ネットリテラシーとは?低いと起こるトラブルや身につける方法をわかりやすく解説

ネットリテラシーとは?低いと起こるトラブルや身につける方法をわかりやすく解説

SNSの炎上、誹謗中傷、個人情報の流出……。インターネットの普及によってあらゆる情報が簡単に入手・発信できるようになった今、インターネットの誤った使い方によるトラブルも増え続けています。そこで重要となるのがインターネットを正しく使う能力「ネットリテラシー」です。本記事では、インターネットを安心・安全に利用し、メリットを最大限活用するために備えておきたいネットリテラシーについて、その定義や低いことで想定されるトラブル、身につけ方を解説します。

ネットリテラシーとは?簡単にわかりやすく解説

インターネット社会の秩序を保つため、そして個人を守るために重要とされる「ネットリテラシー」。ここでは、ネットリテラシーの意味や世代間の格差、重要とされる理由について解説します。

ネットリテラシーの意味

ネットリテラシー(インターネットリテラシー)とは、インターネット上の情報や事象を正しく理解し、適切に判断・運用できる能力、つまり「インターネットを正しく使いこなす力」を指します。この「使いこなす力」のなかには、情報を収集する、情報が正しいかどうか判断する、正しい情報を発信するなど、「情報を受け取る際に必要な力」と「情報を発信する際に必要な力」の両方が含まれます。

ネットリテラシーが低いといわれる世代は?

ネットリテラシーの世代間格差について考えるために、インターネットの利用率を見てみましょう。総務省の令和4年通信利用動向調査の結果によると、インターネットの利用状況は13~59歳の各年齢階層で95%を超えていますが、60歳~69歳は86.8%、70歳~79歳は65.5%、80歳以上になると33.2%まで低下しています。*1「インターネット利用率=ネットリテラシーの程度」と一概にはいえませんが、インターネットに触れる機会の少ない世代ほど、全体としてネットリテラシーへの意識が薄くなる可能性は考えられるでしょう。

ネットリテラシーが重要な理由

インターネットには、世界中から集まった有益な情報や自由な意見があふれている反面、嘘や誤った情報が横行しやすいのも確かです。また、一度発信した情報は、投稿した本人がWebサイトやSNSから削除したつもりでも、コピー等によってデジタルタトゥーとして残り続ける可能性もあります。嘘の情報に振り回されないためにも、そして誤った情報を発信することで他者を傷付けたりしないためにも、ネットリテラシーを身につけておくことが重要です。

ネットリテラシーが低いと起こるトラブルとは?

ネットリテラシーが低いと、どのようなデメリットがあるのでしょうか?ここでは、インターネットに関する正しい知識を備えていない場合に起こりうる7つのトラブルについて解説します。

SNSアカウントの炎上

近年社会問題として大きく取り上げられている「炎上」。

SNSやブログの情報は、発信された瞬間から自分のもとを離れ、世界中の誰もが閲覧・コピー・拡散できるものへと変わります。軽い気持ちでとった行動が、多額の損害を相手に背負わせることになったり、自分、そして家族やまわりの人間の人生を狂わせたりすることもあるのです。

個人情報の流出

名前・年齢・住所・電話番号……これらの個人情報は、インターネット上に直接書き込んだつもりはなくても、思わぬところから流出する可能性があります。たとえば「今日〇〇さんと××に行きました!」と旅行の様子を写真付きでSNS上にアップした場合、このたった数文字の中には「交友関係」「居場所」「行動」が含まれ、現在家を空けていることも確認できます。実際に、SNSに旅行中の様子をアップし、その間に空き巣に入られる被害も報告されているのです。

また、写真の周囲に写っているもので自分の住所や居場所を特定される可能性も。自分だけでなく友人・知人の個人情報を流出させることにもなりかねないため、発信内容には十分に注意する必要があります。

誹謗中傷

SNSなどで、多くのアンチコメントを受けた著名人や同級生らに悪口を書き込まれた中高生が自ら命を断つ、そんな痛ましい事件が後を絶たない現代。「匿名で身元がバレないから」「気に入らないことがあったから」と軽い気持ちで行う誹謗中傷は、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律第4条第1項」通称「プロバイダ責任制限法」で発信者情報の開示請求権が認められ、懲罰の対象とされている行為です。

