個人事業主とは?定義や開業する際にやるべきことをわかりやすく解説

個人事業主とは?定義や開業する際にやるべきことをわかりやすく解説
ABOUT ME
ライター 岩崎奈々
関西大学 社会学部卒業。在学中は国際協力を行う学生団体に所属し、広報やメディア発信に従事。新卒で凸版印刷株式会社に入社し、無形商材の営業を担当。フリーランスとして独立し、現在は主にインタビューライティングやSEOライティングをメインに活動中。その他メディア立ち上げやコンテンツ運営も実施。
エディター 工藤 梨央
税理士 / 監修者 高橋和也
大阪市立大学法学部卒業後、クボタ、インテリジェンス等で10年以上営業職に従事。その後、会計知識ゼロで35歳のときに会計業界に転身。2017年に43歳で税理士登録・開業。営業経験を活かしたフットワークの軽さで、都内から関西、四国、九州まで幅広いエリアのお客様をサポート。一般社団法人など非営利団体の税務を得意とし、最近では大学アメリカンフットボール関連の一般社団法人の顧問税理士も務める。また、自身のYouTubeチャンネル「たかはしかずや税理士チャンネル」で一般社団法人やインボイス制度などの情報を発信。共著に『一般法人・公益法人の理事・監事・評議員になったらまず読む本』(忘羊社)。

多様な働き方を選択できる現代、個人で事業を行う「個人事業主」にも注目が集まっています。自営業やフリーランスと呼ばれることもあり、具体的な定義が分からないという方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、個人事業主の定義や会社員・法人との違い、開業手続きの進め方などをわかりやすく解説します。個人事業主になるメリット・デメリットについても触れているので、開業を検討している方はぜひ参考にしてくださいね。

個人事業主とは?定義をわかりやすく解説

個人事業主とは、わかりやすく言うと「個人で独立して事業を行う人」のことです。少人数で事業を営んでいたとしても、法人を設立していない場合は個人事業主と定義されると覚えておきましょう。

個人事業主と会社員・フリーランス・法人との違い

個人事業主の定義を理解できても、具体的な働き方をイメージできないことも多いですよね。そこでここからは、個人事業主と会社員・フリーランス・法人・自営業との違いをご紹介します。働き方や収入の仕組み、定義の範囲などに焦点を当てて解説するので、ぜひ最後まで確認してみてくださいね。

会社員との違い

企業と雇用契約を結び、就業規則に従って働くのが「会社員」です。企業の勤務形態によって給与が支払われ、社会保険や納税に関する手続きも企業が一括で行ってくれます。

一方「個人事業主」は、自分で仕事内容や勤務時間を決められるため、より自由な働き方ができるのが特徴です。給与も働いた分だけ得られるので、安定した収入になるか否かは個人にゆだねられます。また、個人事業主の場合は税金の手続きもすべて自分で進めなければいけません。

フリーランスとの違い

フリーランスとは、企業と雇用契約を結ばず、独立して仕事をする働き方のことを指します。多くの場合は、業務委託契約を結んだクライアントから仕事依頼を受け、担当した業務1つひとつに対して報酬を受け取ります。

一方個人事業主は、法人を設立せずに個人で事業を営んでいる人のことを指します。つまり、フリーランスのなかには個人事業主だけでなく、個人事業主にあたらない人もいる、という構図です。

フリーランスと個人事業主の違いについては、下記で詳しく解説しているのでチェックしてみてくださいね。

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法人との違い

「法人」とは、法律によって自然人(人)と同じ権利や義務を認められた組織・団体のことです。株式会社や合名会社などの種類がありますが、法人を設立するには資本金の用意や登記など複雑な手順を踏む必要があります。開業届を出すだけの個人事業主とは異なり、多額の費用がかかる点にも注意が必要です。

また、法人は個人事業主に比べて社会的信用が高く、融資などを受けやすいという特徴もあります。経費に計上できる項目も多いので、節税対策になるのもメリットです。

設立時にまとまった資金が必要というデメリットもありますが、個人事業主でスタートし、事業が拡大した場合に法人設立を検討する方も多いですよ。

起業には、個人事業主での起業や、法人を設立しての起業といった方法がありますが、下記の記事では、女性が起業するための方法やおすすめの職種をまとめているので、ぜひご覧ください。

