システムエンジニア(SE)は男性が多いというイメージを持つ方もいるのではないでしょうか。人によっては「女性システムエンジニアとして働くことはできる?」と疑問に感じることもあるかもしれません。一方でシステムエンジニアは性別にかかわらずスキルがあれば活躍しやすい職業といわれています。
本記事では、女性がシステムエンジニアとして活躍できる理由を詳しく解説します。メリットやデメリット、仕事内容や年収までまとめて把握していきましょう。
女性がシステムエンジニアで活躍できる理由は?
「システムエンジニアは男性の仕事」というのは、今や過去の話。働きやすい環境が整えられている企業も多く、システムエンジニアとして働く女性が増えつつあるのが現状です。女性がシステムエンジニアとして活躍できる理由には、職場環境以外にも以下のような点が挙げられます。
仕事内容に男女差がない
システムエンジニアの仕事でおこなう作業は、男女差がありません。肉体労働がメインとなる仕事であれば男性の方が有利かもしれませんが、システムエンジニアは力仕事というわけでもなく、働き方の条件は同じ。男女問わずシステムエンジニアとして同じように仕事へ取り組むことができます。そのため、基本的に収入や手当などの待遇にも差がなく、手に職をつけたい女性にもおすすめの職種といえるでしょう。
スキルがあれば十分活躍できる
システムエンジニアの仕事は、学歴や年齢などよりも実力が評価される傾向にあります。資格が必須な職種ではなく、プログラミングなどのスキルを身につけることで男女問わず活躍できます。最近は女性向けのシステムエンジニアのスクールもあり、学ぶ時間と意欲さえあれば、スキルを取得して目指せるでしょう。またシステムエンジニアになる際に「理系の学部を履修していなければならない」などの条件もないため、文系の学部だった方でも活躍できるチャンスは十分にあります。スキルや実力で勝負したいと考えている人にとって、システムエンジニアは適した仕事かもしれません。
コミュニケーション能力を活かすことができる
システムエンジニアはパソコンと向き合うことが中心の仕事と思われがちですが、実はお客様の希望を形にするための打ち合わせに多くの時間を費やします。そのため、クライアントやチーム内でのコミュニケーションが重要です。一概には言えませんが、女性は男性よりもコミュニケーション能力が優れているといわれることもあります。相手の考えを察したり気配りをしたりといった女性ならではの細やかさを仕事に役立てながら、クライアントの思うものを形にしていくことができるでしょう。
女性がシステムエンジニアとして働くメリット
システムエンジニアとして働くことには、以下のようなメリットがあります。
- 手に職をつけることができる
- 再就職しやすい
- 仕事によっては働く場所を選べる
それぞれ順に解説します。
手に職をつけることができる
システムエンジニアは専門的な知識やスキルが必要となるため、手に職をつけられます。AIの発展により、さまざまな業務において省人化・自動化が実現される可能性もありますが、システムエンジニアが対応するのは、人間による調整が求められる仕事がメイン。今後も需要があり、将来性のある職業といえるでしょう。システムエンジニアとしてのスキルを求める企業も多く、手に職をつけて活躍できることがメリットのひとつです。
再就職しやすい
システムエンジニア業界は人手不足の傾向にあり、スキルさえあれば転職・再就職もしやすいでしょう。ライフスタイルの変化により、キャリアを一時的に中断する人もいるかもしれません。仕事によっては一度離職するとブランクが発生し、業務の勘を取り戻すまでに時間がかかってしまう場合もあるでしょう。一方でシステムエンジニアの仕事であれば出産や子育て、介護などの事情があっても在宅・リモートで柔軟に働けることがあるため、休職期間が比較的短くなるように調整しやすいでしょう。また近年テクノロジーが目まぐるしく進化しており、それに伴ってシステムエンジニアの需要もさらに高まると予想されます。システムエンジニアに限りませんが、このような仕事は再就職や職場復帰を検討しやすいこともメリットです。
仕事によっては働く場所を選べる
システムエンジニアはリモートワークを実現しやすい職種です。企業によってはオフィスへの出勤が求められるケースもありますが、リモートワークを推奨している会社であれば働く場所や時間を柔軟に選びやすくなります。たとえば子育て中の場合、自宅で働けると子どもの急な発熱やお迎えにも対応しやすくなります。地方への移住を検討している方は、場所を問わず働けることにより、会社に残ったり都市にある別の会社の仕事ができたりと選択肢が広がるかもしれません。スキルを積んだのちに「フリーランスとして独立する」という選択もできるでしょう。
女性がシステムエンジニアとして働くデメリット
メリットと合わせて、女性がシステムエンジニアとして働くデメリットも確認しておきましょう。
- 長時間労働になりやすい
- 男性が多い職場が多い
