コピーライティングとは、商品やサービスの認知拡大・訴求を目的としたテキストを作成すること、あるいはその技術を指します。短い言葉でユーザーの心を掴み、行動を促すことが求められます。
本記事では、「コピーライティングとは何か」という基本知識を解説したうえで、セールスライティングとの違い、コピーライティング上達のコツやテクニックを紹介します。コピーライティングに興味がある方は、ぜひ最後までお読みください。
コピーライティングとは？
コピーライティングとは、言葉や文章を用いて読み手を惹きつけ、行動変容を促す技術のことです。テレビCMやポスター、Webバナーなどに記載されています。
昨今ではインターネットの普及により、紙媒体だけでなくWeb上においてもコピーライティングの重要性は増加しています。時代の移り変わりとともに、「コピーライター」といわれる専門的な職種が存在するほど。ユーザーの心を動かし、共感を生み出すような短い文章を考える力が不可欠なのです。
コピーライティングとセールスライティングの違い
コピーライティングとセールスライティングの違いは、文章作成の目的にあります。
- コピーライティングの目的……ユーザーに商品やサービスの魅力を伝えること
- セールスライティングの目的……ユーザーの購買行動を促すこと
コピーライティングでは、基本的に商品の興味を引いて心を揺さぶり、共感を得ることが求められます。必ずしも購買意欲の促進が主な目的ではありません。ユーザーに「もっと知りたい」と思わせる段階で活用されることが多いです。例として商品のキャッチコピーや広告文が挙げられます。
一方で、セールスライティングは商品の魅力を深く伝えつつも、ユーザーに具体的な行動（主に購入）を起こさせることが目的です。詳細な情報や信頼性、実際の評判などがコピーライティングよりも長文で説明されることが多く、購入を決断させるための心理的な働きかけが重要となります。
コピーライティングは商品の魅力やイメージを伝える技術、セールスライティングは商品の購入を促進する技術と考えると、違いが理解しやすいでしょう。
コピーライティングの事例
コピーライティングは、身近な企業のキャッチフレーズや訴求文を参考にするとイメージしやすいです。ここでは、有名なキャッチコピー事例を6つ紹介します。
- 「そうだ 京都、いこう」（JR東海）
- 「あなたとコンビニ」（ファミリーマート）
- 「おーい、お茶」（伊藤園）
- 「i’m lovin’ it」（マクドナルド）
- 「カラダにピース」（カルピス）
- 「まだここにない出会いを」（リクルート）
これらのコピーを一度は耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。このように、コピーライティングはユーザーに広告文という認識を持たせずに、人の心に深く刺さる言葉を扱うものが多いのも特徴です。自然にユーザーの心へ訴えかけるため、コピーから連想して企業やサービスが思い浮かぶものが多くあるでしょう。
コピーライティングの考え方
コピーライティングを考える際は、下記の3つのポイントを意識してみましょう。
ユーザーの感情を揺さぶり、行動を促す良いコピーを作成するためには、基本を押さえておくことが重要です。ここでは、それぞれのポイントについて詳しく解説します。
ユーザーの悩みや心理を分析する
まずは、ユーザーの悩みや心理を分析しましょう。コピーライティングの目的は「伝えること」です。ターゲットを決め、企業イメージやメッセージを絞り込む必要があります。
そのためには、具体的なペルソナを設定したうえでユーザーを分析しなければなりません。企業向けか消費者向けか、年齢、職業、ライフスタイルなどを考慮し、商品やサービスが持つどのような価値を提供するべきか考えてみましょう。
商品・サービスの強みを棚卸しする
次に、訴求する商品・サービスの強みを洗い出します。より効果の高い訴求文を作るためには、伝えたい商品やサービスの特徴を分析することも欠かせません。特に、商品の特徴やメリット、ほかの商品と比べてどう違うのかを明確にしましょう。
商品やサービスを細かく分析し、魅力に加えてユーザーの悩みをどのように解決するのかまで考えられると、コピーライティングはさらに効果を発揮します。
ユーザーの悩みと商品の強みをかけ合わせる
最後に、これまで分析したユーザーの悩みと商品の強みをかけ合わせて、コピーを制作しましょう。
上記の画像のように、2つの要素が重なる部分を中心に考えると、効果的なコピーが作りやすくなります。
コピーライティングで重要なのは、事前の分析の精度です。事前にユーザーの悩みや商品の特徴を徹底的に調査し、ユーザーに刺さるコピーを考案してみてください。
【すぐに使える】コピーライティングの基本的なコツ・テクニック9選
コピーライティングの基本的なテクニック・コツを9つにまとめました。
またコピーライターが実際に使用しているものもあります。すぐに実践できるものが多いので、コピーライティングに取り掛かる前に、まずは8つのテクニックを押さえておきましょう。
1.数字を取り入れる
コピーに数字を取り入れると具体性が高まり、ユーザーに明確なイメージを与えられるメリットがあります。たとえば、価格や実績、データなどユーザーの目を引く数字が入れられると、効果的なコピーに仕上がるでしょう。