SNS上では、匿名だからと安易に過激な発言をしていないか、発信者として各々が十分に配慮することが大切です。

機密情報の漏えい

インターネット上での情報管理が当たり前になった今、「機密情報の漏えい」が増え続けています。

特に情報管理を担う業務に携わる場合は、重大な事態を招く恐れがあることを念頭に、ネットリテラシーを身につけたうえで慎重に扱う必要があるでしょう。

コンピューターウイルスの感染

コンピュータウイルスとは、コンピュータに侵入し、パソコンを攻撃したりデータを盗んだりする不正プログラムのこと。近年、電子メールのプレビューやホームページの閲覧といった簡単なアクションのみで感染するものが増え、世界中でウイルスの脅威がより身近になりつつあります。日本でも、トヨタ自動車の主要な取引先である小島プレス工業などが相次いでウイルスによるサイバー攻撃を受けるなど、ウイルス対策は日本経済においても必須の課題です。

もちろん企業のシステムだけでなく、私たち個人のパソコンやスマートフォンも、常にウイルスの脅威にさらされています。ネットリテラシーを高め、ウイルス対策ソフトの導入や最新のウイルスに対応するための検知用データの更新、メール送信元の確認など慎重に行動することが、今後ますます重要になるでしょう。

フェイクニュースの誤信

フェイクニュースとは、広告収入や、著名人・政治運動・企業などの信用失墜、社会の混乱を目的として拡散される誤情報のこと。総務省の令和2年情報通信白書では、「トイレットペーパーが手に入らなくなる」などの多くの誤情報が発信されたされたコロナ禍において、収束までの期間やワクチンに関する心配に次いで、悪質なフェイクニュース・デマが出回っている事態に不安を覚える人が多かったことが明らかにされています。*2

フェイクニュースに惑わされたり誤った情報を拡散したりしないためには、情報元や一次情報の確認や他情報との比較によって、情報を自身で精査することが大切です。

著作権・肖像権の侵害

誰でも情報発信が可能なインターネット上では、漫画・映画の無断転載や顔写真・動画の無断使用などの著作権・肖像権の侵害が後を絶ちません。

また、SNS上での公開を前提としていないプライベート写真の投稿や、自宅や病院などの私的な空間で撮影した写真の投稿も、写っている相手に無断で行った場合、権利の侵害にあたる可能性があります。一度発信された情報は瞬く間にコピー・拡散される可能性があることを念頭に、情報発信の際は、他者の権利を侵していないか十分に注意する必要があるでしょう。

ネットリテラシーの測り方

「自分はネットリテラシーについてどの程度理解できているのだろう?」と疑問をお持ちの方は、総務省の小学生向けサイト「情報通信白書 for Kids」内の無料コンテンツ「理解度診断テスト」を受けてみてはいかがでしょうか?このテストでは、インターネットの基礎知識や安心・安全な利用、正しい活用方法に関する○×クイズを通して、ネットリテラシーの基本的な考え方を学べます。*3

詳しくはこちらをご覧ください。

総務省「情報通信白書 for Kids」

ネットリテラシーを身につける方法

ここからは、ネットリテラシーを身につけるための具体的な方法を6つご紹介していきます。

基本的な考え方を理解する

まずは、「ネットリテラシーとは、インターネットを安心・安全に正しく使いこなす能力であること」という基本的な考え方を理解しておきましょう。インターネット上には正しい情報だけでなく嘘や間違いも多く、インターネットに一度出された情報を完全に回収したり匿名で情報発信し続けたりするのは不可能です。便利なだけでなく多くの危険もあることを十分に把握しておくことが、トラブル回避につながります。

トラブル事例の情報を収集してみる

実際に起こっているトラブルの事例は、「ネットリテラシー トラブル」「ネットリテラシー 事例」などで検索することで入手可能です。たとえば、総務省の公式サイトでは、「インターネットトラブル事例集」として、漫画や動画を用いて個人情報の流出や著作権侵害などのトラブル事例が掲載されています。*4 過去の事例を見ることは、今後の行動の選択にも大きく影響するでしょう。

イベントやセミナーに参加する

イベントやセミナーへの参加も、ネットリテラシーへの理解を深める方法の一つです。ネットリテラシー教育に力を入れている企業も多いため、会社で研修が行われる場合は積極的に参加するとよいでしょう。

