「好きなときに、好きな場所で自由に働きたい」
そんな理想的な働き方が叶えられる職業として、近年人気が高まっているWebデザイナー。
デザイナーになれるのは、生まれつきセンスのある人や美大出身の限られた人だけだと思われがちですが、実は最近、未経験からデザイナーにキャリアチェンジする方も増えています!
今回は「そもそもWebデザイナーって?」という方に向けて、具体的な仕事内容や、未経験からデザイナーを目指す方法について解説します。
Webデザイナーとは
Webデザイナーとは、Web上のあらゆるデザインを行う人のことです。たとえばWebサイトやWeb上の画像(バナー)などの企画・デザイン・制作などが対象となります。
華やかなイメージを持たれがちなWebデザイナーですが、実際は“どのサイズで”、“どのフォントで”、“何色で”、“どこに配置するか”を細かく調整するなど、繊細さが求められる仕事です。また、自分の制作物が人の心に響いたり、企業の手助けになったりと、やりがいを感じられる一面も。
パソコンがあれば仕事ができ、場所や時間を問わずに働く方法もあるので、今人気のWeb系職種の1つなのです。
Webデザイナーに将来性はある?
Webデザイナーは人気の職種である一方で、「Webデザイナーはやめとけ」「後悔する」という声も散見されます。そんな声を耳にすると、「Webデザイナーの需要はなくなるのではないか」、「将来性はあるのか」と不安になる人もいるのではないでしょうか。
しかし、Webデザイナーの需要は今後も高まりを見せることが予想されます。経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」*1 によると、インターネット付随サービスの売上高は2009年から2022年まで増加し続けています。
IT業界の市場は、年々拡大傾向にあるのです。このことから、Webデザイナーは今後も一定の需要が見込める、将来性のある仕事だといえるでしょう。
Webデザイナーの具体的な仕事内容
Webデザイナーは実際にどんな仕事をするのでしょうか。具体的な内容は以下の4つです。
- ヒアリングを元に調査・分析
- デザイン構成の作成
- デザイン
- コーディング
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ヒアリングを元に調査・分析
Webデザイナーの仕事は、依頼元へのヒアリングから始まります。Webサイトを通して何を実現したいのか、困っていることは何か、Webサイトのイメージなどをヒアリングしましょう。ヒアリングで得た情報はデザインを考える土台となるため、認識のズレがないように細かくすり合わせをすることが大切です。
その後、ヒアリングの内容を元に市場や競合の調査・分析を行います。適切な調査・分析をスムーズに行うためには、基礎的なマーケティングの知識もあると良いでしょう。
デザイン構成の作成
続いて、ワイヤーフレームと呼ばれるデザイン構成を作成します。ワイヤーフレームとは、Webページのどこに何を配置するのか分かるように、シンプルな線や図形でレイアウトしたもののこと。
大きな失敗を防ぐためにも、いきなりデザインの制作を行うのではなく、下書きとなるワイヤーフレームをしっかり作ることが大切です。この段階でデザインの全体像をイメージできるため、依頼元との齟齬もなくすことができます。
デザイン
いよいよ、実際のデザインの制作に入ります。ここまで収集した情報やワイヤーフレームを元に、Webページの詳細なデザインを行いましょう。
PhotoshopやIllustratorなどのツールを用いて、画像制作や素材の加工、レイアウトの調整をしていくのが一般的です。すべてのデザインを0から作るのではなく、指定のイラストや写真を使いながらデザインを行うこともあります。
コーディング
コーディングとは、Webデザインをブラウザ上で見える形にするために、プログラミング言語を用いて記述していくことです。Webデザイナーの中にはコーディングをしない人もいます。コーディングができなくてもWebデザイナーとして仕事をすることは可能です。
しかし、コーディングができれば仕事の幅やデザインの幅が広がり、自分の作る制作物についても深く理解することができるようになります。仕事獲得のチャンスが広がる可能性もあるので、一度チャレンジしてみても良いでしょう。
Webデザイナーの働き方別・平均年収
実際にWebデザイナーとして働くには、就職・副業・フリーランスなどいくつかの方法があります。ここでは働き方別に、メリット・デメリットを含めてご紹介します。
具体的な働き方 | 収入目安 | |
---|---|---|
会社員(インハウスデザイナー) | 1つの会社に、Webデザイナー職として就職する方法。 | 社員として働く場合、安定した収入が確保できる。 |
会社員(制作会社デザイナー) | デザインを専門に請け負っている会社に就職する方法。 | 社員として働く場合、安定した収入が確保できる。 |