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自営業との違い

自営業とは、自分で事業を営み収入を得ている人全般を指す言葉です。個人事業主よりも広義的な意味となり、個人事業主やフリーランス、法人化して事業を営んでいる人も自営業に含まれます。

つまり自営業は、企業や団体と雇用契約を結ばず、自分で事業を営む働き方の総称を指すと考えておきましょう。

個人事業主になるメリット・デメリットとは

自由な働き方ができる個人事業主ですが、開業を迷っている方も多いのではないでしょうか。自分に合った働き方かどうかを確認するためにも、まずは個人事業主のメリットとデメリットを見比べることが大切です。それぞれ解説するので、詳しく確認してみましょう。

メリット

個人事業主になる大きなメリットは「実力次第で収入アップが見込めること」「節税対策ができること」の2点です。

個人事業主は雇用契約を結んでいるわけではないので、自分の裁量・実力次第で収入を増やすことができます。会社員の場合は年功序列で昇給するケースも多く、思うような年収を得られないことも多いですよね。その点個人事業主は、働いた分だけ自分に還元されるので、会社員時代よりも高い年収を見込める可能性があります。

また、青色申告承認申請書を提出すれば「青色申告特別控除」を受けられるのも大きなメリットです(おこなうビジネスが事業所得に該当する場合)。一定の条件を満たせば最大65万円の控除を受けられ、節税対策につながります。

詳しい申請方法は後述するので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

デメリット

個人事業主になる最大のデメリットは「収入が安定しない」こと。会社員の場合は企業から仕事が与えられますが、個人事業主は自分で仕事を獲得しなければいけません。自ら営業したり、専門性の高いスキルを身に付けたりと、継続して収入を得るためには常にステップアップする必要があります。突然仕事が打ち切りになる可能性もあるので、毎月の収入に振れ幅があるのは不安要素のひとつと言えるでしょう。

また、個人事業主は会社員と比較すると「社会的信用」を得られにくく、融資審査などで不利になる可能性があるといったデメリットもあります。

個人事業主として開業する際にやるべきこと

ここからは、実際に個人事業主として開業を考えている方に向けて、具体的な開業ステップをお伝えします。難しいイメージがありますが、法人に比べると簡単に手続きできますよ。わかりやすく解説するので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

税務署に開業届を提出する

開業する際は、税務署に「開業届」を提出する必要があります。開業届は正式名称で「個人事業の開業・廃業等届出書」と言い、事業を開始してから1ヵ月以内に提出するのが基本です。

開業届を提出しなくても罰則はありませんが、事業用クレジットカードを作ったり、事業資金の融資を受けたい場合などは、開業届の提出が条件となります。

また開業届を出す際は、同時に青色申告承認申請書を提出するのがおすすめです。最大65万円の青色特別控除を受けられ、赤字の繰り越しや給与の経費計上など、さまざまなメリットを得られます。

ただし青色申告承認申請書の提出期限は、控除を受けようとする年の3月15日までです(その年の1月16日以後、新たに事業を開始した場合には、その事業開始の日から2か月以内が提出期限)。開業届と同時に提出しない場合は、期限を過ぎないよう注意しましょう。

各種保険制度に加入する

会社員から個人事業主になる場合、健康保険と年金の変更手続きを行わなければいけません。どちらも、退職翌日から14日以内に、居住している市区町村で加入手続きを行いましょう。

個人事業主が加入できる保険は市区町村の国民健康保険です。在職していた会社の健康保険を任意継続する場合も、期限内に手続きを済ませるようにしてくださいね。各種保険制度への加入が遅れると、加入していない期間の医療費が全額自己負担になってしまうので注意が必要です。

また、会社を退職後は厚生年金を抜けることになるので、国民年金への加入も同時に進めるようにしましょう。個人事業主になる場合は「第1号被保険者」に変更されます。

国民年金は厚生年金に比べて将来の受給額が減少するため、個人型確定拠出年金(iDeCo)や付加年金への加入を検討するのもおすすめですよ。

変更・加入手続きをする際は、国民健康保険資格取得届、健康保険資格喪失証明書、年金手帳、マイナンバーカードなどの書類を持参してくださいね。

事業用の銀行口座やクレジットカードをつくる

個人事業主として働く際、事業の運転資金と生活費が混同してしまうことも少なくありません。事業の収支が分かりづらいと、確定申告での計算が困難になることもあり得ます。

そのため、開業後は事業用の銀行口座やクレジットカードを作成して、資金管理をしておくことが大切です。給料を事業用銀行口座に振り込んでもらったり、経費にできそうな出費を事業用クレジットカードで払ったりと、生活費とは分けて管理するようにしてくださいね。