インターネットの利用について家族で話し合う

子どもたちがスマ―とフォンやタブレットを使う機会が増えている今、ネットリテラシーは教育においても重要な課題となっています。また、総務省の令和3年 情報通信白書では、60歳代の70%以上が日常的にスマートフォンを利用していることも明らかになっています。*5 世代問わずインタ―ネットが身近になった今、家庭でもインターネットやSNSの利用について日常的に話すことが、家族のネットリテラシー向上に大きく役立つはずです。

ネットリテラシー検定を取得する

一般社団法人ネットリテラシー検定機構では、個々のネットリテラシー能力を測る「ネットリテラシー検定」を実施しています。この検定試験は、知識より行動に焦点をあてたもので、「インターネットを利用する上でトラブルを起こさない、巻き込まれない」をコンセプトとした内容が出題されます。資格取得は、インターネット利用時の安心感や、正しく使いこなせる自信にもつながるでしょう。

スクールの通信講座で学ぶ

学校に通いながら、仕事をしながら、あるいは家事や育児をしながらネットリテラシーについて学びたい方には、通信講座の受講もおすすめです。たとえば、女性向けキャリアスクールSHElikesでは、著作権・肖像権・秘密保持契約(NDA)の基本を学べる「著作権とNDA」コースを開講しています。意図せず侵害してしまうリスクのあるこれらの権利に関する知識は、業務やSNSでのトラブル回避などに役立つでしょう。

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ネットリテラシーを高めたい人におすすめの教育本

最後に、ネットリテラシーについて書籍で学べるおすすめの教育本を3冊ご紹介します。

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

データや事実にもとづき、世界を正しく読み解く習慣「FACTFULLNESS(ファクトフルネス)」について学べる一冊。世界的にベストセラーとなっている本書では、教育、貧困、環境、エネルギーなどの一見難しそうなテーマについて、最新の統計データをもとにわかりやすく解説されており、「情報を正しく把握することの重要性」を再認識できます。

しくじりから学ぶ13歳からのスマホルール

実際に起こった中高生のスマ―トフォンやSNSでのトラブル事例から、スマホルールについて考える一冊。イラスト付きのショートストーリーを読み進めながら、スマートフォンを楽しく、正しく、安全に使いこなすための発信者としてのマナーや、情報を受け取る側としての心構えを身につけられます。

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大学生のための メディアリテラシートレーニング

テキストとトレーニングシートの2冊スタイルで、インプットからアウトプットまで完結するトレーニング本。「テレビを考える」「ケータイ・スマートフォンを考える」「自分を撮る」など実際のシチュエーションをイメージしやすい章立てとなっており、日常の習慣からメディアリテラシーを学ぶことができます。

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ネットリテラシーを高めインターネットを安心・安全に活用しよう

ネットリテラシーを高め正しく使いこなせるようになれば、インターネット上で自身やまわりの人が危険を被ったり、意図せず他者に被害を与えたりといったリスクを軽減できます。ネットリテラシーを高めるには、日常的な意識はもちろん、本やセミナー、スクールなどでの学びも有効です。なかでも、著作権・肖像権・秘密保持契約(NDA)の基本的な知識を身につけたい方は、女性向けキャリアスクールSHElikesの「著作権とNDA」コースで学ぶのもおすすめです。業務や発信に生かせる学びを通して、ネットリテラシーの向上にも役立ててみませんか?

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※出典

*1:総務省 報道資料 令和4年通信利用動向調査の結果
*2:総務省 令和2年 情報通信白書「誤情報やフェイクニュースの流布」より
*3:総務省 情報通信白書 for Kids「理解度診断テスト」
*4:総務省 上手にネットと付き合おう!安心・安全なインターネット利用ガイド「インターネットトラブル事例集」より
*5:総務省 令和3年 情報通信白書「デジタル活用支援」より

ABOUT ME
ライター Yuri Furukawa
名古屋芸術大学 音楽学部 演奏学科 ピアノコース卒業。在学中に伴奏ピアニスト、ピアノ講師としての活動を開始。卒業後はブライダル演奏やホールレセプションなど、音楽関連業を中心に精力的に活動。パンデミックをきっかけに自分らしい働き方について改めて考えるようになり、2021年より音楽業と並行してSEOライターとしての活動を開始。現在、さまざまなメディアのコンテンツ作成に携わっている。
エディター 工藤 梨央

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。