近年、「自己肯定感を高めることが大切だ」という言葉を耳にする機会が増えました。
しかし、「自分は何やっても自分にはダメだ…」と考えてしまう方も少なくありません。
実は、心や感情を変化させる方法の多くが、脳科学の研究によって解明されています。
そこで今回は、脳科学関連の書籍や論文などの情報を元に、自己肯定感を上げる方法を詳しく解説します。
そもそも自己肯定感ってなんだろう?
自己肯定感は簡単にいうと、「自分の価値を肯定できる感覚」のことです。人によって解釈はやや異なりますが、
一般社団法人 日本経営心理士協会「自己肯定感」より
組織名称 自己肯定感の解釈 一般社団法人 日本経営心理士協会 ありのままの自分を肯定する感覚のこと 一般社団法人 日本セルフエスティーム普及協会 自分の存在そのものを認める感覚
一般社団法人 日本セルフエスティーム普及協会「自己肯定感とは?」より
と記載されています。
つまり、わたしたちは完璧である必要はなく、「できない自分も含めて、自分自身を認められるかどうか」が本質です。
たとえ失敗しても「そんな自分も悪くない」と受け止められることが、心の安定につながります。
自己肯定感と自己効力感の違い
自己効力感とは、「自分ならできる」と信じて行動できる力のことです。目標に向かって挑戦する際に、自分の能力を信じる“認知的な力”ともいえます。
一方で、自己肯定感は「上手くいっても、上手くいかなくても、自分には価値がある」と思える“感情的な土台”。自転車の前輪と後輪のように相互に支え合っています。
つまり、「自分を認める心」と「自分を信じる力」は、人生を前向きに生きていく考え方といえるでしょう。
どうして自己肯定感は低くなるの?
自己肯定感が低くなる背景は人によって異なるものの、以下のような原因が多いようです。
- 幼少期の環境
- 人とのつながりを感じられない環境
- 過去のトラウマ・失敗体験
- 体力や健康状態の変化
- 周囲からのストレス
たとえば、周囲からの否定的な言葉を受けたり、他人と過度に比較したりすると、「自分にはできない」「どうせ無理」という思い込みを強めてしまいます。
こうした思考が積み重なると、誰かに褒められても「本心ではないのでは?」と感じたり、素直に喜べなくなるかもしれません。
つまり、自己肯定感が低下する原因は「経験によって作られた誤った自己イメージ」にある、と考えられるかもしれませんね。
このセクションの参考文献:
・書籍:『脳と体を最適化せよ! P348』
【脳科学の本から見る】自己肯定感の上げ方9選!

1.ポジティブな言葉を使ってみる

自己肯定感を高める第一歩は、「言葉の使い方」を変えることです。
人は自分の声を耳から聞きながら、感情を再認識しています。つまり、ネガティブな言葉を口にすれば気分も沈み、逆に前向きな言葉を使えば脳がポジティブに反応する、ということです。
たとえば、「今日は疲れた」ではなく「今日は頑張った!」、「ミスした」ではなく「成長のチャンスを見つけた!」と言い換えてみましょう。
さらに、「こう考えられる自分は偉い」と自身を褒めることで、脳内にドーパミンが分泌され、やる気や幸福感が高まります。言葉を変えるだけで、脳が少しずつ変化し、心が前向きに変わっていくでしょう。
まずは「ちょっとしたポジティブな言葉」を一週間使ってみよう!
このセクションの参考文献:
・書籍:『あなたはもう、自分のために生きていい P186』
・書籍:『脳を最適化すれば能力は2倍になる P74』
・書籍:『脳には自分を変える「6つの力」がある P15』
2.感謝の気持ちを大切にする

自己啓発書には、ほぼ必ずといっていいほど「感謝の重要性」が記されています。実は、感謝の効果は脳科学的にも根拠があります。
誰かに「ありがとう」と伝えたりするだけで、脳内で“エンドルフィン”という幸福ホルモンが分泌され、ストレスが緩和されます。
さらに、“「ありがとう」と言われる側”もエンドルフィンは分泌され、ボランティア活動などで心が満たされる理由はここにあるでしょう。
「朝起きられた」「コーヒーが美味しかった」そんな小さな感謝を見つけるだけでも、自己肯定感は少しずつ育ち始めます。
褒められても疑心暗鬼になってしまうなら、
とりあえず「ありがとう」とだけ伝えるだけでOK!
このセクションの参考文献:
・書籍:『脳を最適化すれば能力は2倍になる P325』
3.【脱完璧主義】失敗してもOK!

