突然ですが、「空いた瓶には大きい石から入れましょう」という言葉を聞いたことはありますか?
これはスティーブン・R・コヴィー氏『7つの習慣』に紹介されている話で、大きい石はあなたにとっての“最優先事項”を表しています。
1つの空き瓶に「大きい石・砂利・砂・水」を順に入れていくと、すべてを使って瓶をいっぱいにすることができます。しかし、最初に水で瓶を満たしてしまうと、その他の素材を入れるスペースはありません。
著者はこの話を通して「最優先事項(=大きい石)を後回しにしてはいけない」と伝えています。
しかし私はこの話を読んだとき、少し違う視点を持ちました。ーーすべての大きい石を入れるためには、そもそも「他の素材」を少し減らす勇気も必要なんじゃないか、と。
やりたいことを手にするためには、時に他のものを手放す必要がある。この記事では、私が実際に「手放したこと」と「選んだこと」についてお話していきます。
転職か?妊活か?私の最優先事項
2025年現在、私は29歳で5ヶ月の娘を育てています。しかし去年の私は「転職をするか」「妊活をするか」で迷っていました。
「子どもを望むなら早めに行動したい」「でも今の仕事を続けていていいのか分からない」ーー葛藤を抱えながら転職活動を始めましたが、うまくいかずに焦りばかりが募っていきました。
夜な夜な転職サイトを眺め、複数のエージェントに登録しては、理想と現実のギャップに落ち込む日々。
「このままだと、内定をくれた会社に飛びついて、また転職活動をすることになるかもしれない」そう気づいた瞬間、“今のまま走り続けるのは違う”と感じました。
そこで、私は思い切って“転職への執着”を手放すことにしました。そして、「まずは妊活をしながら、自分のスキルに自信をつけよう」とSHElikesへの入会を決めたのです。
SHElikesとはWebデザインやライティング、マーケティングといった50以上のスキルが定額で学び放題なオンラインキャリアスクールです。
「やりたいことが明確なわけじゃないけど、とにかくスキルを身につけたい」「自分に自信が持てるようになりたい」ーーそんな思いでの決断でした。
女性専用ということもあり、自分と似た境遇の仲間や、ロールモデルに出会えると感じられたのも大きかったと思います。
極めるか?楽しむか?物事とのちょうど良い距離感
入会後は、デザイン、ライティング、マーケティングなど気になるコースを幅広く受講。どのレッスンも新鮮で、学ぶたびに「できること」が少しずつ増えていく感覚がありました。
コースでの学びだけで、バナー(SNSで使用される広告画像)が作れるようになったのには自分でもびっくりです。

けれど次第に、「どのスキルも中途半端」「“これだ”という強みがない」「極められるほどの熱量が持てない」という気持ちが芽生えるようになりました。
他のシーメイト*さんの成長や頑張りを見て落ち込むこともしばしば…。本来の“学ぶ楽しさ”よりも“実績が残せない不安”が大きくなっていきました。
特にWebデザイン。最初は楽しく取り組んでいましたが、0→1を生み出す工程がどうしても苦手で、だんだんと「向いていないかもしれない」と感じるようになりました。
そこで、デザインを“極めよう”とする気持ちをそっと手放してみました。
もちろん「ここまで時間を費やしてきたのにもったいない」「在宅ワークへ1番の近道なのでは?」と葛藤もしました。しかし、手放す選択をしてから気持ちが楽になったと感じています。
とはいえ、デザインを学ぶことを完全に辞めたわけではありません。今はマーケティングとライティングをメインに学んでいますが、好奇心を満たすためにデザインのコースを覗くこともあります。
“結果を出すため”ではなく、“やってみたいからやる”という感覚。そうやって関わり方を変えたことで、学ぶこと自体の楽しさを取り戻せた気がします。
*SHElikes受講生の愛称
弱みか?強みか?“広く浅く”の捉え方
どちらかというと私は「なんでもある程度までなら、卒なくこなす」というタイプ。興味関心も幅広く、また移ろいやすいところがあります。社会に出てからはこの特性を「器用貧乏」だと少しコンプレックスに感じていました。
しかし学びを重ね、さまざまな人と関わるうちに「器用貧乏」をネガティブに捉える思考を手放すことができるようになりました。「広く浅く知っている」ことが決して悪いことではないと思えるようになったのです。
マーケティングを学んでからデザインをみると、以前より「なぜこの構成なのか」が考えられるようになったり、ライティングの視点でSNSの告知文を考えられるようになったり。今は点と点がつながる、という感覚を楽しんでいます。
「完璧にできるようにならなきゃ」という思い込みを手放し、自分の変化に目を向ける。“今の自分にできること”を少しずつ積み重ねる。そうやって少しずつ自己肯定感が上がったら、周りのシーメイトさんももっと身近な存在だと気づくことができるようになりました。
「あの人も最初はできなかったんだ」
「この人はこれを手放して、これを選んだんだ」
「もしかしたら、私があの人の役に立てるかも?」
今は器用貧乏ではなく、オールラウンダーだと捉え直して、自分にできることを増やしていきたいと考えています。
手放すことで、前に進める自分になる
手放すことは“諦める”ことではありません。むしろ自分にとって大切なものを見極める力や、本当にやりたいことと向き合うための余白を生み出すための、大切なプロセスです。
1.自分にとっての最優先事項を見つめ、その他のことを手放す
2.完璧主義を手放し、物事との適切な距離感を見極める
3.ネガティブ思考を手放し、今できることを考える
こうした“手放し”が私を前に進ませてくれました。
「やりたいことがあるけど、時間が足りない」
「ぜんぶを抱えようとして、苦しくなっている」
そんなときには、ぜひ一度立ち止まってみて欲しいと思います。あなたの瓶に“大きい石”を入れるために、今、何が手放せるでしょうか?
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本記事はSHElikesの受講生を対象とした「SHEライターコンペ」の採用作品です。(執筆者 ちまきさん)
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