- キャリアアップが難しいケースがある
ここからは上記3つのデメリットについて詳しく解説します。
長時間労働になりやすい
システムエンジニアは残業が多くなるといわれています。理由はさまざまですが、そのひとつはクライアントの希望する納期に合わせなければならないことです。プロジェクトの途中で発生するトラブルに対応したりクライアントから仕様変更を依頼されたりと、スケジュール設定が難しくなる場合があります。どの工程に携わるかによっても仕事量は変わりますが、関わる工程が多いほど長時間労働が必要となるかもしれません。そのため仕事がスムーズに進められるスケジュール管理能力が大切といえるでしょう。また近年では法整備により長時間労働が是正されてきており、残業や休日出勤などを減らす企業も増えつつあります。
男性が多い職場が多い
システムエンジニアとして働く女性は増えてはいますが、男性の割合が多い職場もあります。そのため人によっては女性が少ない職場にデメリットを感じる人もいるかもしれません。たとえば女性の上司が少数であれば、体調不良やキャリアに関する悩みを相談しにくい環境で働くことになる場合もあります。また企業によっては産休や育休などの制度が整っていないこともあるでしょう。とはいえ近年政府は女性活躍を推進するため、さまざまな施策を打ち出しており、それに伴って女性が働きやすい環境を整備する企業も増えてきています。システムエンジニアになりたい人は、安心して働けるようにあらかじめ企業の社風や福利厚生制度についてチェックしておくことも重要なポイントのひとつです。
キャリアアップが難しいケースがある
システムエンジニアのように、これまで女性が少なかった職種では、キャリアアップが難しいケースもあるでしょう。今後の具体的なロールモデルが見つからず、システムエンジニアとして自分の将来をイメージしにくいこともあるためです。とはいえ政府が「女性デジタル人材育成プラン*2」を策定しているように、近年の日本では女性を中心にスキルアップしやすい環境が整いつつあります。システムエンジニアとしてキャリアアップを目指すには、成長できる環境に身を投じ、幅広いスキルを身につけたり経験を積んだりすることが大切です。また目標となるロールモデルがいなくても、自分がロールモデルになるつもりで行動することで活躍できるチャンスが広がるかもしれません。さまざまなスキルが学べるSHElikesを利用するのもひとつの方法。またいろいろな目標を持つ仲間と学べるため、ロールモデルが見つけられる可能性もあるでしょう。
システムエンジニアの仕事内容は?
システムエンジニアは、女性も男性も仕事内容は同じ。基本的に以下のステップで進めていきます。
- 発注者からのヒアリング
- 要件定義
- 基本設計
- 詳細設計
- テスト
それぞれのステップについて詳しく解説します。
1.発注者からのヒアリング
システムエンジニアの仕事は、主にクライアントの要望に応じた最適な仕様のシステムを開発することです。まずは発注者とのヒアリングにより、どんなシステムが求められているのかを明確にするのが第一ステップ。しっかりと話を聞き、細かな要望や悩みを確認していきます。それをもとに提案書を作成し、予算や納期などをすり合わせして、問題がなければシステム開発へと進みます。
2.要件定義
要件定義とは、開発前の段階でシステム開発に必要な機能や要求をまとめていくことです。発注者からヒアリングした要望を整理してどんなシステムを求めているのかを把握し、どう解決していくのか検討します。つまり要件定義に記されているのは、主にシステム開発のゴール。要件定義がきちんと固まっていないと、仕様変更が増えてしまいます。要件定義はシステムエンジニアの対応する工程の中でも、特に重要な項目です。
3.基本設計
要件定義ができたら、次に基本設計に進みます。基本設定は、要件定義に沿って開発するソフトウェアの設計を行う工程です。ここでは細かい部分ではなくソフトウェアの大枠をつくることがメイン。操作方法や表示方法など、システムの全体像を決めていきます。基本設計のタイミングで発注者と調整し、再度認識をすり合わせます。
4.詳細設計
基本設計をもとにプログラマーがプログラミングできるようにするのが詳細設計です。どんな手法や技術を用いてシステムを構築していくかなど、具体的な設計を決めていきます。プログラマーが効率的に取り掛かれるようにするためには、基本的なプログラミングの知識も必要になるでしょう。詳細設計が完成したら、プログラマーに業務を依頼し、システム開発を進めてもらいます。
5.テスト
プログラマーに依頼したシステムが完成したら、テストをしてきちんと動作するか確認するのもシステムエンジニアの役目です。システムが設計書通りに稼働するか、不具合やミスはないか、念入りにテスト。不備があればプログラマーに修正してもらい、再テストという流れで進みます。テストと調整を繰り返し、はじめに思い描いたシステムになれば、晴れて運用がスタートできます。
女性のシステムエンジニアの平均年収は?
