が明確になったあとは、課題解決のための方法に目を向けなければなりません。その過程で、自分に足りないスキルや経験が明らかになります。目標達成に向けてスキルアップするべき部分が理解できると、成長にもつながるでしょう。
チームの場合は組織の共通認識をつくれる
チームの共通認識をつくるために、目標達成シートを活用することもあります。共通の最終目標を中央に記載した目標達成シートを用意したうえで、メンバーそれぞれが目標に対するアプローチを検討してみてください。チームでシート全体を確認し、意見交換をしながらシートを埋めていきます。
目標達成シートを組織内で使用すると、目標が共有できるメリットがあります。共通認識を持って業務に取り組めば、チームの結束を高めることにもつながるでしょう。
計画の質が上がる
目標達成シートを活用すると、目標達成までの計画の質が上がるメリットがあります。シート作成のプロセスで要素を細分化し、具体的な行動まで決められるからです。
1つの最終目標に対して、8つの要素と64個の具体的な行動を決める過程を通じて、目標とそれに紐づくタスクを全体的に見渡せるようになります。目標達成に向けて緻密に項目を設定するため、結果的に計画の質が向上するのです。
目標達成シートをビジネスで活用する2つのデメリット
目標達成シートの活用にはメリットがある反面、下記のようなデメリットがあります。
注意すべきポイントを把握しておけば、目標達成に向けてより動きやすくなるでしょう。ここでは、2つのデメリットについて詳しく解説します。
モチベーション低下につながることがある
目標達成シートを活用すると、時にはモチベーション低下につながることもあります。目標達成シートは、計画の進捗が見える化されるものです。81マスにきっちり埋められた要素は、遅れが生じている場合にはプレッシャーを感じることもあるでしょう。
義務感や責任感からやる気が下がることもあるかもしれませんが、せっかくの計画が実行できなくては本末転倒です。目標達成の期限まで設定する際は少し余裕を持たせるなど、工夫するのがおすすめです。
やるべきことや目標が煩雑になる可能性も
目標達成シートを活用すると、最終目標までに必要な要素が洗い出されます。しかし、やるべきことが細分化されると、優先順位がつけにくくなることも。
81マスに記入された要素から、優先的に着手するべきものがわからず混乱してしまったり、「あれもこれもやらなければならない」と焦ったりすることもあるかもしれません。そうした事態に陥らないよう、8つの要素に優先順位や実行スケジュールを設定し、行動目標をどの順で進めていくべきかを整理しましょう。
目標達成シートをビジネスで活用するときに意識したい6つのポイント
目標達成シートをビジネスで活用する際は、以下のポイント6つを意識しておくことが大切です。
それぞれ詳しく解説します。
目標と目的の違いを把握する
目標達成シートを活用する際は、目標と目的の違いを把握しておきましょう。目標と目的の定義は下記の通りです。
- 目標:ゴールまでの道のりに設定されている指標
- 目的:最終的に成し遂げたい到達点
たとえば、「売上を上げて会社を大きくすること」が目的であれば、目標は「営業部門で20万円達成」などと設定できます。目的を意識することで目標の重要度が上がり、行動が促されるでしょう。よく似た言葉ではありますが、目標と目的の違いを認識したうえで適切なものを設定するようにしてください。
簡潔かつ具体的な内容を記載する
目標達成シートに要素や目標を記載するときは、簡潔かつ具体的な内容にすることを意識しましょう。たとえば、「パソコンを使いこなせるようになる」という目標では、何をもって達成となるかがわかりにくいです。「タイピング練習ソフトで最高ランクになる」「ショートカットキーを5つ覚える」など、定量的な目標にすると具体性が増します。
また、目標が高すぎるとやる気が起きず、低すぎると達成感が得られにくいです。目標達成シートを作成する際は、頑張れば達成できるくらいの内容を意識して書いてみましょう。
目標達成までのスケジュールを長くしすぎない
目標達成に必要な要素や行動目標に優先順位、実行スケジュールなどを設定する際は、目標達成までのスパンを長くしすぎないことがポイントです。長期的な目標を軸にシートを作成すると、要素が増えて複雑になる傾向があります。1〜3ヶ月など具体的にイメージできるくらいの短い期間で達成する目標を設定しましょう。
とはいえ、目標達成には少なからず時間が必要です。結果が出るまで時間がかかることもあるため、モチベーションの維持や軌道修正の難しさも課題となることが想定されます。目標達成シートはブラッシュアップを繰り返すことで徐々にうまく活用できるようになるため、実行しやすい期間で目標を設定するのがおすすめです。
「SMARTの法則」を意識する
目標達成シートを活用する際は、「SMARTの法則」を意識すると作成しやすくなります。SMARTの法則とは、目標に盛り込むべき下記5つの要素の頭文字から総称されるフレームワークのことです。
要素 | 意味 |
---|---|
Specific(具体的な) | 明確で具体的な目標を書く |
Measurable(計測可能な) | 数値や指標など誰が見ても進捗具合を 判断できるような目標を書く |
Achievable(達成可能な) | 現実的で達成できる目標を書く |
Relevant(関連性のある) | 最終目標と関連性のある 要素・行動目標を書く |
Time-bound(期限が明確な) | いつまでに達成するか期限を明確にする |
「SMART」を意識しながら目標達成シートを作成することで、質の高い施策や現実的なアイデアを考えられるようになります。目標達成までのプロセスを綿密に計画するためにも、ぜひ活用してみてください。
チャレンジ目標を設定してみる
目標を決めるときは、頑張れば達成できそうな目標を設定することをおすすめしていますが、いくつかチャレンジ目標を設定してみるのも良いでしょう。チャレンジ目標とは、達成までの道のりが険しく負荷の大きい目標を指します。
具体例としては「新規契約を5件」「クレーム数0」「書類の修正0」など、難易度が高い目標が挙げられるでしょう。チャレンジ目標を達成するにはさらなる努力や工夫が必要になりますが、仕事に対するモチベーションアップにもつながります。チャレンジ目標が達成できれば、大きなやりがいにもなるでしょう。
定期的に見直しをする
目標達成シートは、継続的に活用してこそ意味があります。しかし、環境が変わりやるべきことが変わったり、期間内の達成が難しくなったりと状況が変化することも。定期的に見直して、そのときの自分にあった内容に更新することが大切です。
目標達成シートを定期的に見直して、達成できていない項目やずれの有無をチェックしてみてください。行動計画を柔軟に軌道修正しつつ、目標達成を目指すのがベストです。目標への距離を確認でき、モチベーションの維持にもつながります。
目標達成シートを活用してなりたい自分を目指そう!
目標達成シートを活用すると、目標までの道筋を可視化できます。タスクが明確になり、行動に移しやすくなるのもメリットです。「目標がなかなか実現できない」「努力の方向性がわからない」といったときは、ぜひ目標達成シートを試してみてください。
また目標達成シートは、ビジネスだけでなく個人での使用も可能です。スキル習得を目的とした自己学習の際も使えるため、スキルアップやキャリアアップを目指している方は活用してみましょう。
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