ただし、数字を扱う際は信頼性と正確性を意識してください。「通算販売数1万個を突破したプロテイン」のようなコピーの場合、注釈に合理的な根拠と計算方法の説明を添えるなどして、信頼に足る根拠があることを補足すると良いでしょう。
2. 価格について触れる
価格に関する表現は、お得感や価値を強調するための強力なツールです。たとえば、「半額」「無料」「返金保証」などのワードを活用すると、ユーザーの購買意欲を引き出しやすくなるでしょう。
特に「無料お試し」や「返金保証」は、コストに対してリスクを感じるユーザーに安心感を与え、行動を促す効果的なフレーズです。「期間限定で半額」といったお得感を煽る表現も有効といえます。このようなキーワードを戦略的に使うことで、行動を後押しするコピーを作成できます。
3.驚きと発見で興味を引く
ユーザーの興味を引くテクニックとして、驚きや発見の要素など、キャッチーかつインパクトのあるコピーで興味を引く方法があります。意外性のある情報で訴求すると、ユーザーの好奇心をかき立てられるでしょう。
たとえば、夏目漱石の「月が綺麗ですね」という言葉に「告白の意味を込めた」という話がありますが、これはあえて直接的ではない表現を用いたことが話題になりました。良いコピーは一瞬でユーザーの心を掴むとされているため、このように驚きと発見で興味を引くのが効果的です。
4.シンプルを心がける
コピーライティングの基本的なテクニックのひとつに、分かりやすい言葉で訴求することが挙げられます。ユーザーの興味を瞬時に引く必要があるため、コピーはパッと見て意味がわかることが重要となります。無駄な言葉を省き、必要な情報だけを選ぶ「一文一義」を意識しましょう。
キャッチーな言葉を選定しようとし、複雑なコピーになってしまっては訴求が難しくなります。コピーライティングの際は、クリエイティブさと伝えたいことのバランスを保つよう心がけてみてください。
5. メリット及びベネフィットを伝える
コピーライティングでは、メリットに加えてベネフィットまで伝えられると効果的な文章に仕上がります。ベネフィットとは、「物事から得られる利益のこと」です。これには、ユーザーの体験や満足感などの感情の変化も含みます。
商品に備わっている機能性に加え、どんな良い変化があるのかなどを伝えるとユーザーの興味を引くコピーになりやすいでしょう。ユーザーの悩みに寄り添い、「商品を使うことで問題がどう解決されるのか」に焦点を当ててコピーを考えてみてください。
6. 専門性を意識する
専門性を意識してみると、コピーの効果が高まるといわれています。ここでいう専門性とは「誰を対象に訴求しているか、ターゲットが限定されている状態」のことです。
たとえば、「事務職からキャリアチェンジしたい20代女性のあなたへ」といった文章が挙げられます。専門性によりターゲットを狭めると、効果が半減するのではないかと思う人も多いかもしれません。しかし、「自分のことかも」と思わせるくらいターゲットを絞ったほうが興味を引きやすく、実際には効果的であるとされているのです。
7. 権威性を示す
権威性を示すことも、コピーライティングのテクニック・コツのひとつです。「影響力のある人・その道の専門家が商品やサービスをおすすめするなど、一般的に信頼性のある人をコピーで使用することを検討してみましょう。
たとえば、「料理研究家の〇〇さんが絶賛！」「テレビで紹介された！」など、定評のある人や媒体を引用すると、ユーザーの興味を引くことができます。「あの人が勧めるなら」「メディアで紹介されてたから」と、それをきっかけにユーザー行動が促されるかもしれません。
8. 緊急性・限定性を持たせる
緊急性・限定性を持たせることで、コピーの効果が高まるといわれています。たとえば、「期間限定」「特別価格」といったように、今行動するべきことを訴求するフレーズを使うのが一般的です。
また、人間はお得感や焦りを感じると、行動が促進される傾向にあります。そのため、緊急性・限定性を持たせるテクニックは、多くのコピーや商売で良く使われているものです。効果的なコピーを作成するためにも、ぜひ参考にしてみてください。
9. 潜在ニーズに着目してみる
ユーザーが抱える「潜在ニーズ」に着目することで、深く心に刺さるコピーを作成できます。潜在ニーズとは、ユーザーが無自覚のうちに感じている悩みや欲求のこと。たとえば、日々の家事が忙しく時短化させたい主婦層には「簡単」「効率化」といった言葉が響くかもしれません。
また、潜在的な悩みを捉えたコピーは、単なる商品説明を超えて心に残るものとなり、購買意欲を高めます。ユーザーの生活や背景を想像し、商品の魅力や強みをしっかり分析しつつ、潜在ニーズにアプローチするコピーを考案してみてください。
コピーライティングを上達させる方法
コピーライティングを上達させるためには、下記の4つのコツを押さえた学習が重要です。
コツを意識することで、効率的にスキルを習得できます。ここでは、それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。
コピーライティングの基本構造を知る
コピーライティングには基本構造があります。仕組みを知ったうえで作成すると、上達スピードも早まるでしょう。一般的に、コピーライティングに最適とされている基本構造は以下の通りです。
- キャッチコピー（タイトル）
- パッと見て興味を引く短いフレーズや文章