「令和3年分民間給与実態統計調査※」によると、女性のシステムエンジニアの平均年収は、590万円*1ほどです。企業規模10人以上の会社の女性のシステムエンジニアの月の平均給与は、およそ40万円*1で、ボーナス収入の平均額はおよそ100万円*1となっています。一方、男性のシステムエンジニアの年収は、718万円*1です。月の平均給与は46万円*1、ボーナス収入の平均額は120万円*1となっており、現状は男女差があるという結果になっています。
一定の男女差は見られますが、これまでシステムエンジニアは女性の割合が少なく、自然と働く期間が長い男性は多くなります。給与が高くなりやすいといわれる管理職は女性よりも男性のほうが多くなり、その分、男性システムエンジニアの平均年収は高くなるのかもしれません。
今後は女性システムエンジニアが増えることが予想されます。管理職に就く女性システムエンジニアが増えると、上記で示した平均年収よりも高くなると考えられるでしょう。ちなみに、一般的な給与所得者の平均年収は女性の場合は302万円*1です。このことから、女性システムエンジニアの年収が一般的には高い傾向にあるということがわかります。
システムエンジニアに必要なスキルは?
最後に、システムエンジニアに必要なスキルを把握していきましょう。
- プログラミングスキル
- マネジメントスキル
- 論理的思考能力
- コミュニケーション能力
それぞれ具体的に解説します。
プログラミングスキル
プログラミングスキルはシステムエンジニアにとって、最初に身につけたい技術的なスキルです。企業によっては未経験から働けることもあったり、プログラミングができなくてもエンジニアになれたりしますが、最低限の基礎知識は学んでおくことをおすすめします。なぜならエンジニアはプログラミングの前段階の設計を担当するためです。プログラミングスキルがないと形にするべきシステムを具体的にイメージすることは難しくなります。さらに、プログラマーの状況や悩みを正しく把握しにくくなるでしょう。対応できるプログラミング言語の数が多いと、活躍できる場も広がります。
マネジメントスキル
システムエンジニアの仕事はクライアントの要求に基づき仕様を決定し、基本設計、運用と、プログラマーなどと比べると対応範囲が広くなっています。それぞれの工程に対応することはもちろん、納期を守るために進捗状況の管理もしなければなりません。また、遅れが生じたときには発注者との交渉や調整をおこない、プロジェクト全体を管理する必要もあるでしょう。そのため、マネジメントスキルもシステムエンジニアに必要なスキルのひとつです。普段の仕事ぶりからマネジメントスキルが高く評価されると、プロジェクトマネージャーにキャリアアップできる可能性もあります。
論理的思考能力
システムはひとつのエラーで動作しなくなる可能性もあります。きちんと稼働するシステムを作るためには、機能をひとつずつ分解し、適した順序で処理しなければなりません。そのため、システムエンジニアとして活躍するには論理的思考力が必要です。また、システムエンジニアは発注者の希望を取りまとめる、プログラマー向けに仕様書をまとめるなど、書類を作成する場面も多くあります。これらの書類で必要なのは、論理的に矛盾なく説明されていること。誰が見ても納得してもらえる書類を作るためにも、論理的思考能力は欠かせません。
コミュニケーション能力
コミュニケーション能力もシステムエンジニアに必要です。お客様の希望を理想の形に近づけるのがシステムエンジニアの役割。そのためにはまず発注者の話に耳を傾け、要望を聞き出さなくてはなりません。さらにヒアリングした内容をチームで説明したり共有したりする必要もあります。ヒアリング力や説明力といったコミュニケーション能力がなければ、チームの連携がうまくいかず発注者の思う形にならない可能性もあるでしょう。仕事を円滑に進めるためにも、システムエンジニアにとってコミュニケーション能力は重要なスキルと言えます。
システムエンジニアとして活躍したい女性はスキルアップを図ろう!
システムエンジニアは専門性が高く、やりがいのある仕事です。場所を問わず働けて再就職しやすいなど、女性の働く場としての魅力も多いでしょう。将来性も高く、スキルを身につければ長く活躍できる仕事です。待遇や収入も大きく変わらないため、しっかり収入を得られる・自分の裁量でキャリアアップを狙える仕事を探す人にもおすすめです。
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※出典
*1:国税庁「令和3年分民間給与実態統計調査」より
*2:内閣府男女共同参画局「女性デジタル人材育成プラン」より