ネットワークスペシャリスト試験の難易度は?概要や合格率、勉強時間を紹介!

ネットワークスペシャリスト試験の難易度は?概要や合格率、勉強時間を紹介!

IT関連の仕事をしている方やIT業界を目指す方のなかには、ネットワークスペシャリスト試験の取得を検討している方もいるでしょう。しかし、以下のような疑問を抱くこともあるのではないでしょうか。

「ネットワークスペシャリストとは何?」
「ネットワークスペシャリスト試験の難易度は?」

そこで、本記事ではネットワークスペシャリスト試験の難易度や試験概要を解説。また、ネットワークスペシャリスト試験の合格に向けたおすすめの勉強方法や必要な勉強時間の目安も紹介します。

最後までチェックして、ネットワークスペシャリスト試験の取得を目指しましょう。

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ネットワークスペシャリスト試験の難易度は「高め」

ネットワークスペシャリスト試験の難易度は「高め」
引用:試験区分一覧 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

ネットワークスペシャリスト試験の難易度は高めです。情報処理技術者としての知識・技能が一定以上の水準であることを認定している国家試験「情報処理技術者試験制度」によると、ネットワークスペシャリスト試験は「高度な知能・技能」に分類されています。

ネットワークスペシャリスト試験は、IT関連の国家資格のなかでも合格するのが特に難しいといえるでしょう。

ネットワークスペシャリスト試験の合格率

過去5年のネットワークスペシャリスト試験の合格率は、以下の通りです*1

  • 2018年度:15.4%
  • 2019年度:14.4%
  • 2021年度:12.8%
  • 2022年度:17.4%
  • 2023年度:14.3%
    ※2020年度の試験は新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から中止

直近5回の試験の合格率は、15%前後です。過去のデータを見ると、ネットワークスペシャリスト試験は難易度が高いといえます。

参考までにほかの資格と比較してみると、たとえば「ITパスポート」は直近5回の合格率がすべて50%を超えており、「応用情報技術者試験」は20%〜27%ほどで推移しています。このことからも、ネットワークスペシャリスト試験の難易度の高さがわかるでしょう。

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ネットワークスペシャリスト試験の難易度が高いと言われる理由

「ネットワークスペシャリスト試験の難易度はなぜ高い?」と思う方もいるでしょう。結論からいうと、ネットワークスペシャリスト試験の合格が難しい理由は以下の2つが挙げられます。

  • 1日で4つの試験があり、特に午後の問題が難しいから
  • 各試験で合格点を取る必要があるから

それぞれを詳しく説明します。

試験概要:1日で4つの試験があり、午後問題が高難易度

まず、ネットワークスペシャリスト試験の試験概要を紹介します。試験は以下のように「午前Ⅰ」「午前Ⅱ」「午後Ⅰ」「午後Ⅱ」の4つで構成されています*2

午前Ⅰ 午前Ⅱ 午後Ⅰ 午後Ⅱ
試験時間 50分 40分 90分 120分
出題形式 多肢選択式(四肢択一) 多肢選択式(四肢択一) 記述式 記述式
出題数 30問 25問 3問 2問
解答数 30問 25問 2問 1問

4つの試験のなかでも、特に記述式の「午後Ⅰ」「午後Ⅱ」の難易度が高いとされています。それでは、4つの試験内容を詳しく見てみましょう。

午前Ⅰ試験

「午前Ⅰ試験」は共通問題で、「応用情報技術者試験」と同じ範囲の問題が出題されます。以下3つの条件を満たすと2年間は受験が免除になるため、該当する場合は負担が軽減されるでしょう。

  1. 「応用情報技術者試験」に合格する
  2. 「高度な知能・技能」に分類されるいずれかの試験に合格する
  3. 2のいずれかの試験の「午前Ⅰ試験」で基準点以上の成績を得る

ただし、「ネットワークスペシャリスト試験」と同じレベルの難易度の試験に合格する必要があるので、免除の対象になるのは簡単ではないといえます。

午前Ⅱ試験

「午前Ⅱ試験」では、専門知識が問われます。具体的には、コンピュータ構成要素、システム構成要素、ネットワーク、セキュリティ、ソフトウェア開発管理技術などに関する問題が出題されます。