- ボディコピー（本文）
- キャッチコピーで興味を持ったユーザーに、より詳細な内容を訴求する部分
- クロージングコピー（購入誘導）
- 行動を促す部分。ユーザーの行動を後押しするような文章やフレーズが必要
コピーライティングを分析するときや制作するときは、上記の基本構造を参考にしてみてください。書籍やWebサービスでは各構造についてさらに詳しく解説されているので、あわせてチェックしてみると良いでしょう。
良いキャッチコピーにたくさん触れる
コピーライティングを上達させるためには、良いキャッチコピーにたくさん触れることが有効です。たとえば、通勤中やお散歩中などに興味を引くキャッチコピーを見つけたら、メモをとるのも良いでしょう。時間があるときに、なぜおもしろいと思ったのかを考えられるとなお効率的です。
また、分析する過程で、良いキャッチコピーがどのように構成されているのか気づけることも。そこで得た知見を活かしてコピーを書いてみる（アウトプットする）と、より上達も早まります。
心理学を学ぶ
心理学を学ぶことも、コピーライティングスキルの上達に繋がります。コピーライティングの主な目的は、人の心を動かすこと。そのため、心理学で学んだ人間心理は、キャッチコピーを作成するときに役立つでしょう。
たとえば、先述したテクニックの1つである「緊急性・限定性」は、心理学の効果を応用したものです。人間心理に対する理解は、効果的なコピーライティングを考案する際に活かせるといえます。コピーライティングの基本に加えて、余裕があれば心理学も学んでみましょう。
ライティング関連の資格を取得する
コピーライティングを上達させる手段のひとつとして、ライティング関連の資格取得を目指すのも良いでしょう。コピーライターになるために資格は必須ではありませんが、資格取得の過程で得たコピーライティングの基本や文章構成などの学びは、実際にコピーを作成するときに生きてきます。
特に下記のような検定はコピーライティングスキル向上に役立つため、ぜひ受検を検討してみてください。
- Webライティング能力検定：Webライティングの基本知識を問う検定
- Webライティング技能検定：Webライティングの基礎や技術を問う検定
- 日本語検定：日本語の総合的な知識やスキルを問う検定
実践を積む
コピーライティングのスキルは、実践を積み重ねることで身につくものです。書籍や広告などから知識をインプットしただけでは、実践的なスキルは習得できません。
たとえば、コンペに参加する・クラウドソーシングなどを活用して初心者OKの案件に挑戦してみる・既存のサービスに自分ならどんなコピーをつけるか考えてみるといった方法が挙げられます。「理解する」と「できる」は別物のため、積極的に実践を積み重ねてスキルアップを図りましょう。
初心者必見！コピーライティングの学習におすすめの書籍3選
ここからは、コピーライティングの学習におすすめの書籍を紹介します。
- 「最強の一言」Webコピーライティング -ほんの数文字の工夫が「売れるサイト」をつくる！マイクロコピー活用術-
- コピーライティング技術大全――百年売れ続ける言葉の原則
- コピーライティング100の法則 (100の法則シリーズ)
初心者の方にもわかりやすい書籍なので、ぜひ参考にしてみてください。
「最強の一言」Webコピーライティング -ほんの数文字の工夫が「売れるサイト」をつくる！マイクロコピー活用術-
本書は、Webマーケティングで注目される「マイクロコピー」について解説する入門書です。マイクロコピーとは、ボタンや入力フォームの短い文言でユーザーの不安を取り除き、購買行動を促す技術を指します。
たとえば「問い合わせ」ボタンを「問い合わせをする」に変えるだけで成約率が大幅に上がることも。マイクロコピーライティング協会の会長である著者が、具体例とともに効果的な方法を紹介し、実践に役立つノウハウを提供しています。ビジネスの売上改善を目指す方におすすめの一冊です。
コピーライティング技術大全――百年売れ続ける言葉の原則
「コピーライティング技術大全」は、効果的なコピーライティングの技術を網羅し、売上向上に直結する100の具体的なテクニックを紹介した実践マニュアルです。著名なマーケッターや実業家からも高い評価を得ています。すぐに使えるノウハウが詰まっているので、クリエイティブに悩むビジネスパーソンは特に重宝するでしょう
また、効果的な見出しを作成する「BTRNUTSS（バターナッツ）見出しチェッカー」やターゲットに刺さる構造「PASBECONA（パスビーコーナ）テンプレート」など、技術・発想をサポートするツールも豊富に掲載されています。コピーライティング初心者から上級者まで、あらゆる読者に役立つ一冊です。
コピーライティング100の法則 (100の法則シリーズ)
本書は、売れる商品に欠かせないキャッチコピーやセールスコピーの秘訣を100の法則にまとめた、コピーライティングの実践的な指南書です。
基礎から高度なテクニックまで、読み手を引きつける方法や購買意欲を高めるレイアウト法、さらにデジタル時代に特化した「マイクロコピー」の技法も解説されています。広告心理学に基づいた効果的なライティングのポイントも網羅しており、初心者からプロまで活用できる一冊です。
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