副業デザイナー | 本業とは別に、副業としてWebデザイナーの業務を請け負う方法。 | 本業の業務にプラスして収入を得られる。 |
フリーランスデザイナー | 会社に所属せず、自分の名前で仕事を取る方法。 | 自分の能力や、稼働時間に応じて収入が前後する。 |
会社員(インハウスデザイナー)
正社員や契約社員などとして会社に所属し、社内のWebデザイナーとして働く方法です。所属している会社が取り扱っているブランドのコンセプトに合ったバナー画像やWebサイトの作成が求められます。
求人ボックス給料ナビ *2 によると、会社員のWebデザイナーとして働く場合、平均年収は約340万円です。
<メリット>
- Webデザイナーの仲間と一緒に作業をしたり、素材を作り上げたりできる
- プロジェクトの企画段階から携わるケースもある
<デメリット>
- 所属している会社のコンセプトに合った画像の制作が中心になる
- 未経験からの就職は難易度が高い
インハウスデザイナーは、他部署のメンバーとともにプロジェクトの進行を通し、さまざまな方向からWebデザイナーとしての業務を経験することが可能です。その分、幅広いスキルや経験が必要になることもあるため、「実務経験1年以上」など応募に条件を設けている企業もあります。
会社員(制作会社デザイナー)
インハウスデザイナーの働き方と共通している部分もありますが、制作会社デザイナーの場合、制作物が1つの会社・ブランドの物に限らない点が大きく異なります。会社が発注元から制作物の作成を請け負い、デザイナーそれぞれに業務が割り当てられるためです。
<メリット>
- さまざまな案件の制作に携われる
<デメリット>
- 取引相手の要望に応えるために無理な業務を強いられるケースがある
Webデザイナーとして多くの案件に深く関わってみたいという方にはぴったりの環境といえます。一方で、時間外の勤務や作業が増えてしまう可能性もあるようです。
副業デザイナー
副業Webデザイナーは、「Webデザイナーとして働きたいが、安定した収入を得られるのか不安」「まずは小さい案件で、スキマ時間に稼ぐことから試してみたい」という方におすすめです。
<メリット>
- 基本的には働く時間や場所に指定がない
- 本業に生かせる場合がある
<デメリット>
- 本業の業務の合間や、休みの日に作業をすることになる
本業と両立しながら働くことになるため、上手く時間や業務量を調整しながら取り組まなければなりません。「まずはWebデザイナーとしてどのくらい稼げるかを試してみたい」という方におすすめといえます。
副業としてデザイナーを目指される方は、こちらの記事も併せてご覧ください。
フリーランスデザイナー
フリーランスは、Webデザイナーにかかわらず人気の働き方の1つです。業務委託やクラウドソーシングを利用したスポットでの業務などをこなし、収入を得ていきます。
業務量や案件単価によって収入に差がありますが、フリーランス協会の「フリーランス白書2023」*3 によると、Webデザイナーが含まれるクリエイティブ・Web・フォト系の職種では約5割が年収400万円以上となっています。
<メリット>
- 自分で業務量を調整できる
- 働く場所や時間が自由
<デメリット>
- 実績をもとに自分で仕事を獲得していく必要がある
働く場所や時間にとらわれず、業務量も調整できることはフリーランスの大きな特徴です。在宅ワークや、ワーケーションなどを取り入れながら働いている方も多くいます。家事や育児と両立しながら働くこともイメージしやすいでしょう。
ただ、自ら仕事を獲得していかなければならないため、初めのうちは実績作りや積極的に自分を売り込むような作業が必要になります。
Webデザイナーに必要なスキル
ここでは、Webデザイナーになるために必要なスキルや知識をご紹介します。以下の5つについて詳しく見ていきましょう。
- PCスキル
- デザイン基礎の知識
- Photoshop・Illustratorなどツールのスキル
- プログラミングスキル
- Webマーケティングの知識
PCスキル
まず必要なのは、最低限のPCスキルです。例えば、Webサイトを用いて検索ができる、アプリのダウンロードができる、問題なくタイピングができるなどが当てはまります。
「PC1台あれば完結する」といわれるWebデザイナーは、パソコンでの作業が必須です。たとえ今はスキルが浅くても、少しずつ習得していきましょう。
デザイン基礎の知識
良いデザインを作るためには、土台となる基礎知識が必要です。配色やレイアウト、また「Zの法則」「Fの法則」などといったデザインの法則などを学ぶと良いでしょう。
デザインはセンスではなく、知識が求められます。感覚や思いつきだけに頼らずに、論理に基づいて魅力的なデザインを考えられる知識を身につけることが大切です。
Photoshop・Illustratorなどツールのスキル