なかでも、ネットワークとセキュリティの2つは重点分野で、難易度は高めです。「午前Ⅱ試験」に合格するためには、ネットワークとセキュリティに関する深い知識を身につけておく必要があるでしょう。

午後Ⅰ試験

「午後Ⅰ試験」は記述式で、3つある問題のなかから2つを選んで解答します。令和5年度の試験では、「Webシステムの更改」「IPマルチキャストによる映像配信の導入」「高速無線LANの導入」の3つが出題されました*3

午前の試験とは異なり穴埋め問題や文章で解答する問題などが出題されるため、運よく正解する可能性は低いでしょう。合格するためには、ネットワークに関する深い知識が求められます。

午後Ⅱ試験

「午後Ⅱ試験」も記述式で、2問のうちどちらか1問を選んで解答します。令和5年度の試験では、「マルチクラウド利用による可用性向上」「ECサーバ増強」の2つが問われました*4

どちらの問題も長文を読んで答える必要があるため、ネットワークに関する知識に加えて読解力も必要です。また、限られた文字数のなかで的確に解答するスキルも求められます。

各試験で合格点を取る必要がある

各試験で合格点を取る必要があるのも、ネットワークスペシャリスト試験が難しいとされる理由の1つです。試験要綱には、以下のように記載されています*5

  • 午前Ⅰ試験の得点が基準点に達しない場合には,午前Ⅱ・午後Ⅰ・午後Ⅱ試験の採点を行わずに不合格とする。
  • 午前Ⅱ試験の得点が基準点に達しない場合には,午後Ⅰ・午後Ⅱ試験の採点を行わずに不合格とする。
  • 午後Ⅰ試験の得点が基準点に達しない場合には,午後Ⅱ試験の採点を行わずに不合格とする。

つまり、「午前の試験で高得点を取り、難易度が高い午後の試験をカバーする」のように、苦手分野を得意分野で補うことはできません。合格するためには、各試験で合格点である60点以上を取る必要があります。

ネットワークスペシャリストの取得に必要な勉強時間

ネットワークスペシャリスト試験に合格するために必要な勉強時間が気になる方もいるでしょう。ITエンジニア専門の転職支援エージェント「ProEngineer」によると、一般的には独学の場合は半年〜1年以上、講座を受講する場合は2〜6か月とされています*6

1日あたりの勉強時間や知識の定着にかかる時間などは個人によって異なるため上記はあくまで目安ですが、講座を活用すれば効率よく学習を進められるといえます。「独学でネットワークスペシャリスト試験に合格するのは難しすぎる」と感じる方は、講座やスクールで学習するのがおすすめです。

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ネットワークスペシャリスト試験の合格に向けた効果的な勉強方法

ネットワークスペシャリスト試験の合格に向けた効果的な勉強方法は、以下の3つが挙げられます。

  • 4つの試験ごとの対策を練る
  • 過去問や問題集を繰り返し解く
  • 参考書を活用する

それぞれの勉強方法を詳しく説明します。

4つの試験ごとの対策を練る

まず、4つの試験ごとの対策を練るのがおすすめです。前述の通りネットワークスペシャリスト試験は全ての試験で基準点に達する必要があるため、各試験とも合格点を取れるよう準備しなければなりません。

たとえば、「午前の四肢択一問題は過去問を解いて対策を練る」「午後の記述式問題で合格点を取るためには読解力や簡潔に解答する力を身につける」など、各試験に合わせた勉強を意識してみてください。

過去問や問題集を繰り返し解く

過去問や問題集を繰り返し解くのもよいでしょう。過去問を解くと出題される問題の傾向や試験の特徴などがわかるため、効率よく対策を練れるといえます。記述式の試験に関しては、問題と模範解答を確認することで、どのように解答すれば得点につながるのか把握できます。

