ITパスポートは「ITやWeb系の業界で活躍したい」「IT系の資格を取得してスキルをアピールしたい」と考える人におすすめの資格です。試験に合格すれば、ITに関する基礎知識を保有している証明ができるでしょう。
一方で「ITパスポートの効率的な勉強方法がわからない」と悩む人もいるかもしれません。そこで今回では、ITパスポートの概要や勉強方法について詳しく解説します。ITパスポート試験への理解を深め、自分に合った効率的な勉強方法で試験対策を進めたい方はぜひ最後までチェックしてください。
ITパスポートとは?
ITパスポート(iパス)とは、ITについての基礎知識を証明する国家試験です。IT資格の入門とされており、これからIT業界で働きたい人や、専門知識が求められる上位資格を取得する前に力を試しておきたい人などが多く受験しています。ITパスポートを取得するメリットは、主に以下の3つです。
- ITの基礎を勉強できる
- 仕事での貢献につながる
- 就職・転職時のPR材料となる
出題範囲にはAIやデータについての考え方だけでなく、企業・組織の経営や会計・法務などの基礎も含まれます。ITを幅広く勉強することにより、今後社会人として必要とされるスキルの習得につながるでしょう。
ITパスポートの試験概要
ここからは、ITパスポートの試験概要について見ていきましょう。試験の難易度や合格率、試験範囲を知ることで受験のイメージが持ちやすくなります。
試験問題の難易度は低め
試験問題の難易度を確認するために、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が公開するIT資格の位置付けを見てみましょう。
引用:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構|試験区分一覧より
上記から、ITパスポートは「全ての社会人に求められるレベル」とされています*1。IT関連の資格のなかで難易度は比較的易しいといえるでしょう。受験者層は学生から大学まで幅広く、ITに関する知見がない方でもしっかり勉強すれば合格が狙える試験です。必要な勉強時間は自分が持っているIT知識などによって異なりますが、ITパスポート試験は入門レベルであるため、それほど多くの時間をかけずに習得できる知識であると考えられます。
試験の合格率は?
ITパスポート試験を実施しているIPAの統計情報によると、2019年度〜2023年度の5年間における合格率は以下のとおりです。
ITパスポート試験における合格率推移*2 | |
---|---|
2019年度 | 54.3 |
2020年度 | 58.8 |
2021年度 | 52.7 |
2022年度 | 51.6 |
2023年度 | 51.3 |
上記から直近5年間におけるITパスポート試験の合格率は50〜60%を推移しており、およそ2人に1人は合格しているとわかります。ITの専門用語や知識が問われる一方で、出題される内容は入門レベルであるため、勉強時間をしっかりと確保すれば初心者でも合格の可能性があるといえるでしょう。
試験方式・出題範囲
ITパスポート試験はCBT方式です。CBTとはコンピューターを使う試験方式のこと。好きな日程に受験ができ、申し込みから合否通知までの工程がインターネット上で完結します。紙を用いた試験と比べると柔軟に日程や会場を選択できるため、受験しやすいといえるでしょう。
次にIPAが公表しているITパスポート試験の出題範囲*3 から、どんな問題が出題されるのかまとめました。
分類 | 具体例 |
---|---|
ストラテジ系 | ・経営・組織に関する基本的な考え方 ・経営戦略やマーケティングなどの基礎知識 ・システムやデータ活用における基本的な考え方 |
マネジメント系 | ・システムなどを開発する基本的な流れ ・ソフトウェアなどを利用する際の目的や考え方 ・システムの監査(評価や点検)について |
テクノロジ系 | ・コンピュータで扱う数値やデータの基礎知識 ・アルゴリズムやプログラミングの概要 ・コンピュータの仕組み |
ITパスポートではITに関する知識だけでなく経営・組織、システム、マネジメントに関する知識も問われます。そのため実務を通して企業活動にかかわる社会人のほうが、学生と比べて合格率が高いです4*。 学生が受験する場合は、経営・組織などの勉強にも注力してしっかり知識を身につけるよう意識しましょう。
ITパスポートの勉強方法2パターン
ITパスポートの勉強方法は、主に以下2つのパターンが挙げられます。
- 独学
- 通信講座