個人事業主になったらすること4つ

会社員から個人事業主になると、あらゆる手続きを自己責任で行う必要があります。開業1年目は何から始めるか分からず、困ることも多いでしょう。

そこで最後に、個人事業主になったら対応すべき5つのことをご紹介します。所得控除の仕組みや経費の計算方法などをわかりやすく解説するので、ぜひ確認してみてくださいね。

  • 毎月経費を正しく計算しておく
  • 所得控除の知識を身につける
  • 各種共済制度への加入を検討する
  • 補助金・助成金に関する情報を集める

毎月経費を正しく計算しておく

会社員から個人事業主になると、確定申告を自分で行わなければいけないため、毎月の収入や経費を正しく計算し記録しておく必要があります。確定申告では「確定申告書」と「青色申告決算書もしくは収支内訳書」の提出が必要です。

確定申告書類の作成では、1年で得た所得と控除に基づいて、自分が納付すべき税額を計算します。毎月の収支を自分で帳簿しておくのもよいですが、負担を減らすためにも会計ソフトを利用するのがおすすめです。収支を登録して必要な情報を入力するだけで確定申告書を自動で作成してくれるものもあるので、とても便利ですよ。

また、「自分で作成する時間がない」「何から始めればよいか分からない」という方は、税理士に相談してみるのもひとつの方法です。

所得控除の知識を身につける

所得控除とは、所得税の計算にあたり、所得から一定の金額を差し引く制度です。基本的に所得が上がるほど引かれる税金も多いですが「ひとり親である」「家族を扶養している」など、家庭によって様々な事業がありますよね。所得控除は、そんな家庭の事情を踏まえたうえで、所得税の負担を軽減させる制度のことを指します。

所得控除には、扶養控除や基礎控除などを含む計15の種類*1があり、それぞれ利用要件は異なります。

節税対策をしたいという場合は、それぞれの控除に関する知識を身に付け、利用できないか検討することが大切です。

各種共済制度への加入を検討する

個人事業主には、会社員と異なり退職金がありません。将来に向けて十分な蓄えを確保するためにも、共済制度の加入を検討してみましょう。

個人事業主が加入できる共済制度としては「小規模企業共済」が挙げられます。独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営している制度で、事業を廃業した場合などに掛金に応じた共済金の給付を受け取れます。

掛金月額は、1,000円から7万円までの範囲内で500円ずつ設定可能で、掛金の全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象*2となります。

収入が安定しづらい個人事業主だからこそ、将来への備えはしっかり行うようにしてくださいね。

補助金・助成金に関する情報を集める

個人事業主は、条件次第で国や自治体の補助金・助成金などを受け取れる場合があります。募集状況・期間や応募要項はそれぞれ異なりますが、個人事業主が利用できる主な補助金は下記の通りです。

  • 小規模事業者持続化補助金
  • ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金
  • 事業再構築補助金

※募集が終了している可能性もあるので、詳しくは公式サイトでご確認ください。

ほかにも、自治体や国によって設けられている助成金などもあるため、利用できる制度がないか確認してみましょう。

個人事業主として活躍するためには?

個人事業主として活躍するためには、継続してスキルアップをすることが大切です。特に、専門性の高いスキルや資格を持っていれば、高単価の案件も獲得しやすくなるでしょう。

個人事業主の職種は非常に幅広いので、複数のスキルを掛け合わせ、他者と差別化するのもよいでしょう。「専門性の高い職種に挑戦したい」「今の仕事に活かせるスキルを新しく身に付けたい」という方はキャリアスクールに通うのもおすすめですよ。気になる方はぜひチェックしてみてくださいね。

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個人事業主になって理想のキャリアを叶えよう

今回の記事では、個人事業主の定義やメリット・デメリット、開業するためのステップをわかりやすく解説しました。個人事業主は、業種によっては時間や場所にとらわれず自由な働き方を実現できるのも魅力のひとつ。個人事業主として活躍するには、常に新しいスキルを学び続けることが大切です。

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※出典
*1:国税庁「No.1100 所得控除のあらまし
*2:中小企業基盤整備機構「小規模企業共済 掛金について

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。