自己肯定感が低い人ほど、「完璧にやらないと…」と自分を追い込んでしまう傾向があります。100点を目指すことは大切ですが、考えすぎると成長のチャンスを妨げる壁になることも。
失敗して落ち込むのではなく、「だからこそ次に生かそう」と考えることで、自己否定のループから抜け出せます。
たとえば、仕事でミスをしたときも「成長の材料が見つかった!」と受け止めれば、前向きな行動へ変わります。
大切なのは、完璧を目指すのではなく、昨日より少しでも進歩できた自分を認めること。完璧より“継続的に前を向く行動”こそが、自己肯定感を育てる近道です。
失敗は成功のもと。
「上手くいくためにはどうするべきか?」を気軽に考えてみよう!
このセクションの参考文献:
・書籍:『世界一優しい脳科学入門 P154』
4.ポジティブ日記をつける

日々の気分を整えるなら、“ポジティブ日記”が効果的。1日の終わりに「今日の良かったこと」や「感謝できたこと」を書き出すだけで、気持ちが前向きになります。
実はこの行動、感謝の習慣と同じ効果をもたらし、脳内で幸福ホルモンのエンドルフィンが分泌されやすくなるのです。
「今日は疲れた」ではなく「今日もやり切った」「支えてくれた人に感謝」と、ネガティブな言葉をポジティブな言葉に書き換えるだけでも、気持ちは自然と前向きに変わります。
ポジティブ日記は手軽にできる脳の筋トレ。
1行だけでも書いてみよう!
このセクションの参考文献:
・書籍:『脳を最適化すれば能力は2倍になる P325』
5.嫌なことは紙に書き出す

嫌な出来事やモヤモヤした気持ちは、頭の中に留めておくほど自己否定を強めてしまいます。そこでおすすめなのが、「紙に書き出す」ことです。
脳科学の領域では感情を言語化することで“脳内の情報を整理”する効果があるとされています。
たとえば、「〇〇にこんなことを言われた」と具体的に書き、最後にその紙を捨ててしまうのもOK。
頭の中を整理することは、デスクの上を片づけるのと同じです。脳内のスペースが空くことで、気持ちがスッキリし、自己肯定感を取り戻しやすくなります。
嫌なこと、不安を感じたら紙に書いてみよう!
このセクションの参考文献:
・書籍:『世界一優しい脳科学入門 P175』
6.モヤモヤしたらとにかく歩く

気持ちが沈んだときや、頭の中がぐるぐるするときは、考えるよりも先に“歩く”のがおすすめです。
というのも、ただ無心で歩くだけで脳の「デフォルト・ネットワーク」という回路が働き、頭の中で記憶と感情の整理をしてくれます。
朝日を浴びるとセロトニンが分泌されるため、特に早朝の散歩は自己肯定感を高めるのに効果的です。
歩くことは前向きになるための手軽なリセット方法。
有酸素運動にもなって一石二鳥です!
このセクションの参考文献:
・書籍:『脳には自分を変える「6つの力」がある P10』
・書籍:『脳を最適化すれば能力は2倍になる P183』
7.日頃の呼吸を意識する

浅い呼吸が続くと、脳が常に“緊張モード”になり、焦りや不安を感じやすくなります。その対策として効果的なのが「深呼吸」や「腹式呼吸」。
お腹をふくらませるように息を吸い、ゆっくりと吐くことで、副交感神経が働き、ストレスホルモンの分泌を抑えてくれます。
短時間の深呼吸でも心拍数が整い、ストレス信号をオフにしてくれます。つまり、深い呼吸をするだけで不安を解消でき、自己肯定感を上げるきっかけになるのです。
浅い呼吸は不安や緊張を感じやすい。
ふとしたタイミングで10秒くらいの深呼吸をしてみよう!
このセクションの参考文献:
・書籍:『脳と体を最適化せよ! P381』
・書籍:『脳を最適化すれば能力は2倍になる P169』
8.AIに本音を聞いてもらう