それぞれの特徴を理解し、自分に合った勉強方法を選択することが重要です。ここでは、それぞれの具体的な勉強方法や向いている人について解説します。
独学
独学の場合、参考書や動画コンテンツ、記事などを活用して自宅学習を進めます。知識をインプットしつつ、過去問でのアウトプットもあわせて行えば、身につけた知識を試験問題で応用できるようになるでしょう。また、独学での勉強が向いている人は下記の通りです。
- ITへの興味関心が強く意欲的に勉強できる人
- すでにITの知識を身につけている人
- これまでに独学で資格に合格した経験がある人
- 学習計画が立てられて自己管理できる人
- 疑問点を調べながら解決できる人
1人でも勉強へのモチベーションを保てる方や、すでにITへの知見を持っている方は独学でも資格取得が目指しやすいです。
通信講座
独学での学習が不安な方は、通信講座を利用すると学習が進めやすいでしょう。たとえば、ユーキャンの「ITパスポート資格取得講座」は、テキスト学習に加えて解説動画や模擬試験まで活用できるカリキュラムが特徴です。講座内で知識のインプットから実践的なアウトプットまでできるので、勉強の見通しが立てやすく初めてでも安心して勉強できるでしょう。
通信講座を活用した勉強が向いている人は、以下の通りです。
- ITに関してほとんど知識がない人
- ITに関する興味があまりない人
- 独学での勉強に不安を感じる人
通信講座は費用がかかる一方で、決められたカリキュラムで効率よく勉強できるメリットがあります。独学での勉強に不安がある方は、通信講座を活用して合格を目指すほうが向いているといえるでしょう。
ITパスポート初心者の独学での最短勉強時間は?
ITパスポートの公式サイトにおける「合格者の声」によると、過去にIT知識がほぼない状態で勉強時間を「通勤中1時間+α」として試験に挑んだ人がいました。集中的に勉強した期間は約1か月ですが、初めての受験で合格したようです*5。
先述したように、ITパスポート試験に合格するために必要な勉強時間はIT知識の有無や勉強方法によって異なります。はじめはどれくらい勉強時間が必要か予定が立てづらい方もいるでしょう。
参考書を一度読んでから1日に進められる量を確認するなど、実際にやってみてどれくらい時間がかかるのか具体的なイメージを掴んでから計画を立てるのもおすすめです。参考書やカリキュラムから学習範囲を把握して、学習時間の見通しを立ててみましょう。
最短合格を目指す!ITパスポートの勉強のコツ5つ
ITパスポート試験の最短勉強を目指すなら、効率よく勉強する必要があります。ここでは、すぐに実践できるITパスポート試験の勉強のコツを5つ解説します。
学習計画を作成する
ITパスポートの合格に近づくためにも、事前に学習計画を立てておきましょう。受験日から逆算して学習計画を立てることで、長期的な学習も進めやすくなります。スケジュールを立てる際は、下記のポイントを意識すると効率よく勉強できるのでおすすめです。
- 各分野ごとの学習計画を立てる
- インプットとアウトプットをバランスよくできるように計画する
- 学習が遅れても補えるよう余裕をもって計画する
ITパスポートでは、幅広い出題範囲を満遍なく理解する必要があります。学習計画を綿密に立てて、効率よく勉強できるよう工夫しましょう。
すきま時間を活用する
仕事や育児などで忙しい場合は、すきま時間を活用して勉強時間を確保するのもおすすめです。時間を有効活用できるため、勉強効率が高まります。具体的には通勤・通学中の移動時間や寝る前などです。
持ち運びしやすい参考書や学習アプリ、Webサイトを利用して、すきま時間で学習できる準備をしておくとスムーズです。日常生活の合間に勉強する時間を確保すれば、忙しいなかでも効果的に知識を身につけられるでしょう。
試験の出題傾向を掴む
試験の出題傾向を掴むのも、資格合格のための勉強のコツです。一般的な資格試験と同様に、ITパスポートにも出題傾向があるため、対策することで正答率アップにつなげられます。
出題傾向を掴むには、直近の過去問を数年分解くのがおすすめです。出題パターンやよく出る問題に気づけると、重点的に学ぶべきポイントを把握しやすくなるでしょう。
苦手分野に時間をかけすぎない
効率よく勉強するためには、苦手分野に時間をかけすぎないことも重要です。なぜなら、ITパスポート試験に合格するためには、以下のように各分野で一定の基準を満たす必要があるからです。
- 試験全体の評価点が1,000点中600点以上*6
- 「ストラテジ系」「マネジメント系」「テクノロジ系」において、それぞれを1,000点満点とした場合、各分野の評価点がすべて1,000点中300点以上*6