過去問は「ネットワークスペシャリスト試験」の公式サイトで公開されているので、ある程度の知識を身につけたらチャレンジしてみてください。

参考書を活用する

参考書の活用も、ネットワークスペシャリスト試験の合格に向けた効果的な勉強方法だといえます。参考書は入門書や午後の試験に特化したものなどさまざまな種類があるため、自分のレベルに合わせて選択可能です。「参考書で知識を習得して過去問に挑戦し、不得意な分野がわかったら再び参考書で学習する」という流れを繰り返し、効率よく試験対策をしましょう。

なお、参考書を活用する場合は独学することになるので、学習スケジュールはしっかり立てるようにしてください。いつまでに試験に合格するのかを定めて、そこから逆算して学習を進めることが大切です。

ネットワークスペシャリスト試験に合格するメリット

ネットワークスペシャリスト試験に合格するメリットは、以下の3つが挙げられます。

  • 上流工程の知識を身につけられる
  • 就職・転職で有利になる
  • 年収アップが見込める

各メリットを詳しく見ていきましょう。

上流工程の知識を身につけられる

まず、ネットワークスペシャリスト試験に合格すると上流工程の知識を身につけられます。なぜなら、「独立行政法人情報処理推進機構」は同試験の対象者を以下のように定めているからです。

高度IT人材として確立した専門分野をもち、ネットワークに関係する固有技術を活用し、最適な情報システム基盤の企画・要件定義・開発・運用・保守において中心的な役割を果たすとともに、固有技術の専門家として、情報セキュリティを含む情報システムの企画・要件定義・開発・運用・保守への技術支援を行う者*2

試験に合格すると情報システム基盤の企画や要件定義などを担う能力があるとみなされるため、上流工程の仕事ができるでしょう。

就職・転職で有利になる

就職や転職で有利になるのも、ネットワークスペシャリスト試験に合格するメリットの1つです。経済産業省によると、IT関連産業の市場規模は拡大の傾向にある一方で、IT人材の不足数は今後も増加する*7と予測されています。つまり、IT人材の需要は今後も高いといえます。

難易度の高いネットワークスペシャリスト試験に合格するとITに関する深い知識やスキルの保有を証明できるため、就職や転職活動の際の大きな武器となるでしょう。

年収アップが見込める

ネットワークスペシャリスト試験に合格すると、年収アップが見込めます。ネットワークに関する知識が必要な職業の年収の例を見てみると、セキュリティエキスパートは約580万円*8、システムエンジニアは約660万円です*9

1年を通じて勤務した給与所得者の1人あたりの平均給与は461万円*10とされているため、ネットワークスペシャリスト試験に合格することでより年収の高い職業に就ける可能性は高まるでしょう。

ネットワークスペシャリストの難易度や概要を把握して、合格を目指そう

ネットワークスペシャリスト試験は難易度が高く、合格率は毎年15%前後です。合格するためには4つの試験すべてで基準点に達することが求められるため、ネットワークやITなどに関する知識を深めて入念に対策を練る必要があります。

ネットワークスペシャリスト試験の取得難易度は高めですが、キャリアの幅が広がったり年収アップを狙えたりするメリットがあるので、本記事で紹介した勉強方法を参考にして取得を目指してみてください。

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※出典
*1:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「統計情報(全試験区分)」より
*2:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「ネットワークスペシャリスト試験」より
*3:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「令和5年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅰ試験 問題」より
*4:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「令和5年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱ試験 問題」より
*5:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「情報処理技術者試験 情報処理安全確保支援士試験」試験要綱より
*6:インターノウス株式会社「ネットワークスペシャリスト試験の難易度は?合格率から勉強時間まで解説」より
*7:経済産業省「IT人材育成の状況等について」p6より
*8:厚生労働省「職業情報提供サイトjobtag」セキュリティエキスパートの平均年収より
*9:厚生労働省「職業情報提供サイトjobtag」システムエンジニアの平均年収より
*10:国税庁「1年を通じて勤務した給与所得者」より

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ライター shin
航空系の会社に勤務した後、フリーランスとしての活動を開始。現在は主にWebメディアに携わりつつ海外を転々としている。
エディター 工藤 梨央

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