誰かに本音を話すのが苦手な方は、AIに本音や愚痴を話してみるのも有効です。
滋賀県立大学の研究によると、ChatGPTに悩みを打ち明けた人のうち約70%が「気分の変化を感じた」と回答しています。
人には話しづらい悩みも、AIになら安心して打ち明けることができます。その「安心できる対話」が、思考や感情の整理につながります。
ネガティブな感情をため込まず、“話す練習”としてAIを使えば、自己理解が深まり、結果的に自己肯定感の回復にもなるでしょう。
AIなら心の本音をぶつけてOK!
意外な気づきがあるかもしれませんね。
このセクションの参考文献:
・論文:『ChatGPTを用いた問題解決を目指さない愚痴聞きチャットボット』
・書籍:『世界一優しい脳科学入門 P175』
9.価値観の合う仲間を作る

自己肯定感を育てるうえで、人とのつながりは欠かせません。友人や仲間との会話には、気分を高める「ドーパミン」や「オキシトシン」が分泌され、安心感や前向きな気持ちを生み出す効果があるからです。
価値観の合う仲間と過ごす時間は「自分はここにいていい」と感じられる瞬間を増やしてくれます。趣味のコミュニティやオンラインサロンなど、無理なく交流できる場を見つけるのもおすすめです。
孤独が続くと、自己否定の思考に傾きやすくなるため、他者とつながることは“心の栄養補給”といえるでしょう。
オンラインのコミュニティでもOK。
気の合う仲間が見つかるとモチベーションアップ!
このセクションの参考文献:
・書籍:『世界一優しい脳科学入門 P116』
自己肯定感を上げる、ちょっとした4つのコツ

自分の深掘りをしてみる

自己肯定感を高める第一歩は、自分の感情を“見える化”することです。「なぜそう感じたのか?」を繰り返し書き出すことで、感情の根っこにある思考パターンが見えてきます。
「上司に注意されて落ち込んだ」→「なぜ?」→「期待に応えられなかった気がする」→「なぜ?」→「認められたい自分がいる」→「じゃあ、どうする?」
→「あなただけの答えが見つかる!」
上記のように感情を掘り下げていくと、単なる出来事ではなく“自分の価値観”や“自分なりの答え”に気づけます。
つまり、深掘りは反省ではなく“自分を理解する作業”です。自分の感情を否定せず、感情を整理するだけで、心が軽くなるでしょう。
メモ帳に書いてみるだけでもOK。
自分の深掘りは意外と楽しいです!
脳について学んでみる

落ち込んだり焦ったりすることは、“脳の反応”。あなたの性格が弱いわけではありません。
ここまで解説したように、脳と感情は密接な関係にあります。つまり、“知識が心の防波堤”になるのです。
脳が心に与える影響を学ぶほど、感情を客観視できるようになり、結果として自己肯定感がゆるやかに整っていきます。「脳の仕組み」を知ることは意外と効果的です。
原因がわかれば対処法がわかる!
自分を取り戻すきっかけとして、ぜひ学んでみてください。
成長できる環境に身を置く

成長できる環境とは完璧な人たちの集まりではなく、互いの弱さを受け入れ、支え合える場所のことです。同じ目標を持つ仲間と励まし合うだけでも、「自分も大丈夫だ」と思える瞬間が増えていきます。
孤独な時間が長いと、どうしても自己否定の声が強くなります。ですが、仲間と成長できる環境であれば自然と前向きになれるでしょう。
自分を変えるよりも、“自分を受け入れてくれる環境”に身を置くだけでも、自己肯定感はグッと高くなります。
人は成長することが大好物!
環境を整えて、魅力的なあなたを取り戻そう。
小さな成功体験を作る