たとえば、テクノロジ系の問題が苦手で重点的に勉強したとしても、ほか分野で基準点を満たしていなければ合格できません。合格するためには、1つの分野に集中しすぎず幅広く勉強することが大切です。苦手分野に時間をかけすぎて、他の分野が疎かになることがないよう勉強を進めましょう。
参考書・過去問題集でインプットとアウトプットする
資格合格に向けて勉強するなら、インプットとアウトプットを繰り返すことが重要です。ここでいうインプットとは、参考書などで知識を身につけることです。一方でアウトプットとは、身につけた知識を定着させるために問題集や過去問を解くことを指します。
たとえば、勉強方法が参考書を読むことに偏ると、知識を応用して問題を解く力が十分に養われないでしょう。参考書などでひと通り知識を身につけたら、アプリやWebサイトの問題、公式サイトの過去問でアウトプットするのがおすすめです。インプットした知識をアウトプットして、試験問題に対応できる応用力を身につけましょう。
ITパスポートの勉強に必要なものは?
ITパスポートの勉強に必要なものは、学習スタイルによってさまざまです。自分にあった教材やツールを使うことで効率よく学習が進められます。そのため、あらかじめ勉強の方向性を定めて必要な準備を明確にしておくとスムーズに勉強できるでしょう。
一般的に、ITパスポートの勉強で必要とされる教材やツールは下記の4つです。
- 参考書:おすすめの書籍はこちらの記事にて解説
- アプリ:全問解説付ITパスポート 一問一答問題集など。おすすめアプリはこちらの記事にて解説
- 過去問:公式サイトにて無料で公開されているものがおすすめ
- Webサイト:過去問や用語集などを掲載しているものが多い
自宅学習では参考書と問題集、すきま時間にアプリなど学習のタイミングにあわせて使い分けると、効率よく学習できるでしょう。自分の学習スタイルに合った教材やツールを活用してみてください。
ITパスポートの勉強におすすめの本
ここでは、ITパスポートの勉強におすすめの本を5冊紹介します。各書籍の特徴を簡単に下記の表にまとめました。比較検討する際の参考にしてみてください。
書籍名 | 特徴 |
---|---|
いちばんやさしいITパスポート絶対合格の教科書+出る順問題集 | ・豊富なイラスト図解による解説 ・試験によく出題される232問の過去問を厳選 ・効率の良い学習方法を教えてくれる ・赤シート付属でスムーズに学習できる |
かんたん合格ITパスポート過去問題集 | ・よく出る問題集で試験対策できる ・間違いの選択肢についても丁寧に解説されている ・豊富な過去問とよく出る問題で効率よくアウトプット ・スマホで学べる単語帳と過去問アプリ付き |
キタミ式イラストIT塾 ITパスポート | ・「キタミ式」のイラスト図解で学べる ・一冊完読して用語や計算に慣れることができる ・丁寧な解説でITの仕組みを理解しやすい ・計算問題もイラストでわかりやすく理解できる |
ITパスポート超効率の教科書+よく出る問題集 | ・オールカラーのテキストで内容がわかりやすい ・スマホ片手に動画で学べるので直感的に理解しやすい ・各セクションごとの確認問題で知識が定着しやすい ・最終章では過去問に挑戦できるため実力試しができる |
出るとこだけ!ITパスポート テキスト&問題集 | ・試験に出るところだけを効率よく学べる ・特典のアプリには260問以上の問題が掲載されている ・キャラクターによる解説がわかりやすい ・赤シート付属で試験によく出る重要単語の暗記がしやすい |
ITパスポート対応の本は、年度ごとにアップデートされるものが多いです。そのため、勉強用に本を選ぶ際は最新版を選ぶように注意しましょう。それぞれの本の特徴について詳しく解説します。
いちばんやさしいITパスポート絶対合格の教科書+出る順問題集
「いちばんやさしいITパスポート絶対合格の教科書+出る順問題集」は5年連続で売上No.1を誇る参考書です*7。おすすめポイントとして以下が挙げられます。
- 豊富なイラスト図解による解説で用語・概念をイメージしやすい
- 試験によく出題される232問の過去問が厳選されている
- 用語の考え方や覚え方など効率のよい学習方法を教えてくれる
- 赤シート付属や用語のふりがな、略語の意味によってスムーズに学習できる
試験合格に必須の要素を中心に構成されており、IT未経験でもわかりやすいのが特徴です。
かんたん合格ITパスポート過去問題集
「かんたん合格ITパスポート過去問題集」は、過去5年分の過去問と分野別のよく出る問題が集約されており効率よく学べる問題集です*8。おすすめポイントとして以下が挙げられます。