PhotoshopやIllustratorといった、デザインを制作する際に必要なツールのスキルも求められます。「まだ触ったこともない」という方もこれから勉強すれば、スキルを身につけていくことは可能です。
Photoshopとは、Adobe(アドビ)というアメリカの会社から提供されている、画像編集ソフトのこと。写真の加工・編集やWebサイトのデザイン制作などができます。一方でIllustratorは、同じくAdobeが提供するグラフィックやイラストの作成・編集ができるソフトのことです。
これらのソフトを利用するためにはプランの契約が必要です。契約期間や使用できるツールの種類にはいくつかパターンがあるので、ご自身の利用スタイルに合わせて選んでいきましょう。
プログラミングスキル
Webデザイナーには、プログラミングのスキルも必要です。特に、HTMLやCSS、JavaScriptなどのスキルがあるとWebデザイナーとして業務の幅が広がります。ただし、プログラミングを行わないWebデザイナーもいるので、まずは勉強して向き・不向きを見極めるのも良いでしょう。
最近では、STUDIOなどコーディングをせずにWebサイト制作ができるものも登場しているため、自分に合ったツールを探してみるのもおすすめです。自分が目指すWebデザイナー像をイメージし、プログラミングスキルが必要かどうか判断してみてください。
Webマーケティングの知識
Webデザイナーとして仕事の幅を広げるために、Webマーケティングの知識もあると良いでしょう。Web上で集客を増やすためのWebマーケティング知識があると、より効果の高いデザイン提案が可能です。
そのほかWebマーケティングの知識は、デザインを考えるための調査・分析にも役立ちます。根拠を持ったデザインの提案ができるようになるため、市場価値の高いWebデザイナーを目指せるでしょう。
Webデザイナーを目指す人におすすめの資格
Webデザイナーには必須の資格はありません。なぜなら、Webデザイナーとして働く際に注目されるのはスキルや実績だからです。
興味がある方や、資格の勉強を通してWebデザインに関する知識を身につけたいという方は、資格の取得を検討するのも良いでしょう。ここでは、Webデザイナーを目指す人におすすめの資格を6つ紹介します。
ウェブデザイン技能検定
ウェブデザイン技能検定は、厚生労働省より指定試験機関の指定を受け実施されている資格試験です。Webデザインに必要な知識やスキルを問われる、Webデザインの入門的な試験といえるでしょう。
1〜3級に分かれているため、自分のレベルに合わせて勉強を進められるのも嬉しいポイントです。
Webクリエイター能力認定試験
Webクリエイター能力認定試験は、コーディングのスキルを問われる資格です。「スタンダード」と「エキスパート」に分かれており、Webデザイナーとして基礎的なコーディングスキルを身につけたい人は「スタンダード」を受検すると良いでしょう。
スタンダードレベルでは、HTML5やCSSを用いた簡単なサイト制作ができるようになります。より実践的なスキルを身につけたい人は、同資格の「エキスパート」に挑戦してみるのもおすすめです。
HTML5プロフェッショナル認定試験
HTML5プロフェッショナル認定試験は、HTML5、CSS3、JavaScriptなどのスキルを問われる資格試験です。Webデザイナーやコーダーとして仕事の幅を広げたい人や、アプリ開発をしたい人なども受検しており、試験はレベル1・レベル2に分かれています。
上述した「Webクリエイター能力認定試験」スタンダードレベルの次のステップとして、HTML5プロフェッショナル認定試験を受検するのもおすすめです。
アドビ認定プロフェッショナル
アドビ認定プロフェッショナルは、アドビの各アプリケーションを使用するスキルがあることを証明する資格試験です。試験科目はPhotoshop、Illustrator、Premiere Proがあり、アプリケーションごとに分かれているため、自分に必要な科目を勉強し受検すると良いでしょう。
Webデザイナーとして働く際、アドビを使いこなせることを条件とする会社が多いため、スキルの証明としてこの資格を持っておくと役立つかもしれません。
色彩検定
色彩検定とは、色の基礎や配色技法(色の組み合わせ方)などの知識を習得できる資格試験です。センスではなく、理論に基づいた色の扱いができるようになるため、デザインをするうえでも生かせる知識が身につきます。
受験資格も特にないため、気軽に取得できる資格のひとつです。公式テキストに沿って出題されるので、勉強にも取り組みやすい試験といえるでしょう。
マルチメディア検定
マルチメディア検定は、ビジネスで使われるマルチメディアやICT(情報通信技術)について問われる検定です。マルチメディアとは、その名の通り複数(マルチ)の情報をひとまとめに扱うメディアのことで、スマートフォンやパソコンも代表的な例でしょう。