自己肯定感を高めるうえで最も効果的なのは、“小さな成功”を積み重ねること。決まった時間に起きる、少し遠回りして歩く、メールを一通返信するなど、まずは小さなことで十分です。
目標のハードルを下げて少しずつ達成することで「できた」という感覚が脳に刻まれます。このとき、脳内ではドーパミンが分泌され、ワクワクした気持ちや、やる気が自然に湧き上がります。
つまり、自己肯定感とは一気に上げるものではなく、日常の“できた瞬間”を丁寧に積み重ねて育てるものなのです。
実は、「目標を立てる」「達成したイメージをする」だけでもドーパミンは分泌されます!
朝起きたら、1日の目標を簡単に作ってみてください。
このセクションの参考文献:
・書籍:『脳を最適化すれば能力は2倍になる P48』
【注意】自己肯定感の上げ方を実践しても即効性はない
「何度も試したけど、結局変わらなかった…」──そう感じている方も多いでしょう。
ポジティブ日記や感謝をたくさんしても、長続きしない。そんな自分にまた失望してしまう。けれど、それは努力が足りなかったからではありません。
なぜなら、自己肯定感は“筋トレ”のように時間をかけて育つものだからです。焦らず続けられる環境が大切になります。
一人で頑張るより、支え合える仲間がいることで「自分もまた立ち上がれる」と実感できる瞬間が増えるでしょう。大切なのは、体と同様に、心を少しずつ強くする、ということです。
それでも自己肯定感が上がらないなら
「一人で頑張るのは、もう限界かもしれない」そんな気持ちが強い方は、思い切って環境を変えることも一つの選択です。
たとえばSHElikes(シーライクス)では、受講生と交流しながら50以上のスキルを学べます。自己成長を実感でき、価値観の合う仲間と出会える環境です。

受講生同士が励まし合い、ときには一緒に新しいことへチャレンジする姿も珍しくありません。誰かと共に進むことで、自分を認める力も自然と育っていきます。
「自己肯定感が自然に育つ環境」で成長してみたい方は、ぜひ無料体験レッスンにお越しください。
▼受講生の声は、こちらからご覧ください。

自己肯定感に関するよくある質問
自己肯定感を上げるのに役立つアプリは?
自己肯定感を上げるなら、以下のようなアプリがおすすめです。
アプリ名 | 活用例 |
シンプル日記 | ポジティブ日記などに活用 |
ChatGPT | 人に言えない悩みを相談 |
時空手紙 | 未来の自分に手紙を書き、過去を振り返る |
Simple Mind | マインドマップで思考を整理 |
自己肯定感を高める習慣は?
まずは、深呼吸や腹式呼吸、10分だけの散歩や簡単な日記から始めてみるとよいでしょう。一気に始めると継続できない可能性があり、成長を実感できないかもしれません。
余裕ができてきたら、瞑想やスキルアップにチャレンジしてみてください。
自己肯定感を高めるトレーニングはある?
毎日小さな目標を設定し、少しずつチャレンジするのがおすすめです。最初は「こんなの成功じゃない…」と思うかもしれませんが、自分を認める練習になります。
また、自分の感情を毎日深掘りすることも、自己理解に役立ちます。
気持ちではなく“科学的に”自己肯定感を高めよう!
自己肯定感は目に見えないため、感覚で調整する方が多いようです。しかし、心と脳には密接な関係があり、仕組みを理解するだけで自分にあった改善方法が見つかるでしょう。
「本来の自分を取り戻したい…!」と思う方には、SHElikesをおすすめします。仲間と成長できる環境であり、オンライン・オフラインでの交流機会が豊富です。
50以上の実践的なスキルが学習でき、未経験からフリーランスになったり、起業してビジネスを始めたりする受講生が多数在籍しています。
少しでもご興味のある方は、「自分には無理かも…」と考えすぎず、まずは気軽に無料体験レッスンに参加してみてください。
本記事の参考文献
- 書籍:モリー・マルーフ(矢島麻里子 訳)『脳と体を最適化せよ』
- 書籍:毛内拡『世界一優しい脳科学入門』
- 書籍:リチャード・デビットソン/シャロン・べグリー(茂木健一郎 訳)『脳には自分を変える「6つの力」がある』
- 書籍:樺沢紫苑『脳を最適化すれば能力は2倍になる』
- 書籍:Podhe『あなたはもう、自分のために生きていい』
- 論文:滋賀県立大学院工学研究科・滋賀県立大学工学部:「ChatGPTを用いた問題解決を目指さない愚痴聞きチャットボット」