- 7年分の過去問や分野別のよく出る問題集で試験対策できる
- 問題の正答だけでなく、間違いの選択肢についても丁寧に解説されている
- 豊富な過去問とよく出る問題を解くことで効率よくアウトプットできる
- 購入者限定でスマホで学べる単語帳と過去問アプリを利用できる
豊富な問題数と教科書並みの丁寧な解説により、合格をサポートしてくれる1冊です。
キタミ式イラストIT塾 ITパスポート
「キタミ式イラストIT塾 ITパスポート」は、重要用語や計算問題などをイラストベースでわかりやすく解説している参考書です*9。おすすめポイントは以下が挙げられます。
- わかいやすさに力を入れた「キタミ式」のイラスト図解で学べる
- 「解説書を一冊完読して、用語や計算に慣れること」ができる試験本
- 試験のための勉強で終わらない丁寧な解説でITの仕組みを理解しやすい
- 計算問題もイラストでわかりやすく理解できる
IT初心者が1冊目に手に取るのに向いている参考書といえるでしょう。
ITパスポート超効率の教科書+よく出る問題集
「ITパスポート超効率の教科書+よく出る問題集」は、テキストと動画を併用して学習が進められる参考書です*10。おすすめポイントは以下が挙げられます。
- オールカラーのテキストで内容がわかりやすい
- スマホ片手に動画で学べるので直感的に理解しやすい
- 各セクションごとの確認問題で知識が定着しやすい
- 最終章では過去問に挑戦できるため実力試しができる
独学に適した参考書を探している一方で、文章だけの学習に不安を感じる方におすすめの1冊です。
出るとこだけ!ITパスポート テキスト&問題集
「出るとこだけ!ITパスポート テキスト&問題集」は、過去問の出題傾向から頻出するポイントを重点的に学べる参考書です*11。おすすめポイントは以下が挙げられます。
- 徹底的に過去問を分析しており試験に出るところだけを効率よく学べる
- 特典のアプリには260問以上の問題が掲載されておりアウトプットしやすい
- キャラクターによる解説がわかりやすい
- 赤シート付属で試験によく出る重要単語の暗記がしやすい
出題されやすい項目に焦点をあてて、効率よく学びたい方におすすめです。
ITのスキルを身につけるならSHElikesもおすすめ
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コースの受講を通して、ITパスポートのほかにも「ウェブデザイン技能検定」「基本情報技術者試験」などの資格取得に向けた勉強も進められるでしょう。
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ITパスポート試験の概要や具体的な勉強方法について解説しました。試験合格に向けて効率よく勉強するなら、自分に合った方法を見つけてインプットとアウトプットを繰り返すことが重要です。
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※出典
*1:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構|試験区分一覧より
*2:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構|情報処理技術者試験統計資料 令和5年12月度 ITパスポート試験より
*3:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構|ITパスポート試験シラバスより
*4:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構|ITパスポート試験 試験結果より
*5:【ITパスポート試験】|合格者の声【5】より
*6:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構|試験要綱Ver.5.2 p14より
*7:Amazon|【令和6年度】 いちばんやさしい ITパスポート 絶対合格の教科書+出る順問題集 | 高橋 京介 |本 | 通販より
*8:Amazon|かんたん合格 ITパスポート過去問題集 令和6年度春期 かんたん合格シリーズ | 間久保 恭子より
*9:Amazon|キタミ式イラストIT塾 ITパスポート 令和06年 | きたみ りゅうじより
*10:Amazon|ITパスポート超効率の教科書+よく出る問題集|渡辺さきより
*11:Amazon|出るとこだけ!ITパスポート テキスト&問題集|城田比佐子より