このようなマルチメディアに関する基礎知識も、Web業界で業務をするにあたって必要不可欠です。ベーシックとエキスパートに分かれているので、より深く学びたい人はエキスパートまで受検しても良いかもしれません。
Webデザイナーの資格についてより詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
Webデザイナーに向いている人
Webデザイナーに向いている人の特徴も気になるところです。Webデザイナーは、下記のような人に向いている仕事だといえます。
- 細かい作業が得意
- トレンドに敏感
- 新しいことを挑戦するのが好き
- コツコツ続ける力がある
華やかなイメージを持つ人も多いWebデザイナーですが、実際は細かい作業も多いです。そのため、細かい作業が好きな人やコツコツ努力ができる人には向いている仕事といえます。
また、IT・Web業界は情報の移り変わりの早いため、トレンドをキャッチしたり、最新の情報やツールを習得し続けたりすることに苦を感じない人のほうが、Webデザイナーとして力を発揮できそうです。
Webデザイナーに向いていない人
Webデザイナーに向いていない人の特徴について、以下に3つ挙げています。
- コミュニケーション能力が低い
- 時間・タスクの管理が苦手
- 根気強くない
Webデザイナーはコツコツ作業をすることもある一方で、依頼元やプロジェクトメンバーと連携を取りながら業務を進める場面も多くあります。そのため、関係各所と円滑にやりとりができる最低限のコミュニケーションスキルや時間管理能力が必要でしょう。
また、良いデザインを求めて試行錯誤したり、修正作業をしたりと時には根気が必要な場面も出てきます。Webデザイナーに限ったことではありませんが、責任を持って諦めず、業務に向き合う姿勢が重要です。
Webデザイナーになるための勉強方法
Webデザイナーになるには、どのような勉強方法があるのでしょうか。費用対効果・時間対効果も含めて、自分にとってより良い勉強方法を見つけてみましょう。
スクールへ通う
未経験からでもチャレンジしやすい学習方法が、スクールに通うことです。ひと口にスクールといっても、学習方法はさまざま。自分の学習スタイルや、確保できる時間によって決めていくことが大切です。
<メリット>
- カリキュラムに沿って学習を進めるので理解しやすい
- 課題提出など、フィードバックをもらえる環境がある
- 同じ目標を持った仲間と切磋琢磨しながら学習を進められる
<デメリット>
- 費用がかかる
スクールで学ぶ際は入学金や月会費など、まとまった費用が必要になります。しかし、効率よく学習を進めることで、結果的に費用がかさむことなくWebデザイナーとして働き始められる場合もあるため、費用対効果で考えてみるとよいでしょう。
Webデザイナーとして会社に就職する
Webデザイナーとして会社に就職し、経験や実績を積む方法もあります。その企業が行う施策や、発注元の要望に応じてバナー画像やサイトの制作などを行いながら、実務の中で実力をつけていきましょう。
<メリット>
- 学びながら収入を得られる
<デメリット>
- 未経験からの就職が難しい
働きながら同時に学び、実力をつけていけるのは大きなメリットです。しかし、そもそもWebデザイナーとして就職するためには一定のスキルが必要なので、最低限のスキルを身につけた状態で挑むことをおすすめします。
独学(動画・アプリ・書籍)
動画やアプリ、書籍などを利用して、独学で学習を進める方法です。未経験から独学だけでWebデザインのスキルを身につけるのはかなり難しいため、スクールなどで学習を進める傍ら、補助的な役割として利用することをおすすめします。
<メリット>
- 比較的低コストで、場合によっては無料で学習をスタートできる
<デメリット>
- モチベーションを保つのが難しい
- フィードバックをもらえる環境がない
- 情報の正しさを見極める必要がある
独学は、まずはやってみたいという方にとってはハードルが低くチャレンジしやすい勉強方法です。一方で、基本的には一人で学習を進めていくことになるため、挫折してしまうことも少なくありません。また、動画やホームページなどにはたくさんの情報があふれているため、正しい情報を見極めることも必要になってきます。
最短距離でWebデザイナーを目指すならスクールの利用がおすすめ
未経験から効率よくWebデザイナーを目指すなら、スクールでの学習がおすすめです。スクールでカリキュラムに沿って学習を進めることで、最短での収益化につながり、結果的に費用を安く抑えられたという方もいます。
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※出典
*1 経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」
*2 求人ボックス給料ナビ「Webデザイナーの仕事の年収・時給・給料」
*3 フリーランス協会「フリーランス白書2023」